ポタジェ(Potager)とは、2017年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牡馬。
概要
父ディープインパクト、母*ジンジャーパンチ、母父Awesome Againという血統。
父は説明不要の無敗三冠馬にして大種牡馬。
母はアメリカで2007年のブリーダーズカップ・ディスタフなどGIを6勝し、2007年のエクリプス賞最優秀古馬牝馬を受賞した名牝。引退後の2009年にノーザンファームに輸入された。
母父オーサムアゲインはアメリカで走ったカナダ産馬で、1998年のG1ブリーダーズカップ・クラシックとホイットニーハンデキャップの勝ち馬。日本では母父としてローマンレジェンドなどを輩出している。
ということで、両親合わせて日米GI13勝という折り紙付きの良血である。
半姉に2016年毎日王冠・2017年オールカマーなど牡馬混合重賞を4勝したルージュバックがいる。
2017年2月4日、ノーザンファームで誕生。2018年のセレクトセールにて、その良血ぶりと半姉の活躍から2億520万円(税込。税抜1億9000万円)という高額で金子真人オーナーに落札された。
家庭菜園に花が咲く
クラシックは夢と消えるも
栗東の友道康夫厩舎に入厩し、デビューは2019年9月29日、中山競馬場の新馬戦(芝1800m)。鞍上は川田将雅。スタートで出遅れ後方からになったが、向こう正面から早くも押し上げていき、大外をブン回してまとめて差し切り、単勝1.3倍に応えてデビュー勝ちを飾る。
続いて1勝クラスの黄菊賞(京都・芝2000m)にクリストフ・スミヨンを迎えて出走したが、直線入口でスミヨンが手綱を落とす痛恨のミスで追い出しが遅れ、4コーナー前で仕掛けてきたシンプルゲームを猛追したもののハナ差捕らえきれず2着。
明けて3歳は武豊を鞍上に若駒Sに向かう予定だったが、休養が長引きここを回避、皐月賞は断念。結局半年休むことになり、日本ダービーを目指してトライアルのプリンシパルS(L)で復帰したが、中団から追い上げたもののビターエンダーを捕らえきれずまた2着。ダービーも夢と消えた。
自己条件に戻り、6月の阪神の1勝クラスに出走したが、アルサトワに逃げ切りを許してまたまた2着。
どうにももどかしいレースが続いたが、7月の1勝クラス・生田特別(阪神・芝2000m)で鞍上が川田に戻ると、重馬場もなんのその、中団前目から徐々に押し上げて直線で粘るペプチドオーキッドを振り落とし、3着以下は7馬身以上ちぎって快勝。
8月の2勝クラス・西部日刊スポーツ杯(小倉・芝2000m)でもレース中に右後肢の落鉄がありながら、4コーナー出口で先頭に立つ早め抜け出しで押し切り楽勝。この連勝で菊花賞に向かうかとも思われたが結局登録せず、クラシックは完全にスルーすることになった。
そのまま自己条件を進み、11月の3勝クラス・岸和田ステークス(阪神・芝2000m)も道中4番手から、直線で抜け出した2年以上の長期休養明けのダノンマジェスティを最後にクビ差差し切って3連勝。あっという間にオープンに昇格した。
明けて4歳初戦は1月の白富士ステークス(L)。道中は5番手につけるも位置取り争いが激しく後方に下がってしまい、直線に入っても馬群の中。しかし隙間が空くとみるやすぐに抜け出し、そのまま鋭く伸びて、大外から追い込んできたサンレイポケットをクビ差凌いで4連勝を飾る。ちなみにこのレース、4着にはアフリカンゴールド、5着にはギベオンがいた。
善戦すれど勝ちきれず
勢いに乗り、3月の金鯱賞(GII)で重賞初挑戦。このレース、無敗三冠牝馬デアリングタクトが圧倒的1番人気。川田将雅は2番人気のグローリーヴェイズに回ったため、ポタジェの鞍上は北村友一が初騎乗となり、乗り替わりが不安視されたか4連勝中ながら6番人気に留まった。
