暗黒メガコーポとは、極悪大企業のことである。
「暗黒メガコーポ」という言葉自体は小説「ニンジャスレイヤー」シリーズの専門用語(忍殺語)であるが、同様の企業は多くの創作に登場しているので、まとめて紹介する。補足すると一般用語としては「メガコーポレーション」やその略称「メガコーポ」「メガコープ」が使われるようだ。Wikipediaでは「悪の企業(Evil corporation)」の名前で記事が作られているが、それとは別に「巨大企業(Megacorporation)」の記事もある。
概要
自社の利益のためなら法や倫理を平然と無視し、かつ政治や公権力に多大な影響力を持つ大企業を指す。社員に過酷な労働環境を強いるブラック企業とはやや異なる意味合いを持つ。おおむね、
- 承知の上で公害を引き起こし周辺住民や環境に大きな健康的被害をもたらす
- 強引な土地開発
- 危険と分かってるものを販売する
- マッチポンプ、殺人、人体実験などを行う
- 悪評を跳ね返す政治的権力
- 社内治安維持や対外的武力鎮圧のための私設軍隊を持っている
等々の悪行を行っていることが多い。
ただ、外向きですらソレな企業の社員の扱いは推して知るべし。人が死ぬレベルの社内派閥抗争や、社員を使った人体実験を行う企業も少なくない。
これらのうちいくつかは、バブル経済期の日本から発想を得ている。当時の日本は海外の資産を買い漁り、東京の地価だけでアメリカ全土の地価を超え、アメリカを追い越すのは時間の問題だと言われていた。日本製品が海外へ輸出され、日本企業が海外進出していく様を見て、世界は日本企業に支配されるのではないかという危機感が国家より権力を持つ企業というアイデアに繋がったという。
ニンジャスレイヤーの暗黒メガコーポ
エンペラーを失って久しいカスミガセキ皇居ビルの666階で、秘密会議が行われている。参加者の大半はソウカイヤ……日本経済界を裏で取り仕切る秘密結社の連中だ。彼らと癒着する暗黒メガコーポ各社の幹部たちも、この談合に参加している。ヨロシサン製薬やオムラ・インダストリなどがその筆頭だ。
「国家より巨大な権力を持つ企業群が支配する近未来」という世界観の都合上、登場する殆どの企業が暗黒メガコーポの要素を持つが、「オムラ・インダストリ」と「ヨロシサン製薬」がその筆頭であろう。どちらも兵力としてニンジャを複数擁し、金と暴力と権力でネオサイタマを牛耳っている。
第4部では世界中で国家が崩壊して暗黒メガコーポが堂々と支配し、自ら貨幣を発行している。そして企業同士が戦争をして街や遺跡を瓦礫にしても経済圏拡張を求める戦国時代になっており、自社の株価の下落を除けば何も恐れていないようなものである。そんな世界でどうやって株取引をしているんだ。なお設定上ではアメリカではNASAやペンタゴンが、ネオサイタマでは日本の準軍隊だった湾岸警備隊が暗黒メガコーポとして独立している。
オムラ・インダストリ
主にロボット・兵器等を生産している。作中では立ち退きさせるためロボ・ニンジャを開発し貧民ごと踏み潰す、立ち退きさせた住民たちを「プロジェクト」と呼ばれる収容所に強制収容し過酷な労働をさせるなど、横暴な悪事には枚挙に暇がない。
一方で凶悪な性能を持ちながら頭脳がポンコツなロボ・ニンジャシリーズや、大艦巨砲主義を地で行くロマン兵器の数々などは一部の読者から熱狂的な支持を得ている。
ヨロシサン製薬
製薬・バイオ技術分野を支配する巨大企業。キャッチコピーは「ビョウキ、トシヨリ、ヨロシサン」。創業は江戸37年。
代表製品の「バリキドリンク」は労働者に広く愛飲されている栄養ドリンクだが、麻薬成分が混入されておりオーバードーズすると依存性を発揮する。
しかしこんなのはまだ可愛い方で、バイオ兵器である「クローンヤクザ」を製造し大企業等に販売する、合法・違法ドラッグを裏社会で平然と流通させる、果ては「インフルエンザワクチンを販売するためにインフルエンザウイルスを散布する」といったマッチポンプまで行っている。
しかし安全性やセキュリティは杜撰であり、作中ではしばしばプラントが爆発したり、製造していたバイオ生物が脱走したりしている。
他作品の暗黒メガコーポ
オムニ・コンシューマ・プロダクツ(ロボコップシリーズ)
OCP、オムニ社などと呼ばれる。
ロボット並びにサイボーグ、兵器開発製造を行っている。本社はデトロイトにあり、民営化された警察をはじめ、デトロイト全体を支配している。
殉職した警官を勝手にサイボーグにして利用したり(ロボコップ)、副社長がギャングと結託して犯罪行為に手を染めていたり、社長たちがデトロイト市の市長を暗殺しようとしたり、ロボコップ2号機のベースに元麻薬王の凶悪犯罪者を利用した挙句その2号機が市民相手に大暴れするなどの不祥事を起こしている。
