ベガ(海外版ではM・バイソン)は、カプコンの対戦格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズなどに登場する架空の人物である。以下、ストリートファイターをストと略す。
概要
基本設定
CVは作品によって様々だが、ゲームではZERO・VSシリーズ・EXシリーズが西村知道、カプエス~ストVが若本規夫、スト6が楠大典。
黒いマントと赤い軍服に身を包み白目をむいた姿が印象的。あと何気に面長の顔つき。
初出は『ストII』で、サガットに代わり同作品のラスボスとなった。シリーズに出てくる犯罪組織「シャドルー」の総帥でもあり、サイコパワー(超能力)を操る格闘家でもある。国籍は不明。ガイルの戦友や春麗の父を亡き者にする、サンダー・ホークの聖地を奪う、人造人間キャミィを洗脳して自らの駒として利用するなど悪事の限りを尽くし、世界征服を目論む。
性格も悪を尊び正義を軽んじる典型的な『悪』そのものだが『格闘王』の異名に違わず格闘に関しては意外に真摯に向き合う一面もあり、リュウをして「邪悪な心と力、それを除けば格闘家として最高峰の男だった」といわしめるほど。事実、『ストV』では格闘家として散っていった様子が描かれていた。
ベガ自身は自分のボディを交換することが可能で、それによって力が多少上下するらしい。その為、常に強力な力を手に入れることを考えており、殺意の波動とそれに目覚める可能性があるリュウのボディを乗っ取る為に、常につけ狙っている。
作中の動向
『ストII』では舞台となる世界格闘大会の決勝戦で登場する。『スパIIⅩ』および『ストEX』、『CAPCOM VS. SNK』等では条件を満たすことで隠しボスである豪鬼の瞬獄殺に倒れてしまう。
『ストIII』ではすでにシャドルーは壊滅させられており、ベガも登場しない。
『ストIV』(物語はストIIとストIIIの間)では、セスの叛乱に乗じて復活。本家シリーズでは珍しくラスボスではなく通常キャラクターとして登場するも、ラストボスのセスすら自身の掌の上という絶大な存在感を見せつけていた。
『ストV』(物語はストIVとストIIIの間)では、F.A.N.Gの発案したチェインズ計画により、本格的に世界征服に乗り出している。また、同作では軍服の上着の裾が長くなっている他、ボディにガタが来ているのか髪が白髪になっている。
しかし、春麗、ガイル、キャミィ、ケン、ラシード、かりんらから構成されるファイター連合によってチェインズ計画は阻止。自身は計画の失敗を知りながらもなおもリュウと「全ての力が最後に行き着く先」である『究極の闘い』を望むなど格闘家としての意地を見せるも、激戦の末敗北する。
最期はリュウの波動拳の直撃を食らい、体に亀裂が入っていき高笑いしながら完全消滅。シャドルーと共に散っていった。
…かに思われていた。
ストリートファイター6にて
『ストIII 3rd』の後を描いた『スト6』では前作であれだけ盛大に散ったにもかかわらず生存が確認された。が、記憶を失っておりボロボロの軍服、それを隠すかのように羽織った黒いボロ布、セットが解けた髪に無精髭とその外見はこれまでから大きく変貌を遂げた。声優も楠大典に変更。自身の手がかりを探す中で出会ったハン・ジュリを返り討ちにし、ジュリが触れていたサイコパワーを使う男の名前『ベガ』を名乗るようになる。
性格もまるで別人のようになり、一人称は「俺」に、口調もそれまでとは異なり粗野な印象が強くなった。世界征服を企んでることは共通しているが、その中身は「自身の強さを誇示することで自分に従う勢力を増やしていき、やがて世界のすべてを力で手に入れる」といった「覇道」を思わせるものになっている。
また、最優先は自身の「渇き」をいやすほどの強者との闘いで、世界征服やシャドルーに関してはそこまで執着しているわけでもない様子。
荒野で死にかけていた馬の生きたいという意思を汲み、サイコパワーで蘇生させてからは愛馬とし「駄馬」と貶しながらもなんだかんだで可愛がっている一面も。
