『オーバーマン』とは、アニメーション作品「OVERMANキングゲイナー」に登場したロボットの一系統の名称である。
フォトンマットリングに包まれて飛翔し、各個体ごとに異なる特殊能力「オーバースキル」を備えているのが特徴。
「キングゲイナー」は、総監督・富野由悠季が考案したシルエットマシンと呼ばれる、「外観そのものがエンジンの役割を果たす」機械が普及した世界であり、オーバーマンもその進化発展形とされる。しかしオーバーマンには富野の「UFOのように不可思議な存在にしたい」というコンセプトもあって、彼がこれまで作ってきた「ガンダム」「ダンバイン」ほどには詳細なメカニズムが設定されていない。
そもそもオーバーマンの基本能力となっている「オーバースキル」自体、ストーリー構成・メイン脚本の大河内一楼の案であり、「監督にNGすれすれで通った」というしろものだった。さらに富野が序盤や最終話以外、ほぼ脚本に注文をつけなかったこともあり、脚本スタッフによる自由な発想が、理論的に説明しがたいオーバースキルとして採用されている。言わば、脚本が何でもありの無法地帯となっていたのである。
NGすれすれだったとはいえ、時には富野も脚本にワル乗りし、結果――
「ケジナンのプロポーズ」
「ゲイナーの告白」
「ドミネーターのプリン」
といったアニメ史上に残りそうな迷シーンが多数生まれた。これらは「アデット先生」「ヤーパンニンポー」なども含めて、脚本無法地帯がもたらした怪我の功名のようなものである(※ヤーパンニンポーに関しては、オーバースキルの元ネタ用に脚本の野村祐一へ忍者漫画を渡したら、なぜかガウリが忍者になっていた、という訳の分からない経緯がある。しかも絵コンテ段階で富野が新たな忍法を書き加えている)。
本記事では、富野御大およびオーバーマンの基本デザインを担当した安田朗らの初期設定案や、DVD付録のブックレットなどを参考に、時には私見を交えながら「オーバーマン」というメカニックについて解説している。
上述したように、オーバーマンも本作品の一般的メカ・シルエットマシンの技術を踏まえて作られている。
劇中でシルエットマシンあるいはシルエットエンジンと呼ばれる機械は、金属筋肉(メタルマッスル)という構造材に分子レベルで組み込まれた素子が、振動発熱することでエネルギーを生み出す仕組みになっている。このため現代文明で言うところの内燃機関(エンジン)と呼べる部品は存在せず、そのマシンの外形(シルエット)そのものがエンジンであるという意味でそう呼ばれる。よって厳密にはシルエットエンジンは機関で、シルエットマシンはそれを搭載したメカの名称なのだが、劇中では区別せずに呼ばれることが多い。
こうした構造のため、シルエットマシンは内部容積にとても余裕がある。パンサー、ドゴッゾなどのコックピットは一見狭そうだがオーラバトラー、アーマードトルーパー、レイバーなど、近いサイズのロボットに比べるとずっと広く、天井や足元に余裕が見られる。
オーバーマンとは「シルエットマシンの技術を徹底的に高めたもので、その段違いな性能差が外見上の形状によっても明確であるため、いつしかその種のシルエットマシンを『オーバーマン』と呼ぶようになった[※1]」というものであり、性質があまりに違うことから別種のマシンのようにも見えるが、一応シルエットマシンの仲間である。
オーバーマンはバッテリーを内蔵した骨格にメタルマッスルを固定し、アタッチメントとして皮膚的外装(装甲=服=ファッション)を取り付けた構造[※2]になっている。その仕組みは通常のシルエットマシンよりずっと人間に近い。ファッションを換装(着換え)することによって、用途に特化したさまざまな機能(オーバースキル)を発揮できるのが最大の特徴。この着換えをコートといい、劇中ではキングゲイナーがブラックメールの、エンペランザがプラネッタのコートを重ね着して、それぞれのオーバースキルを使用した。
このオーバースキルは概要で述べたとおり、「なんでもあり」前提なので、いわゆる超能力や魔法の同類とみなしていい。解釈の緩さはキングゲイナーという作品の魅力でもある。
