概要
|
JR貨物とは、JRグループに属する日本の鉄道事業者(貨物鉄道)の一つである。1987年の国鉄分割民営化により発足した。
経営安定基金なしで黒字運営できている。貨物列車専用の僅かな支線を除き、自社で線路は殆ど所有していない。
そのため、殆どの場合はJR東日本など他の会社の路線を線路利用料を払うことで貨物列車を運行している。日本「貨物」鉄道なだけに、自社で運行する列車は貨物列車しか存在しない。
現時点では独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が全ての株式を保有しており、事実上の公有民営会社である。なお、2016年10月28日には2018年度に経常利益100億を達成した上で、株式上場を目指していると発表している。
特徴
- 旅客鉄道会社への使用料は「アボイダブルコスト」によって決められている。 経営の厳しいJR貨物はアボイダブル=コスト=ルールという方式で在来線を保有するJRに線路使用料を払っている。
これは、貨物列車が走ったことによって生じる最低限の経費だけが線路使用料にカウントされるものであり懐の厳しい貨物の為の特例措置だが、原則としてJRにしか適用されていない。
その為、新幹線の開業により第三セクター化する場合、線路保守の費用にも苦労する並行在来線を運用する第三セクター会社が順当な本来の費用を求めることとなりもめることが多い。 - 長らく、JR各社の中で唯一「電車」を持たない会社であったが、2004年に世界初の営業用貨物電車である「M250系」を導入した。但し「貨物電車」なので、乗客を乗せることは出来ない。
- JR貨物独自のロゴとして「JRFロゴ」が存在し、機関車やコンテナなどに貼り付けられている。
- 社歌は「春夏秋冬」。2006年、JR貨物設立20周年目を記念して作られた。
ちなみに社歌の歌詞はJR貨物の社員が作詞したものである。
CD版では「新選組!」「真田丸」などで知られる俳優の山本耕史が何故か歌っている。(作曲の服部隆之繋がりか?) - 東北地方太平洋沖地震の被災地から東京への瓦礫の運搬はJR貨物が主に担当している。
これは阪神淡路大震災以降、JR貨物が地道に育てている業務でありJR貨物自身が静脈物流と呼称している。建設土砂から医療系廃棄物、リサイクル廃材まで幅広く取り扱っており、川崎市などでは川崎北部地区から発生する普通ごみや粗大ゴミ、資源ごみ等の一部を専用のコンテナ「クリーン川崎号」で運搬している。熊本地震で発生した災害の廃棄物も川崎まで輸送して処分している。廃棄物の運送は多少時間がかかっても良い側面があると同時に、運搬量があるためJR貨物に向いている業務といえる。 - 2006年から「TOYOTA LONG PASS EXPRESS」を運行している。これは中京圏で製造した部品をトヨタ自動車東日本岩手工場のある岩手まで運ぶものである。2016年3月からは2往復となる。
- 2012年、31フィートウイングコンテナを作成した。これは10トントラックの容積、積載重量をもつ大きさであるため、今後数が増していくと思われている。現時点では製作した25個がほぼフル稼働している。大人気のため35個追加で作成し平成26年1月から使用している。2015年7月15日には40個、2016年9月14日にさらに40個増備、これで140個となった。
- 2014年現在、企業物流の貨物鉄道の利用が少しずつではあるが増えている。これは長距離トラックのドライバーが慢性的に不足していることと景気の動向変化にともない荷数が増えてことにより、増分を貨物が引き受ける形となっているためである。
- 2015年9月16日、インド貨物の専用鉄道運営・維持管理支援プロジェクトを日本工営と共同で受託。期間は一年間
- 2015年11月26日から「イオン・サッポロ」専用列車を運行する。長野市の北長野駅と東京都荒川区の隅田川駅のあいだに、運転日を決めて定期的に運行する。
- 2017年からアサヒビールとキリンビールがビール系飲料の共同輸送を始める。両社の製品を同じ貨物列車に混載して北陸地方の駅に輸送する。
- 豊田通商と組んでタイの鉄道貨物輸送事業に挑戦する。タイ国鉄と事業化に向けた調査実施で合意、バンコク・カンボジア国境とレムチャバン港の間の路線470キロを活用し事業化の調査をした。その結果を受けて平成28年度中に豊田通商、JR貨物、タイ国鉄の共同出資で事業会社を設立する。