かつてのベガの意識はシャドルー研究所跡地にてサイコパワーの残留思念として残っていたが(こちらの声優は若本規夫)、力と自身の記憶を求める今のベガによって吸収されてしまう。サイコパワーの残留思念にとっては想定外だったようで、この時断末魔を上げていた。かくしてベガは記憶の一部を取り戻すが、吸収したサイコパワーから読み取った過去の自身の行いをまるで他人事のように語っている。
この後彼はどうなっていくのか…
他キャラクターとの関連
- ガイル
- 彼の親友ナッシュを殺害。
- 春麗
- 彼女の父親を殺害。
- キャミィ
- ベガ自身のDNAを使用して作られたクローン体。その後、サイコパワーにより洗脳。強化兵士の手駒の一つとして操る。彼女の記憶喪失後、敵対。
- サンダー・ホーク
- ホークの父親を殺害し、聖地を汚す。ZERO3では村人であるジュリアを拉致、洗脳されたユーリとしてベガ親衛隊に加えている。
- ローズ
- ZERO3ではかつてのベガの弟子。一度サイコパワーを彼女の肉体に預け、ストⅣで返す描写がされている。
- リュウ
- ZERO3でより強靭な肉体を求めていたベガが代替ボディとして乗換えを図る。お祭り作品「ナムコクロスカプコン」「プロジェクトクロスゾーン2」でもリュウを狙う。
- マイク・バイソン、バルログ、サガット
- ベガを含め”シャドルー四天王”ということになっているが、互いに尊重はしていない。バイソンは金、バルログは美、サガットはリュウへの復讐、各々自己中心的な理由で部下になっただけである。それゆえに利害関係が崩れればいつでも敵対する状況にあるが、シャドルーに求めるのは忠誠心ではなく力なのでベガとしては問題視していない様子である。
- F.A.N.G
- 脱退したサガットの後釜。他の四天王と違い、ベガを尊重し心酔している。
- ナッシュ
- ZERO2でシャドルーヘリがナッシュへ発砲、そのまま滝壺へ落下して消息不明となった。ストVでユリアンの組織によって蘇生する。
ベガ親衛隊
『ストZERO3』では、少年少女を拉致し、マインドコントロールによる洗脳を施した上でベガ親衛隊を作り上げた。しかしユーリ、ユーニをはじめほとんどが少女なため、ファンの間ではベガを「変態」「ハーレム総帥」「すばらしい趣味」と形容。ナムコクロスカプコンでベガが用意した女ばかりの編成に、ゲーム中のファイター達はツッコミを入れている。
『ストIV』シリーズ(物語はストIIとストIIIの間)ではディカープリがプレイアブルとなった。また、ゲーム内アニメではS.I.N社の刺客、ハン・ジュリによりユーリ・ユーニを始めとした親衛隊員が戦闘不能にさせられてしまう。一連の騒動でユーニはイギリス軍により保護され、洗脳も解けてシャドルーを離脱した。
『ストV』ではほとんどの隊員がCPU専用キャラクターとして登場。ゼネラルストーリーモードではF.A.N.Gのサイコパワーコントローラーによって操られていたが、コントローラーが破壊されたことにより全員正気を取り戻した。だが、一連の戦いで親衛隊の一員メルツがF.A.N.Gを道連れにするべく命を落とすこととなった。
『スト6』では戦死したメルツ以外の全員が無事に社会復帰。親衛隊の代表格であったユーリ(ジュリア)はめでたくサンダー・ホークと結婚した。
余談
国内版と海外版の名称違い
余談だが、彼を含めサガット以外の四天王は海外では名前が入れ替えられている。理由は、ベガという名前は海外では女性的なイメージのある琴座の主星ベガ(織姫星)を連想させるからである。その為、海外では女性的な顔立ちのバルログが「ベガ」、日本のベガが「M.バイソン」、また名前と容姿からあのお方
を連想させるM.バイソンも海外では「バルログ」と名前が変更されている。つまり、
| 日本 | 海外 | |
| ベガ | → | M.バイソン |
| バルログ | → | ベガ |
