森近霖之助(もりちか りんのすけ)とは、東方Projectを題材にした小説、
「東方香霖堂~ Curiosities of Lotus Asia」の主人公。
概要
東方求聞史紀によれば、香霖堂は「幻想郷では唯一、
外の世界の道具も、妖怪の道具も、冥界の道具も、
魔法の道具も全て扱う道具屋」であり、客であれば人間、
妖怪共に拒まれることなく利用できる。
とはいえ、道具の殆どは拾ってきた物のようだ。
存在が明らかになっている主な商品を挙げると、
ストーブ(非売品)、本、コンピューター、ティーカップ、
草薙の剣(魔理沙から引き取った鉄くずに紛れていた。
非売品)、人魂灯、携帯型音楽再生機、ゲーム機、
コーラ、鳥居が刻まれた隕鉄、河童の五色甲羅、
つちのこ酒、写真機、三稜鏡、渾天儀、三百年前の皿、
干年以上前の壷の破片、携帯電話、テレビジョン、
浄水器、水煙草(非売品)と、正に種々様々、
玉石混淆の様相を呈している。
森近霖之助という名は彼が自分で付けたものらしく、
それ以前にどのように呼ばれていたかは定かではない。
因に今の彼の名には「魔法の"森"の"近"く、
霧雨と森を合わせて"霖"」という由来があるようだ。
人間と妖怪のハーフであるが、彼の出生に関する情報は
全くといっていいほど無く、どのような妖怪の血を引いているのか、
父親と母親どちらが妖怪(人間)だったのか、
またいつ生まれたか等も明言されておらず、
霧雨家で修行する以前の経歴についてはほぼ不明である。
彼の年齢についても明言はされていないが、
「彼女たち〔魔理沙や霊夢〕の『何倍も』永く生きている」らしく、
幻想郷が博麗大結界で隔離される以前より生きていると考えられ、
それが正しければ少なくとも120年以上は生きている事になる。
正確な時期や期間は不明だが、魔理沙が生まれる前に
霧雨家で修行をしていた。その後自分の能力を活かすため
独立し、魔法の森付近に道具屋「香霖堂」を構える。
独立した時期についても正確な所は不明だが、
魔理沙が物心ついた頃には店を開いていて、
またそのときには既に店にはかなり年季が入っていたらしい。
なお、彼は東方Project初の男性キャラクターである。
厳密に言えば設定上だけならば魂魄妖忌なども存在するし、その他モブキャラとしてならば里の人間など多数男性キャラはいるが、実際に姿が描かれて登場したのは彼が初めてである。
こんなにも男女比が極端なのは、ZUN氏の世界観に対する
考えによるものである。霊夢たちが日々繰り広げているのは
あくまで弾幕「ごっこ」であり、女の子がする遊びでしかないため、
そこに大人の男が介入してしまっては遊びでなくなってしまうからだ。
そのため、「弾幕ごっこではない日常」を描くという今までとは
趣の異なる作品にて初めて男性キャラクターの出演が実現したのである。
(従って、「ゲーム」に限定するならば未だに東方Projectは女性キャラオンリー)
「星蓮船」で男キャラである雲山が登場したため、オンリーとは言えなくなった。
性格
商売人と言うより趣味人。その為、自ら気に入った物を非売品にすることがある。
種々雑多な薀蓄を語り出すことがあって、阿求曰く「店主の話は適当に切り上げないと中々終わらない」と言われるほど。
彼の語る薀蓄は、店内の商品の説明、幻想郷特有の概念の解説、外の世界に関する考察等、多岐にわたる。
往々にして飛躍しすぎた論理を展開するため、一部では「キバヤシ」などと揶揄されることもあるが、文字通り「幻想」となったものが集まる幻想郷という世界の中では彼の推察は強ち間違いとも限らず、なんでもかんでも「な…なんだってー!!」で終わらせるのも考え物である。
外の世界の品物を扱うことが多く、その優れた技術には強い興味と憧れを持っている。自身の修行のため、いつかは外の世界へ行ってみたいと考えているようだ。
