クォヴレー・ゴードンとは、ゲーム「スーパーロボット大戦」シリーズに登場するキャラクターの1人。CV:泰勇気
概要
初出は「第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ」で、選択主人公の1人。
専用BGMは「ANOTHER TIMEDIVER」、「THE GUN OF DIS」。
なお同作の主人公にはリアル系・スーパー系の区別がないが、クォヴレー編は「第2次α」のリアル系男性ルートであるアラド編の続きという位置付けになっている。
搭乗機はヴァルク・ベン、量産型νガンダム(インコム装備型)、ベルグバウ、ディス・アストラナガンで、搭乗機が固定される昨今のスパロボ主人公の中では比較的多くの機体に搭乗している。その他にもR-GUNパワードやアルブレード・カスタムへの乗り換えも可能。作中には「当初の予定ではストライクガンダムの正規パイロットになるハズだった」という「ガンダムSEED」とのクロスオーバー設定も存在する。
αナンバーズのロンド・ベル隊に新たに配属されることになっていた地球連邦軍のパイロットとして登場。階級は少尉。 正体不明の機体ベルグバウの内部で目覚める以前の記憶を失っている。
その正体はゼ・バルマリィ(バルマー)帝国の特殊部隊ゴラー・ゴレムを構成するバルシェムシリーズ(量産用人造人間)の16号体、アイン・バルシェムである(アイン=עはヘブライ文字の16文字目であり、一種のシリアルナンバーのようなもの)。
経歴
アイン・バルシェムは地球側の重要人物イルイ・ガンエデンの捕獲の為、名前や軍籍を偽りロンド・ベル隊に潜入するという秘匿任務に就くことになっていた。しかしヴァルク・ベンでロンド・ベル隊との合流地点に向かう途中、アステロイドベルト付近で謎の建造物クロスゲートを発見し、急遽これを調査することになる。直後にバルマー戦役(スパロボα)の最終決戦で行方不明となっていたイングラム・プリスケンの乗機アストラナガンの残骸がゲートから出現。その鹵獲を試みるも、機体ごと残骸に取り込まれてしまう。この残骸にはイングラムの魂の断片が憑依しており、そのままならば自我の弱いアインの魂はイングラムの魂に飲み込まれて肉体ごと乗っ取られる筈だったが、融合の際にイングラム自身が意識を失い、アインもまたに記憶を失った為に、空っぽの存在として生まれ変わることとなった。
この一件の後にロンド・ベル隊の旗鑑ラー・カイラムに保護されるが、潜入のため事前に用意されていた追加パイロットのパーソナルデータと一致した為、「地球連邦軍のクォヴレー・ゴードン少尉」としてロンド・ベル隊に所属する事になる。しかし、正体不明のベルグバウに関しては周囲が危険視した事もあり、本人自ら封印・凍結を申し出た。この為、続く戦闘でパイロットが決まっていなかった量産型νガンダムに半ば強引に搭乗。その際に連携を取ったゼオラ・シュバイツァーとコンビを組む事になる。
当初は人間性が薄い…と言うより人間性が形成されていない為、他人の感情の理解が出来ない場面も多く見受けられた。しかし、ゼオラ・シュバイツァーやそのパートナーのアラド・バランガ、或いはアムロやヒイロなど、その他のαナンバーズの戦友たちとの交流を通して、徐々に人間らしい感情、考え方を獲得していく。
目を覚ましたイングラムは1人の人間として人格を形成し始めたクォヴレーにかつての自分を重ね、「内なる声」として時にはクォヴレーを諭し、また彼の窮地には人格交代して代わりに戦う等、何度か彼を救った。また、封印されていたベルグバウへの搭乗を促してもいる。
物語中盤において、敵の罠に嵌りベルグバウごとバルマー帝国に捕獲され、自分が人造人間――任務を果たす為だけに生み出された人形であったという事実を知らされる。しかし、既に人間としての自我を確立し始めていたクォヴレーはイングラムの言葉に導かれ、定められた運命に抗って生きることを選ぶ。
その後、ベルグバウが新生した銃神ディス・アストラナガンを御することに成功。イングラムとの対話・融合を経て彼の意志を受け継ぎ、αナンバーズと共に平行世界の因果律を乱す諸悪の根源ケイサル・エフェスを倒すための戦いに身を投じていく。
最終決戦後はゼオラやアラドに再会を約束し、イングラムから託された「因果律の番人」としての使命を果たす為に平行世界へと旅立っていった。
人物像
感情の起伏が少ないせいか、基本的に冷静沈着な性格で、言葉数も少ない。
「虚ろな魂」しか持たない人形として造られたため、当初は効率よく任務を遂行することを最優先するというロジック的な思考を持っており、コロニーを盾にして戦うべきと提言して逆にヒイロらの反感を買うなど、倫理観が欠落しているような描写もあった。しかしストーリーが進むにつれ彼らの価値観を理解するようになり、それが人格形成にも反映されていったため、次第に身を呈して仲間を救おうとするなど熱血な一面も併せ持つようになっていく。
