キングスフィールドとは、FROM SOFTWAREが作った3Dアクションゲームである。
概要
フロム・ソフトウェア黎明期においてその基盤、方針を強固にした作品。
当時のプレイステーションにおいて屈指の3Dグラフィックで作られたFPS、RPGである。
3Dグラフィック自体が物珍しかった初代プレイステーション期においてそんなハイエンドなゲームがヒットを飛ばさない筈が無い……と。
しかし現実は甘くなかった。
まず、序盤の難易度が高かった。
初期状態の主人公は、最序盤の雑魚敵の攻撃でさえ1、2発耐えられない程貧弱。当然罠に引っ掛かれば即死。
対するこちらの攻撃力も、その雑魚敵を倒すために10回近く攻撃せねばならない程ひ弱。
そして、スタート地点は街ではなく、すでにモンスターはびこるダンジョン内(しかも出られない)であり、プレイヤーは敵をやり過ごしながら最初の拠点を探さねばならない。
勿論、初期の所持金は装備を強化するには足りず、それなのに序盤の段階では金はモンスターから奪う他ないため、基本的に装備は宝箱等から調達してゆくこととなる。
強力な魔法も、拾えるMP回復アイテム自体が希少なので回復地点を見つけるまでは節約することとなる。
そのため、プレイヤーは特に序盤においては何度も死亡、コンティニューを繰り返し、攻略法を見出してゆくこととなる。
そして世界観がダークであった。
モチーフは西洋の暗黒時代と呼ばれる鬱蒼とした森の国がベースである。
また、遠方は暗がりで見えないようになっている(当時の3Dグラフィック力の限界を前に、それを逆に利用した演出であるとも言える)。
更に、ゲームは常に主観視点で進行し、そのため死角からの敵襲も珍しいことではない。
ゆえに耳を澄ませ、敵の立てる物音を聞き分けながら進むことになる。
プレイヤーキャラクターはいわゆる「しゃべらない主人公」であり、物語には行動以外で干渉しない。
NPCも世界を象徴するかのように淡々と事のありようを話すだけに留まる。
プレイヤーはそれらNPCの言葉で情勢を汲み取り、時間をかけて世界観をとらえてゆくこととなる。
よって、後に『マゾゲー』として数えられるこの作品は、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーといった「RPG=とっつきやすいゲーム」と考えていたプレイヤーを遠ざけ、普及には至らなかったという経緯がある。
しかし、ハードルを乗り越え、エンディングまで迎えることの出来たプレイヤーからの声はそれに反して良い。
適度な広さながら隠し要素の多いマップを、罠を警戒しながら探索するやり込み要素、アイテムが希少であることから来る緊張感と戦略性、プレイヤーが強くなることから来る確たる安心感と広がる行動半径、そしてRPGの常である“お使いイベント”が極めて少ないという抜群の自由度等、RPGとして傑出した部分は数多い。
加えて、前述にもあるNPCの言葉のみならず、世界の端々に散りばめられた世界観を垣間見る事の出来る要素、例えば壁に刻まれた言葉であったり、ダンジョンの構造であったり其処に隠された宝であったり待ち受ける敵キャラであったり、更には地形や気候や植生に至るまで、兎に角あらゆるものを用いて、特に訓練された重度のフロム脳患者達は思い思いの脳内補完をしているとか。
そもそも、前述のとおり異様にまでに突き放されたゲームスタートからでも普通にゲームを進め、攻略し、クリアする道が用意されており、そこに向かって何度でもトライできる、それこそがこのゲームの魅力と言えるかもしれない。
故に、他のRPGでは味わえない要素を数多く持っていた「キングスフィールド」シリーズは“隠れた名作”として評価されることとなった。
このゲームの製作ノウハウが「アーマード・コア」シリーズに繋がったり、系列作である「シャドウタワー」や「エターナルリング」を生んでいる等、フロムソフトウェアを語る上で外せないベースとなっている。
また、SCEJからのラブコールに応え、このシリーズの流れを汲んだ後継作とも言える「デモンズソウル」が開発されることとなる。