実は一度様々な偶然が重なり行ったことがあるのだが、八雲紫に引き戻されている。その時の事を霖之助は夢だと思っているようである。
能力
その名の通り、道具の名前と、その道具の用途が判る能力である。ただし「名前」と「用途」だけであってそれ以外は分からない(例えばパソコンなら「パーソナルコンピュータ」と言う名前と「情報収集・処理をする道具」と言う事は分かるが、どうすれば動き出すのか、どこを触れば入力出来るのか、動かすには何が必要なのかと言った事が分からない)。彼本人は何とかなるとは言っているが、実際何とかなった事例はあまり多くなさそうだ。
魔理沙の持っている「ミニ八卦炉」は彼の作成したものであり、自信作でもある。
僕が作成してやったマジックアイテムだ。
小さいが異常な程の火力を持つ。山一つくらいならこれ一つで焼き払える。
暖房にも実験にも戦闘にも何にでも使えるだろう。
このミニ八卦炉はただの八卦炉ではなく、いろいろな効果が出るように改良してある。
炉の一角から風が吹き、夏には涼むこともできる。
持っているだけで魔除けや開運の効果もある(と思う)。
何しろ外の世界のそういう”用途”のアイテムを溶かして混ぜてあるのだ。
これらは僕のサービス(趣味)である。
(―霖之助 東方香霖堂)
更に、魔理沙の依頼によって炉全体を緋々色金(ひひいろかね。錆びることなく、どんな環境下でも材質が変化しにくい、希少な金属)にするという改修を行った際に、空気を綺麗にするという機能も追加されている。
元々は彼自身が昔使っていた魔法で暖める火炉だったらしく(恐らくは魔理沙に与える際に改良し、先に記した機能を追加したと思われる)、マジックアイテム作成の技術と併せて、魔法には造詣が深いようだ。
作中でも何度か魔法に関する知識を披露している。
他には霊夢のお払い棒や巫女服も彼の手によるものである。
風見幽香の傘も『東方求聞史紀』内の記述により霖之助が機能について詳しいことが把握できるので、彼の製作物か、あるいは元々傘が香霖堂の商品かもしれないという説もあるが、これは推測の域を出ないものである。
因みに幽香の傘は紫外線や雨だけでなく、弾幕も防げる優れ物。
交友関係
書籍の中では基本的に良好であることが多く、それに店の方針からか、種族は問わず交友は幅広く見える。
この中では特に(東方香霖堂での出番と)付き合いが長い2人を記述する。
霧雨魔理沙
彼女が生まれる前まで霖之助は霧雨家で修行をしていた為、幼い頃からの付き合いのようだ。
『物が多く心地よい暗さの店内』と幼心に思ったと表していたので、少なくとも魔理沙が実家から出る前から何度も足を運んでいたものと考えられる。
霊夢と同じかそれ以上の頻度で香霖堂に冷やかしに行く。特に用も無いのに訪れては勝手に店の物を持っていくなど、おおよそ客らしいことはしていない。
しかし、蒐集癖のある彼女が集めた「ゴミ」を「不当に安い条件」でいつも引き取っていたりする。実はこの「ゴミ」には草薙の剣など稀少な品も含まれていることがある為である。そのことで魔理沙に遠慮をしている部分があるが、その理由は「魔理沙を騙してばっかじゃ後が怖いから、予防線を張っているだけである。魔理沙が成長して騙していたことがばれたとしても、返せと言われないようにするためだ。」と自身で説明している。
魔理沙自身はその霖之助の態度を、彼女の実家であり、霖之助が嘗て世話になっていた霧雨家への遠慮と捉えており、快く思っていないが、傍から見る限り霖之助が魔理沙に遠慮している様子はほぼ無い。
個人的な付き合いでは、霖之助のために食材を持って来たり、食事を作ってあげたり、冬にストーブの燃料を切らして困っている彼のために紫を探しに行ったりと、かなり献身的である。
