仮面ライダー THE FIRSTとは2005年11月5日に東映系列で公開された仮面ライダーシリーズの映画作品である。
TVシリーズ第1作『仮面ライダー』(以下、旧作)のリメイク(リブート)的作品であり、旧作同様、本郷猛 / 仮面ライダー1号と一文字隼人 / 仮面ライダー2号、2人の仮面ライダーの活躍が描かれる。
そのため、第1期平成ライダーの真っ只中に制作された作品でありながら、基本的に平成仮面ライダーシリーズには含まれない。
純粋なリメイクではなく、キャストの一新はもちろんのこと、キャラクター設定や物語も現代に合わせて大幅にアレンジされており、中でも一部の要素は旧作放送当時に原作者・石ノ森章太郎(石森章太郎)が執筆した漫画(萬画)版に基づいている。
例を挙げると、
などの要素が漫画版から引用したものである。一方で、旧作と同様の設定・要素も多く存在し、
などが挙げられる。
本作はライダー映画としては珍しく恋愛映画としての側面も持ち合わせており、ライダー、ショッカーの双方においてラブロマンスが描かれている。これは「ライダーもショッカーの改造人間も全ては人間である」ということを強調し、そのドラマ性を引き上げるために組み込まれたものである。また、プロデューサーの白倉伸一郎によると、旧作における本郷と緑川ルリ子のエピソードを補完する意味合いも持ち合わせており、白倉は「仮面ライダーで冬ソナをやる」とまで発言している。
しかし、このコンセプトは観客にうまく伝わったとは言い難く、はっきり言って恋愛要素に対する評価は低い。一方で、当時としては珍しいワイヤーアクションを駆使したハイクオリティなアクションや、出渕裕による洗練されたキャラクターデザインは概ね高い評価を得ている。
監督の長石多可男や脚本の井上敏樹、一文字役の高野八誠やバット役の津田寛治など、スタッフ、キャスト共に過去に平成ライダーに関わった者が多い。逆に石橋蓮司や本田博太郎、板尾創路のように、本作に出演し後のシリーズで重要キャラクター役として再登板した者もいる。
主題歌はDA PUMPの『Bright! our Future』。ボーカルのISSAは『仮面ライダー555』以来、2度目の主題歌担当となった。なお、ISSAは劇中でもショッカー幹部役として出演している。
ちなみに仮面ライダー映画の中で、同時上映のない単独公開作品は本作が初である。
リメイク作品という性質上、本作の1号・2号および次作『仮面ライダー THE NEXT』のV3は、他作品への客演、および旧作の1号・2号・V3との共演が難しい状態にある。
旧作の1号達と同時に登場した場合は「1号・2号・V3がそれぞれ2人いる」状態になってしまい、予備知識のない人にとって混乱を招きかねない。仮に旧作の1号達を差し置いて登場したとしても、他の昭和ライダーと比べてデザイン面で浮いてしまう。
このため、旧作の1号らオリジナルの昭和ライダーが『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』以降のクロスオーバー作品において幾度も再登場しているのに対し、本シリーズのライダー3人は映像作品において一度も再登場しないまま現在に至っている。
『仮面ライダージオウ』においても…
TVシリーズ後半にて一部の昭和ライダーともクロスオーバーを展開した『仮面ライダーディケイド』と異なり、『ジオウ』のTVシリーズは終始平成ライダーのみのクロスオーバーに専念したため、本シリーズのライダーが登場することはなかった。
『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』では「平成時代に制作されたが平成ライダー扱いされないライダー」をモチーフにしたライダーが登場し、その中には同じ昭和リブート作品である『仮面ライダーアマゾンズ』をモチーフにしたライダー(仮面ライダーザモナス)も含まれていたが、本シリーズのライダーをモチーフにしたライダーは登場しなかった[1]。
『ジオウ』関連作品で初めて昭和の要素も扱った『仮面ライダージオウ ファイナルステージ』(2019年9月~10月公演)において、本シリーズのライダー3人が「平成の世に生まれた昭和ライダー」として『アマゾンズ』のライダー(アマゾンオメガ、アマゾンアルファ)共々登場(1号・2号のスーツは『THE NEXT』版のもの)。アナザーオーマジオウに苦戦する常磐ソウゴ達の前に現れ、彼らに声援を送るよう観客に呼び掛ける役割を担った。