こちらもマゾゲーとして、現在も多くのプレイヤーを苦しめている。
ちなみに、「アーマード・コア」を始めとして様々なフロムソフトウェア作品に登場する「MOONLIGHT(月光)」はこのシリーズに登場する最強の聖剣「ムーンライトソード」が元となっている。
金色の握りと、半透明で青い刀身が特徴。
キングスフィールド
記念すべきシリーズ第一作目。初代プレイステーション発売から僅か13日後の1994年12月16日に発売された。
当時としては最高クラスの3Dグラフィック技術を盛り込んでおり、同時期に発売されたフルポリゴンゲームと比べても極めて高い完成度を誇っていた。しかし、遠景を描写して広大なフィールドを表現するにはまだ其処までの技術力が無かったため、ならばといっそ遠景の表現を省き、冒険の舞台を「遠景の見えない薄暗い地下墓所」にして技術力の低さを補ったと言われている。
この時点でシリーズの基幹となるシステムはほぼ完成の域にあったと言っても過言ではなく、また、「スタート地点のすぐ近くにある隠し部屋にはレザーシールドの入った宝箱とそれを守るスケルトンが居り、レザーシールドを取りに行ってそのスケルトンに瞬殺される」と言う流れも此処から生まれた。
ヴァーダイト三部作の第一作目と定義されているが、聖王アルフレッド一世として後のシリーズでヴァーダイトの国王になるジャンがEDでまた旅に出てしまう事から、当時は其処まで後々のストーリーを重視していなかった模様。
ストーリー
深い霧と森に包まれた小国、ヴァーダイト。エリギリア大陸北方三国の一つとしてグラナティキ、イグレックと並んで名を連ねるこの国には嘗て、この地を救ったと言われる「森の竜」の伝説があった。
しかし現在に於いてはその伝説のみが残され、「森の竜」を祀る為に作られた神殿も、今や其処に眠る「魔導器」を求めてその地に移り住んだ一族…後のヴァーダイト王家の地下墓所となっていた。
「何時の日か、森の竜と呼ばれる者が魔導器を携え帰って来る。しかし今は神殿深く眠っているのだ。」と、伝説は語る。
ジャン・アルフレッド・フォレスターは、ヴァーダイト王国護衛隊長ハウザー・フォレスターの息子として生まれた。
剣に興味を持ち修業を始めた彼の素質は、ソードマスターと称された父をも凌ぐと評判になる。
やがて成長したジャンは父を超える為、父の剣友(後の3に登場するグレイン・アス)を頼って隣国グラナティキへと武者修行の旅に出る。
ある時、剣の修業に明け暮れていたジャンはヴァーダイトに於ける不穏な噂を耳にした。
「ヴァーダイト王、ラインハルト3世は墓所深くに眠る魔導器を求めて派兵したが、何度派兵しても見つける事は出来ず、その内に派遣した兵が戻らなくなりつつあった。どうやら墓所に魔物が棲み付いているらしいことを知った王は、護衛隊長であるハウザーに魔物の討伐を命じたが、彼の率いる討伐軍はほぼ全滅、魔物の討伐に賞金を掛け、自国・近隣諸国より傭兵を募っている。」
更に悪い事に、一度は帰還したハウザーが未だ取り残されている部下達を救う為に、再度地下墓所へと突入した事をジャンは知る。
ヴァーダイトへと帰国したジャンは父を救うべく、傭兵として単身地下墓所へと足を踏み入れた。
主要登場人物
- ジャン・アルフレッド・フォレスター
- 本作の主人公。ヴァーダイト国軍護衛隊長ハウザー・フォレスターの息子で、父を超える剣士になる事を志している。
部下を救う為に墓所へ再突入し、行方不明となった父を追って、己もまた墓所へと足を踏み入れた。
母はヴァーダイト家遠縁の者で、その魔力を受け継いでおり、光の魔法が使える。
地下墓所の謎と騒動の元凶を暴き、魔導器である聖剣「ムーンライトソード」を手に戻ってきた。
後に聖王アルフレッド一世としてヴァーダイト国王となる。 - ウィルフレッド・ライト
- 裕福な商人の一族で知られるライト家の人間。墓所内の傭兵達へ補給物資を提供する為に、墓所第一層で店を開いている。
ヴァーダイト編完結編の3でも、意外な形で登場する。 - ハウザー・フォレスター