シルエットマシンをはるかに凌駕する出力によって、オーバーマンはいずれも自由に浮遊、飛行することができる。その機能を支えるのがフォトンマットリングと呼ばれる力場で、これはブレンパワードのオーガニックエナジーと表現的に近いものだが、よりメカニカルでアクティブな装置であり、コンクリートをたやすく分解するほどの威力を持つことから、シールドあるいは飛び道具として用いられる[※3]。
シルエットマシンとオーバーマンは同じシステムで動いているが、フォトンマット、オーバースキルといった突出した性能差によって「ある種の干渉波」が起こる場合がある。これが劇中でたびたび描かれるシルエットマシン停止現象の原因である。これを避けるにはゲインのガチコのように、オーバーマンのパーツを取り込むといった裏ワザが必要になる[※4]。
オーバーマンは総じてシルエットマシンより強力だが、ヤーパンの天井ら一般人が生産できないのは、ロンドン・イマやシベ鉄が技術独占しているか、パーツの生産には特殊な設備が必要なためと考えられる(私見)。ただし整備調整は一般の施設でも可能なようで、劇中において運び屋エリアルが運んできたオーバーマンのパーツを、「ヤーパンの天井」の整備スタッフが組み立て、エンペランザを完成させている。
※1 シルエットマシンを越える(OVER)もの、装甲服で覆った(OVER)ものといった意味が語源らしい。
※2 この構造は富野の初期案からあり、これを聞いた安田朗が「サバイバルゲームで服のたるみに弾があたっても痛くなかった」といった経験から考え出したのが、他に類を見ない「着ぐるみロボット」である。 安田案によれば、装甲服はワイヤーで織られた繊維になっており、これによって可動部にできるシワが、もろい関節部を守る一種の防御機構として働くのだという。そのためオーバーマンの表面は、叩くと「ゴンゴン」というより「ペチペチ」という感触になっているとのこと。
※3 富野の初期案には「シルエットエンジンのフレーム(骨格)とメタルマッスルエンジンが排出する余剰熱を、加速転化するアタッチメントが改善されると、シルエットエンジンはかなりの距離を飛翔し、ホバリングもできるようになった」とあり、これがフォトンマットリングの仕組みの一部と思われる。
※4 安田朗による落書き同然のメモによれば「オーバーマンのメタルマッスルは、シルエットマシンの100倍に達するほど高度に集積されているので、それをコントロールする能力も強力。このためオーバーマンがアイドリングを上げると余剰コントロール出力によって半径50m以内のシルエットマシンが影響を受け破壊される(意訳)」とある。その光景はあたかも土下座する下級武士、とも。この設定は「UFOに遭遇すると自動車が停止」する、という超常現象を取り入れたものである。
オーバーマンはシルエットマシンの上位カテゴリとしてひとくくりにされているが、さらにその中でも性能や発祥によって三つの種類に区別することができる。
フォトンマットリング、オーバースキルを備える普通のオーバーマン。ゴレーム、ブラックメール、ジンバなど。設備しだいでは量産も可能らしく、実際ロンドン・イマの特務隊セント・レーガンには、オーバーマン・ゴレームが多数配備されている。
アンダーゴレーム、ブラックドミのように、二機以上で連携しないとオーバースキルを発動できない廉価機体もいちおうこちらに振り分けられる。
名称的には初期(early)の技術を用いたオーバーマンと推定される。ブリュンヒルデ、キングゲイナー、ドミネーターなど。別名を「オーバーデビルの末裔」。基本能力に加え、「オーバーフリーズ(オーバーコールドと呼ぶ場合もある)」というオーバーデビルのスキルも発動できる(※ブリュンヒルデに関しては不明)。オーバーマンのテクノロジーは、オーバーデビルが作られた数百年前のほうが高かったらしい。
DVDブックレットにはドミネーターが「最新鋭のオーバーマン」とされ、ロンドン・イマ側にアーリーオーバーマンが出なかったことから、劇中の時点でアーリーオーバーマンを製造できるのは、デビルを隠匿していたシベ鉄だけのようである。