ニンジャスレイヤーの「オムラ・インダストリ」は、オムニ社をモデルにしていると思われる。
ウェイランド・ユタニ・コーポレーション(エイリアンシリーズ)
兵器開発製造や宇宙開拓事業を行っている。モットーは「Building Better Worlds」(より良い世界を作ろう)であるが実際は真逆のことを裏で行っている暗黒メガコーポである。
凶悪な生物兵器(エイリアン)の捕獲と研究を最優先する(利益度外視)、そのために社員や民間人、管轄の異なる植民地海兵隊の命を犠牲にすることには全く拘らない。
アンブレラ(バイオハザードシリーズ)
表向きは製薬会社であるが、その裏ではウィルスを用いた生物兵器の開発や、非道な人体実験を繰り返していた。
独自の特殊部隊や社内治安部隊、更には独自の武器開発部門も有しており、とても一企業とは思えない軍事力も保有。
社内風紀や社員待遇は最悪レベルで、社員(創業メンバーや幹部級すらも)を使って人体実験を行ったり、派閥抗争による殺人沙汰は当たり前とかなり末期的とも言える。
この社内抗争の果てにシリーズ名の通りバイオハザード(アウトブレイク)を数回にわたって引き起こした。
神羅カンパニー(ファイナルファンタジーⅦ)
元は兵器製造企業であったが惑星の生命エネルギーである「魔晄」を用いた発電事業でのし上がり、作中の時代には世界的な政治権力を有するに至った世界的企業。
惑星の生命エネルギーを発電に使用するだけでなく各地で勢力圏を広めるための戦争を繰り広げ、また度重なる人体実験、事故隠蔽のための村落焼き討ち、逆に不祥事隠蔽のための村落再建など、やってることもやはり世界級。
世界の危機に際して事実上消滅したが、深い闇が作った幾つかの禍根は後の時代まで延々と残った。
メガコーポ(シャドウラン)
国際法として武装と治外法権が認められている企業群。メガコーポの勢力圏では国家の法律よりも社則が優先される。例えば法で制限されている銃器であっても、社則にて所持が認められているのであれば所持できる。
シャフト・エンタープライズ(機動警察パトレイバー)
全世界で展開している多国籍企業として描かれる。私設軍隊『シャフト・セキュリティー・システム』(表向きは警備会社)を擁し、日本支社には裏工作専門セクション『企画7課』を持つ。また兵器用レイバーの密輸や人身売買組織とつながりを持つなど企業というより悪の組織に近い。
何よりすごいのは会社の会議で堂々と『警察用レイバーを破壊してプログラムディスクを強奪し自社製レイバーに反映しましょう』と決まってしまう点であろう。
アパチャー・サイエンス(Portalシリーズ)
「空間を繋ぐ」特殊な銃、ポータルガンの性能試験のために人体実験を繰り返している(主人公はその被験者の一人である)。
モットーは"We do what we must because we can"(できるなら、やらねばならない)で、その姿勢は暗黒メガコーポというよりはマッドサイエンティストに近い。
ユーコン財団(ファイブスター物語)
「暇な貴族や王などの上流階級が惑星間戦争をしている」というアレな設定のファイブスター物語にも企業は出てくる。
ユーコン財団はこの世界特有の麻薬、ダイバーアシッドを物語世界であるジョーカー太陽星団に流通させ大儲けしており、本拠地周辺の小国家を買収同盟を結ばせ事実上国家運営をするところまで来ている。その後この国家連合はこの世界の悪役国家、バッハトマ魔法帝国に吸収されたがユーコン財団はバッハトマの中核企業としてダイバーアシッドや人工血液、生体部品で国家運営に寄与しているという。
余談だがユーコン財団のボスはビューティー・ペールという人物なのだが、どうもこの人、先史文明『超帝国』で人体実験しまくった科学省の末裔の疑いがある。
ドーマ連合(ファイブスター物語)
ファイブスター物語からもう一つ。このドーマ連合は星一個丸ごと鉱山という惑星、カーマントーの鉱山採掘及び精錬企業の連合体で独自の軍事力を持つ国家同然の連中である。こいつら、宇宙海賊に民間船を襲わせたり戦争のどさくさで避難民をかっさらって労働力、事実上の奴隷として鉱山や工場で働かせている。あまりの外道ぶりでこの世界でも有名なのだが、この世界の決戦兵器であるロボット、GTMの主材料である物質をほぼ独占的に産出・精製・販売をしているので誰も文句が言えないという状態である。
なお、2023年連載時点でまもなく主人公サイドの国家、A.K.Dなど主要国によるおしおきが始まることが確定している。
ユニオン・エアロスペース・コーポレーション(Doomシリーズ)
関連動画
関連項目
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