サバイバルゲームとは、以下のことを指す。
- 「ディスカバリーチャンネル」で放送されている『ドキュメンタリー風サバイバル術紹介番組』の邦題。 → Man vs Wild
- エアソフトガン(現在は電動ガンが主流)を使って銃撃戦を行う、いわゆる「戦争ごっこ」である。
- 参加者全員が生き残りを懸けた駆け引き、競技、デスゲームなどを指す場合もある。
本稿では、2について述べる。
歴史
サバイバルゲームは、1970年後半に「ツヅミ弾」を使用したエアガンを使った戦争ごっこから始まった。発祥地は日本とされている。当初はオモチャ然とした外見のエアガンが多かったが、1982年にマルゼンから実銃を模したリアルな外見を持ちBB弾を使う「KG9」が発売された。これをきっかけに、サバイバルゲームは現実の銃を再現したリアルな遊戯銃を用いる遊びとして定着し、全国へ広がっていった。
玩具の銃と模擬弾を用いたいわゆるコンバットゲームは、サバイバルゲーム以前にもアメリカで生まれていたが、海外では、塗料を含んだ弾を用いる"Paintball"の方が当初は盛んであった。サバイバルゲームと比べると、この"Paintball"は、ルールの厳密な制定・遵守が特徴的で、よりスポーツ然としている。
アメリカのコンバットゲームは、80年代に日本のサバゲー文化が流入してからは、本格的な装備・銃を用いるサバゲーと、スポーツ性の高い"Paintball"に二分され、現在ではどちらも盛んに行われている状態である。
その他、中国・韓国・台湾といったアジア諸国、オーストラリアやニュージーランドなどのオセアニア諸国にも広がりを見せている。
「サバゲー」では通用しないため、アメリカを中心とした海外では、BB弾を発射する銃の総称を用いて"Airsoft"などと主に呼称される。
なお、日本国内では一般的に「エアガン」という単語は遊戯銃を示すが、厳密に言えば遊戯銃は「エアソフトガン」もしくは「エアーソフトガン」と呼称するのが正しい。エアガンと呼ぶ場合、空気銃(実銃)を含む場合もある為、公の場では注意が必要である。本稿では便宜上、遊戯銃をエアガンと呼称する。
ルール
短く収めるなら
「互いに撃ち合い、被弾したら申告&安全地帯へ退避、次のゲームで復活」
具体的には、敵のBB弾が自分や自分の装備品に当たったら手を挙げ「ヒット!」とコールし自陣に引き上げるというもの。自己申告以外に、プレイヤーがヒットされたかどうかを判断する材料がないのである。
やろうと思えば撃たれたのを無視することも可能だが、これはゾンビ行為と呼ばれ、ゲームが成り立たなくなるため最も嫌われる行為である。このように、厳格なルールではなくプレイヤーの良心によってゲームが成立する点が、サバイバルゲームが紳士のゲームと呼ばれる所以である。このため、基本的に勝敗よりもゲームそのものを楽しむことが優先される。
ゲームのスタイル(勝敗決定方法)は多岐にわたり、同数に分かれてどちらかが全滅するまでやる殲滅戦、目標物を設定し、自軍の目標物は守り敵の目標物は奪うフラッグ戦などがある。コンピューターゲームのFPSでプレイできるスタイルは大抵あると思えばよい。ぶっちゃけ、プレイヤー同士で楽しいものを考えればそれでよい。
詳しく知りたい場合は「サバイバルゲームのルール、マナー」を参照すると良い。
フィールド
有料の専用フィールドを使用するのが一般的。
独自にフィールドを作って遊ぶ場合には、一般人へ流れ弾が当たらないよう、立ち入り禁止の旨を十分に通達した上で行うのが鉄則となる。
90年代には、都市部の公園などでのゲームが社会的問題となった(改正銃刀法策定の遠因のひとつであるとも考えられる)。お金の無い若者や、盛りの付いた中学生などを中心に、今でも一般の野山や河川敷でのゲームが見られるが、他人が立ち入らないこと、地権者の許可を得ていることなどを満たしてプレイしているかどうかは多くの場合疑問符がつく。
現在では、公園などでのエアガンの使用を禁止する条例を設ける自治体も多い。と、言うより常識を持っているならば危険なのでやっちゃいけない事ぐらい分かる筈だが……
つまり、人の目につく可能性や不特定の人の往来が考えられる場所でのサバゲーは厳禁である!
