アスクビクターモア(Ask victor more)とは、2019年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牡馬。
通算成績12戦4勝[4-1-3-4]
| アスクビクターモア Ask victor more |
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|---|---|
| 生年月日 | 2019年4月1日 |
| 馬種 | サラブレッド |
| 性・毛色 | 牡・鹿毛 |
| 生産国 | 日本 |
| 生産者 | 社台ファーム (北海道千歳市) |
| 馬主 | 廣崎利洋HD |
| 調教師 | 田村康仁(美浦) |
| 馬名意味 | 冠名+「勝者」+ 共同所有馬用冠名 |
| 戦績 | 12戦4勝[4-1-3-4] |
| 獲得賞金 | 3億4527万5000円 |
| 競走馬テンプレート | |
父ディープインパクト、母カルティカ、母父Rainbow Questという血統。
父は説明不要の無敗三冠馬にして、目下10年連続でリーディングサイアーを獲得する大種牡馬。本馬はその11年目の産駒にあたる。なお、ディープインパクトの最終世代である12年目産駒は競走馬として登録されたのが日本6頭・海外6頭のみのため、まとまった数の産駒がいる世代としては実質最後になる。
母は未出走馬だが繁殖牝馬としては本馬の半姉としてコロネーションSとロートシルト賞を勝ったQemah(2013年産)を産んでおり、母の半妹の産駒にもフィリーズマイルを勝ったPretty Gorgeousがいる。その他同牝系である程度近い中だと日本の馬ではケイエスミラクル、海外であればGame on Dude、100年以上遡るとアグネスレディーとその子孫(アグネスフローラ・アグネスフライト・アグネスタキオン)やリスグラシュー、デアリングタクトも同じ牝系である。アスクビクターモアは3番仔にあたる。
母父は繰り上げながら凱旋門賞を制した馬。日本ではサクラローレルの父として有名であろう。
2019年4月1日に千歳市の社台ファームで誕生。翌年のセレクトセールでコンサルティング会社社長の廣崎利洋(主な所有馬に2015・16年ヴィクトリアマイル連覇のストレイトガール、2015年桜花賞馬のレッツゴードンキなど。近年はアスクの冠名を用いる)に1憶8700万円で落札され、社台ファーム代表の吉田照哉と共同所有する形となった。
美浦の田村康仁厩舎に入厩し順調に成長したアスクビクターモアは、2021/6/26の新馬戦(東京・芝1800m)にて鞍上に戸崎圭太を迎えてデビューする。1.9倍の圧倒的な支持を受けレースでは先行策をとったが、5番人気のアサヒとの叩きあいに敗れその2頭を外からまとめて交わしていった3番人気ジオグリフの3着に敗れた。
夏休みを挟んでの次走、9/20の2歳未勝利戦(中山・芝1800m)では再戦となったアサヒ(2.1倍)とさほど差のない2番人気(2.3倍)であったが、レースでは並ばせず押し切って初勝利をあげた。
3戦目は10/23のアイビーステークス(L・東京・芝1800m)。ここ2戦の内容の良さから1番人気に推されるも馬群を抜けるのに手間取っているうちに2番人気のドウデュースに置いて行かれ、必死に追いすがるも3着。
2021年はこれで終了。3戦1勝だが敗れた2戦も内容はよく、なによりレースの1着が片や朝日杯FSを制してGI馬、片や札幌2歳Sを勝利してGIII馬になったように相手強かったということでもあり、才能と共に詰めの甘さも感じる2歳戦であった。
明けて早々、1月5日の1勝クラス(中山芝2000m)では鞍上は戸崎騎手から田辺裕信へ乗り替わりとなった。1.9倍の1番人気に推され、レースでは2番人気レヴァンジルとの叩きあいをクビ差制して2勝目を挙げる。
次走は弥生賞とスプリングステークスの両にらみとなったが、距離が長いほうが良さげと判断され弥生賞ディープインパクト記念(GII)に赴く。
ここにはアイビーステークスで後塵を拝したドウデュースも歩を進めており、無敗で朝日杯フューチュリティステークスを制し主戦の武豊には初の朝日杯勝利を、馬主のキーファーズには初のGI勝利をもたらしたことで当然の1番人気(2.2倍)。しかしアスクビクターモアもドウデュース相手に対抗できると判断されたか、3番人気(6.7倍)に推された。
レース本番。ビクターモアは大外から先頭集団に取り付いて2番手につけ、初の2000mであるドウデュースはその後方4、5番手に控える。最終直線、アスクビクターモアがいつも通り先頭に立つ中ドウデュースは仕掛けを待ったことで馬群に包まれて抜け出しが遅れており、その後追い込み始めるも脚色の落ちないアスクビクターモアには届かずクビ差抑えきって初重賞制覇となった。ちなみにここまで中山で3戦3勝、完全なる中山巧者である。