- ジャンの父。ソードマスターの称号を持つヴァーダイト王国の護衛隊長。
フォレスター家に代々伝わるドラゴンソードの持ち主。
地下墓所に取り残されている部下達を救う為に再突入して以降、行方が分からなくなっている。 - ミーリア
- 竜の巫女。竜の意思を人々へと伝える為に現れる。
2にも登場するが、其処で衝撃の事実が明らかになる。 - ランドルフ8世
- 先々代王。歴代ヴァーダイト王の中でも最も高い魔力を持っていたと言われている。
民には優しい名君と言われていたが、即位して暫くした後に急死した。
先代王ラインハルト2世に毒殺されたと言う噂があるが、墓所内で何者かに蘇らされた。
しかし、己の墓所に封じられ、身動きが取れないでいる。 - ラインハルト2世
- 先代王。墓所内にて魔物として復活し、墓所内の魔物達を操っていると言われている。
- ラインハルト3世
- 現王。魔導器を求め、ハウザーに墓所内の魔物達の討伐を命じた人物。そして全ての元凶でラスボス。
キングスフィールドⅡ
1995年7月21日発売。前作から僅か半年で製作、発売されたシリーズ第二作目で、シリーズ最高傑作とも名高い。
更に綿密に描かれたダンジョンはより広く、より複雑になり、それに応じてダッシュ等が導入され、セーブポイント等にある「道標の台座」に「鍵」をはめ込んでブックマークしておくと、その鍵に対応した「ゲート」を使う事で即座にそのセーブポイントに飛べるようになった。
前述通りダンジョンは前回よりも広大になっているが、マップの繋ぎ目に当たる部分に長い通路を置く事で、其処を通っている間に次のマップを読み込むと言う手法を取る事により、ロード画面を映す事無くほぼシームレスに広大なダンジョンを歩き回れるようになった。
この手法は次回作の3でも用いられている。
また、「高さ」の概念が加わった事で高低差が生まれ、より立体的に描写されたダンジョンでは、時に高所から飛び降りて道を開かなければならない必要も生まれた。
飛び降りる際は高さに応じた落下ダメージを食らう事になり、低いHPでは落下ダメージに耐えられないが、レベルが上がってHPが増えれば耐えられる箇所と言うのが何箇所か存在する。時には一方通行な場所もあり、落下・通過してアイテムなどを取った後に、ゲート等で戻る手段を確立させておかないと、爆発判定のある魔法で自爆するなどしてデスルーラせざるを得なくなる。
しかも、竜の泉を蘇らせ、尚且つ竜王草の実を持っていなければ死んだ所でまたレベル1でスタート地点に放り出されるだけであり、尚且つ自爆出来るような魔法は大体中盤~終盤にならなければ覚えられない。
序盤でそのような事態に陥ってしまい、挙句自分を殺してくれるような敵すら居ない場合は、デスルーラも出来ずに完全な詰みにハマってしまうことになり、そうなった場合に取れる手段はリセットに手を伸ばすことのみである。
ストーリー
ジャン・アルフレッド・フォレスターが地下墓所より魔導器、聖剣「ムーンライトソード」を持ち帰り、聖王アルフレッド一世としてヴァーダイト国王となってからの事。ある時、教王を名乗る何者かによりムーンライトソードが盗み出されてしまった。
国事がある為国を離れられぬジャンに変わり、彼の親友である隣国グラナティキの第二皇子アレフ・ガルーシャ・レグナスは、教王が向かったとされるヴァーダイト北方のヴェルド海に浮かぶ島、メラナット島へと乗り込む。
しかし彼の乗った船は魔物に襲われ沈没し、気がつくとメラナット島の浜辺に打ち上げられていた。
島へと乗り込むに当たって用意していた武器や防具、それに魔法の力を秘めた様々な道具などは全て流されてしまったが、アレフは唯一の武器となったブーツに付いていたダガーを手に、常夜の闇に包まれた島の中へと足を踏み入れて行った。
主要登場人物
- アレフ・ガルーシャ・レグナス
- 本作の主人公。エレギリア大陸北方三国の一国グラナティキ王国の第二皇子。
国務によって国を離れられぬ親友の聖王アルフレッド一世=ジャンに代わり、ヴァーダイト城より盗み出されたムーンライトソードを取り返すため、単身メラナット島へと乗り込む。 - レオン・ショア
