ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章とは、1991年~1997年まで『月刊少年ガンガン』にて連載されていた漫画である。
単行本は全21巻、後に最終決戦などに加筆修正を加えた完全版が全15巻刊行された。
原作・設定:川又千秋、脚本:小柳順治、作画:藤原カムイ。
概要
ドラゴンクエストの世界を舞台として描かれた漫画。DQIII→DQI→DQIIという本編の時系列の中で、本作はIIIとIの間に位置する物語(時代的には限りなくIに近い)として設定されており、実際にゲーム本編に出てくる地名やキャラも多数登場する。
テレビアニメ化はされていないが、メディアミックスとしてドラマCD化とアニメ映画化がされている。
また、後に『ガンガンYG』(『ヤングガンガン』の前身となる雑誌)にて新作『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 Returns』(全3回、全1巻)が連載され、その後に『ヤングガンガン』にて続編『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 ~紋章を継ぐ者達へ~』が2004年より2020年1月まで連載された。単行本は全34巻。
作中時期が6年間の連載に合わせてほぼリアルタイムに遷移しており、これにあわせて各キャラも加齢している(後述)。
ストーリー
勇者アレルが大魔王ゾーマを倒し、勇者ロトの称号を受けてから100年後、勇者の2人の息子たちは地上へと帰還し、それぞれが新しい国ローランとカーメンを興して繁栄していた。しかし、新たなる邪悪の影「異魔神」が現れ、世界は再び邪悪なる者たちによって危機を迎えていた。
異魔神の襲撃により、ロトの子孫の国は陥落。勇者の血を受け継ぐ主人公アルスは間一髪で難を逃れるものの、もう一方のロトの血を受け継ぐローランの王子は呪われた名“ジャガン”の名前を与えられ、異魔神の配下として育てられることになる。
その十数年後、アルスはかつてロトとともに戦った3人のケンオウの子孫を探し、異魔神を討つ旅に出る。
世界観
前出の通り、ロト三部作のドラクエ3とドラクエ1の間、ドラクエ1に近い時代が舞台であり、登場する地名は基本的にドラクエ3のものである。
作中アルス達が実際に立ち寄る地名でゲームにも登場するものは、順にアッサラーム、バラモス城(カーメン城になっている)、ネクロゴンド、テドン(造船の街として復興している)、アリアハン、ジパング、レイアムランド。その他作中には竜の女王の城(ローラン城になっている)、ノアニール(城を構える程に発展している)、ルザミ、ロマリア、ポルトガ、ラダトーム、イシス(ヤオを主人公としたサブストーリーの舞台)が登場し、名前だけだがカザーブ、サマンオサ、バハラタの地名も見られる。
登場人物
勇者ロトの子孫
- アルス
- 本作の主人公。
- ロトの二男カーメンの子孫として生を受け、その直後に異魔神の襲撃から逃れるためにカーメン城から連れ出され聖域で育つ。
- 3人のケンオウの子孫を仲間にし、一度はジャガンとの戦いの中で息絶えたこともあったが、世界樹の葉と霊界からの愛しい人たちからの励ましの力によってよみがえり、勇者として大成した。
- 主な装備品は光の剣、オルテガの剣、アルスの剣、光の鎧レプリカ、勇者の盾レプリカ、ロトの紋章など。
- 冒険開始時10歳、最終年齢15歳。
- ジャガン→アラン
- 異魔神に呪われた名前“ジャガン”を与えられたせいで、魔人王として生きる羽目になったロトの長男ローランの子孫。異魔神配下の4魔王の一人として人類を脅かし、一度はアルスを殺害するも、復活したアルスに敗北する。
- そしてアルスとの再度の決闘を経て死亡するものの、霊界での両親からの祝福により復活。ジャガンという名前から本来の名前である“アラン”に改め、勇者として覚醒する。