ゲーム作品においても長らく未登場の状態が続いていたが、2016年に『オール仮面ライダー ライダーレボリューション』において、3人揃って初めて外部出演を果たした。いずれもオリジナルキャストが声をあてており、肖像権の都合上後姿のみではあるものの、マスクオフ状態も再現されている。また、イベントシーンでは『アマゾンズ』のライダーとの絡みもある。
なお、仮面ライダー1号としての登場ではないが、本作の翌年に放送された『仮面ライダーカブト』第14話には、ファンサービスとして本作で本郷を演じた黄川田がゲスト出演している。クレジット上は「友情出演」であり、本郷猛とは明言されていないが、その風貌は本作の本郷そのものである。
本郷猛は類希なる頭脳を持つ青年だったが、ある日社会の裏に暗躍する秘密結社「ショッカー」に改造され、バッタ型改造人間「ホッパー」となってしまう。
やがて自我を取り戻すことに成功したが、彼がほのかな想いを寄せる緑川あすかから、婚約者を殺したという疑惑を向けられてしまう。真実を告げようにも、彼女に危険が迫ることを案じ、ただ「仮面の男」として守ることしかできなかった。
一方、ショッカーは裏切った本郷を抹殺するため、もう1人のホッパー・一文字隼人を刺客として差し向ける。だが、彼もまたあすかに惹かれていき…
本郷猛(ほんごう たけし) / 仮面ライダー1号(演:黄川田将也)
主人公。城南大学で水の結晶の研究をしていたが、その類い稀なる才能をショッカーに買われて、改造人間・ホッパーとなってしまう。以降はショッカーの意のままに動いていたが、ふとしたことから洗脳が解け、ショッカーから離反した。
あすかから婚約者を殺した張本人だと誤解される、改造人間としての超人的な力のコントロールに苦しむ、ショッカーからの刺客に命を狙われる、といったいくつもの困難に見舞われながらも、「美しいもの(=命)」を守るために奮闘する。
一文字隼人(いちもんじ はやと) / 仮面ライダー2号(演:高野八誠)
本郷を抹殺するためにショッカーが送り込んだ改造人間。洗脳処理はされておらず、改造人間としての己の力と運命を受け入れている。改造前の経歴は一切不明(占い師だったかも)。
矢野克彦にそっくりな容貌を利用して、本郷の関係者(および組織の抹殺対象)であったあすかに近づくが、次第に彼女に惹かれるようになり、彼女をめぐって本郷と激しく火花を散らす。しかし本郷の抹殺に度々失敗し、ついには自身も組織の抹殺対象になってしまう。
ヒロイン。週刊ABBAの記者で、本郷の水の研究を取材している。克彦との結婚を控えていたが、世間を騒がせる「怪人」を取材する中で彼を殺されてしまう。それを本郷のせいだと思い込み、彼に憎しみを抱くが、また一方では自らをショッカーから守ってくれる「仮面の男」に惹かれていく。
旧作および漫画版の緑川ルリ子に相当するキャラクターであり、本郷のことを大切な人を殺した張本人だと誤解する、という点も共通している。
とある大病院に入院している残念なイケメン少年。長期入院に加えて誰も見舞いに来ないことで、自分は必要のない人間だと自暴自棄になっていた。美代子のことも当初は邪険に扱っていたが、徐々に心を開いていき、生きる希望を取り戻していく。
最初に美代子からプレゼントされたガーベラの花がお気に入り。
晴彦の前に現れた天真爛漫な少女。ボランティアと称して晴彦の世話を焼き、やがて相思相愛の関係となるが、実は晴彦と同じ病院に入院している患者であり、しかも症状は彼よりずっと重く、余命いくばくもない状態だった。
オートバイショップ・立花レーシングの主人。本郷とはかねてから親交があり、出来上がったばかりの高性能バイク・サイクロンを託す。本郷の身に変化があったことを見抜いており、「失うものもあれば得るものもある」とのエールを送る。
演じる宮内は往年の東映特撮で数多くのヒーローを演じ、仮面ライダーでは『仮面ライダーV3』の風見志郎 / 仮面ライダーV3役でおなじみ。「かつておやっさんの元で戦った風見志郎(を演じた宮内)が今度はおやっさんとして登場する」という演出は多くのファンを喜ばせた。
あすかの同僚で婚約者。顔は一文字にそっくりだが、性格は正反対。あすかと共に「怪人」の取材を続けていたが、スパイダーに殺されてしまう。
城南大学で本郷の助手を務める研究員。あすかに対して煮え切らない態度の本郷をけしかけるが、めぐみ自身も本郷に気がある様子…?
