経済産業省(経産省)とは、日本政府を構成する「省」のひとつ、産業育成と貿易監督を担う中央官庁である。英名はMinistry of Economy, Trade and Industry。METI(メティ)と表されることもある。
概要
法律と政府方針に基づいて、日本で活動する企業を指導、補助金をばら撒いたりして 産業育成とエネルギー政策を担当している中央官庁である。その性格ゆえにあらゆる政策分野に首を突っ込める、限定された総合官庁とも言われる。良くも悪くもいろんな意味で痛いところがある官僚組織だと思っておけばおそらく間違いはない。
旧称は通商産業省。
歴史
1881年(明治14年) 農商務省が設置される。ときは「富国強兵」「殖産興業」の真っ只中である。
1925年(大正14年) 商工省と農林省(現在の農林水産省)に分割される。
1943年(昭和18年) 軍需省に変身。ときの軍需次官はのちに「昭和の妖怪」と呼ばれる岸信介。
お仕事
- ○○はわしが育てた。(○○=鉄鋼、自動車、電機、etc.)
- ○○はわしが潰してしまった、すまぬ…すまぬ…。(○○=ゴム、石油開発、国産旅客産業、etc.)
- 官民合同出資の××ファンドというニュースが出たらまず経済産業省が担当していると思ってよい。
- 栄光と失墜の歴史から、毀誉褒貶が激しい組織である。
- 企業や業界団体に対して、色々な法律やルールを通達する(特に電力業界とは緊密な連携が求められる)。
- 政府の経済振興政策に沿って、企業や事業に補助金を出したり、後援したりする。
- もろもろの商品の輸出入を監督したり、記録したりする(※税関実務は財務省の所管)。
- 企業と一緒に、大きな事業の方向性を考えたりすることも。
- 企業(特に日本経団連)の要望なんかを聞き入れる。癒着しているとも言う。
- JETRO(日本貿易振興機構)と結託して、世界を飛び回りながらあんなことやこんなことを調査する。
- エネルギー政策も所管するが、何度も痛い目を見ている。詳細は下記参照。
- 産業技術総合研究所を配下にもつあたりからいろいろお察しください。
- 退職後著名になる人が多い(村上世彰=村上ファンドの人、堺屋太一、岸博幸など)。これは天下りできる業界が極めて少ないためだと言われる。職業柄、インサイダー疑惑で職員が捕まることもある。
- 一部職員が強力なTPP、ACTAの推進派(編者はこの件については経済産業省のプロデュースミスだと思いますが、どう思うかは各自ご自由に掲示板にどうぞ)
- 韓国に石油備蓄基地を設置する案を出すが、省内を含めた全方位から反発を受け、あっさりと引っ込めた。
- YS-11で国産旅客機事業に失敗。諦めきれない経産省は2013年現在、MRJ計画(小型ジェット旅客機開発)に力をいれ、開発助成金という形で三菱に協力している。
- 総務省、文部科学省、国土交通省と共同で準天頂衛星システムの構築に取り組んでいる(予算分担率は26.7%)。
- 東南アジア諸国向けに日本のドラマやアニメ、グルメなどの番組を放送する専用放送局(ジャパン・チャンネル)を運営する為、クール・ジャパンファンドを創設予定。
- 「復興は不要」「高齢者は早く死ね」「天下りまであと3年」などとブログに書いた経産省官僚が身元バレにより炎上、処分となった。経産省の課長などを務め、2013年6月から外郭団体に出向していた。処分は停職二ヶ月の懲戒処分。なお、出向先は日本貿易振興機構(JETRO)である。それ以前の2010年には防衛省経理装備局に出向していた。このような日本国にとって重要な組織を渡り歩く人物にしてはあまりにも浅慮すぎると言われても致し方ない一件である。
- 福島県沖合いにて丸紅や清水建設、日立製作所など10社と東京大学と組んで大規模洋上風力発電の実証研究を2013年11月から実施。基礎データを集めている。