オーバーマンとしての性能が限定的な機体。アントリオン、マッチョン(シンシアが訓練中に乗っていた機体)など。オーバーマンとして飛行能力は持つが、スキル発動が局所的だったり、そもそもなかったりする。この区分けでいくと、ブリュンヒルデの左腕を持つガチコもセミ・オーバーマンと言えそうだが、区分けはシルエットマシンになっている(たぶん、飛べないので)。
以降は劇中で活躍した主要なオーバーマンについて解説している。出身地となっているのは製造された場所とは限らず、劇中で所有していた勢力、安置されていた場所の場合もある。添えている画像は、お絵カキコにキングゲイナー以外の画像がないので、それぞれ縁のあるものを採用している。
ウルグスク出身。全高:成人男子の4.2倍、全重量:毛長象の1.4頭分。
ウルグスクの領主であるメダイユ公が、美術品と偽って秘蔵していた超高性能のオーバーマン。名称は主人公であるゲイナーがつけたもので、正式名称は不明。主力武装はリボルバーガンとチェーンソーを合体させた武器「チェンガン」。チェンガンの弾倉には三発しか弾を込められないのだが、劇中では何度も四連射以上していたような気がする。弾薬が特殊な構造をしているのかもしれない。
しかし最強の装備はなんといっても左腰についているポシェットである。この内部ではチェンガンの弾薬が無尽蔵に生産されているほか、状況に応じてチェンガンランチャーと呼ばれる特殊弾頭を作り、終盤にはもう一丁チェンガンを作り出し、オーバーデビルをあと一歩のところまで追い詰めた。どう見ても四次元ポケットです本当にありがとうございました。
オーバースキルは「加速」。周辺分子や自分自身を加速する能力があり、これにゲームチャンプであるゲイナーの能力が合わさることによって、「時間停止を打ち破る」「無数の弾丸をかいくぐる」「無数の幻を全滅させる」といった荒業をなしとげた。
顔の形状からも間違いなくオーバーデビルの末裔であり「オーバーフリーズ」も使うことができる。最終回ではそのオーバーフリーズを打ち砕く「オーバーヒート」も使ったが、これは「加速」を極限まで高めたものか、あるいはキングゲイナーの第三スキルであるかははっきりしていない(おそらく前者と思われる)。
※安田朗によるデザインコンセプトが「ウルトラ怪獣のウー」というのは有名な話。そこにスノーボーダー的なコスチュームが肉付けされ、「スーパーロボット大戦Zスペシャルディスク」にも登場した「XAN」を経て、現在知られるデザインになった。「加速」という能力は、目標に向かって動き出すエクソダスという行為と重ねられたものであり、停滞し凍ってしまうフリーズと対局をなす、とは大河内の案である。
リマン・メガロポリス出身。全高:成人男子の4.7倍、全重量:毛長象の2.3頭分。
シベリア鉄道警備隊隊長ヤッサバ・ジン専用のオーバーマン。信号機を連想させる頭部が特徴。固定武装として両手の付け根に二連装ランチャーを内蔵しているが、主力兵器はベロウズというフイゴ状の火炎放射器。
オーバースキルは「時間停止」。手のひらから放たれるストップビームを浴びたものは、すべて一定時間動けなくなり、ラッシュロッドによって一方的な攻撃が加えられる。またストップビームで停止した物体には、本来使うはずだった運動エネルギーが蓄積されるため、解放時にはそれが一気に爆発する。ヤッサバはこの性質を利用し、気象を停止した場所へキングゲイナーを誘導して、自分に有利な戦況へ持ち込んでいる。ヤッサバ、脳筋な見た目よりは策士である。
時間停止は全編を通して見てもかなり強力な部類のスキルなので、キングゲイナーのスキルが「加速」でなければ負けていたかもしれない。
※本当なら最終回あたりに出そうなスキルだが、大河内は「だからこそ最初に出した」と述べている。おかげで他のライターがスキルのアイデアに苦労させられた。時間停止とオーバーフリーズは性質が似ているので、ラッシュロッドもアーリーオーバーマンだったのかもしれない……というのは記事作成者の私見である。
リマン・メガロポリス出身。全高:成人男子の3.7倍、全重量:毛長象2.2頭分。
撃破されたラッシュロッドに代わり、シベリア鉄道警備隊に配備されたオーバーマン。ケジナンが形ばかりのヤッサバ救出に使用したあと、ヤッサバに奪われキングゲイナーと戦った。武装は両手の爪と両脇にある二連機関銃×2。