優先出走権も確保し臨むは皐月賞(GI)。1番人気ドウデュースが3.9倍つく混戦模様の中、ビクターモアは前走の勝利とここまでの中山巧者っぷりもあってか6番人気とはいえ9.9倍に推される。
レースはというと、逃げを打つと目されたデシエルト(若葉ステークス勝馬)がまさかの出遅れ。ビクターモアは2枠2番と内枠であったこともあり、2番手まで押し上げてきたデシエルトにつつかれながら逃げを打つ形になる。レースは1000m60秒2と平均ペースでドウデュース以外の有力馬は前目につける苦しい展開。直線入ってからもしばらく粘ったものの、外から襲い掛かってきたジオグリフとイクイノックスにはちぎられ、さらに後方から飛んできたドウデュースと内を突いたダノンベルーガにも差されての5着に終わる。
とはいえドウデュースからはクビ-クビ差、オニャンコポン(京成杯勝馬)は抑えきって掲示板を確保したのは紛れもなくアスクビクターモアの実力の賜物であった。
東京優駿(GI)ではまたしても2枠3番の内枠。ここまでの府中戦績が2戦0勝ということもあり、人気はガクッと落ちて7番人気(24.7倍)。それにしても前走負かしたオニャンコポン(6番人気)以下とはどういうことだ。
レースでは今回はスタートをきっちり決めたデシエルトがハイペースで飛ばす中、それを無理に追わずいつも通りの2番手につける。そのまま1000m58秒9のハイペースを前受けして最終直線で力尽きたデシエルトを交わして先頭に立つが、流石に消耗激しく外ラチへよれまくってしまう。その後はハイペースには有利な後方待機策からの大外一気を選んだドウデュース(地味にビクターモアのよれで邪魔をされている)とイクイノックスにあっという間に交わされてしまい、更に内からは1番人気ダノンベルーガの強襲を受ける。しかしビクターモアは最後の力を振り絞りダノンベルーガをクビ差抑えきっての3着。敗れはしたが"強い"内容の3着であり、3連単は15,770円とそこそこついた。
夏は放牧で休養し、秋は得意の中山・セントライト記念(GII)から始動。先行策から直線入口先頭、といういつものパターンにもちこんだがビクターモアを徹底マークしていたガイアフォースに並びかけられる。ここでも一歩も引かない根性を見せたが、最後はアタマ差の2着に敗れた。
次走は本番の菊花賞(GI)へ、この年は京都競馬場の改装工事の影響で阪神競馬場開催である。皐月賞馬ジオグリフが秋天、ダービー馬ドウデュースが凱旋門賞へ赴き前年度に続いて春クラシック勝馬2頭が不在のレース。皐月賞・ダービー2着のイクイノックスも秋天へ向かったので春二冠の連帯馬が1頭もいないという混戦メンバーとなり、ビクターモアは上がり馬ガイアフォースに次ぐ2番人気に支持された。
本番は外目の7枠14番から好発進。内からセイウンハーデスがロケットスタートを切っていったので先に行かせ、やや離れた2番手につけるいつものパターンに入る。しかしダービーのデシエルトよろしくセイウンハーデスは1000m58秒7という超ハイペースで飛ばし、ビクターモアはこれを追いかけつつ後ろから複数の馬につつかれるという決して楽ではない競馬を強いられる。
3角でセイウンハーデスが力尽き鞍上の田辺騎手がそれを早々にかわして4角手前で先頭に立つ積極策に出ると、アスクビクターモアはそのままギアを上げ崩れていく他の先行馬を置き去りにして後続17頭を引き連れ直線に入った。一時は4馬身近いリードを取ったもののハイペース先行及び早め先頭の分もあってゴール前で脚が鈍り始め、そこへ中団後方で待機していたボルドグフーシュとジャスティンパレスが併せ馬で迫った。差はみるみる縮まり、ジャスティンパレスを僅かに競り落としたボルドグフーシュに外から完全に並ばれたところでゴール板を通過。
・・・勢いは完全に外のボルドグフーシュだったが写真判定の結果、ハナ差でアスクビクターモアに軍配が上がった。王道の先行競馬でクラシックロードを駆け抜けたアスクビクターモアは最終戦にして悲願のGI勝利を遂げたのである。勝ち時計は3歳世代戦ながらナリタトップロードが21年にわたって保持していた阪神芝3000mのコースレコードを塗り替える3分2秒4。田辺騎手もロゴタイプで逃げ切った2016年安田記念以来6年ぶりのJRA・GI3勝目。インタビューでは「3分走ったので疲れました」と言いつつも笑顔をのぞかせた。また、2011年の桜花賞を勝った初年度産駒マルセリーナから始まって11世代連続でクラシックホースを輩出してきた本馬の父ディープインパクトだがこの年はここまでは勝利がなく、最終戦にして12世代連続クラシック勝利という偉業が成り父への孝行にもなった。
3歳馬には過酷とも言われた阪神競馬場の菊花賞、更にハイペースの消耗戦を番手から粘りきってレコード勝ちということで、それは正にクラシックにまつわる格言にある”最も強い馬”そのものであった。
2022年はこれにて終了。ちなみに秋の古馬GIではビクターモアと同期のイクイノックス、セリフォスが勝利しており、翌年以降の飛躍馬が多い菊花賞馬としてアスクビクターモアもハイレベルな22年クラシック世代をけん引する存在となることが期待された。