クォヴレーとして人格を形成し始めたのが第1話の時点である為、「素直な子供」と言った一面もあり、基本的に忠告やアドバイスは素直に受け入れている。極端な話、凄く「いい奴」である。
また、性格などからは老成した印象を受けがちだが、αナンバーズではアラドやゼオラと同世代の「少年」として扱われている。
イングラムの魂を宿した影響でバルシェムシリーズの指揮官キャリコ・マクレディらから一方的な嫉妬や敵意を向けられ続け、また自我が形成されつつあった矢先にイングラムと縁の深いリュウセイ達からも彼の面影を重ねられることが増たために次第に思い悩むようになり、ついには感情を爆発させたこともあった。
イングラム本人に対しても、ピンチの際に勝手に憑依したり「内なる声」として助言したりと出張ってくる割にはなかなか自分自身の目的・正体を語ろうとしない為、警戒心を抱くと同時に越えるべき壁として認識していた。
しかし、後にイングラムの精神との対話を通じて彼の本心と運命とを知ることで和解し、完全融合。その後はリュウセイにイングラムのフリをしたジョーク(本人談)を飛ばすまでになるなど、精神的に安定を取り戻すようになった。
戦闘関連以外の知識や一般常識に疎いためか、やや天然ボケ的な発言が目立つ。手先がかなり器用らしく、劇中のイベントでは某食通も舌を巻くほどのハイレベルな刺繍の腕を発揮した。
また、流石に恋愛にはまだ早かったのか、一般的には恋愛フラグと見做されるイベントを前にしながら見向きもしないフラグクラッシャーぶりもファンの間で揶揄されるネタである。
イングラム・ユーゼスとの関連
事前に公式発表された容姿が、人気キャラクターであるイングラム・プリスケンとそのオリジナルである「スーパーヒーロー作戦」(以下、「SHO」)版ユーゼスに似ており、搭乗機もイングラムの乗機アストラナガンとの関連性を強く示していた為、ゲーム発売前から大きな期待を寄せられていた主人公でもある。
また、彼の専用BGMである「ANOTHER TIMEDIVER」は「TIMEDIVER」、「THE GUN OF DIS」は「虚空からの使者」のアレンジになっている。その原曲のどちらもがイングラムの専用BGMであり、イングラムとクォヴレーの関連性を示す一つの ピースとなっている。
外見年齢の差異はあるものの容姿がイングラムに酷似しているのは、バルシェムシリーズが彼のコピーであることに起因しており、イングラムは彼らから「オリジネイター」と呼ばれている。
クォヴレー自身の髪色はユーゼスを彷彿とさせる銀髪だが、イングラム憑依時およびアイン・ソフ・オウル使用時のみイングラムと同じ青に変化する。なお、イングラム憑依時にはステータス全般が上昇する。ただしこの状態は実質イベント扱いのため、プレイヤーキャラとして使用できるのは1回のみとなっている。
また本作で登場するバルシェムは、2号体であるヴェート・バルシェム(ヴィレッタ)を除き、全てユーゼスの遺したデータを元に宰相シヴァー・ゴッツォが新たに量産したものとなっている。作中ではバルシェムがバルマー側の名無し兵士として多数登場するが、基本ステータスはクォヴレーと同一のものである。
なお、「SHO」におけるイングラムのオマージュキャラとしての側面も持っているが、イングラムが記憶を取り戻すことで物語の真相に近づいたのに対してクォヴレーの記憶は戻らないままであり、過去に囚われず現在の自分を肯定していく過程に比重が置かれている。
イングラムとの融合後は彼の記憶を受け継いでいるかのような台詞や独白が見られるものの、一方でヴィレッタの正体を本人が明かすまで知らないなど、共有できる情報にはムラがあるようである。イングラムに移植されていた「SHO」版ユーゼスの記憶を受け継いでいるかどうかについては不明。
また、バルマーに囚われた際に受けた検査では、本来はなかったはずの「オリジネイターの刻印」があるという結果が出ているが、その「刻印」が何を指しているのかについても作中では言及がない(イングラムの脳内にあったクロスゲート・パラダイム・システムの端末という説もある)。
余談だが「α」版と「SHO」版のイングラムが同一人物とされているため、クォヴレーを含め「α」世界のバルシェムシリーズは「SHO」版ユーゼスの遺伝子を受け継いでいることになり、設定上はバルマー人ではなく地球人とバード星人とのハーフとなる。また、序盤でGGGが行ったDNA解析では地球人との差異はないと判断されている。
しかし同時に遺伝子操作の形跡も見つかっており、ヴィレッタにはなかったパレッス粒子等の化学物質への耐性を持っていることから、ユーゼスが遺したイングラムのDNAデータをベースにしつつも、一部で遺伝子操作によるバージョンアップが図られているものと推測できる。その点においてシヴァーの手で量産されたバルシェムは、男性型であっても厳密にはイングラムのクローンとは言えないのだが、便宜上クローンという表現を用いられることが多い。