- 2017年1月19日、アサヒビールとキリンビールが共同で貨物列車による配送を始めた。大阪府吹田市にてアサヒビールの荷を積んで出発し北陸地方の金沢まで共同で運送する。
- 西濃運輸が長距離のトラック定期便をJR貨物の鉄道輸送に切り替えている。
- 2017年5月8日、福山通運が「福山レールエクスプレス号」の運行を開始、名古屋貨物ターミナル駅と福岡貨物ターミナル駅、北九州貨物ターミナル駅間を運航する。
- 鉄道事業が2017年3月期に黒字化した。
- サッポロ、キリン、アサヒ、サントリーのビール大手4社が共同で札幌貨物ターミナル駅から釧路貨物駅まで貨物列車にて輸送する。
- 2024年9月11日に車両検査でデータ改ざんがあった影響でJR貨物の全ての貨物列車を停止させ、確認を行うことになった。検査が完了次第順次運行を再開する模様だが物流への大きな影響が予想される。
PRANETS
JR貨物の独自に運用する運転支援システム。以下の機能を提供している。
- 運転士支援機能
- モニター画面の表示と音声によって、運転士に徐行区間予告や制限速度注意喚起等をする。
- 列車位置情報把握機能
- 列車の位置情報等を収集し、列車位置情報提供システムに位置情報、遅れ時分等の提供をする。
システムとしてGPS(準天頂衛星システム)による測位と通信事業者ネットワークを介した情報のやり取りを基本としている。次回のシステム更新で、端末OS更新、端末更新と簡素化、機関車位置発信の二重化、運転支援データのダウンロードの実装、列車番号補完入力などへの対応などが予定されている。
支社
支社ごとに管轄範囲と支店・営業所、第一種鉄道事業路線及び車両基地を記載
第一種鉄道事業路線のほかにもJR旅客会社や第3セクターの鉄道路線を第二種鉄道事業路線として利用している
北海道支社
旅客会社ではJR北海道に当たる
道央(札幌)・道東(帯広)・道北(旭川)支店と釧路・北見・苫小牧・函館営業所がある
第一種鉄道事業路線
現有路線現有路線なし |
廃止路線 |
車両基地
東北支社
旅客会社ではJR東日本の東北地方(盛岡・秋田・仙台支社管内)に当たる
北東北(盛岡)・南東北(仙台)支店と青森・八戸・秋田・石巻・山形・郡山営業所がある
第一種鉄道事業路線
現有路線 |
廃止路線 |
車両基地
関東支社
旅客会社ではJR東日本の関東甲信越地方と伊豆地方の一部(水戸・高崎・千葉・大宮・東京・八王子・横浜・長野・新潟支社管内)に当たる
新潟・北関東(新座)・北東京(荒川)・南東京(品川)支店と長岡・宇都宮・高崎・熊谷・越谷・水戸・土浦・千葉・神奈川・長野・松本営業所がある
第一種鉄道事業路線
現有路線 |
廃止路線 |
車両基地
東海支社
旅客会社ではJR東海に当たる
静岡・中京(名古屋)支店と富士・宇都宮・浜松・岐阜・四日市営業所がある
第一種鉄道事業路線
現有路線 |
廃止路線 |
車両基地
関西支社
金沢・近畿(大阪)・岡山・四国(高松)・広島支店と富山・高岡・福井・京都・神戸・姫路・米子・福山・松山・大竹・山口・宇部・下関営業所がある
第一種鉄道事業路線
現有路線 |
廃止路線 |
車両基地
九州支社
旅客会社ではJR九州に当たる
九州北部(福岡)・九州南部(熊本)支店と北九州・鳥栖・佐賀・大分・宮崎・鹿児島営業所がある
第一種鉄道事業路線
現有路線 |
廃止路線 |
車両基地
不動産事業
不動産事業は2015年10月1日より完全子会社のジェイアール貨物・不動産開発が行っている。
前身は東京貨物開発、ジェイアール貨物・不動産開発、ジェイアールエフ・パトロールズの三社。
建物管理と建物管理付帯サービスを一元的に行わせておりJR貨物の貴重な収入源となっている。
関連動画
第二種鉄道事業路線としてJR貨物が路線を借りている事業者
現有路線 |
廃止路線 |
||
JRグループ
関連項目
- 鉄道関連項目一覧
- 鉄道事業者・路線一覧
- 鉄道車両一覧
- 貨物列車
- 上下分離方式
- 鉄道建設・運輸施設整備支援機構
- 準天頂衛星システム
- 青函トンネル
- 熊本地震
- JR総研
- 「貨物列車」でタグ検索
- 並行在来線(並行在来線分離問題については新幹線も関係する)
- 東北地方太平洋沖地震
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 4
- 0pt