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ソロモン(ガンダムシリーズ)単語

ソロモンガンダムシリーズ

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ソロモン(ガンダムシリーズ)とは、アニメ「機動戦士ガンダム」およびそのシリーズ作品に登場する宇宙要塞。ソロモンの戦い（チェンバロ作戦）や戦後の呼称であるコンペイトウも本稿で取り上げる。

概要

元は資源採掘用にアステロイドベルトから運ばれて来た小惑星だったと言われる。この点、経歴的にはアクシズに似ている。また、作品に登場する連邦のルナツー、ジオンのア・バオア・クーと共に代表的な宇宙要塞である。歴史的にソロモンと呼んだ場合、多くはこの要塞をめぐって起きた戦いであるソロモンの戦い（連邦軍の呼称はチェンバロ作戦）を意味する。

チェンバロ作戦まで

ソロモン要塞が建設された年代は不明だが、一年戦争後半までに序盤で壊滅した旧サイド1宙域に移送されサイド3（ジオン公国本国）を守る要衝をなしていた。ドズル・ザビ中将率いる宇宙攻撃軍の拠点でもあり、V作戦をキャッチしたシャア・アズナブルへの指示やホワイトベース攻撃のためのコンスコン艦隊派遣などでも数シーンほど登場している。

一年戦争初期のブリティッシュ作戦およびルウム戦役で宇宙での絶対的な優勢を確保していたジオン軍であったが、0079年11月のオデッサ作戦により地上での優勢は損なわれてしまう。12月に入ると宇宙でも再就航を開始したマゼラン級戦艦（マゼラン後期型）やサラミス級巡洋艦（サラミス後期型）および新型 MS ジムの大量配備が始まり、その優勢にも陰りの色が目立ち始める事態となる。

満を持した連邦はジオン公国がありサイド3への侵攻を決定。その防衛ラインの一角を築いていたソロモンの攻略作戦（チェンバロ作戦）を決定し、目標を24日として宇宙での戦力の結集をはかった。

ジオン軍の戦力

中心はMS。内訳のうち、多くはMS-06 ザクであり時期的にはF型またはF2 型と思われる。また、MS-09R リック・ドムも配備がなされていたと思われるが、こちらは18機がサイド6宙域の戦いにより失われており定数割れを起こしていた可能性もある。MS-14A ゲルググについては議論が分かれており詳らかではない。配備されていたとしてもエースパイロットのみであり、戦力と言えるものであったかは疑問が残る。

他に特徴的な機動兵器としては、増援として本国から送られた試験MAであるビグ・ザムがあり、強力なIフィールドバリアと火力をもって一機で一個師団級の戦力があるとされていた（ジオン軍のMS師団は大体定数50機前後）。

艦艇は宇宙攻撃軍の本拠地でもあるだけに、ムサイ級軽巡洋艦やチベ級重巡洋艦、グワジン級戦艦「グワラン」の配備が確認できる。ドロス級空母二番艦「ドロワ」も配備されていたが、この時点ではいまだ未完成だったとも言われている。ただし、連邦との圧倒的戦力差から宙域への出撃は諦め、係留施設や物陰に潜んで砲台代わりにする作戦が立てられていた。要塞本体にもメガ粒子砲や衛星ミサイルの配備があり、当然ながらこれらと連動した防衛作戦であったと推測できる。

総体的に見ると本土決戦の前哨戦であるにも関わらず、ビグ・ザムを除いてドズル・ザビ旗下の宇宙攻撃軍のみによる偏った配置であった。ドズル自身、部下からのキシリア配下の突撃機動軍へ救援を依頼するという提案を却下しており、ジオン軍の縄張り争いや公国内での権力争いが透けて見える配備と言える。（もっともドズルの意思に関係なく、戦闘には間に合わなかったもののキシリアの部下であるマ・クベ率いる艦隊がソロモンへ向かっていた。）

連邦軍の戦力

中心はMS。内訳はRGM-79 ジムでありMSVの記述や分類によれば後期型であったと思われる。これを補助する兵器として戦闘ポッドであるRB-79 ボールも大量配備されていた。ジムの生産機数は300機説から3800機説まで幅広く、前者に立った場合はボールが主力であったと言う解説がなされることもある。

これら機動兵器の母艦として、改修がなされたマゼラン級戦艦やサラミス級巡洋艦（第三艦隊と第二連合艦隊）が導入されていた。一般にこの頃から連邦もようやくMS戦主義思想が芽生えたとされるが、要塞戦では艦砲射撃も重要でありソロモンが宇宙攻撃軍の拠点であったことから艦隊戦も予想できたため砲術戦も考慮されていたと思われる。

決戦兵器としてはソーラ・システムが用意されていた。これは数百枚のミラーを展開することにより太陽光を集中的に放射し、要塞や出撃してきた艦隊自体を光で焼き払うと言う強力な兵器であった。ただし、防御力は皆無であるため、後述するように様々な囮や偽装計画を練った。

また、部隊単位で見た場合は戦力とは言い難いが、ホワイトベースも参加している。

チェンバロ作戦

0079年12月24日に攻略作戦を開始。連邦軍は戦闘艇パブリクにビーム攪乱剤を積んだミサイルを発射させ、攪乱幕の形成に成功。要塞のビーム兵器を無力化させ、ジオン側の迎撃をミサイルに限定させる。焦ったドズル・ザビは、要塞に誘い込んでの迎撃を諦め艦艇をビーム発射可能宙域にまで出撃させた。このため、当初の防衛計画は早くも破綻をきたしてしまう。

