基本データ | |
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正式名称 | ブルガリア共和国 Republic of Bulgaria Република България |
国旗 | |
国歌 | 愛しき祖国 |
国花 | バラ |
公用語 | ブルガリア語 |
首都 | ソフィア |
面積 | 110,910km²(世界第102位) |
人口 | 7,545,000人(世界第92位) |
通貨 | レフ(BGL) |
ブルガリア(英:Bulgaria)とは、ヨーロッパ東南の国家。
バルカン半島に位置し、国連においては東ヨーロッパに
分類される共和制国家である。
概要
正式名称はブルガリア共和国
(ブルガリア語:Република България)。
漢字では勃牙利と書き、勃または勃国とも表記されるが、
別にそういう意味はない。
もちろん間違いではないが、実際は様々なバラやハーブを産出
する国であり、華やかな国である。
人口の8割以上はブルガリア人で、ほかトルコ人や北インド経由の
ロマ人が1割未満ながら存在する。国民の84%はキリスト教徒で、
うちほとんどがブルガリア正教(正教会)の信徒である。そのほかはロシア正教(正教会)やカトリック、プロテスタントなど。一方で国民の12.2%はイスラム教を信仰し、残りはユダヤ教などを信仰しているようだ。
国土の3分の1は山岳地帯が占め、国土の中央はバルカン山脈とスレドナ・ゴラ山脈が東西に走る。またそれらの山脈に挟まれた「バラの谷」なる一帯があり、ブルガリアを世界有数のバラ産出国たらしめている。香水に使われるローズオイルも多くはここで生産され、5~6月には数々の色のバラが咲き誇り、谷の中央の町では祭りが催される。
経済規模は日本の青森県と同じくらい。これにはソ連の崩壊が大きく関与し、また高い失業率と低い生活基準も影響していると思われる。2007年にEUへ加盟したが、当時はEU最貧国ということもあって、国力はいまだに不安定である。
歴史
古くはトラキア人が居住した地域である。紀元前4世紀にアレクサンドロス3世により征服されギリシア化されるが、紀元前1世紀にはローマ帝国の属州となった。ローマ帝国の東西分割以後は東ローマ帝国に属した。
「ブルガリア」という名が大々的に歴史に登場するのは7世紀後半のことである。
弱体化した東ローマ帝国の隙をついて、スラヴ人がバルカン半島に移住していった。さらにそこへトルコ(テュルク)系のブルガール人が加わり、バルカン半島をみるみる制圧していく。そのような背景の下、少数のブルガール人が大多数のスラブ人を支配する、第一次ブルガリア帝国が成立したのである。ときに681年のことだった。
支配階級のトルコ系ブルガール人は、しだいに多数のスラヴ人と混血・同化していった。こうして現代のブルガリア人が形成されたのである。
- 681年 第一次ブルガリア帝国が成立
- 1187年 第二次ブルガリア帝国が成立
- 1242年 モンゴル襲来
- 1393年 オスマン帝国により第二次ブルガリア帝国が滅亡
- 1878年 オスマン帝国から半独立(大ブルガリア公国)
- 1908年 独立宣言
- 1909年 ブルガリア王国として独立
みごと独立に成功したブルガリア王国は、その後二度のバルカン戦争を経験し、その領土的野心から国際的に孤立する。また、二度の世界大戦においては両方ともドイツ側で参戦し、二度の敗戦や降伏を経験した。くわえて1944年、ソ連の侵攻を受けその圧力に屈し、ソ連(連合国側)へと寝返りその傀儡国家となる有様であった。
かくしてブルガリア王国は崩壊し、以後はソ連の衛星国家にして共産主義・共和制の「ブルガリア人民共和国」に。中期まではソ連に対する厚い忠誠心を見せた人民共和国だが、最終的には腐敗し、それをきっかけに共産主義もろとも打倒された。こうして現在のブルガリア共和国が成立したのである。
2007年には欧州連合に加盟。しかし、欧州最貧国であったことや、知識階級や労働者が富を求めて他の欧州諸国(特に西欧)へ流出する問題があり、脆弱な経済基盤もあって、依然として芳しくない状況に置かれている。
政治
特徴的なのは大統領が持つ権限で、行政権はおろか軍の指揮権さえ有している。また大統領は国家安全諮問会議の議長も兼ね、議会で可決された法案を再審議する権利をもつが、一方で議会は多数の合意により大統領の再審議を取り消せる。そのほか大統領は二期まで再選が可能である。
なお大統領が指揮できる軍隊だが、構成は陸海空からなる。これもまた議会により配備される。余談だが、参謀本部や直轄部隊のみならブルガリア軍、それ以外も含めるのならブルガリア共和国軍と称するみたいだ。
文化
ブルガリアでは「はい」で首を横に振り、「いいえ」で首を縦に振る。この風習を知らずして旅行、とくにホームステイをするとなると、かなり面倒なことになるだろう。近年ブルガリア政府はこの習慣を(海外へ合わせる形で)直そうと努力しているらしいが……。
食文化としては、冒頭に述べた通りヨーグルトが非常に有名である。日本では馴染みが薄いが、周囲の山脈からとれる綺麗な水と、牛乳・チーズ・バターなどの乳製品からなるブルガリア料理という立派な食文化も一応ある。全体的に、長年のオスマン帝国による支配からかトルコ料理の影響が濃く、ギリシャの影響もそこそこ見られる。そのほかハーブティーが充実しており、なかなか優雅な食文化を持つ。