今週の犠牲者。とある法案の成立のために重要な投票を控えていたが、それがショッカーの意に反するものであったため、スパイダーに襲撃されてしまう。正義感あふれる政治家のはずだが、悪役俳優としても著名な2人が演じていることもあって胡散臭く見えてしまうのはご愛敬。
上記の通り、後に石橋は『仮面ライダーディケイド』にて、本田は翌年の『仮面ライダーカブト』にてレギュラー出演することになる。特に本田は本作に出演したことが直接のきっかけとなった。
バッタの力を持つ改造人間。便宜上ショッカーと分けているものの、2人とも本を正せばショッカーのバッタ型改造人間「ホッパー」であり、劇中では「仮面ライダー」「ライダー」という呼称は一切使われていない。
変身プロセスは旧作と異なり、漫画版同様に[3]「首から下のみ強化服を纏った状態から、仮面を装着する」というものである。このためシリーズ恒例の要素である「変身!」宣言がない。同様に変身ポーズも存在しないが、最終決戦では旧作の変身ポーズを元にしたファイティングポーズを披露した。
バッタの脚力を活かした飛び蹴り(=ライダーキック)を必殺技とする。技名の呼称はない。
本郷猛が仮面を装着することで“変身”する改造人間。他の改造人間と異なり、血液交換を行わなくてもリジェクション(拒否反応)が発生せず、改造人間として初めての成功例と評された。
パンチを主体とする直球スタイルの「力の1号」。最終決戦では「ライダーきりもみシュート」を彷彿させる投げ技からのライダーキックのコンボを披露した。
カラーリングは旧1号を意識したものであり、複眼は薄いピンクでマスクやスーツは青系。
専用マシンはサイクロン1号。常人では扱いきれないハイスペックマシンだが、超人的な力を得た本郷は難なく乗りこなしている。
一文字隼人が仮面を装着することで“変身”する改造人間。1号とほぼ同等の能力を持つが、パワーは若干上回っている。ただし、リジェクションを抑えるには至っていない。ちなみにリジェクションが発生する際に浮かび上がる血管は、漫画版における「顔に浮かび上がる改造人間としての傷」に由来する。
的確かつスピーディーな技を繰り出す「技の2号」。 最終決戦では「ライダー卍キック」を彷彿されるスクリューキックを披露した。
デザインベースは旧2号だが、カラーリングはやや異なりライトグリーンになっている。
専用マシンはサイクロン2号。入手経路は不明だが、1号同様立花藤兵衛によってチューンナップされたものであるらしい。
悪の秘密結社。高い技術を有しており、それによって生み出した改造人間の力で社会を裏から支配しようとする。目的のためには手段を選ばず、邪魔者は容赦なく抹殺する。とある孤島に基地を構えている。
本作における「ショッカー(SHOCKER)」という名は「Sacred Hegemony Of Cycle Kindred Evolutional Realm」(同種の血統による全体の、神聖なる支配権)を略したものとなっている。出淵の話によると実際はそれっぽい英単語を無理矢理当て込んだだけのものらしい。
ショッカーの上位に立つ3人。それぞれ離れた場所からモニターを通して改造人間に指令を下す。
IT企業のトップに立ち情報収集を担当しているものと思われる、チャイナドレス姿の美女。
ストリート系のファッションに身を包んだ若者。どこかのポップグループのボーカルのようにも見えるし、歴史の管理者のリーダーのようにも見える。作戦行動の指揮を担当しているものと思われる。
白のスーツに赤い裏地の黒マントを纏った老人。その不気味な風貌は“死神”を彷彿させる。改造人間の製造や管理を担当しているものと思われる。
旧作の死神博士の映像に丸山がアテレコしたものであり、天本本人は本作公開の2年前にすでに他界している。
改造手術によって超人的な力と生物の特性を得た戦士。その奇怪な風貌から世間では「怪人」として都市伝説のように語られている。基地内で定期的に血液を交換する必要があり、これを行わないとリジェクション(拒否反応)が発生し、やがて死に至る。
生物的だった旧作や漫画版に比べてメカニカルなデザインになっており、仮面ライダーと同等の存在であるというイメージが濃くなっている。変身プロセスもライダーと全く同じであり、強化服と仮面を纏うことで“変身”する。