- メラナット島に母のカレン・ショアと共に暮らしている水晶細工職人のハーフエルフ。
彼の水晶細工の腕前は、死者すら蘇らせる力を持つと言われるシースの像を作り出せるほど。
シースの力を宿した鉱石、ダーククリスタルより聖剣ダークスレイヤーを作り出し、アレフのギーラ打倒を支援した。
後にアレフとは友情を育み、彼の勧めもあってヴァーダイトへと移り住んだ。 - アル・ハント
- 元はとある国で料理長をしていたが、城主の機嫌を損ねて追い出されてしまった為、珍しい食材を求めてメラナット島にやってきた経歴を持つ商人。元祖「俺は太ってるから行かないけどね。」
太った体格にものぐさな性格で、シチューらしき物をバクバクがっついており、いかにも面倒くさがりと言った風合いを醸し出しているが、実は他の店よりも薬草が安く買えるので序盤はかなり重宝する。 - キール・ハント
- アル・ハントの双子の弟。風の集落と呼ばれる島の中央集落に住んでいる。
とあるダークエルフの商人と繋がりがあり、比較的裕福な生活をしている。 - ハーバイン3世
- 嘗てエリギリア大陸を統一した唯一の人物。本人も高い風の魔力を有した魔導師としての側面を持ち、通称「風の王」と呼ばれる。
メラナット島にも己の居城を築こうとするが、魔物や島の毒により工事は難航し、城そのものは完成したものの多くの人員と財力を失った事で次第に権威は衰え、遂に大陸で反乱が起こる。彼は僅かばかりの兵に島の宝を守るように指示し、自身は大陸に戻って反乱の鎮圧に乗り出すがその最中に戦没してしまい、とうとう島に戻る事は無かった。 - ツェデック
- 3で登場する大魔導師オルラディンの弟子。火の魔法を極めた魔導師で「紅のツェデック」と呼ばれるほどの実力を持っていた。
後にハーバイン3世の宮廷魔術師となり、彼がメラナット島に城を築いた後も共に島へと渡り、仕えていたが、ハーバイン3世への叛意を暴かれて投獄される。ハーバイン3世が島から撤退する際にも置き去りにされ、獄中で生涯を閉じた。
劇中、魔術師の鍵を拾えるがい骨がとある牢にあるが、壁に刻まれた文章から、これがツェデックのなれの果てではと言う説が強い。 - シュドム
- 3で登場する大魔導師オルラディンの弟子で、ツェデックとは同門。本名シュドム・リント。
土の魔法を極めた魔導師で「黒き地霊のシュドム」と呼ばれ、ツェデック以上の魔力の持ち主とも言われていた。
ヴァーダイトにある自らの洞窟で、ゴーレムや一つ目巨人等の魔法生物の研究に没頭した後、メラナット島へと渡る。
其処で闘技場の主として我が子にも等しい一つ目の巨人を戦わせ続けていたが、巨人が敗れた後で正気を取り戻して罪の意識に苛まれ、ヴァーダイトに戻る事無く大鉱山の奥にある地霊の洞窟(通称ムーミン谷)で孤独な晩年を過した。 - メレル=ウル
- 大陸の森からメラナット島へとやってきたハイエルフの戦士でシースの守護者。メラナット島の魔物をほぼ一掃した英雄と讃えられていたが、闘技場にて対峙したギーラの守護者、ガルス=フィーとの戦いで剣を折られ敗れる。傷が癒えた後もう一度闘技場へと赴いたが二度と戻る事は無かった。折られたメレル=ウルの剣はその後、伝説に名を残すハイエルフの細工師、イビル=ナパジャの手によって復元された。3にも登場する。
- 西里新十郎
- メラナット島までやってきた東国の使者。ハーバイン3世に気に入られ、彼に仕えた。
紫電・龍牙と言う二振りの刀を扱う侍で、後にこの刀にはハーバイン3世の手によって風の魔力が篭められる。
しかし魔物との戦いで死亡、愛刀の紫電と共に葬られ、後にそれは島を訪れたアレフの手に渡ることになった。
3ではもう一振りの龍牙が登場するが、この時には既に紫電は失われていた模様。 - なお、元ネタはKF開発スタッフの中心人物だった西田新一郎氏と思われる。
- アーネス・クライド
- ヴァーダイトの貴族出身で、聖王アルフレッド一世の腹心。
メラナット島に派兵し調査を進めていたが、連絡が途絶えてしまったために自ら島へと乗り込んできた。