| M.バイソン | → | バルログ |
となる。正直かなりややこしい。また、海外のM.バイソンのMは「マイク」じゃないどころか作品によって「マスター」「メジャー」「マイティ」と異なってくるからまた余計にややこしい。正直これなら、一から名前を考えた方が良かったような希ガス。
名前の入れ替えで済ませたのは開発期間と容量の都合で新たなネーム表記画像を用意できなかったとも、急な変更でナレーターによるキャラ名コールの録り直しができなかったとも言われている。
海外コミュニティでも他国(特に日本人)ユーザーの混乱を避けるためか上の表からそれぞれ「Dictator」「Claw」「Boxer」と併記される場合がある。
『スト6』ではベガ、バイソン、バルログの三人は組織の実態を外部や軍・警察に悟らせないため、お互いの名前を偽名として借りて使うこともあったと設定された。
『力王』鷲崎『帝都物語』加藤似について
もう一つ余談として、ベガのデザイン上のモデルは鷹匠政彦原作、猿渡哲也作画の漫画『力王』に登場するキャラクター「鷲崎」であり、『ストII』開発中もその名前及び「イーグルヘッド」と呼ばれていた。Google検索で出てくる漫画の1カットも『ストIIターボ』までのベガの顔と驚くほどソックリである。
さらにその鷲崎も荒俣宏の小説『帝都物語』の魔人加藤こと加藤保憲、より正確に書くと映画版で嶋田久作が演じた加藤をモデルとしており、魔人の肩書きもベガと共通している。
いずれにせよ「加藤あっての鷲崎とベガ」であることは間違いない。
キャラ性能
シリーズを通して攻撃力、スピード、防御力いずれも高水準。高い移動速度で相手をかく乱し、奇襲性の高い必殺技でのヒットアンドアウェイを得意とする。
反面、タメ技がメインということもありコンボレシピは貧弱そのもの。また、無敵技や頭上への判定に強い技にも恵まれないため対空面に不安が残る。とにかく上を取られるくらいなら自分が上を取って行けということなのだろうか。
ストIIシリーズ
初登場作品はストIIだが、プレイヤーキャラとして使用できるのは、ストII´から。他キャラとは異なる高軌道ジャンプやリーチの長い立ち強Kなどクセは強め。
代名詞ともいえる必殺技・サイコクラッシャーやダブルニープレスの突進系、デビルリバースといったトリッキーな技をもつ。ガイルと同じ溜めキャラである。
ストII´では「サイコ投げ」や「ダブルニーハメ」と呼ばれるハメ技が凶悪だったため最強キャラ(今風に言えば厨キャラ)と扱われていた。後に登場した『ハイパーストリートファイターII』でもダッシュベガの戦法は脅威である。
その影響でストIIターボではサイコクラッシャーに大きなメスが入り弱体化。
スパIIXでは通常技(近距離立ち弱キックやジャンプ弱キック)を絡めてダブルニーやサイコで締める3~5段コンボが主流。他キャラとは違う独自の立ち回りができ、やりがいのある性能となった。
ストZEROシリーズ
体格が変わったことから技構成も見直され、サイコクラッシャーがスーパーコンボに昇格。新たな必殺技として飛び道具のサイコショットと瞬間移動技のベガワープが追加。よりトリッキーなキャラへとなっていった。
初代『ZERO』では隠しキャラだったということもあり全体的に高性能。
『ZERO2』以降は通常のプレイヤーキャラクターとなりそれに合わせて弱体化。特にダブルニープレスが悲惨な性能と化していた。
『ZERO3』ではX-ISMを選択することでキャラクター性能が大きく変化。サイコクラッシャーが必殺技になるなど『ストII』時代を思わせる性能になる。
また、マーベルvs.シリーズ、『頂上決戦最強ファイターズ SNK VS. CAPCOM』でも概ねZEROシリーズを踏襲した性能で登場。
その他シリーズ作品
ストリートファイターEXシリーズ
体格、声優は『ZERO』シリーズを踏襲するも実際の性能はストIIシリーズに近いものとなっている。サイコクラッシャーは必殺技扱いで、上位技としてメテオコンボ「サイコブレイクスマッシャー」が存在する。
