『アーマード・コア プロジェクトファンタズマ』は、フロム・ソフトウェアが発売するメカカスタマイズアクションゲーム「アーマードコアシリーズ」の第2作目である。初代プレイステーション作品。
概要
第一作の『アーマード・コア(初代)』から僅か5か月のスパンで発売された作品。実質的なアペンドディスクに当たる。
プレイヤーはレイヴンズ・ネストを利用するレイヴンの一人となり、謎の依頼人から送られてきた依頼に応え、地下都市アンバー・クラウンで活動する。シリーズ全作品のなかでも最も単純明快な勧善懲悪ストーリーであり、古き良きロボット物らしい楽しみが待っている。
前作とはストーリーの繋がりはないため、本作から初めても問題ない。時系列的には少なくとも前作の最終ミッション以前に位置することは間違いないが、具体的にどのあたりの時期かは不明。前作の主人公と本作の主人公は同一人物かもしれないし、そうではないかもしれない。全てはプレイヤーのフロム脳次第である。
ストーリーモードの総ミッション数は少ないが、それとは独立したAC同士の闘技場「アリーナモード」が実装され、総数49名のCPUレイヴンが操るACとの勝ち上がり戦闘が楽しめる。もっともアリーナ黎明期ゆえか、敵ACのアセンブルやAIロジックは割と大雑把。狙ってやっているのかネタ切れなのかわからなくなる、ユニークすぎる対戦相手のプロフィール文も密かな見所。
新たなACパーツも実装されたが、そのほとんどがパラメータ設定に失敗したバランスブレイカーパーツであることは、古参プレイヤーの間では語り草になっている。前作をクリアしたプレイヤーであれば、アリーナを制覇して隠しパーツを手に入れ、それらを搭載したACでミッションを文字通り蹂躙してしまうことも可能。
なお、前作の隠しパーツは、入手済みの前作プレイデータを引き継がないと使用することが出来ない。更に本作単体では強化人間になれず、こちらも強化済みの前作プレイデータを引き継ぐ必要がある。
対戦モードでは2P側にラグが起きる現象は変わっていないが、その他の前作で不便だった点が改善され、一気にプレイヤー間での対戦会文化が花開いた。とはいえ本作の追加パーツはいろいろとアレなのは前述した通りのため、前作のコンプリートデータを引き継いだだけの状態で遊ぶレギュレーションが広がった(通称イエローレギュ)。
販売バージョン
- 1997年12月4日 - 初版
- 1998年11月19日 - 廉価版「PlayStation the Best」
- 2001年11月29日 - 廉価版「PS one Books」
- 2007年9月27日 - PlayStation3ゲームアーカイブス配信。PlayStationVitaでもプレイ可能(PSPは不可)
- 2025年3月18日 - PlayStation Plus クラシックスカタログ配信 & 買い切り配信
「the Best」盤はデュアルショックコントローラに対応。更に英語音声が追加され、日本語音声と選択可能になった。同時にACの被ダメージ計算に使用する防御係数の計算式が変更され、初版よりも被ダメージが微増している。
PS Plus版はthe Best版準拠。更に簡易的なリマスター画質になっている。PS三部作間でのデータ引継ぎは出来ないが、後に本作単独で強化人間設定のON・OFFができるようにアップデートされた。
ストーリー
それは、ひとつの依頼から始まった。
世界最大規模を誇る地下複合都市 「アイザック・シティ」を活動拠点とする
ひとりのレイヴンに、レイヴンズ・ネストのネットワークを介して普段通りに
届けられた依頼だったが、その内容には奇妙な点がいくつか存在した。
奇妙な点のひとつは、そのレイヴンを直接に指名してきたことだった。
ネット上で公募される通常の依頼とは明らかに異なり、直接そのレイヴンの
端末へ届けられていたのだ。そしてもうひとつ、その依頼の内容は
あまりにも単純であったが、同時に極めて不明瞭なものだった。
たったそれだけの文面で依頼主の名前すら不明ではあったが、それとともに
提示された報酬は莫大な金額となっていた。勿論、この状況と提示された金額
の多さから、相当に危険な任務であると判断することが可能であったが、
レイヴンという職を生業とする以上、危険はある意味、日常と等価であった。
依頼を受諾したレイヴンは莫大な前金を手にし、愛機とともに、
「アンバー・クラウン」に向かうのであった。
登場勢力
アンバー・クラウン(琥珀の王冠)
厳密には「勢力」ではないが一応記載。初代ACの主舞台であったアイザックシティやアヴァロン・バレー、ガルシティとは別区画の、遠く離れているらしい地下都市(所在不明)。内部では何らかの組織が何らかの実験をしているらしい。
他の都市とは地下通路で繋がっていないのか、それともセキュリティクリアランスが厳しすぎるためなのかはわからないが、主人公は地上の搬入口から強行突入している。「潜入」とは一体……。
『アーマード・コアⅥ ファイアーズ・オブ・ルビコン』では、この名前を捩ったと思わしき「アンバーオックス」と「アスタークラウン」というACタッグが登場している。
ウェンズデイ機関