霖之助のことは「香霖」と呼ぶ。
宴会や花見へもよく誘う。が、大体は断られている。霖之助の方でも、稀少な緋々色金を使って修理したミニ八卦炉を受け取り喜んでいる魔理沙を見て、「わざわざ交換条件にしなくても良かったかも」と考えるなど、魔理沙に対してはかなり甘い。
霖之助は、魔理沙が勤勉な努力家である事を見抜いており、魔法の森に生えている茸に関する知識などにはそれなりに信頼を置いているようである。幻覚作用のある茸を食べさせられたこともあるが。
ミニ八卦炉や魔理沙の蒐集癖は実家にいた頃に、霖之助と彼女の親との口論(内容は不明だが、緋々色金に関する事らしい)を盗み聞きした事に端を発していたり、4、5年前から流星群が見られる時期に香霖堂で行うのが毎年恒例となっている流星祈願会の第一回をきっかけに星に因んだ魔法を使うようになったりと、魔理沙を魔理沙たらしめている要素には、霖之助が絡んでいることが多い。
博麗霊夢
香霖堂へは魔理沙と並びかなりの頻度で訪れている模様。
特に用も無いのに訪れては勝手に店の物を持っていったり、勝手にお茶を淹れて飲んだりと、おおよそ客らしいことはしていない。因みに香霖堂には(なぜか)彼女専用の湯のみがある。
彼女の身に着けている服や道具(お払い棒など)は霖之助が作ったもので、季節毎に服を仕立ててもらっているようだ。
服の意匠が霖之助の趣味なのか霊夢の趣味なのかは不明。
尚、これらの仕事に対する料金を彼女は「ツケ」にしており、現在に至るまで、少なくとも金銭の形では一切払っていないと思われる。
霖之助のことは「霖之助さん」と呼んでいる。
前述した通り、客としては碌な事をしていない霊夢だが、香霖堂周辺に異変が起きた際にはいち早く駆けつけたり、幽霊除けのお札を提供したり、霖之助が拾い物で食い繋いでいるという情報(魔理沙から得た、誤った情報である)を聞いて心配して様子を見に来たり、魔理沙が店の商品を無断で持ち去ったのではないかと危惧して報告に来るなどといったこともしている。
そのためかどうかは不明だが、霖之助にはそこまで邪険にはされていないようである。
一度巫女服が破れ霖之助に修繕の頼みを行ったとき、彼の服を勝手に着たり、博麗神社の信仰を取り戻す為の相談を持ち掛けるなど、霖之助のことはそれなりに信頼していると思われる。
霖之助の薀蓄話も割と真面目に聞く方で、『東方香霖堂』作中で霖之助が薀蓄を披露する相手は彼女である場合が多い。
また、酒の造り方や運と確率の話など、自らの得意とする分野では普段と立場が逆転し、彼女が薀蓄を語ることもある。
原作(ゲーム)での台詞
原作ゲーム中において霖之助・香霖堂関連の発言は少ない。長い間発言者は魔理沙のみであったが、『東方星蓮船』においてナズーリンが『香霖堂』を思わせる発言をしている。
東方萃夢想 |
東方花映塚 |
マッチモード VS霊夢 |
マッチモード VSメディスン |
東方緋想天 |
対戦 VS妖夢 |
東方星蓮船 |
Stage5 早苗B |
二次設定
- 幻想郷の道具屋
香霖堂は現時点で唯一その存在が明確にされた道具屋であり、なおかつ霖之助が“道具の名称および使い道が分かるという能力”と“ミニ八卦炉などの魔法道具を作れるほどの技術”を持っているという事から、彼が登場する二次創作作品では大抵の場合その能力を使って未知のアイテムを鑑定・研究したり、そして必要とあらば他のキャラにそういった面でのサポートを行う裏方的存在として登場する場合が多く、さらに最近では東方の二次創作ゲームにおいてもいわゆるアイテム屋として香霖堂と霖之助が登場する例も増えている。