しかし、教王の部下である僧兵に囚われ、牢屋に幽閉されている。
アレフに救い出されてからは、ムーンライトソードを盗み出した張本人である教王を狙いに行くが…。 - ミーリア
- 前述通りの竜の巫女だが、その正体はギーラによって作られた魔法生物。
調整槽の中、途切れ途切れに初代の台詞を繰り返す彼女の様子にショックを受けたプレイヤーも多いはず。 - メリル
- 水晶の中に全てを映し出す占い師で、アイテムの鑑定をしてくれる。女性であるという事以外に今までの経歴や年齢などは一切不明。
嘗てハーバイン3世の側近であったと言う経歴を持っているらしく、まともな人間でないことだけは明らかである。
ただ、中央集落に済む少年サンドルに旅の話を語って聞かせている等、悪人ではない様子。 - ジジ・パドエル
- 水晶掘りのテオ・パドエルの一人娘で、父一人子一人で暮らしている。
3でも名前だけ登場し、ヴァーダイトのノエル湖の畔で暮らしていたが、国情故かグラナティキへと移住した旨をアレフに残している。
そのヴァーダイトの家屋跡でジジとはぐれ、寂しく取り残されたログストーカーの五作とは何時知り合ったのか一切不明である。 - ケル・ファーガス
- 氷属性の武具に身を包み、「氷の戦士」と讃えられた剣士。教王の前の闘技場の主だったが、島を訪れた教王に敗れ去る。
その後は黒竜ギーラによって魂を呼び戻され、氷の巨人ターンとして闘技場へと続く通路の地下に魂を縛り付けられた。
彼の魂の縛り付けられた地下の一角は氷に閉ざされ、「氷魔洞」と呼ばれている。
幾つもの分身が其処に居るが、最奥に居る一際大きいターンこそがケル・ファーガス本人の成れの果てであると思われ、彼を倒す事で生前使用していた氷の武具を入手出来る。闘技場を護る四天王の一人としても登場する。 - ノーラ・バジル
- 行方不明となった兄ダイアスの消息を辿り、メラナット島へとやってきた女性。
常に兄の無事と、島で命を落とした者達の冥福を祈っている。3にも登場するが…。 - ダイアス・バジル
- ノーラの兄。ヴァーダイトのみならずエリギリア大陸にその名を轟かせた剣士だったが、ジャンの父ハウザーとの試合で敗れて以降消息が分からなくなっている。
- 教王
- ムーンライトソードを盗み出した張本人。黒竜ギーラを神と崇め、大勢の僧兵を率いてメラナット島を支配している暴君。
嘗てのガルス=フィーと同じようにギーラの守護者でもあり、闘技場の主として侵入者を待ち構えている。
強力な近接攻撃に加えてフラッシュやアースウェーブ等、効果範囲や追尾能力に優れた魔法を連発してくるシリーズでも屈指の強敵。
その正体は行方を晦ませていたノーラの兄ダイアスその人である。 - ギーラ
- 大地の神ヴォラドの分身である白竜シースの対極の存在。ハイエルフの憎しみの対象で、純粋な光の力を持つ光の黒竜。
シースに対抗するためにメラナット島の奥深くに眠りながら人間の精神を操り、屈強な戦士を島へと誘い込み、その中でも最強の者に自らを守護させている。また、シースに対抗する切り札であるムーンライトソードを生み出した存在でもある。
本来はハウザーをムーンライトソードの持ち主と定めていたのだが、地下墓所騒乱の最中にハウザーの息子であるジャンが、仮初の姿であったドラゴンソードの封印を解いてしまった為、その目論見は大きく流転することになった。
3ではメラナット島でアレフに討たれた後、本来の寝所である地下墓所最下層に身を隠していたが、シースの復活させたメレル=ウルに自力でのシース打倒が不可能になるまで滅ぼされ、シース打倒を願う激しい憎しみを宿した残留思念のみでムーンライトソードを復元させるために生きながらえていた。
キングスフィールドⅢ
ヴァーダイト三部作完結編。1996年6月21日発売。冒険の舞台は、遂にヴァーダイト一国全土そのものへと広がった。
Ⅱの機能はほぼそのまま据え置きで、NPCとの会話の記録や使わない武器防具アイテムの収納等、更なるシステムが追加された。