(公園、河川敷等の公共地、空き地等の土地を無断使用をする事は許されない。また、市街地や公共交通機関、一般の人の前で銃を振り回し、迷彩服や装身具で練り歩く事は公序良俗に著しく反するため、行ってはならない!)
また、生分解BB弾であっても土に還るまでは数年から数十年掛かるという事を覚えておくこと!
人のいない山奥を選んだり、一般人が迷い込むのを防ぐ対策を自力で立てるよりは、専用フィールドを使うほうが絶対に手っ取り早い。専用フィールドは野山や森林を区切っただけのものから、キャンプ場やコテージ完備のもの、廃工場や廃屋を丸ごと借り切ったものまでよりどりみどりである。ただ、先述した社会的問題を考慮しているためか、たいていは人里離れた場所にある。移動には自動車がほぼ必須と考えたほうがよい。
では山奥にまで足を運ばないとサバイバルゲームは遊べないのかといえば、そうではない。都心部には、室内型のフィールドが設置されている。特に大型の専門店の隣に併設されていることが多い。こちらは、野外の大規模なゲームに比べて気軽に参加でき、エアガンをはじめとする装備のレンタルも充実している。
装備品
基本的にエアガン、ゴーグル、服装の三点セットがあれば問題は無い。
実際には、実銃を模したリアルな外見の電動エアガンに、迷彩服(実物、レプリカ、それっぽい柄etc)というのが服装としては多い。ただし、基本的にエアガンとゴーグルさえあれば後は個人の自由である場合が多く、ボルトアクションライフルを模したエアコッキングガンにギリースーツを装備してスナイパーを志す人もいれば、AK-47片手にターバンやシュマグを頭・顔に巻き、中東風の軽装な服(カミース)を身につけたアフガンスタイルな人もいる。カスタムしたM4を構え、長袖シャツとジーパンにマガジンやピストルを収めるミリタリーベストを羽織ってPMC気取りの人もいれば、サブマシンガンを持ってスーツ姿で佇む人もいる。皮ジャンとジーパンにハンドガンだけで戦う物好きもいる。 二次大戦中の装備のレプリカ(あるいは本物!)を揃える人もいれば、最新の米軍装備や自衛隊装備で固める人もいる。中には半そで短パンとかセーラー服で参加する猛者もいる。
…誤解のないように言えば、もちろん私服でも問題ない。(私服参加者も普通にいる)
要は自分でかっこいいと思うものを使えばよい。ゲームとしての勝敗を楽しむのと同時に、このようなコスプレもサバイバルゲームの楽しみの一つである。なおゲームによっては、ルールで装備に制限が課せられる場合がある。フルオート禁止、弾数制限といったエアガンの能力を限定するルールから、第二次世界大戦やベトナム戦争を再現するためエアガン、服装の両者を当時使用されたモノ(もしくはそのレプリカ)に限定するルールなどがある。ただしゴーグルはどのルールでも下限はあっても上限は無いのがほとんどである。
装備品全てを一定の品質以上の物で揃えようとなると、数万円の初期予算が必要となるため、最初は必要最低限の物(エアガン1丁、汚れても良い長袖の上下、ゴーグル)を揃えて、後から必要なものを買い足すという方式が良いと思われる。
サバゲーを始めたい人は、サバゲーを扱ったサイトや掲示板で調べるか、専門店にいける場合は、店員さんに初心者である旨と予算を伝えて相談するのが良い。なお、フィールドによってはレンタルとして必要な装備を貸し出してもらえる場合があるので、金銭的に余裕がないなら考慮に入れると良い。いずれにせよ、まずは目の前の箱でいろいろと調べてみよう。
以下でエアソフトガン、服装、ゴーグルの3つにわけて解説する。
エアソフトガン(エアガン)
この項目では「サバイバルゲームにおけるエアガンの扱い」について述べる。エアソフトガン自体についてはエアガンの項目を参照されたし。
エアガンは気体の圧力を利用してBB弾を飛ばす玩具であり、サバイバルゲームにおける攻撃の要である。2013年現在、エアガンには大別してエアコッキングガン、ガスガン、電動ガンの3種類が存在し、以下のような性質を持つ。