- 主な装備品は王者の剣、光の鎧、勇者の盾(いずれも当初は異魔神の呪いを受けて赤くなっている)、ロトの紋章など。
- 魔神王戴冠時10歳、最終年齢15歳。作中ではかなり大人びて見えるが、設定上はアルスと同い年である。
- アステア
- アレフガルドからやってきた3人目の勇者。ロトの長女フローラの子孫。竜王に支配されているラダトームの奪回のため、助力を求めて地上のロトの子孫たちに会いに来る。ラダトームを奪回した後は再度地上を訪れ、復活した異魔神との戦いに身を投じる。
- 主な装備品は聖なるナイフ、旅人の服、ロトの紋章など。
- 最終年齢15歳。ラダトームの王子を名乗り、見た目も少年のような格好をしているが、実は少女である。設定上の構想はあったものの、本作の連載中には性別は明かされず(ただし、作中で女性的な素振りを見せる場面は少なからずあった)、その後の新作『Returns』でようやく、性別が女であることが明かされた。
ケンオウの子孫
かつてロトとともに戦った剣王フルカス、拳王フォン、賢王カダルの子孫や後継者。アルスとともに旅をする。
- 剣王キラ
- 剣王フルカスの子孫。あえて呪われた装備を身にまとうことにより戦闘力を上げる幻魔剣の使い手。主な装備品ははやぶさの剣、呪われたはやぶさの剣、生きている鎧ブラックシーザーなど。なお、幻魔剣で受けた傷は治療が不可能になるという特性を持っているが、対魔王軍戦では傷口を噛みちぎるなどの方法で無効化されることが少なくなく、剣王真空牙による剣閃攻撃が主武装であった。
- 冒険開始時13歳、最終年齢18歳(アルスの3歳年上)。
- 拳王ヤオ
- 拳王フォンの子孫。体術を得意とし、更に気を操る波動撃を得意とする少女。
- 肉弾戦が得意で身のこなしも軽く、装備している星降る腕輪がさらにそれを補助する。主な装備品は鉄の爪、星降る腕輪など。過去のトラウマからヘビ嫌いのため、ヘビの飾りのついている黄金の爪は装備していない。
- 初登場時12歳、最終年齢16歳(アルスの1歳年上)。他の二人と異なり最初から拳王として訓練を受けているためか、比較的最初から戦士として完成していた感があった。
- 遊び人ポロン→賢王ポロン
- 賢王カダルの後継者。カダルの弟子であった魔法使いの父と僧侶の母を持ち、さらにカダルの秘術によりその知識を引き継いでいる。
初登場時は伝説の遊び人ポロンを名乗っており、アルスたちに出会い強引に旅について来ることになる。モンスターと心を通わせることができ、お供としてスライム・ドラキー・ゴーストの3匹のモンスターを引き連れていた。
獣王グノンとの戦闘の際、タルキンや3匹の死を受けて賢王として完全に覚醒する。2つ以上の呪文を合体させ、全く新しい呪文を生み出す合体呪文の使い手で、最終的には究極魔法マダンテをも習得する(ちなみにこの作品におけるマダンテは『ドラゴンクエストVI』以降のマダンテとは設定が異なる)。
初登場時10歳、最終年齢13歳(アルスの2歳年下)。ちなみにポロンという名前は本名ノロップのアナグラム(NOROP→PORON)。
魔王軍
- 異魔神
- 本作のラスボス。元々は魔界に住む魔神で、1万2000年前にムー帝国の魔導師ゴルゴナによって不死の肉体を与えられ復活させられるも、精霊ルビスによって肉体を封印されてしまった。
- その後は精神だけの状態で魔王軍への指示を出し、終盤に復活。「超高密度魔法言語」により勇者軍を圧倒するも、最終的にはミナデインを受けて倒される。
- 竜王
- 3魔王の一人にして竜族を統括する支配者。実は『ドラゴンクエストI』に登場する竜王の若き姿である。
- 冥王ゴルゴナ
- 3魔王の一人。黒いローブをかぶった得体の知れない謎の魔導師。その正体はかつて異魔神を復活させたゴルゴナ率いる科学者たち7人の融合体であった。
- 獣王グノン
- 3魔王の一人で、膨大な数の獣軍団を率いる。普段は人獣型の姿を取っているが、正体を現すと巨大な四足獣の姿になる。
その他の主な登場人物
- ルナフレア
