サクソンウォリアー 単語


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サクソンウォリアー

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サクソンウォリアー(Saxon Warrior)とは、日日本生まれ愛アイルランド調教競走馬アイルランド種牡馬である。
世界衝撃をさらに大きくかせた才。名前イングランド人の基盤となった古代ゲルマン部族の一つ、サクソン人の戦士の意。

な勝ち
2017年Racing Post Trophy(G1)Beresford Stakes(G2)
2018年2000 Guineas Stakes(G1)

血統背景

サンデーサイレンス最高傑作ディープインパクトクールモア所有で2011年カルティエ賞最優秀2歳を獲得した*メイビー、ガリレオという血統。
昔の競馬しか知らない場合、仮にもカルティエ賞を取ったがなんで!? 社台が買って来たの!? ……となるかもしれない。
下方に記載されている血統表を見ると分かるが、*メイビーはガリレオ×*デインヒルという欧州競馬黄金パターンの配合であるものの、それは裏を返せば欧州種牡馬で相手を探すと一代くらいは良くても後に結局手詰まりになりかねない血統だということでもある。*メイビーだけならよかったが、クールモア繋養の繁殖牝馬に同じような血統がそれはもう過剰なほど多く、そのため多様性をもたらす異系の相手探しがめられていた。

そこで白羽の矢が立ったのがクソみてぇな牝系から生まれた突然変異のヘイロー産駒*サンデーサイレンスと、当初クールモアが所有していたが見切りを付けて売っ払ったら日本偉大なると化した*ウインドインハーヘアから生まれたディープインパクトである。
ヘイロー系は2010年代にはすでに北米では少数勢力に転落し欧州ではほぼ振るわず、南米起点で南半球に*サザンヘイローが広がりを見せてはいたが……という状態。つまり日本における繁栄っぷり(ライバルミスプロ系:キンカメすら添え物レベルで生産界を支配するほぼ一強状態)が特異点と言えるぐらいで、世界的には既に細血統のため欧州の血の袋小路を防ぐにはもってこい。
さらに競馬をこよなく愛しエリザベス2世女王陛下ハイクレアの末裔で世界的に見ても素晴らしい牝系から生まれたと胸をって言え、その上で海外でも少数の産駒からフランスクラシック戦線のプール・デッセ・デ・プーリッシュ[1]勝利したビューティーパーラーを出したディープインパクトこそ、新たな地を拓ける存在である。世界最大の生産者団体がそう結論づけた、と言ってしまってもいい。

ということで、ぼしいを送り込み種付けをしようとなり送り込まれたのが*メイビーであり、さらにここから後述する本サクソンウォリアーの活躍で2017年欧州マイル三冠馬*ウィンター2016年カルティエ賞年度代表馬及び最優秀3歳受賞の*マインディング、2016年カルティエ賞最優秀古・3歳でBCターフを勝ち4歳で凱旋門賞を勝ったファウンド*ベストインワールドといった一流繁殖牝馬が次々と来日するというびっくりな事態が生じた。サンデーサイレンス寿命不足及び牝系の貧弱さ加減わなかった世界への本格進出をディープインパクトはやってのけた。そりゃ酷使しちゃうよね。
その後これらの良血からディアヌ賞(オークス)とナッソーSを勝ったFancy Blue[2]英オークスを16馬身差で圧勝しオークスヨークシャーオークスも連勝した欧州オークス三冠馬Snowfall[3]が生まれた。極めつけとして世界にわずか10頭ほどしかいなかったディープインパクトラストクロップの1頭:Auguste Rodin[4]は2歳時に初G1勝利を達成すると翌2023年にはクラシックレース世界最高峰英ダービーを制覇、その後も愛ダービー愛チャンピオンSBCターフプリンスオブウェールズSと欧の大レース勝利歴史に名を刻む名となる。
結果としてサクソンウォリアーを始めとするクールモアディープインパクト産駒欧州クラシックで大活躍し予想以上の成功を収めたのであった。

その計画のもと安町のノーザンファーム2015年1月に生まれ、離後の10月アイルランドに渡りすくすく育った彼はクールモア調教師エイダンオブライエンの元、バリードイルで鍛え上げられることとなった。
ちなみに生産者はノーザンファームではなく*メイビーの所有者名義である。欧ではそういう扱い。エルコンドルパサー牧場名義ではなく*サドラーズギャルの所有者である渡邉氏なのが良い例だろうか。