以上のような性質から、現在では安定した動作で火力の高い電動ガンが主流である。とは言え、エアコッキングガンやガスガンが全く使われないかというとそうでもなく、エアコッキングガンは静粛性と命中精度を活かし、狙撃銃やポンプアクション式ショットガンを模したモデルを使用したサイレント・スナイプで電動ガンの火力に対抗する猛者がいるし、ガスガンは夏場ならガンガン動くので、ブローバックガスガンの動作に惚れて使い続ける者や、固定式ガスガンの静粛性を好んで使用する者がいる。ただし冬場は葬式状態。また、電動ガンは機構の大きさからアサルトライフルやサブマシンガンといった、いわゆる長物がほとんどであるため、大きい電動ガンをメインアーム(主力として使う武器)に据えて、拳銃タイプのエアコッキングガンやガスガンをサイドアーム(メインアームが故障した際の予備の武器)として使用する者も多い。
また、使用されるエアガンの多くは各プレイヤーの好みに合わせ、カスタムが施されている場合が多い。カスタムは大きく分けて外側をいじって見た目や取り回しを改善する外部カスタムと、内部の発射機構をいじって初速や連射速度、静粛性などを改良する内部カスタムに分けられる。とは言え、両者は完璧に分かれているわけではなく、例えば銃身を切り詰めるカスタムは外部と内部の両方を同時にカスタムすることになる。
カスタムによって自分好みのエアガンが出来上がればサバイバルゲームをもっと楽しむことができるし、エアガンにも愛着が湧いてくるというものである。ただし、基本的にカスタムは自己責任である。カスタムするとエアガン本体を製造したメーカーのサポートは受けられなくなり、故障した場合は修理可能な専門店に頼んだり、自分で修理する必要がある。このため、初心者がエアガンのカスタムを行うのは推奨されない。
なお、法律によってエアソフトガンがBB弾に与えることのできる運動エネルギーは上限が決まっており、この上限を超える威力を持つエアソフトガンは準空気銃として所持が禁止されている。これにより、サバイバルゲームにおいてはフィールド管理者やゲーム主催者によって、法律の上限より低い値の運動エネルギー(XグラムのBB弾を使用して初速が秒速Yメートル以下or未満、というのが文言としては多い)が自主規制値としてルールに定められていることが多い。このため、ゲーム開始前には必ずプレイヤーの持ち込んだエアガンの初速チェックがあり、持ち込まれたエアガンが銃刀法ならびにゲームやフィールドの自主規制ルールに違反していないかを弾速計を使ってチェックする。ルールに違反したエアガンはゲームで使用できず、場合によっては持ち込んだプレイヤーがそのゲーム、フィールドへの出入り禁止が宣言されることもある。とは言え、基本的に現在流通しているエアガンは適法かつ業界団体の自主規制値を守ったものであるため、内部カスタムをしていない限りは心配する必要は無い。エアガンの法律上の規制の詳細についてはエアガンの項目を参照されたし。
また、使用するBB弾については昨今の環境問題を踏まえ、通常のプラスチック製ではなく、自然中に放置すると分解されて土にかえる生分解プラスチック製のBB弾(いわゆるバイオBB弾)を使用するのが常識である。きちんとしたゲームやフィールドではルールによって使用可能なBB弾はバイオBB弾だと指定されている。ただし、指定の範囲はさまざまで、バイオBB弾ならどこ製でもOKなところ、メーカーも指定しているところ、BB弾は持ち込み禁止にしてゲーム主催者やフィールドが用意したバイオBB弾を当日購入・使用しなければならないところなど千差万別である。
初心者は、とりあえず見た目はそれなりだが値段は安く抑えられて性能の良い東京マルイ製の電動ガンをリストアップして、自分がそのエアガンを持って走り回れるか?を考えつつ好きなデザインで選ぶといいだろう。可能ならば販売店まで足をのばし、実際に持たせてもらって構えてみたりするとなお良い。店によっては試し撃ちもさせてもらえて、購入の際の重要な判断材料になるだろう。ただし、カスタムまで手を出す必要は無い。必要経費が増えるし、東京マルイ製電動ガンならカスタムせずとも十二分に戦える。
服装
大前提として、肌の露出を極力防ぐ必要がある。
おもちゃの銃とはいえ、エアガンの弾が素肌にあたると痛いし、下手をすると内出血や流血を起こすこともある。また、フィールドは野外が多く、草が生い茂っていたり、石が露出していたり、前日の天候によっては泥で地面が覆われていたり、季節によっては大量のひっつき虫が待ち構えていたりする。以上のことから、服装はBB弾や草・枝・石などによる怪我を防ぎ、かつドロドロに汚れてもかまわないものである必要があるため、長袖の厚着が良いと思われる。ただし夏場は熱中症に注意すること!