戦闘力は高くないが、オーバースキル「透明」は、いかなるセンサーも誤魔化すやっかいな能力で、さしものゲイナーも苦戦した。これを打ち破るために考え出した作戦が、味方の弾幕に向かって飛ぶ、という命知らずなものである。機体性能とパイロットの技量差が反映された勝敗となった。
※コートの分離設定がしっかり作られていたことから、キングゲイナーや巨大化したゲイナー自身がブラックメールのコートを着たりと、のちのちまで大いに活用された。演出の宮路昌幸によるオマケ漫画では、富野御大までが本機のコートを着ている。
ロンドン出身。全高:成人男子の5.2倍、全重量:毛長象1.7頭分。
ロンドン・イマ(ロンドン国際監視機構=International Monitoring Agency)の特務部隊セント・レーガンの士官用オーバーマン。世界各地のドームポリスを監視する組織の機体だけあり、ハンドガン、長距離ライフル、フォトンマットリング変形のディスクハープン、追加コートのパワーコートなど多彩な装備を持っている。主なパイロットだったアスハム、ザッキがさほど強敵たりえなかったこともあって、後半にいくほど当て馬的イメージが強い。特にドミネーターやオーバーデビルにはゴミのように蹴散らされている。
オーバースキルは「硬化」。文字通り防御力を高めるものだが、それだけに地味。初登場時以外は特に硬くなったイメージもない。パワーコートを着込むことで「怪力」が追加される。これは「ヤーパンの天井」の都市ユニットをひっくり返すほどの腕力を発揮するが、どうやら希少な装備らしく一回しか登場していない。
ロンドン出身。全高:成人男子の4.8倍、全重量:毛長象の1.4頭分。
セント・レーガンの一般兵用に配備されている、ゴレームの廉価版。アスハムの指揮下におさまったシベ鉄のケジナン、エンゲ、ジャボリらも操縦した。アンダースティック、シールドガン、ハンドガン、リモートフィストと装備の多彩さではゴレームに劣っていない。座禅を組んで飛行することから、ヤーパンの天井側から「仏像メカ」と呼ばれる。
オーバースキル「衝撃(マッハバンドシェイカー)」は超振動衝撃波によって目標を粉砕する強力な攻撃だが、二体以上連携しないと発動できない、という大きな欠点をかかえている。
※マッハバンドシェイカーの元ネタは、デジタルアニメの処理中に出る画面のスジ(マッハバンド)で、例によって富野御大の閃きである。
ボリチェフ出身。全高:成人男子の5.5倍、全重量:毛長象3.2頭分。
ボリチェフの領主、ピルウィッツ公爵からアスハムが徴収したオーバーマン。腕が伸縮自在で、膝の裏に装着しているジンバブレードを使って戦う。基本的な戦闘力はあまり高くない。
オーバースキルは「窃盗」で、その手先はあらゆる障害物を無視して目標内部に侵入する。これによって敵の弾薬からオーバーマンのメタルマッスルまで奪い取った。収集物は背中の袋にため、奪った武器で戦うこともできる。
※序盤のオーバーマンやオーバーデビルをデザインした安田朗は、諸事情から中盤以降のデザインに参加できず、ジンバ以降は富野御大が基本デザインし、山根公利と吉田健一がアニメ用に描き起こした。このためキングゲイナー中盤のオーバーマンは、他のアニメではなかなかありえない変なすばらしいデザインが多い。
出身地不明。全高:成人男子の7.7倍、全重量:毛長象8.2頭分。
初代のミイヤ(アーリー・ミイヤ)が乗っていた謎の多いアーリーオーバーマン。オーバーマンとしてはかなり巨体で、頭部に一対、肩に二対と計六本の腕があり、一定の自我を備えるなど、デビルの血統の強さを匂わせる。なんらかの理由により左腕の一本が欠損しており、これがゲインのガチコの左腕におさまっている。頭部からビームを発射し、巨体を生かしての格闘戦も得意。フォトンマットリングによるバリアも、普通のオーバーマンより強靭である。
オーバースキルは「重力」。背中から重力ガスを噴射したり、重力球を作り出して敵を吸い込んだりする。ゲームなどでこれを「ブラックホール」としているが、ブックレットによる公式設定は「ブラック『ボ』ール」である。
※富野御大らしさが十二分に発揮されたデザイン。こんなのに乗っていた初代ミイヤとは、どういう神経をしていたのか。どう見てもオマ○コです本当にありがとうございました。
