これは実話である。
The event depicted in this film took place in Minnesota in 1987.
実際の事件は1987年、ミネソタ州にて起こった。
At the request of the survivors, the names have been changed.
Out of respect for the dead, the rest has been told exactly as it occurred.
死者への敬意をこめ、その他の部分は忠実に再現している。
F A R G O
ファーゴ(FARGO)とは、1996年に公開されたアメリカのサスペンス映画である。
概要
「実話を元にしている」と銘打ち、雪国で起こった狂言誘拐から始まる連続殺人を描くサスペンス映画。『ビッグ・リボウスキ』『ノーカントリー』などで知られる監督、コーエン兄弟の6作目である。同監督の映画によく見られる、嘘・脅迫・誘拐・殺人といったシリアスなテーマを軸にしつつも、のほほんとしているミネソタの住人たちの様子や、ゆるい中西部訛りの英語が飛び交うシュールな会話、犯人たちのしょうもないミスなどが面白おかしく描写され、笑えるけど笑えない絶妙なブラックコメディに仕上がっている。
1996年度のアカデミー賞では7部門にノミネートされ、監督の二人は脚本賞を受賞。作中にて事件を追う敏腕警官マージを演じたフランシス・マクドーマンドは主演女優賞を受賞している。
2014年には映画を基に全く新しい物語を描くドラマ版が放送され、こちらは2025年現在までに5シーズンが作られている。
ちなみにタイトルの「ファーゴ」はノースダコタ州の実在する都市である。が、映画の舞台ではなく、その出番は冒頭五分で終了する。その後は本当に一切登場せず、触れられもしない。監督によると「ファーゴ」というタイトルの方が面白そうだったから、だそうである。タイトル詐欺
あらすじ
アメリカ合衆国ミネソタ州の都市ミネアポリス。カーディーラーで働いているジェリー・ランディガードは駐車場ビジネスに興味を持ち始め、その開業資金を調達するため、とある計画を思いつく。それは自ら雇った人物に妻を誘拐させ、金持ちである義父から身代金をせしめようというものだった。早速、ディーラーの従業員プラウドフットを通じて、カールとゲアという二人の前科持ちを誘い、ノースダコタ州ファーゴの酒場にて、ディーラーからくすねて来た犯行用の車を受け渡す。二人はジェリーの指示通りにミネアポリスへ向かい、グダグダながら妻の誘拐に成功。計画は順調に見えた。
しかし監禁場所へと妻を連れていく道中、車にナンバープレートを付け忘れていたため、二人は警察に止められる。何とかやり過ごそうとするが逆に怪しまれてしまい、切羽詰まった二人は勢いで警官を殺害、さらにそれを目撃した通りがかりの一般人二人まで殺害してしまう。
翌日、ミネソタ州の田舎町ブレイナードの警察署長マージ・ガンダーソンは三名殺害の通報を受けて現場へ赴き、捜査を開始する。様々な情報を辿って行く中で、マージはジェリーの狂言誘拐計画へと近づいていく。
一方その頃、三人の死者を出しながらも今更止まれないジェリーは実行役の二人を通じて義父に身代金を要求、しかし義父はジェリーの意見を全く聞かず一人で突っ走り、犯人の二人も徐々にタガが外れていく。感情に任せて各々が思い思いに行動し始め、単純だったはずの計画はやがて暴走を開始。様々な人々を巻き込んで事件は結末へと突き進んでいく。
主要な登場人物
ジェリー・ランディガード(演:ウィリアム・H・メイシー)
本作の主人公。ミネアポリスにて、義父が経営するカーディーラーに勤めている。妻と一人の息子を持つ平凡な父親だが、その性格は気弱で常におどおどしており、義父にナメられている。妻を犯罪に巻き込むという考えもさることながら、義父から無条件で融資を受けられると思い込んでいたり、狂言誘拐が息子に与えるダメージを考えていなかったりと、他人に対して思慮不足な部分も見受けられる。大金を得るために妻の狂言誘拐を計画するが、ただただ死体が増え、警察が迫ってくる状況に何もできず、物に当たったり、メモ帳に延々と渦巻を書くなど奇行が目立つようになる。
とても主人公とは思えないような人物であるが、監督の二人も最初は主人公にする気は無かったらしい。しかし、この役を演じているウィリアム・H・メイシーがぜひ主人公に、と二人を説得。結果的に主人公へと据えられた。
マージ・ガンダーソン(演:フランシス・マクドーマンド)