続いて連邦は囮として第三艦隊をサイド4裏側から出撃させMS戦を展開する。もっとも、こちらは数の少なさから偽装が見破られていた。執拗な攻撃に忙殺されつつ索敵を続けたドズルだったが、主力である第二連合艦隊を発見・迎撃を下令。しかし、この時点ではソーラ・システムの展開が既に終了しており手遅れとなっていた。

ソーラ・システムはその直後に発射され迎撃した衛星ミサイルを粉砕、要塞の第6ゲートを破壊した上でエネルギーが尽きるまで掃射を続け要塞本体と守備隊に甚大な被害をもたらす。この間隙を縫う形で連邦軍MS隊が要塞にとりつき周辺宙域の戦線は瓦解し、要塞表面や内部での戦闘に突入して行く。

この時点で敗北を予感したドズル・ザビは妻子であるゼナとミネバを脱出させ、自身もビグ・ザムに乗り込んで陣頭指揮を取ることを決断する。

まず、残存艦隊を集結させ連邦軍に中央突破を挑むがこれもソーラ・システムの第二射に阻止され失敗。これにより要塞の陥落は時間の問題となり、ドズルも放棄を決定。一人でも多くの将兵を脱出させえるべく、ビグ・ザム単騎で特攻出撃。圧倒的な火力でティアンム指揮の艦隊を彼ごと消滅させ、第二連合艦隊に多大な出血を強いるもガンダム（アムロ・レイ）とコア・ファイター（スレッガー・ロウ）の活躍により撃墜されドズルも戦死、戦いは終息して行った。

陥落後

勢いに乗った連邦軍はア・バオア・クー方面へ敗走するジオン軍を背後から襲撃するも、これは殿をつとめたアナベル・ガトー大尉（リック・ドムまたはゲルググ）による迎撃でジム隊が全滅すると言う悲劇に見舞われる。
また、ドロワも他部隊とともに撤退を開始していたが、その鈍足さゆえに遅れ図らずも殿を務める形となった。しかしこれが結果的に逃げ遅れた部隊の掩護、回収につながり結果として良い方向に働いた。

月面都市であり突撃機動軍の拠点があったグラナダ方面にも若干の部隊が流れており、この中にミネバたちザビ家の生き残りも含まれていた。

連邦軍はここを拠点として続くア・バオア・クー攻防戦（星一号作戦）に臨み、終戦まで重要拠点として機能した。

著名な作戦参加者

ジオン軍

ドズル・ザビ
 中将。宇宙攻撃軍司令でソロモン要塞の最高責任者。本戦闘で戦死。指揮ぶりには賛否両論があり、特にグラナダへの援軍要請の拒絶と司令官自らが特攻出撃したことは非難がなされることがある。ただし、前者についてはそもそもタイムテーブル上は間に合わないとする擁護もあり、オリジンでは逆にキシリアに拒否される形となっている。また、戦闘前のギレンとの通信の際に発した「戦いは数だよ兄貴！」は有名であり度々ネタにされる。
ラコック
大佐。ドズルの参謀。グラナダの第七師団への援軍要請を意見具申するがドズルに拒否される。脱出艦隊の指揮は彼が取っていたようだ。漫画作品「機動戦士Ζガンダムデイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより―」ではカラバの協力者となっており、のちにミネバと再会したとされる。
アナベル・ガトー
戦役時大尉。撤退戦時に殿をつとめて追撃してきた連邦軍のジム隊を全滅させる。この戦闘により連邦軍から「ソロモンの悪夢」の二つ名で恐れられ、そのMS戦法は逆に連邦の教育機関でのテキストにも採用されたと言う。なお、搭乗機についてはリック・ドム説とゲルググ説がある。
ヘルベルト・フォン・カスペン
詳しい戦闘の模様は描かれていないが、彼と彼が率いるカスペン戦闘大隊もソロモンでの戦闘に参加していたとされる。戦闘のさなか、ソーラー・システムによって部下の大半は戦死し、カスペン戦闘大隊は壊滅することとなった。

連邦軍

ティアンム
中将。第二連合艦隊司令。開戦からこの戦いまでを戦い抜いた歴戦の名将。ドズル・ザビの操るビグ・ザムの攻撃を受け乗艦が撃沈。本人も戦死した。
ワッケイン
 少佐。第三艦隊司令。陽動作戦ではあったが、ホワイトベース隊と共に任務を果たし戦闘を乗り切った。なお、艦隊司令としてはあまりにも低い階級であるため、議論の的になることがある。

コンペイトウ時代

戦後も連邦軍が駐留した。旧ジオン軍の設備にソロモンと言う勇ましい名前が残っていることを嫌ったのか、コンペイトウと言うやや軍事施設らしからぬ名称に変更が行われた（もっとも、形は確かにコンペイトウではあるが）。0083年、連邦軍はその威信を全市民とジオン残党を中心にした反乱分子に示すため、新型戦艦であるバーミンガムを擁した大規模観艦式を挙行。しかし、これに参加した艦隊はデラーズ・フリート所属のアナベル・ガトーによるGP02による核攻撃により壊滅。デラーズ紛争の本格的な幕開けを飾った。

核攻撃はコンペイトウそのものには被害を与えなかったようで、デラーズ紛争終結後に結成されたティターンズに接収されそのMS 開発計画の現場となった。ティターンズ壊滅後は再び連邦の管轄に戻り、第一次ネオ・ジオン抗争や0120年代を描いた作品にも名前だけは登場している。

その他

名称の由来は古代イスラエルの王、ソロモン王から。または太平洋戦争の激戦地ソロモン諸島から。
作戦名のチェンバロとはピアノに似た鍵盤楽器であるが、何故この作戦名なのかは疑問とされ議論がなされている（レビルがチェンバロの音を合図に進軍せよと発言したためと言う説がある）。

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