明けて4歳春。陣営は大阪杯か天皇賞(春)を見据え、最終的に後者を選択。
始動戦として選ばれたのは日経賞(GII)。先輩菊花賞馬であり昨年の春天&宝塚記念の覇者タイトルホルダーとの初対決を迎えることになったが、タイトルホルダーは秋に調子を落としていたこともあってアスクビクターモアは単勝1.6倍の一番人気に推された。
しかしレースではテンションが上がったことによる出遅れと雨の不良馬場が響き、タイトルホルダーが復活の圧勝劇を見せた後方、不完全燃焼の9着に終わる。
本番、天皇賞(春)(GI)。鞍上は田辺騎手から横山武史に乗り代わりとなった。新装なった京都競馬場で巻き返しを狙うもいまいち調子が上がらず、失速・競走中止した馬の影響も受けてしまう。昨年の菊花賞では3着に下したジャスティンパレスの後方、11着入線となってしまった。
次戦、宝塚記念(GI)も前目での競馬で挑んだが、前総崩れのレースとなりまたも11着。ちなみに勝馬はやはり同期のイクイノックスであった。
同期たちが輝かしい活躍を見せる中、アスクビクターモアは秋に備えて英気を養うべく放牧に入った。折しも日本列島は、ここ数年の気温上昇が更に酷くなり災害級の猛暑に見舞われようとしていた。
7月末に福島県で行われた相馬野馬追に参加した馬の内11頭が熱中症となり2頭が死亡したという発表から2日後の、8月9日。アスクビクターモアが熱中症による多臓器不全を発症し、8月8日に死亡したというJRAの公式発表が行われた。
JRAは2017年から暑熱対策を強化しており、実際に同年度から熱中症になった馬の頭数はほぼ横ばいである。しかしそれにも関わらず、復活を切望される現役GIウィナーが放牧中に罹患し落命したというショッキングなニュースは競馬ファンに大きな衝撃を与えた。
同年秋の古馬中距離路線では同世代のイクイノックスが春に続いて連勝、その後の有馬記念ではドウデュースが武豊を背に復活劇を演じた。またクラシックで鎬を削ったジャスティンパレス、ダノンベルーガ、ガイアフォースらもGⅠで掲示板に入る活躍を見せて彩を添えている。そこに直線で粘り込みを図るアスクビクターモアの姿を見る事は2度と叶わなかったが、彼が刻むはずだった更なる蹄跡を歩むライバル達によって、最も強い馬であった菊の勝者は語り継がれる。
| ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
| Cosmah | |||
| Wishing Well | Understanding | ||
| Mountain Flower | |||
| *ウインドインハーヘア 1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | |
| Lady Rebecca | |||
| Burghclere | Busted | ||
| Highclere | |||
| *カルティカ 2005 鹿毛 FNo.1-l |
Rainbow Quest 1981 鹿毛 |
Blushing Groom | Red God |
| Runaway Bride | |||
| I Will Follow | Herbager | ||
| Where You Lead | |||
| Cayman Sunset 1997 鹿毛 |
Night Shift | Northern Dancer | |
| Ciboulette | |||
| Robinia | Roberto | ||
| Royal Graustick |
クロス:Nearco 5×5(6.25%)、Native Dancer 5×5(6.25%)
初重賞制覇
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掲示板
307 ななしのよっしん
2025/06/16(月) 22:24:56 ID: 9P4lTm1a5H
顕彰馬で票を獲得したみたい
308 ななしのよっしん
2025/07/29(火) 18:10:12 ID: +ZgcTII+9H
猛暑が続くけどアスクビクターモアのことふと思い出しちゃった
全馬無事に猛暑乗り越えられますように…
309 ななしのよっしん
2025/08/08(金) 09:04:40 ID: ltQxc2mkTg
暑熱対策そのものは23年の時点で来年(24年)から実施って決めてたのかもしれんけど
結果的にアスクビクターモアの死が、今の夏の危険性をより明確に示して、
暑熱対策をちゃんと実行するって決断させたって意味では革命の寵児
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/06(土) 07:00
最終更新:2025/12/06(土) 07:00
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