ブルガリアの民俗音楽
ブルガリアは音楽でも有名である。
ブルガリア音楽の特徴は大きく3つ。一つ目は、非西欧的な女声合唱である。独特のハーモニー、ポリフォニーや不協和音などに特徴があり、フィリップ・クー テフ率いるいくつかの女声合唱団は世界的に有名で、伝統音楽を国際的に世に知らしめている。日本でブルガリア音楽と聞いてまずイメージさるのはまずこれで ある。
二つ目は、11拍子や25拍子などの複雑なリズムである。このような変拍子はバルカン半島に広く見られるが、特にブルガリアの複雑で多様なリズムの音楽が ブルガリアのフォーク・ダンス音楽として知られている。つまり、ブルガリア人はこの拍子で踊る。この複雑な変拍子にのって踊ることは一見難しそうだが、2 拍のクイック・ステップと3拍のスロー・ステップの組み合わせと考えることができるとノれるようになるはずだ(e.g. Gankino horo/ 2+2+3+2+2=11, Krivo plovdivsko horo/ 2+2+2+3+2+2=13).拍子のとりやすそうな8拍子や9拍子も 3+3+2=8 や 2+2+2+3=9 の形になっていることがある。
三つ目は、ロマ(ジプシー)の音楽である。ロマは冠婚葬祭や酒場の楽団として、バルカン半島南部の音楽文化の重要な位置を占めていた。チョチェクやジプシー・ブラスと呼ばれるものがそれである。また現代ではブルガリアのポピュラーフォーク音楽の源流として重要度が高い。
ブルガリアの民俗楽器としては、ヤギの皮で作られたバグパイプ「ガイダ」が代表的。ほか、手で叩く太鼓「タラブカ」や羊飼いの尺八「カヴァル」、擦弦楽器「ガドゥルカ」がある。全体的に打楽器や弦楽器が多い。
ブルガリアでは1950年代から民俗音楽の採録整理がされるようになった。初期の録音物や前述のクーテフによる諸楽団の設立はこの頃からのものである。
それらの録音研究の成果は、60年代に Don Ellis の "33 222 1 222" や Area の "Luglio, agosto, settembre (nero)" などバルカン外のフリージャズやロックの世界へ影響を与えた。
ワールド・ミュージックとして広く世界に知られるようになるのは "Le Mystère des Voix Bulgares", (1975) の1986年の再発が英米で紹介されて以降で、現在では女声合唱ものを中心に日本でもCM音楽などとして知られている。
女声合唱以外では、バルカンのリズムをフィーチャーしたものとしては、ニコニコ動画内においては Farmers Market が、ロマ音楽の系統としては、ロマのスタイルでブルガリア音楽を演奏する Ivo Papasov が知られている。
ブルガリアのスポーツ
人気スポーツといえばサッカーである。90年代にFCバルセロナの主力として活躍し、バロンドールも受賞したストイチコフは、今も英雄的扱いを受けている。ストイチコフをはじめJリーグでプレーしたブルガリア人もおり、中でもストヤノフは引退後も日本で暮らしている。逆に日本からは松井大輔らがブルガリアリーグを経験している。他に球技ではバレーボールの強豪国として知られ、男女ともにオリンピックでメダルを獲得したことがある。
個人競技としては、他の東欧諸国の例に漏れずレスリング、体操などの選手が多い。大相撲の二人のブルガリア人関取、琴欧洲と碧山はともに元レスリング選手である。踊りの文化があるためか新体操も人気が高く、近年の高難度化への対応に後れをとったきらいはあるものの、美麗な演技で知られている。
寒冷な気候と山がちな国土から、ウィンタースポーツも盛んである。
現ブルガリアオリンピック委員会会長であるステフカ・コスタディノヴァは元陸上選手で、女子走り高跳びの世界記録(2m09)を30年近くにわたり保持している。ただ80年代の共産圏から生まれた記録ということで、ドーピングの疑いをもって見られることもある(近い記録は近年でも出ているので、一部のトラック競技のようなアンタッチャブルレコードというわけではない)。
著名なブルガリア人
やはりといえば失礼だが、日本での知名度が低い人物がほとんどと思われる。
- 琴欧洲(本名:カロヤン・ステファノフ・マハリャノフ) - 琴欧洲勝紀。元大相撲力士。2014年に日本国籍を取得。
- エリアス・カネッティ - ユダヤ系の作家、思想家。
- カテリナ・マレーバ - 女子プロテニス選手
- クリスト - 美術家
- シメオン1世 - 第一次ブルガリア帝国の皇帝。帝国に最盛期をもたらし、バルカン半島の大半をその勢力下においた。
- シメオン・サクスコブルクゴツキ - シメオン2世。ブルガリア王国最後の王にしてブルガリア共和国の首相。
- ジュリア・クリステヴァ - ユダヤ系の文学理論家で哲学者
- パンチョ・ヴラディゲロフ - 作曲家、ピアニスト。
- フリスト・ストイチコフ - 元サッカー選手&監督
- ボリス3世 - 第2次世界大戦時のブルガリア王国国王。
- マクシム - ブルガリア正教会の首座主教
関連動画
関連項目
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