現役時代

2017年8月カラ競馬場未勝利戦に出走。優れた発力を見せて快勝するとベレスフォードステークス(G2)も末脚でぶった切って快勝。イギリスに渡りレーシングポストトロフィー(現フューチュリティトロフィーS、G1)に出走。今回は一転して逃げの手を打ち、後にカタールレーシングナンバーワンになるロアリングライオンの強襲を受け一旦は前に出られるが、差し返してG1勝利を決める。
ちなみにここまで走ってきたのは8f、つまりマイル戦であるが2歳時にマイル戦を走るのは概ね10~12fを走る王道路線のが多いということもあって翌年のダービー前売り1番人気に推された。

2018年、始動戦となったのはクラシック第一戦2000ギニークールモアファーストドライバーであるライアン・ムーアが同じ週のケンタッキーダービーに出走するメンデルスゾーン(中で闘志を失い20着)に騎乗するためチャーチルダウンズに向かったので、デビュー戦で跨ったドナカ・オブライエン[5]が騎乗。
スタートして前でしっかり折り合うと、終盤上の仕掛けに応えて素晴らしい発力を発揮して抜け出しそのままゴールに飛び込む教科書どおりの卒のない競馬で快勝。敗で2000ギニーを制したのであった。センス発力抜群、前途洋々としか言えない鮮やかさ。数多の名を見てきたエイダン師をしてもうっとりとするような勝ちっぷりであった。
……まさかこの勝利が現役最後の勝利になろうとは誰も想像しなかっただろう。

敗の二冠をし出走したダービーライアン・ムーアに手綱が戻り圧倒的1番人気に推されたが中団から素晴らしいキレを……キレを……発揮できずダラッとしか伸びず4着に終わる。勝ったのはゴドルフィンエース格であったマサー。前評判ではマイラーでは? と言われたであった。
キレなく伸びあぐねたダービーの走りっぷりから距離短縮も考えられたが、オブライエンダービーとも言われたりする地元のアイリッシュダービーへ。エイダン師の管理が4頭出走していたほか、騎手々に諦めざるを得ずバリードイルの二番手調教師となったジョセフオブライエン[6]もラトローブを送り込むなどこの年もバリードイル勢は5頭を数えた。まあこの年は他営も7頭送り込んできたのでそこまでオブライエンまみれではなかったが。
メンツも大したことはなくオブライエン勢の総大将として圧倒的1番人気を背負う。しかしレースでは中団から進め直線でスムーズに外に出すと末脚一……とは行かず、勝ったラトローブも逃げペースメーカーロストロポーヴィチも捉えられず3着。ラトローブに乗っていたのが2000ギニーパートナーのドナカだったのはやや皮めいてもいた。

この2走の結果から12f路線は断念し10f路線へ。中6日、日本的に言うと連闘エクリプスステークスに向かった。欧州シーズンG110月までしかないのでこういうことはまあないことはない。2022年から日本種牡馬入りの*ポエティックフレアことジャイアンツコーズウェイも過密ローテをこなしていたし、ヨーロッパ以外でもオーストラリアでは常識的範疇である。
急遽参戦で都合がつかずまたもアメリカに行ったムーアの代わりにドナカに乗り替わって出走。1番人気ダービー3着から向かってきていたカタールナンバーワンロアリングライオンに譲ったものの、レースではいつものようにセンス抜群の走りでスッと抜け出す。が、そこにロアリングライオンが強襲。
レーシングポストトロフィー再現といった展開になるが今回はサクソンウォリアーがこらえきれずクビ差敗戦。ロアリングライオン手に斜行して審議になったが到達順通り確定。荒法師の獅子吼に今回は敗れる形となった。

続くゼンノロブロイが2着に入ったこともあるインターナショナルステークスではキングジョージを勝ったポエッツワードロアリングライオンに次ぐ3番人気エイダン師が三冠想したとしてはややさもしい人気となり、レースも後ろから末を活かす競馬を試みたがロアリングライオンどころかサンダリングブルーにも負けて4着。体調不良だったらしいがどうにも……
アイリッシュチャンピオンステークスロアリングライオンとの6度対決となるが、例によって先に抜け出したサクソンウォリアーをロアリングライオンが追い詰める展開となる。しかしこれが当時の充実度の差か、再びクビ差差し切られて2着に敗れた。2000ギニーでは圧倒していたのだが。