また、序盤ではイングラムではなくユーゼスが取り憑いている可能性も仄めかされていたが、結果的にユーゼスの関与はなかったようである。ただしケイサル・エフェスとの戦闘前会話では、ユーゼスの迷台詞「それも私だ」や「α」最終話におけるイングラムの台詞「いいだろう…ユーゼス・ゴッツォを倒すのは、この世界でも俺の役目だ」の両方をオマージュしたと思われる「それを果たすのも…この俺だ!」という台詞がある。
その後の足取り
OGS
「OG1」のリメイク作品である「OGS」ではバルシェムシリーズの設定がフィードバックされている。また、シルエット姿の「???」名義でちらりと登場するクォヴレーは、「第3次α」ED後のクォヴレーと同一人物であると思われる。
「ジュデッカの枷」の呪縛により精神を支配されているイングラムの深層意識に接触し、かつて自分が自我の確立を促された時と同様に、彼に運命に抗い「枷」を外すよう呼び掛けている。しかしこの時点では「OG」の世界に出現するための因子が揃っておらず、間接的な干渉に留まっている。
ディバイン・ウォーズ
ゲーム発売に先行して放送された「OG1」のアニメ版「ディバイン・ウォーズ」でもイングラムに枷を外すよう呼び掛けており、それがイングラムがヴィレッタを「枷」から解放した理由とされている。また最終話では、ユーゼスと思しき仮面の男(またはその疑似人格プログラム)に意識を乗っ取られたイングラムの深層意識に再び接触しており、彼の本来の人格を呼び起こすと共に、SRXにディス・アストラナガンを憑依させセプタギンを撃破することでコアとなっていたイングラムを「枷」から解放している。
また、第1話のアバンにて、ディス・アストラナガンを駆りイングラムのアストラナガンと交戦している姿がイングラムの夢として描かれており、話題を呼んだ。このシーンは台詞や描写から「第3次α」における融合直前のやりとりを「互いの乗機による交戦」というイメージで表現したものと推測できるが、「第3次α」ではイングラムがクォヴレーの自我の確立を認めて融合している点に対し、こちらでは交戦の結果分離したように描かれているため、アニメ用にアレンジした一種のIF展開という見方もできる。
この時点ではクォヴレーは「OG」シリーズ未登場だったため、このアバンはサプライズとして寺田プロデューサーは隠蔽に力を注いでいたのだが、そんな事情を知らないテレ東によりHPの放送予定欄というノーマークな場所で放送数日前にネタバレされてしまった。寺P不憫すぎるぜ…。
その他
搭乗機であるベルグバウとディス・アストラナガンのデザイナーが悪魔絵師の異名で名高い金子一馬であること、形状やカラーリングがある昆虫を連想させることから色々な意味で話題になっていた。
寺田プロデューサーはクスハ・ミズハがαシリーズの表の主人公とするならば彼は裏の主人公だと発言している。ディス・アストラナガン(およびその動力となるディス・レヴ)やそれを御するクォヴレーの設定は他の主人公と比べて異質であり、他の主人公には威圧的に接するルアフ・ガンエデンなどのボスキャラをも恐怖あるいは動揺させており、ラスボスである霊帝ケイサル・エフェスもがその力を欲している。
しかしその一方で、ディス・アストラナガンに乗せていると対ボスキャラ用の専用台詞の一部が発生しないという悲惨なバグも存在する。泰P不憫すぎるぜ…。
ちなみにCVを担当した泰勇気は大のスパロボマニアであり、この役を貰った際、大喜びしたらしい。発売当時、彼のHPでは大々的に第3次スーパーロボット大戦αの宣伝をしていた。
前述されたフラグクラッシャーぶりからクォヴレーには恋愛対象になるキャラがいないとされてきたが、彼がピンチになると必ず彼の乗機であるベルグバウやディス・アストラナガンが助けに来るため、この機体こそが彼にとっての真のヒロインなのではないかと揶揄するネタも存在する。メイドに擬人化されたディス・アストラナガンのコラが一時期増産された事もあった。
「第3次α」発売前はよく「クヴォレー」と名前を誤読されるケースが頻発しており、そこから「久保」という略称で呼ばれる事が多かった。しかし発音は元ネタと併せて「コブレー」の方が近い。現在は読み間違える人は少なくなったが、「久保」という略称はそのまま愛称として定着している。他には「こぶ平」(制作スタッフはこちらを用いる)などの愛称もある。
「クォヴレー・ゴードン」という名前の由来はMAC社のサブマシンガン「イングラムM11」の製造権を受け継いだコブレイ社と、設計者のゴードン・B・イングラムが元ネタと思われる。
関連動画
関連項目
- スーパーロボット大戦
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