リマン・メガロポリス出身。全高:成人男子の5.5倍、全重量:毛長象0.8頭分(変動あり)。
シベ鉄の最新鋭オーバーマンで、キッズ・ムント秘蔵の最強パイロット、シンシア・レーン専用機。固定武装も手持ち武装もなく、代わりにオーバースキル「変形」によって格闘武器からビーム発射機関まで作り出せる。コックピット以下のサイズには変形できないという制限はあるが、逆に大きい方へは無尽蔵で、劇中では超巨大なプリンとなってキングゲイナーを飲み込んだ。この変形能力はパイロットのオーバーセンスやイマジネーションに頼るところが大きく、シンシアが使うと驚異的な性能を発揮するが、アスハム、キッズ・ムントが扱っても大したことはできなかった。
一品ものと思いきや、予備機が存在する(キッズが使ったことから、通称キッズ・ドミ)。
オーバーデビルの技術を流用して作ったらしく、デビルの末裔として「オーバーフリーズ」も使用可能。オーバーデビルに関わるアイシングゲートを開く鍵にもなったが、アイシングゲートとはいったいなんだったのか、劇中でよく説明もされないまま話が進んだので詳細は不明である(アスハムはデビルの制御関係と思っていたようだが、どうやらデビルの能力を全解放する最後の封印だったらしい)。
※ドミネーターはキングゲイナーのライバル的ポジションということもあって、安田朗が離脱前にデザインした。そのシンプルすぎる形状を見たキャラクターデザイン・総作画監督の吉田健一は「これがアニメなんですよ安田さん!」と絶賛したという。ドミネーターの初登場回は、その吉田が作画監督を務め、斧谷稔(富野)が絵コンテを切ったことから、近年のロボットアニメでは屈指のハイレベルなアクションシーンとなった。
リマン・メガロポリス出身。全高:成人男子の6.0倍、全重量:毛長象2.2頭分。
シベ鉄の氷の運航部長カシマル・バーレが調達したオーバーマンの一体。首元に生えているヒゲから発射する「メックスサンダー」が主力武器。カシマルは力押しよりも狡猾な作戦を好むため、用意する機体も戦闘力より人を翻弄するスキルが重視されている。
オーバースキルは「幻影」でパイロットが考えた幻を無制限に生み出すことができる。基地に侵入してきたアデットを撃退するため本機に乗り込んだケジナンは、メックスブルート自体をコピー&ペーストの要領で無数に生み出し、また紳士風に扮装してアデットへプロポーズした。
ケジナンではなく、カシマルが使っていたら……と思うともったいなくて仕方がない。
リマン・メガロポリス出身。全高:成人男子の4.9倍、全重量:毛長象2.1頭分。
シベ鉄が有するサイコ・オーバーマンの一体。武装は電磁ムチのみだが、オーバースキル「伝心」は命中した人間の意志が、他人に声として伝わってしまう恐るべき効果を持つ。機体そのものが貧弱とはいえ、このオーバースキルによってプラネッタに攻撃を当てるのは不可能に近い。
「伝心」を破るためにゲイナーが考案した作戦が……。大百科の「世界三大恥ずかしい告白シーン」を参照。
リマン・メガロポリス出身。全高:成人男子の4.4倍、全重量:毛長象3.9頭分。
プラネッタと同じコンセプトで作られたオーバーマンで、そのため共通するパーツも多い。戦闘能力はプラネッタよりも低く、これといった武装はない。オーバースキルは「不安」で、大型タイプと手持ちタイプの二種類の不安センサーを使って周囲の人間を不安に陥れる。このスキルは不特定多数に向けて発信され、デスネッタに近いほど強烈になるため、味方は不安ウェーブ遮断ヘルメットの着用が必須となる。しかしこのヘルメットは非常に壊れやすく、実用性に欠ける。
デスネッタの下半身と合体する大型不安センサーは、別のシルエットマシンを取り込むことで虫のような戦闘形態に移行できる。
リマン・メガロポリス出身。全高:成人男子の5.5倍、全重量:毛長象4.9頭分。
カシマルのサイコ・オーバーマンシリーズの最終形。やけに大きい両腕に一本足という、日本の妖怪話にでも出てきそうな形状をしている。相変わらず戦闘力は高くないが、プラネッタとデスネッタのオーバースキルを合成した「恐怖具現化」というスキルを持ち、両肩から発したビームを浴びた人間は、もっとも恐怖するものに襲われる。