この後はクイーンエリザベス2世ステークス出走を予定しマイル路線にシフトする予定であったが、屈腱炎を発症し引退種牡馬入りとなった。通算9戦4勝。G1を2つ、それも2000ギニーにレーシングポストトロフィーと格がちゃんと高いものを2つ勝ったが不完全燃焼感が強いのは否めないところ。ロアリングライオンにも4連敗して2勝4敗と全に差をつけられたのも痛い。
営も後悔があったようで、エイダン師は「マイルで使うべきだった、私のミス」と、騎手ムーアも「マイルで走る姿をもう見られないのが残念、一番悲しい」と引退に際して語っている。

種牡馬時代

異系のを持つためGalileo系以外のなら大体付けることができてマイル戦に実績があり熟傾向と売りになるポイントは多く、クールモア2019種牡馬では最高額の種付け料3万ユーロからのスタートとなり、その後種付け料は通例通り緩やかに2万ユーロまで下がった。
産駒デビュー前の20192022年は毎年150頭以上、シャトルで向かったオーストラリアも含めれば200頭以上のを集めるなど、クールモア推しのノーイネヴァースーネイション、ジャスティファイあたりのスキャットダディ系の大人気種牡馬べれば少ないが堅調にを集めていた。

初年度産駒2022年デビュー。いきなり2歳戦で複数のグループ競走勝ちを出しその中からVictoria Roadアメリカに遠征してブリーダーズカップジュベナイルターフ(G1)勝利。これによって評価が急上昇2023年は種付け料3万5千ユーロに上昇した上で264頭ものと交配した。
しかし産駒エースとして期待されていたVictoria Roadの故障などもあり翌年以降は24年にダービーを制して独ダービー2着となったBornaなどそれなりにL~G2の勝ちG1で勝ち負けするは出るもののG1ホース輩出とまでは行かず評価を下げてしまう。
そのせいかはたまた同じディープインパクトGalileoAuguste Rodin種牡馬入りが翌年に控えるからか他の全く別の理由なのかはわからないが、2024年は種付け料が2万5千ユーロに下がっただけでなく種付け数が200頭以上減し36頭となってしまった。2025年は更に種付け料が1万5千ユーロに下がっており頭数の多い世代の活躍による復権を狙う状況にある。

日本にもクールモアとコネがあるキーファーズ系の新クラブインゼルが積極的にクールモア産のを導入したり、持ち込みとして生まれたセレクトセールで結構な額で売れたりと輸入が進んでいる。
2022年デビュー予定の産駒は8頭の登録があり、海外にいるとしてはアメリカンファラオの13、フランケルの12に次ぐ3位タイ(アロゲートジャスティファイが同数)となっている。

なお本ライバルロアリングライオンも初年度産駒で2歳G1を輩出したが、あちらは1世代を残してシャトル先のオーストラリア折してしまった。残されたサクソンウォリアーは産駒の活躍で餞とすることができるだろうか。

種付け料 種付け数
2019 €30,000
$24,750
165
97
2020 €27,500
$17,600
166
69
2021 €20,000
$13,750
191
97
2022 €20,000
$19,250
199
124
2023 €35,000 264
2024 €25,000 36
2025 €15,000
2026 €10,000

上段:アイルランド、下段オーストラリア

主な産駒

G1G2G3リステッド

2020年度産

2021年度産

2022年度産

2023年度産

血統表

ディープインパクト
2002 鹿毛
*サンデーサイレンス
1986 青鹿毛
Halo Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well Understanding
Mountain Flower
*ウインドインハーヘア
1991 鹿毛
Alzao Lyphard
Lady Rebecca
Burghclere Busted
Highclere
*メイビー
2009 鹿毛
FNo.1-t
Galileo
1998 鹿毛
Sadler's Wells Northern Dancer
Fairy Bridge
Urban Sea Miswaki
Allegretta
Sumora
2002 鹿毛
*デインヒル Danzig
Razyana
Rain Flower Indian Ridge
Rose of Jericho

クロスNorthern Dancer 5×4×5(12.5)

関連動画

G1は全レースあるんだから当時の衝撃が伺える

関連項目

脚注

  1. *1000ギニー、日本で言う桜花賞に当たるレース
  2. *英愛ダービーにしてBCターフを連覇したクールモア所有の名ハイシャパラルの全
  3. *は上述したファウンドの全
  4. *G1を3勝したロードデンドロン。その全マジカルG1を7勝、ハーフウェイトゥヘヴンG1を3勝しておりクールモアが誇る良血である。
  5. *トレーナーであるエイダン師の次男
  6. *エイダン師の長男キャメロットセントニコラスアビーに乗った
  7. *イタリアダービー
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