また、香霖堂は幻想郷では珍しい外の世界の道具を扱っている店という設定のため、いわゆる幻想入りシリーズにおいては外界から来たキャラクターが外の世界にしかない道具を調達するために香霖堂を訪れ、そして霖之助と接触するという展開もよく見られる。霖之助自身も外の世界の情報には強い興味を示しているので、そこから幻想入りキャラクターとの接点や交流が生まれたり、作品によっては本筋に深く関わってくる場合もある。 - 解説役&アドバイザー役
霖之助が“弾幕ごっこは行わないが、深い知識と高い技術を持つキャラ”という位置づけのため、作品内で起こった物事の原因や詳細を考察・説明したり、また原作でもそうであったように時には言葉と単語の意味を深読みしたりといった学者・解説者風のキャラとして描かれている場合が多い。一方で、原作では自分の構築した理論を薀蓄として他人に語る場面も多いが、その所為か作品によっては他人には理解しがたい理論を延々としゃべり続けた挙句、意味不明な結論をつけたりするキバヤシ的なキャラとして描写される事もある。 - 隠れた実力者
東方Projectの世界観の関係上、あくまで非戦闘キャラとされている霖之助であるが、その過去設定には謎が多く、なおかつ求聞史記の英雄伝にその名前が記載されている事から「本当は強いのではないか?」と解釈されることも少なくない。原作でも飛行や弾幕攻撃が出来るかどうかは不明で、自身も「荒事は苦手」と自称しているものの、幻想郷でも指折りの危険地帯である無縁塚で道具の蒐集をしたりとギャップのある描写が存在する。一部の二次創作の中では『香霖堂』本編の第4話で入手した草薙の剣を振るう剣士として描かれる事もあれば、知識と口先を駆使して自分よりも格上の相手をやり込めてしまう策略家として描かれる事もある。 - 霊夢・魔理沙にとっての保護者的存在
上記の交友関係の項にもあるように原作において霖之助は主に霊夢と魔理沙の使用する衣装や道具を製作しており、また二人もよく香霖堂に入り浸っては互いの世話をしたりされたりしているという設定から、彼女達より成熟しているように見える霖之助が二人を兄あるいは父親のように見守るキャラクターとして表現される事もある。 - NLカップリング要員
東方シリーズにおいて数少ない純正の男性キャラであるため、彼と同シリーズに登場する少女達を組み合わせたいわゆるノーマルラブ(NL)のカップリングも数多く存在しており、もとより霊夢や魔理沙をはじめとする原作登場キャラとの組み合わせはもちろん、原作には未登場のキャラクター達とのカップリングもファンによって生み出されている。
組み合わせの詳細は「東方Projectのカップリング一覧」を参照。 - フラグクラッシャー
上記のカップリングネタから派生したもの。他の女性から好意を持たれつつその好意を知ってか知らずかあっさり無下にしてせっかく立った恋愛フラグをへし折るというギャグ要素の強いラブコメ的なネタとしてよく使われる。
設定元は『東方香霖堂』本編第13話にて魔理沙、妖夢、レミリア達からの花見の誘いを尽く断りまくった場面からそういうイメージが付いたものと思われる。 - こーりん
東方最萌トーナメント2にて誕生した霖之助=褌一丁の変態男という二次設定。
特に原作でもそう連想させるようなものはなく、そのため“咲夜=PAD長”、“輝夜=ニート”、“藍=スッパテンコー”などと同じくキャラを貶めるマイナスイメージの根源としてこちらも霖之助ファンからは強く否定されており、現在ではこーりん愛好者との住み分けとイメージの衰退も進み、ニコニコ動画やPixivにおいてもほとんど見られなくなっている。
詳細な設定と発祥の経緯については「こーりん」を参照。
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関連項目
外部リンク
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