- カーメン騎士団長ボルゴイの娘であり、アルス達の剣の師匠。勇敢で男勝りな性格の持ち主であるが、包容力もあり、アルス達にとっては姉・母親代わりでもあった。魔剣ネクロスに支配されたサーバインとの戦いで幻魔剣の傷を負い、治療法が見つからないまま命を落とす(皮肉にも治療法が見つかったのはそれとほぼ同時であった)。しかしながらその存在はその後もアルス達に大きな影響を与え続ける。
- 序盤のカーメン城脱出の直前に「今日が初陣」という発言があるため、冒険開始時は20台後半であると思われる。
- タルキン
- カーメン城の大神官であり、ルナフレアと共にアルスを連れて落ち延びた一人。人のよい老人であるが、時折C調な素振りを見せる。僧侶系呪文のみならず一部の魔法使い系呪文も使いこなす万能選手であるが、一方で老齢ゆえその能力には限界があり、肝心の回復魔法は「ベホイミがやっと」であった。グノンとの決戦において万策尽きた際、活路を見出すためにメガンテを使用、壮絶な最後を遂げる。彼と、ポロンのお供のモンスター達の死はポロンに戦う意志を与え、覚醒を促す切っ掛けとなった。
- タオ
- アルス達が落ち延びた仙人の里に住んでいる仙人。外見的にはタルキンと大差ない年齢である。細い目が特徴的な好々爺と言った風体であるが、その出自には物語の根幹に関わる、ある重大な秘密が隠されている。乗り物に乗り胡座をかいたまま浮遊して移動しているが、あまり高くは飛べない模様。
- ティーエ
- アルス達が落ち延びた仙人の里の住民の一人である妖精の少女。明るく快活な性格の持ち主で、アルスや女性陣には親しく接するが、その他の男性陣にはキツいツッコミをお見舞いするパーティーのムードメーカーである。自然と対話し、植物の成長を促す能力を持つ。一方でどうしても戦力としては非力で(呪文も使用できない)、タイターンの針によるゴーレム召喚が出来るようになるまではサポートに徹する場面が多かった。その身にはある秘密が隠されているが、作中ではほとんど触れられていない。
- カダル
- かつて勇者アレルと共に大魔王ゾーマを討った賢王カダル当人。時の砂の呪文で若返りを繰り返しつつ、秘術の研究を行っていた。冒険に出て間もない頃のアルス達の前に現れ、彼らに修行を施す。その後はポロンに能力を移すため最後の秘術を使用し消滅した(自身は子孫を残せない体のため、その代替策)。額にもう一つの眼が表れており、それをサークレットで隠している間は妙に軽いノリになる。なおポロンが賢王として覚醒した後は、彼には「大賢者様」と呼ばれていた。
- ルイーダ
- アリアハンで冒険者の集まる酒場を経営している女性。勇者アレルが後のケンオウ達と出会った「ルイーダの酒場」の店主ルイーダの子孫に当たり、当然ながら件の酒場も当時から継続して経営されているものであるが…。
- イズナ
- ジパング一の鍛冶師・リハクの一番弟子である青年。神仙術という超能力のような能力を操る。その教えを活かし、アルス用の「ロトの剣」たる王者の剣を鍛えた。女王であるイヨに惚れ込んでいるが、リハク曰く「尻に敷かれるのが目に見えている」。
- サクヤ
- ジパングの少女。ごく普通の民間人である。歳が近いためかポロンと親しくなり、それが切っ掛けで物語終盤には彼に再起を促すきっかけの一つになった。エンディングの後日談では成長した彼女とポロンの結婚式が描かれているが…
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- ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 〜紋章を継ぐ者達へ〜 - ヤングガンガン
- 藤原カムイ (@kamuif) | Twitter
- 「ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章~紋章を継ぐ者達へ~」最終巻発売記念サイト
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