変身前後で性格が大きく異なる者もいるが、これは仮面を装着することで改造人間としてのスイッチが完全に入り、冷酷さや残忍さが表に出るため。
蜘蛛の力を持つ改造人間。旧作の第1話に登場した怪人・蜘蛛男のリメイク。普段はタクシー運転手として社会に溶け込んでおり、自身のタクシーには異常なまでの愛情を注いでいる。
体のあちこちから噴射する糸は強力な粘着力を持ち、敵の動きを封じ込める、自身の体を壁や木に貼り付けた状態から奇襲攻撃を仕掛ける、などの様々な用途に用いられる。
主な任務はショッカーに敵対する者や邪魔な者の暗殺で、デビュー間もないホッパー(本郷)もサポートとして同行させていた。他にも、スネークらをショッカーに勧誘したりもしていた。
板尾は後に『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』において葵連 / 仮面ライダーフィフティーン役で出演。共に悪役ながらライダーと怪人の双方を演じたことになった。
蝙蝠の力を持つ改造人間。旧作の第2話に登場した怪人・蝙蝠男のリメイク。やたらとハイテンションな編集長黒マントの男が変身する。
暗闇でも自在に行動できる能力を持ち、身にまとったマントで空中を飛び回る。また、マントの中には小型のメカコウモリを仕込んでいる。
主な任務は改造人間候補者を強制的に拉致すること。本郷も彼によって拉致された。
コブラの力を持つ改造人間。旧作の第9話に登場した怪人・コブラ男のリメイク。
波動と共に放たれるパンチを得意とするパワーファイター。後頭部の触手は取り外して鞭として使用することもでき、主にスネークが使用する。
主な任務は裏切り者の抹殺(スネークも同様)。
蛇の力を持つ改造人間で、本作唯一の女性怪人。マスクは口元が露出している。
バレエにも似た柔軟な動きから繰り出す蛇拳を得意とする。「力のコブラ」に対する「技のスネーク」と言ったところか。
漫画版オリジナルキャラ・へび姫メドウサのリメイク。当初はメドウサ同様、後頭部の穴からメカ蛇を出現させる案もあったが実現しなかった。なお、コブラとスネークの本名も漫画版に基づくものである。
怪人の配下として動く簡易型の改造人間。本作ではガスマスクを装着した姿になっているが、「イーッ!」としか喋らない点は変わっていない。活動停止すると泡になって消滅する。旧作放送当時の表記に倣って「戦斗員」と表記されることもある。
極めて乱雑な作画が特徴であり、ほとんど下書き同然で細かな線は省略されている。背景は白紙ばかりで、たまに描かれたと思ったらなんと写真が貼り付けてあるという有様。コマ割りもおかしく、1ページに4コマもあれば多い方である。
ストーリーこそ、当初は映画本編に忠実だったが、後半では本編になかったスネークの改造シーンが何ページにもわたって描かれており、しかも作者の趣味なのか、やたらとエログロに描かれている始末。
このような出来に対し、熱心な仮面ライダーファンである漫画家の島本和彦[5]は自身のラジオ番組において、
「描きたくねえなら描くなって感じ」
「知人の編集者は『自分がこの原稿を貰ったら、ふざけるな!と言って、机をひっくり返して受け取らずに帰る』と言ってた」
当然ながら単行本化はされていない。また、時期的に特撮エース廃刊の決定打になったとも噂されるが真相は定かではない。
掲示板
31 ななしのよっしん
2023/12/12(火) 15:34:29 ID: OmcQYUyd52
32 ななしのよっしん
2024/01/08(月) 01:24:12 ID: afj0st69lX
某キチの特撮部部長が恋愛に嫌悪感持つ元凶になったって話が出て、好きな仮面ライダーdisられて腹立つのもそうだけど見た映画の内容が気に食わんかったからって自分の恋愛も嫌になるってそんな事ある………?
33 ななしのよっしん
2024/02/10(土) 13:13:15 ID: oAY/QPGlOY
FaceBookに江川達也が言い訳を並べてたらしいけど見つからず。どこにあるんだろう?
急上昇ワード改
最終更新:2024/04/20(土) 10:00
最終更新:2024/04/20(土) 10:00
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