- 家庭向けガスの全面自由化など協議を開始している。同時に企業によるLNGの共同調達に対して支援を追加、具体的にはJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)による権益取得時の債務保証を拡充を検討中。エネルギー政策は彼らにとって地雷苦手分野である為、一抹の不安がぬぐえいきれないが、日本の今後のためにも是非ともプロデュースの成功を期待したい。
- 日本の生活支援ロボットを国際安全規格としてISO13482に認定させることに成功。事実上、日本の国内仕様がISO化した。今件は見事なプロデュースであり素直な拍手を送りたい。
- 産業用の3Dプリンターの開発を国家として後押しするプロジェクトを14年度から立ち上げる。初年度の開発予算は約37億円。大学や企業などへの研究・開発委託となる。方式は電子ビームとレーザービームの両方式ではじめる。欧米製より製品精度で5倍、造形速度で10倍、価格は5000万円以内、2020年あたりの商品化を目指す。高品質で少量生産に耐えれる商品の開発が目標である。
- 経済産業省の繊維流通統計が改ざんされていたことが判明した。西村清彦統計委員長が「ねつ造であり深刻だ」とコメントしている。データ捏造は論外であり組織の改善が必要な事案である。
- 「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を策定、セブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズの全ての取扱商品で共通仕様の電子タグを利用することで合意を取り付けた。
経産省とはいったいどんな官庁なのか
前知識
三行で説明
栄光
日本の高度成長期における産業のプロデュースは主にこの官庁が中心だったといわれる。
すなわち「日本株式会社」の実質の司令塔だと国内外から目され、1990年代のアメリカの対日本経済政策ではこの官庁に対する攻撃が正式に検討されたという事実がある。当時の通商産業省の名称からMighty MITI(マイティ・ミティ)などと評された。
それが行えた最大の理由として、どんな政策にでも首を突っ込める権限の幅広さに対して、所管業界が少ないこと。資源エネルギー庁、原子力安全・保安院を下部に持っていたことからわかるように、エネルギー政策に大きくかかわっていたことなどがあげられる。
さらに、官庁の出自として商工省・貿易庁・石炭庁を統合して発足したという経緯、民間の情報収集に強い商社たちからの情報提供を受けられるという立場を最大限に利用し、半導体など各種工業製品の製造サイクル指導において週間単位で需要を的中させ日本を屈指の工業・経済大国へと導いたとされる。
転落
その一方で、守りに入ったり業界の本質を理解していなかったり余計なことをしたりなど諸々の理由から、見事にプロデュースに失敗した業界も複数存在する。わかりやすいものとしてはゴム製品産業。将来の展望を見出せなかったのかことごとく守りに入った結果、事実上完全に壊滅させてしまった(現在ブリヂストンなどごく少数企業しか名前を聞かないことからお察しください)。
また、石油公団をプロデュースし総合的な自主原油開発をもくろんだが大量の赤字を出して失敗。
1990年代には所管業界となった情報処理産業で大きく躍進をもくろむものの、Σプロジェクト(シグマプロジェクト)やホストコンピュータへの傾倒、根本的に人月計算の業態を改善できなかったことなどから、やはり大きく花を咲かせることをできずに産業を衰退させてしまった。
大体、補助金を確保して甘やかした ばら撒いた結果、産業を衰退させてしまっていることが多い。それゆえに、バブル以降はNotorius MITI(悪名高き通産省)という有難くない名前も頂戴している。
痛恨のミス
オイルショックの後、通貨の上下によってエネルギーコストがぶれるのを嫌ったことから原子力推進の立場をとった。この判断は当時としては間違ってはいなかったはずだが、1990年代後半あたりからCO2排出に対しての世間の目が厳しくなり、火力発電への風当たりが強くなったこと、また産業育成の立場からオイルショックの二の舞を避けたいという判断により、下部組織であった原子力安全・保安院が形骸化していった。