また、相手を片足で吊るし上げ、そのまま投げ捨てる投げ技「デスタワー」は以降の本家作品にも逆輸入された。
CAPCOM VS. SNK、カプコンファイティングジャム
体格や使用する技が『ストII』準拠となり、それに合わせてグラフィックも一から書き直された。特徴的なファイティングポーズも復活。
カプエス2ではAグルーヴにて本作のみの必殺技「サイコバニッシュ」を画面端で連発するオリコンが非常に強力。
ストリートファイターIV
ストリートファイターV
本作では腕を組み直立した構えとなり、移動中も腕組みを崩さない。移動速度もこれまでのシリーズ作品と比較にならないほど鈍重だが、攻めの鋭さは健在。
Vスキル「サイコリジェクト」は打撃・飛び道具双方に対応する珍しい性質を持つ当身技。
サイコクラッシャーはクリティカルアーツ「アルティメットサイコクラッシャー」としてのみ実装されているが、Vトリガー「サイコナイトメア」を使用することで一時的にサイコクラッシャーを使用可能になる。
ストリートファイター6
別人といっていいほどの変貌を見せた本作だが、ファイトスタイルは意外にも『ストIV』時とあまり変わらないものになっている。
ダブルニープレスがコマンド技になったことにより利便性が上がったほか、ヘッドプレスとデビルリバースが相手に向かって跳び上がる技「シャドウライズ」からの派生技となった。
また、サイコマイン絡みの実戦ではまず成立しない挑発を完了させることによりベガワープ、サイコバースト、ファイナルサイコクラッシャーが使用可能になるという豪鬼同様のお遊び要素がある。
特殊なベガ
ファイナルベガ
『ストZERO3』でラスボスとして登場するベガ。X-ISMとZ-ISMの長所を併せ持った専用ISMであるS-ISMを持つ。
対をなすCPU専用キャラである真・豪鬼とは異なり通常技や必殺技はそこまで強化されていないが、ほぼ全画面攻撃かつ最高クラスの破壊力を持つ「ファイナルサイコクラッシャー」が最大のアピールポイント。また、強パンチが専用のエフェクトをまとったものへと強化される。
ベガII
『ストEX2plus』で登場するCPU専用キャラクター。一定条件を満たすとラスボスのベガ撃破後にもう一人のベガが現れ、合体して白色の軍服をまとったベガIIへと変貌する。
スーパーコンボのサイコキャノンが「サイコキャノンR」「サイコキャノンB」「サイコキャノンG」の三種類に増加し、いずれも強力な性能を持つ。
『ストEX3』でも隠しボスとして登場するが、こちらは軍服が緑となっている。条件を満たすと使用可能になるが、タッグ戦が基本となる本作においてタッグが組めないというハンデをものともしない高い性能を持つ。
トゥルーベガ
『ストEX3』の真の隠しボス。ハードモードでのみ条件を満たすと登場する。前作のベガIIと同様の白い軍服を身にまとうが、それに加えて肌の色が紫へと変化している。もはや完全に人間をやめてしまった
当然ベガII以上に高性能で、CPUの強さも比較にならない。こちらは正真正銘CPU専用で、プレイヤーは使用不可能。
『ストV』で再登場を果たし、エクストラバトルで対戦できる。こちらでは軍服の色はそのままに肌が通常の色になっている。
SiNベガ
『スト6』で登場。トゥルーベガの戦闘データを参考にホログラムで再現されたベガ。バトルハブで対戦可能。
挑発で解禁される隠し技3種が最初から解禁状態となっている。
関連動画
関連静画
関連項目
- ストリートファイターシリーズのキャラクター一覧
- ストリートファイターII
- ストリートファイターIV
- ストリートファイターV
- ストリートファイター6
- ナムコクロスカプコン
- プロジェクトクロスゾーン2
- カプコン(CAPCOM)
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