名将言行録とは、館林藩士・岡谷繁実によって1854年(安政元年)から1869年(明治2年)までの15年をかけて書かれた書物である。
概要
本のタイトルを読んで字のごとく、幕末から維新期にかけて岡谷繁実が、戦国から江戸時代にかけての人物192名(そのうち14名は「補遺」扱い)についての事績をまとめた全70巻+αの冊子である。
とはいうもののその内容は多くが江戸時代に書かれた軍記物語や講談をタネとしており、要するに名将言行録が書かれた当時の、言ってしまえば今でいうニコニコ大百科やピクシブ百科事典に記された「二次創作上の主な扱い」そのものである。
とはいうものの、維新後に書かれた多くの歴史小説がこの書物から武将たちの逸話を引用しており、要するに今でいう同人誌を書くにあたって抑えておいた方がいいネタのテンプレとして機能していた。そのため、はっきり言って信憑性には乏しく、史料とはとてもじゃないがいえない存在ではあるのだが、近現代において武将のイメージ造形に大いに役割を果たすこととなったのである。
なお戦後もたびたび原本、現代語訳ともに出版されているが、現在新品で手に入る講談社学術文庫版は一部人物を抜粋した教育社新書版の抄訳を一冊にまとめたもの、PHP研究所版も全員に触れてはいるものの同じく抄訳である。2016年に大空社から「完本 名将言行録」が出版されているが、これは全編を含むものの、明治時代に文成社から出版された書の復刻版である。全編を現代語訳した版は現時点では存在しないようだ。
なお、国立国会図書館の「国立国会図書館デジタルコレクション」では大空社の「完本 名将言行録」の復刻元の原本である文成社版や昭和18年-19年に出版された岩波文庫版など複数の古い版がスキャン画像として公開されており、「現代語訳」「紙の本」といった点に拘りがないならば無料で全文読める(本記事下部の「関連リンク」参照)。
掲載されている人物一覧
掲載順に4列化している。今では使われない呼び名の武将もおり、該当武将の記事がニコニコ大百科内に作成されていても自動リンクが機能しない可能性がある。一部の武将では、より一般的な呼び名を併記した。
補遺
関連リンク
- 名将言行録|書誌詳細|国立国会図書館オンライン(明治2年、玉山堂)
- 名将言行録|書誌詳細|国立国会図書館オンライン(明治28-29年、牧野書房)
- 名将言行録|書誌詳細|国立国会図書館オンライン(明治42年第4版、文成社)
- 名将言行録(岩波文庫 ; 3229-3252)|書誌詳細|国立国会図書館オンライン(昭和18-19年、岩波書店)
※国立国会図書館オンラインでは以上の他にも多数の版が公開されている。
関連項目
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