最も多く使用されるのが迷彩服である。一般的なサバイバルゲーム用の野外フィールドは、森の中などで自然を利用した所が多く、迷彩によって相手に発見されにくくなるため、有利に立ちまわることができるのである。また、丈夫な生地による怪我の防止や、普段着がドロなどで汚れることを防ぐこともできる。
また、上下の服以外にも、頭部を保護する帽子やヘルメット、手を保護するグローブ、肘・膝を保護するプロテクター(膝を地面につけた姿勢でエアガンを撃つときにも便利)、アウトドア用の運動靴やブーツなどもあれば万全である。特にグローブと靴には配慮した方が良いと筆者は思う。
とはいっても、ロールプレイもサバゲーの楽しみである。007ばりに背広で走り回ったり、セーラー服でドンパチしても誰も止めはしない。ただし、それで怪我したり服が破れても完全な自己責任である(もっとも、自己責任は背広やセーラー服に限った話ではないが)。中には、平日に営業車でフィールドに乗り付けてスーツのまま楽しむサラリーマンも多いとか。
もちろん特別なルールがなければ普通の私服でも構わない。
隠密行動には限度があるが、大人数で散開・突撃するならあまり関係ない。ただし薄いポケットに複数の弾倉を入れるのは困難でしかも体に当たって痛い。大きめのポシェットやマガジンポーチ等を1~2個購入しておくだけでも一気に快適&便利になるためコスパが良い。
もちろん着替えが面倒だからと、市街地、公共交通機関、フィールド周辺を全身迷彩服+ガンケースのテロリストルックで移動するは誤解や通報を招くため禁止。(前述の"フィールド"を参照)
ゴーグル
BB弾が目に直撃すれば失明の恐れもあるため、ゴーグルだけは絶対に欠かせない。これは、ロールプレイがどうこうという以前の鉄則である。
ゴーグルなしでの参加を許可しているフィールドやゲームは、現在では無いだろう。仮にあったらそれを主催している人たちはとんでもない馬鹿なので、トラブルに巻き込まれる前に逃げた方がいい。
大きく分けてシューティンググラス、ゴーグル、フルフェイスの3種類があるが、基本的にはゴーグルかフルフェイスが推奨され、フィールドによっては(特に屋内フィールド)ルールでフルフェイスの着用を義務付けされることもある。
実際、シューティンググラスはサングラスのような形状のため隙間が非常に多く、跳弾が隙間から飛び込む恐れがあるのでサバイバルゲームでは絶対に推奨されない。ゴーグルにしてもメガネのようにツルで耳にひっかけるタイプではなく、伸縮性のバンドでしっかり装着できるタイプで、頭を振りまわしても外れて飛んで行かないようなゴーグルにしよう。これに加えて、フルフェイスでないならば口部分を何らかの形で防護することが推奨される。BB弾が素肌の顔に当たれば痛いし、当たり所が悪ければ、歯が欠けることも十分にある。怪我した方はつらいが、させてしまった方はもっと凹む。頬に直径6mmのアザを大量につくって一般人に不審がられるよりは、最低でもタオル、バンダナで顔面を覆うぐらいはしたほうがよいだろう。
ゴーグルの値段はピンキリで、フルフェイスタイプなら5000~10000円前後。高いものでは、曇り防止のため送気ファンが装着されている高価なものもある。どうしてもフルフェイスに抵抗があるのならば、ドンキホーテやヴィレッジヴァンガードで強盗マスクを買っても良い。安い。
まとめ
いろいろあるが、以下さえ守れれば最高に楽しい遊びのひとつである。
特に3つめの事項を満たすには、精神的にのみならず社会的にも自立した大人であることが求められる。
未成年、学生などは基本的に保護者など責任を持ってくれる大人と同行することが望ましい。
フィールド主催の定例会、大会やサークルなどへの未成年(18歳以下)、学生の参加に際しては、親の同意書を必要とすることが多く、また参加自体を禁止としている場合がある。
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ニコニコ動画やyoutubeなどの動画共有サイトでは、かつては装備紹介動画や、カメラでプレイの様子を撮影したものが多かったが、現在では、CCDカメラなどを利用して、FPSのような視点でプレイを撮影した動画の投稿が多い。
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