サラの場合はカエル、アデットの場合はナメクジ、ゲイナーの前には偽キングゲイナーが立ちふさがった。具現化した恐怖は幻ではなく、実体を持って攻撃してくるが、ゲインに対しては辛い過去を投影してしまったためその逆鱗に触れ、「黒いサザンクロス」を叩き込まれて爆発した。
ヤーパンの天井出身。全高:成人男子の5.4倍、全重量:毛長象2.2頭分。
デスネッタとの一戦で大破してしまったガチコに代わる愛機として、ゲインの旧友エリアルが運んできたオーバーマンのパーツと、ブリュンヒルデの左腕を組み合わせた急造機。性能は決して高くないが、ゲインの技量によって数多くの戦果をあげた。エンペランザという名称は、ゲインが王族時代に使っていたオーバーマンのもの。主力武装はガチコ時代から引き続き76ミリ速射砲。
オーバースキルはブリュンヒルデと同じ「重力」。これを利用した格闘攻撃のほか、基本出力があがったためか、最終決戦では異次元に消えたはずのブリュンヒルデを召喚している。
リマン・メガロポリス出身。全高:成人男子の5.5倍、全重量:毛長象0.8頭分。
ドミネーターの簡易量産型で、キッズ・ムントの親衛隊機。オーバースキルは「変形」と「雷撃」の二種類あるが、いずれも限定的で、変形は体の一部しかできず、雷撃はアンダーゴレーム同様二機以上の連携が必要である。
キッズの親衛隊とあって、キングゲイナーとエンペランザのコンビを相手に見事なドッグファイトを見せたが、復活したオーバーデビルには手も足も出ず、瞬く間に氷漬けにされてしまった。
出身地不明。全高:成人男子の23.1倍、全重量:毛長象66.6頭分。
数百年前に作られたという最強のオーバーマンで、一定の自我を持ち、世界のすべてを氷漬けにしようとする危険な性質を持つことから、初代ミイヤら五賢人によって分解封印された。その後キッズ・ムントがオーバーフリーズで全世界を脅迫しようと考え、すべてのパーツをかき集めてアガトの結晶内で再生を進めていた。
キッズはデビルの恐ろしさをよく理解しており、復活にはかなり慎重だったもよう。しかしシンシアの高いオーバーセンスに反応して予定外の復活をとげ、さらにはキングゲイナーごとゲイナーも取り込んで、誰にも止められないほどパワーアップした。
オーバースキルは「オーバーフリーズ」で、いかなるものでも触れた瞬間に氷漬けにする。デビルの冷凍能力は精神面にも作用し、パイロットとして取り込んだ者や、氷漬けにした者の心を冷たく変え、オーバーデビルの目的遂行に協力させてしまう。また、通常以下のオーバーマンを製造する能力もあり、劇中ではブラックメールのオーバーコート、色違いのジンバなどを生み出した。さらにネットゲームの世界に干渉したり、メインパイロットである氷の王(女王)をオーバーマンサイズにまで巨大化させることも可能である。
※当初、大河内はカシマル登場以降、いつもの富野アニメ的な陰惨な話にしようと構想していたが、その第一弾となる「人間地雷」のプロットを出したところ、アデット先生やらヤーパンニンポーやら予定になかった話にノリよく付き合っていた富野が久々に難色を示し「こういう話はもういい」とリテイクを要求されてしまった(富野は自分の引き出しにない話が欲しかったらしい)。
これによって今後の展開に頭を悩ませた大河内に、「たとえばオーバーデビルみたいなのを出して単純な話にしたらどう?」と提案したのがサンライズの河口佳高プロデューサーだった。彼の案に天啓を受けた大河内は以降、ストーリーの舵を大幅に切り替えて、明るくテンションの高い話になるよう努めたという。
三面六臂の異様な形状は安田朗の原案だが、これはほとんど落書き同然のシルエットで、現行の形にまとめたのはサブメカデザインの山根公利である。
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最終更新:2024/05/10(金) 12:00
最終更新:2024/05/10(金) 12:00
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