ムラクモ・ミレニアム社の下部組織で、主に強化人間に関係した技術研究を行っているらしい機関。だが、裏では己の野望のために、ムラクモと対立しているはずのクローム社とも通じている。
かなりエゲつないことをしているため、ACシリーズ恒例の変態技術者集団としてネタになるはずが、後発のキサラギ(AC3~)やアクアビット、トーラス、アスピナ(AC4~)の印象が強すぎて印象薄である。
登場人物
スミカ・ユーティライネン(Sumika Juutilainen)
あんな組織をこのまま放っておくわけには行かない
依頼があるからだけじゃなく この計画は必ず阻止してみせるわ
一緒に戦って欲しいの 私には優秀なパートナーが必要なのよ
アンバー・クラウンを拠点とするフリーのACパイロット。レイヴンズ・ネストには登録していないため、厳密にはレイヴンとは呼ばれない。21歳の日系フィンランド人で名前の字は「純禾」とされているが、裏設定なのか没設定なのかは微妙なところ。
アンバー・クラウンにやって来た主人公とコンビを組んで、ウェンズデイ機関の真相を追うことになる。主人公との合流後は、主に情報収集や作戦立案で活躍する。
愛機「コーラルスター」は、ムラクモ社製AC「有明」をカスタムした、ピンク色の人間型二脚機。特定のミッションで共闘してくれるが、唯一の武装であるマシンガンのダメージは雀の涙以下に設定されており、ほとんど役に立たない。ちなみに耐久力は無限=無敵設定である。
『アーマード・コア4』に登場する「霞スミカ」は、ユーティライネンと同じ名前かつ乗機のカラーリングが近いことから、セルフオマージュキャラクターではないかとユーザー間では噂されていた。とはいえAC4の続編『アーマード・コア フォーアンサー』にて「セレン・ヘイズ」を名乗って登場した霞のキャラクターはユーティライネンとは似ても似つかず、現在ではそこまで密接な繋がりはないと見做されている。
スティンガー(Stinger)
これは警告だ 今のうちに手を引け
貴様ごときがこのスティンガーに勝てる訳が無い
いいか 俺は面倒が嫌いなんだ
本作のライバルキャラ。ウェンズデイ機関に加担する正体不明のAC乗り。27歳の男性。生きるためやカネのためや大義のためではなく、己の野望のみに忠実に活動する、ACシリーズでは一周回って珍しい「正統派」の悪役。
クール系敵キャラのハズなのだが、とにかく面倒が嫌いで、登場するたびにそのことを話している。他にも「アビスへようこそ」だの「殺してやる…殺してやるぞ」だの「燃える…燃えてしまう」だの、多数の面白セリフを残し、AC史上に残るネタキャラとしての地位も獲得している。
担当声優は速水奨。ちなみに速水氏は『ACfA』にてメルツェルを演じているが、そのセリフの中には「ビッグボックスへようこそ」というセルフオマージュも混ざっている。
愛機「ヴィクセン」は、クローム社の下部組織クローム・マスターアームズが制作した量産AC「ヴェノム」を更にアップグレードした高級AC。3点バーストレーザーライフルとプラズマトーチ内臓シールドで攻めてくるが、ゲームのバランス調整の都合か、その強さは登場ミッション毎にかなりバラついている。
なお、コーラルスター(有明)とヴィクセン(ヴェノム)は敵専用のパッケージング機体で、プレイヤーのACにパーツを組み込むことはできない。後の『アーマード・コア ネクサス』ではヴィクセンのリメイクパーツが登場した。
地雷伍長
アリーナ最下位ランクのレイヴン。地雷を踏んだ棒人間が吹っ飛んでいる警告標識風のエンブレムが特徴。毎度恒例「どこか憎めないプロフィールを持ったアリーナ最下位ランカー」の始祖である。
愛機「デンジャーマイン」は、プレイヤーの初期機体からミサイルを外しただけのアセンブル。AIロジックも貧弱で文字通りの雑魚キャラ……と言いたいところだが、実のところ本作のアリーナには彼よりも弱い(機体orAIロジックが悲惨極まりない)ランカーレイヴンが数名登場しているのが恐ろしい所。
アンプルール
アリーナトップランカー。強化人間。特にミッションでの絡みも無く、プロフィール文も控えめなので、後のアリーナトップと比べるとどうしても地味な印象になってしまうのはご愛敬。よく読むと自称皇帝。ランク4のトゥールビヨンとランク8のアリュマージュはアンプルールの弟子とされる。
愛機「エクレール」は黒地にゴールドが眩しい中量二脚AC。頭部に貧弱な外見の「アンテナ頭」を採用して個性を出している。そしてブースタはプレイヤーの初期装備ブースタ。何故。
武装は1000発マシンガン、グレネードキャノン、MOONLIGHTブレードという、これ以降のトップランカーに共通するACの象徴的武装で固めている。低性能ブースタを強化人間補正で強引にカバーしてはいるが、そのAIロジックは優秀で、舐めてかかると鬼ロックマシンガンで蜂の巣にされ、月光波でなます斬りにされる。
ちなみにプレイヤーに敗北して2位にランクダウンした後はプロフィール文が変更されるが、そこからは自称皇帝の癖に中々謙虚な努力家であることが伝わってくる。AC2のアレス、AC3のエース、ACNXのジノーヴィーに連なる求道者系トップランカーの開祖でもある。
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