結果、2011年の東日本大震災においてリスクヘッジに失敗し大きくクラッシュさせてしまった。なお、この件については政府・与党が推進した国策であったため経済産業省だけのミスではないことだけは言明しておく。
長所・短所
以上の歴史が証明するように、根本的にエネルギーコントロールについては非常に多くのミスをしてきた官庁であるといえる。また、数少ない所管業界のひとつである情報処理産業がブラック産業化していることからわかるように個別業界の指導面で問題があることも多い。
その一方で、いまだに商社との連携は続いていると言われており、はっきり言い切ってしまうのは問題があるが、海外の産業情報の収集については外務省よりも長けていると言われる。
中国のレアアース・レアメタル対策においては稀少元素不要の製品開発をプロデュースする傍ら、商社たちが他国からのレアアース調達・確保に成功、これにより中国のレアアース外交という外交カードは事実上無効化された。以上の事実から、分野によっては未だ見事なプロデュースがこなせることが伺える。
アドバルーン官庁
上記にあるように民間企業やJETROから生の情報が手に入ること、そして許認可行政や補助金行政の権限が他官庁と比較して非常に小さく、というよりもその歴史からほとんどできないことから、単発の政策アイディアで一発勝負、つまりネタ師化してしまっている官庁となっている。
その内容としては真っ向から他省庁の縄張りに割り込み政策案を提言しまくるというもので、しかもただのアドバルーンで終わることが多いため、アドバルーン官庁ともいわれる。同時に他省庁(国土交通省、農林水産省、厚生労働省などの現業を監督する官庁)とよくもめる喧嘩官庁でもある。
つまるところ現在は産業育成のネタを探してプロデュースする事がメインとなっているのである。
ぶっちゃけていってしまえば面白くもドジ、時折浅慮な組織である。本当はもう少ししっかりしてもらわないと困る官庁なのだが…。
そして伝説へ
この経済産業省、かれこれ20年以上前から夏冬のコミケにて(あくまで個人ではあるが)担当者がぶらついて情報収集をしていると言われ続けてきた官庁であり、実際に会場にいるところを写真に取られていたりする。(節電が続いていたC81において「数十万人が参加する行事が見込まれる日の特定の時間帯に急増する需要に対するための鉄道事業又は軌道事業の用に供される需要設備(案内軌条式の路線に係るものに限る)」という名目でこっそりとコミケの足である「ゆりかもめ」の電力制限を緩めていた)
そして2013年には「ニコニコ超会議2」を後援することとなった。
ここまで読み進めてきた猛者であればこの事実にさまざまな思いが浮かぶことと思うが、まずは一言言ってあげよう。
経産省P乙です、と。
経産省は
人が運用する組織である以上、すくなからぬミスをする。
時折、多くの人が絶句するようなプロデュースミスをすることもあるが、笑えるものは笑い、笑って済まされないものはしっかりと怒ってあげる事が、産業プロデューサーの雇い主たる国民の義務でもある。
今後とも彼らがまっとうなプロデューサーへの道を見失わず、殖産興業の職務を正しく全うすることが、過去の功罪両面を知る多くの国民に望まれている。
所管の外局・独立行政法人など
所管の業界・特殊会社など
所管の公営競技
公営競技とは、一言でいうと公営ギャンブルである。
収益性の悪化からオートレースと競輪を統合。管理団体も2008年4月1日に財団法人JKAに統合されている。
なお、競輪の衰退の原因は一般的に度重なる暴動事件や施設の老朽化と言われているが、それ以前に所管する経済産業省が全くと言っていいほど有効な改善方向を提示できなかったことも大きい。
自身のもつ公営競技でまでプロデュースミスするあたりさすがである。
特別会計
ニコニコ動画との関係
2013年4月27日・28日の「ニコニコ超会議2」を後援することが発表されている。
関連動画
関連商品
関連項目・外部リンク
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