もう一人の主人公。映画の中盤から登場する。ブレイナードの警察署長を務めており、夫のノームと仲睦まじく暮らしている。妊娠中で、作中でもつわりの描写があったりする。性格は明るく、頭脳明晰で、警察官としての腕や勘も優れており、特に壁にぶつかることも無く淡々と事件の真相に迫っていく。
この役を演じたフランシス・マクドーマンドは元々中西部の出身ではなかったが、中西部の訛りを徹底的に練習して撮影に臨んだ。その結果、マージのキャラクターは観客に強烈なインパクトを残し、フランシス・マクドーマンドは初めてのアカデミー主演女優賞を受賞した。
カール・ショウォルター(演:スティーブ・ブシェミ)
ジェリーが雇った実行役の一人。お調子者で非常におしゃべりな性格であるため、真逆の性格であるゲアとは全くそりが合わない。ゲアが隠れ家に籠りきりであるため外での仕事は全てカールに押し付けられ、殴られたり撃たれたりと散々な目に遭う。故に目撃されるのも彼のほうで、警察がその容姿について尋ねると、みなが口をそろえて「変な顔だった」と証言する。演者が可哀想である。
この役を演じたスティーブ・ブシェミはコーエン兄弟の作品に度々登場し、次作の『ビッグ・リボウスキ』にも主人公の友人役として登場する。しかし、今作での台詞量が多かったため、次作では大幅に出番も台詞も減らされている。やっぱり可哀想。
(ネタバレのため折りたたみ。クリックで表示)
激昂したプラウドフッドに殴られたことで興奮し、そのままの勢いで身代金の受け渡し場所の立体駐車場へ向かう。身代金を持って来たジェリーの義父と激しい口論になり、最終的に発砲してしまう。抵抗した義父に撃ち返され、右顎に大きな裂傷を負いながらも彼を射殺、身代金を持ち去り、さらに立体駐車場のゲート係も殺害して逃亡する。
身代金を独り占めしようと平原のとある場所に埋める。その後隠れ家に帰り、報酬をゲアに渡すが、犯行に使った車の処理を巡ってまたも口論になり、去ろうとしたところを背後から斧を持った彼に殺害される。死体はゲアの手でウッドチッパーにかけられ木っ端微塵にされた。
ちなみにこのウッドチッパーはファーゴにある、「ファーゴ・ムーアヘッド・ビジターセンター」という施設にて展示されており、誰でも見ることが出来る。
ゲア・グリムスラッド(演:ピーター・ストーメア)
ジェリーが雇った実行役のもう一人。無口で無表情な性格であるため、真逆の性格なカールとは全くそりが合わず、彼が喋りかけても一言二言であしらって会話をすぐに打ち切ってしまう。何で組もうと思ったのか。人を殺める際には一切の躊躇を見せず、ただ騒いだからという理由だけで殺してしまうこともある。しかし、感情が無いというわけではないらしく、パンケーキが食べたいとごねたり、テレビに釘付けになったりと、少し子供っぽいところがある。
この役を演じたピーター・ストーメアは元々、スウェーデンで活躍する舞台役者だったが、監督にスカウトされて本作に出演することになった。監督の次作である『ビッグ・リボウスキ』にも再び犯罪者役として出演している。
ウェイド・グスタフソン(演:ハーヴ・プレスネル)
ジェリーが勤めているカーディーラーのオーナーであり金持ち。ジェリーは娘婿にあたる。傲慢な性格で、誘拐の話を聞いた際には、娘の命よりも身代金を値切ることを考えるなど、彼は彼で問題のある人物である。
ノーム・ガンダーソン(演:ジョン・キャロル・リンチ)
マージの夫。職業については明確に言及されることがないため不明。絵を描いており、地域の切手のデザインを決めるコンテストに作品を投稿している。仕事のため、早起きをするマージに朝食を作るなど、妻を気にかけている様子がうかがえる。
ジーン・ランディガード(演:クリステン・ルドルード)
ジェリーの妻。優しく明るい性格で、ジェリーをハニーと呼んで笑顔でいるあたり、夫婦仲は悪くないように見える(ただ、映画のテーマ的にはそうとも言い切れないのだが)。カールとゲアの二人に誘拐され、湖畔の隠れ家に監禁される。
マイク・ヤナギタ(演:スティーヴ・パク)
マージの高校時代の同級生。彼女が殺人事件を捜査していることをニュースで知り、久しぶりに会いたいと誘いの電話を掛ける。その後、レストランで再会したマージに対して、妻が闘病の末亡くなったことを涙ながらに告白する。
シェプ・プラウドフット(演:スティーヴ・リーヴィス)
カーディーラーで整備工として働く男。元々刑務所にいたらしく、その際にゲアと知り合い、ジェリーに彼を紹介する。
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