敵にダメージを与えた際には赤く発光するようになり、今までは敵にダメージを与えれば無条件に仰け反って居たが、今作では与えるダメージが低すぎると仰け反らなくなった。
ダンジョンはⅡほど複雑な構造ではないが、仕掛けやトラップの鬼畜さではⅡを上回ると言う意見も多い。
ストーリー
アレフ・ガルーシャ・レグナスが、メラナット島より取り返した聖剣ムーンライトソードと共に新たな聖剣ダークスレイヤーをヴァーダイトに齎してから5年の月日が経過したある日の事、聖王アルフレッド一世ことジャン・アルフレッド・フォレスターは突如謎の病に倒れ臥した。
精悍だった体付きは一月の間に痩せ衰え、もはやその命ももう長くないかと思われた時、一晩にしてジャンは回復する。
しかしその性格は変わり果て、民を迫害し、時を同じくして現れ始めた魔物を野放しにし、グラナティキへと戻っていたアレフが再びヴァーダイトで見たものは、民や家臣から聖王と呼ばれ、慕われた名君の面影など欠片も残っていない友の姿だった。
王の乱心にヴァーダイトは廃れる一方であり、ジャンが何者かに取り憑かれている事を知ったアレフは、ヴァーダイトを救うには嘗て友と呼んだ男を倒すしかないと覚悟を決め、ムーンライトソードを手にしようとするが、其処にあったのは何者かの手によって真っ二つに圧し折られた聖剣が残されるのみであった。
聖剣無きアレフに出来ることは、もはやジャンをヴァーダイト城ごと封印する事のみであり、ジャンの側近であった4人の魔導師達と話し合った結果、ムーンライトソードの力のみがジャンを封印できるという結論に達した。
アレフは自身の持つ魔力の内、光以外の力をその4人へと託して純粋な光の魔導師となり、己の持つ全ての光の力をムーンライトソードへと注ぎ込むと、折れた聖剣もそれに応えるように僅かに光を取り戻し、遂にヴァーダイト城ごとジャンを封印する事に成功した。
しかしそれから暫くの間、城から逃げ遅れた従者や兵達の悲鳴が何時までも響き続けていたという。
城を封印したアレフにはもはや立ち上がる力すら残されておらず、ジャンの息子であるライル・ウォリシス・フォレスターを呼び寄せ、城の封印が破られる前にアレフが力を託した4人の魔導師達から力を受け継ぎ、狂乱した父王を倒し国を救わねばならぬことを告げると、静かに天へと召された。
遺されたライルとその家族は、アレフの友人であるレオン・ショアに託され、城から離れた辺境の地クイストへと身を寄せたが、慣れない辺境暮らしに王妃である母ノエルと弟は病に倒れ、ついにライルは天涯孤独の身となってしまう。
月日は流れ、17歳となったライルは、レオンより彼の最後の作品である成長する剣「エクセレクター」を託され、父を討つべく旅に出る。
アレフが命懸けでジャンを封じた「封印の日」より10年。城の封印が破られるのも、そう遠からぬ事であった。
主要登場人物
- ライル・ウォリシス・フォレスター
- 本作の主人公。聖王アルフレッド一世の息子であり、僅かながらも光の魔力を受け継いでいる。
レオンより託されたエクセレクターを手に、父を討つ為に一人孤独な旅に出る。 - アレフ・ガルーシャ・レグナス
- 前作主人公。ムーンライトソードの残された力と自身の光の魔力を以て、命と引き換えに狂乱した友を城ごと封印し、ジャンの息子であるライルをレオンに託し、落命。折れたムーンライトソードは城近くの祈りの丘にある彼の墓前に手向けられた。
- 聖王アルフレッド一世
- 初代主人公、ジャン・アルフレッド・フォレスターその人。乱心した先王を打ち倒し、聖剣ムーンライトソードをヴァーダイトに齎した。
一時は父を失った悲しみから放浪の旅に出ていたが、後に聖王アルフレッド一世としてヴァーダイト国王の座に着く。
その後は善政を敷いた名君として領民、家臣双方より聖王と讃えられていたが突如として乱心、民を迫害し国を混乱に陥れた。
ヴァーダイト城の王の間にてもう一振りの聖剣ダークスレイヤーを手に、プレイヤーが動かしていた時のような機敏な動作から繰り出されるダークスレイヤーの斬撃に加えて、喰らうと大きく吹っ飛ばされる円錐状のウインドカッターらしきものとライトニングボルト、それに魔法剣で息子であるライルをも躊躇無くその手に掛けようとする。 - レオン・ショア
- メラナット島に母と共に暮らしていた水晶細工職人だったが、アレフの勧めもあってヴァーダイトに移り住んだ。
王の乱心後はアレフの遺言に従ってライルを預かり、旅立ちの日まで彼を育てた後、彼の生涯最高傑作とも言える剣、エクセレクターを授けた。 - エルランド・バスケス
- アルフレッド一世の側近の一人で、アレフより火の魔力を託された魔術師。古戦場にてライルの来訪を待ちわびている。
- ベルニーニ・ルトナ
- アルフレッド一世の側近の一人で、アレフより風の魔力を託された魔術師。風の館にてライルの来訪を待ちわびている。
- ドーブル・スナイプス
- アルフレッド一世の側近の一人で、アレフより土の魔力を託された魔術師。シュドムの洞窟にてライルの来訪を待ちわびている。
- メルタ・ラモンドル
- アルフレッド一世の側近の一人で、アレフより水の魔力を託された魔術師。ノエル湖にてライルの来訪を待ちわびている。
が、結界を訪れるまで水の橋を架ける為の部屋の入り口を開くのに薬草やブラッドストーン、果ては竜王草の実まで要求する事もある、4人の側近達の中で最もプレイヤーのウケが良くない女性と思われる。 - ロドム・ウォード
- 守備隊の隊長。パイロットファーム版では主人公を務め、何者かに盗まれた折れたムーンライトソードを取り戻した。
その後城に向かって旅立ち、以後消息を絶つ。 - エド・ノイマン
- 元墓荒しだったが、ロドムに出会った事で改心し、墓掘りとなった。
ライルの家族が病に倒れ、死した後もその墓の手入れは彼が行っている。
アイテムの収集を趣味としており、誤って重要アイテムを売ってしまった場合、買いなおす事が出来る。 - グレイン・アス
- ソードマスターの称号を持つ剣豪であり、ジャンの剣の師にしてその父ハウザーの友人でもあった。
封印の日以降はカズンの村に居を構え、唯一の生き残りであるロナ・レシル姉妹を護りながら、ライルの到着を待ちわびている。 - ミーナ・クー
- ハイエルフの商人。王家の御用商人だった父エルラスに連れられて城によく出入りしていたため、ジャンやアレフ、幼い頃のライルとも面識がある。戦闘力もそこそこあり、今も商売の為に各地を飛びまわっているが、エルラスがガランの地で行方不明になった事で現在はラルーゴで商売をしている。後にガランの地へと向かう方法を見つけ、父の消息を求めて其処へ赴くが…。
- オルラディン
- 紅のツェデック、地霊のシュドムを弟子に持つ大魔導師。
その足跡を多数ヴァーダイトに残しているが、謎の部分も多く、現在は寧ろ弟子のツェデックやシュドムの方が名前が知れている。
悪戯好きで知られ、彼に所縁のある遺跡やアイテムには、かなり意地の悪いトラップや副作用があることが多い。 - シース
- 大地の神ヴォラドの半身で、ギーラの対存在。ハイエルフの信仰の対象で、光を除く4属性すべての力を持つ闇の白竜。
嘗てハイエルフの戦士であるメレル=ウルに武具を与えたり、己の力を宿したダーククリスタルを遺して聖剣ダークスレイヤーが世に出るきっかけを作った。そして、ジャンを狂わせた今回の騒動の全ての元凶でもある。
シースが人間やエルフ達にテコ入れしていたのは、あくまでもギーラに対抗するための手段に過ぎず、メラナット島でアレフによってギーラが討たれた事で、これを幸いと遂に地上の覇を狙い出す。
本来の寝所である地下墓所に辛うじて逃げ込んだギーラを、メレル=ウルを蘇らせてその殆どを滅ぼさせた上で、己にとっての最大の脅威となるムーンライトソードを圧し折り、更にジャンを操って息子のライルを討たせ、ムーンライトソードに選ばれたフォレスター家の血筋を完全に途絶えさせようとした。
関連動画
プレイ動画
↑ニコニコ動画において最初のキングス動画。見事にイベント・フラグを飛ばしまくって攻略している。
実況プレイ動画
関連商品
関連項目
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- 0pt