レースは単勝227.3倍の最低人気ギベオンがまさかの逃げ切り勝ち。ポタジェは3番手で進めて直線抜け出しを図ったが、ギベオンには届かず、2着デアリングタクトに半馬身差かわされ3着。
続いて5月の新潟大賞典(GIII)。鞍上は西村淳也。1番人気に支持され、直線で馬場の真ん中から抜け出しを図るも、内からサンレイポケットにクビ差かわされて2着。
夏場は休んで秋は10月の毎日王冠(GII)から始動。鞍上は吉田隼人。道中4番手から直線でダイワキャグニーとダノンキングリーの競り合いに食らいついていくも、最後はシュネルマイスターにまとめてかわされて3着。
続いて天皇賞(秋)でGI初挑戦。鞍上はここまで5戦5勝の川田将雅に戻り、コントレイル、グランアレグリア、エフフォーリアの3強対決ムードの中カレンブーケドールに次ぐ5番人気。好位からレースを進めるも、直線での3強対決にはさすがについていくことが出来ず、初めて掲示板を外す6着。
明けて5歳となった2022年は1月のアメリカジョッキークラブカップ(GII)から始動。鞍上は引き続き川田。初めての2200mで距離不安も囁かれる中で2番人気に支持されたが、馬群の後ろから追い込んだものの5着まで。あまり状態も良く無かったようで、川田は「今日できる精一杯の走りをしてくれました」とのコメント。
続いて3月の金鯱賞(GII)。鞍上は吉田隼人。スタートから近くにいたジャックドールがどんどん飛ばしていったため流れに乗れず後方からのレースになり、直線に入ったときには最後方にいた。
レースはジャックドールがレコード逃げ切りで5連勝。その強さに皆がどよめく中、直線入口で最後方にいたポタジェが断然の上がり最速で4着に突っ込んで来ていたことなど、ほとんどの人が気付いていなかっただろう。中継の画面にもほとんど映ってなかったし。
かくして1年前の金鯱賞から、重賞戦線では6戦して3着→2着→3着→6着→5着→4着。掲示板はほぼ外さないがどうにも勝ちきれない。善戦マンという評価になるのは自然なことであった。
善戦マン、仁川の舞台に花が咲く
続いて向かったのは大阪杯(GI)。鞍上は引き続き吉田隼人。
レース前の前評判は、始動戦となる昨年の年度代表馬エフフォーリアと、金鯱賞での衝撃のレコード逃げ切りで一躍最注目株となったジャックドールの完全な2強ムード。ポタジェはといえば、単勝58.7倍の8番人気。前走の追い込みに着目していた人が馬券的な狙い目として挙げている程度で、ほとんど注目されていなかった。
レースは逃げるジャックドールにアフリカンゴールドが競りかけ、前半1000m58秒8のハイペースで流れる展開。ポタジェは先行グループの後方、5番手の好位をキープする。
1番人気エフフォーリアは中団で馬群に揉まれたまま手応え悪く撃沈。直線でジャックドールとアフリカンゴールドもいっぱいになり、3番手で追走していたレイパパレが抜け出す。残り200m、4番手にいたポタジェは猛然とレイパパレを追いかける。外からは小倉巧者アリーヴォが追い込んできて、3頭横並びの競り合い。ゴール前、最後にクビ差抜け出したのは真ん中のポタジェだった。
直線コースに入った、ジャックドールが先頭1馬身のリード、エフフォーリアまだ後方にいる、
真ん中から、連覇を狙ってレイパパレ! ここで先頭に変わるか、
外から、ポタジェ! ポタジェ! ポタジェも差を詰めている!
その外から、武豊とアリーヴォも来ている!
武豊とアリーヴォ! 内からレイパパレ!
ポタジェか? ポタジェか!? ポタジェだー!
真ん中ポタジェ! 吉田隼人、大金星!
重賞初制覇が、最強馬決定戦の舞台! ポタジェ!
ジャックドールは5着、エフフォーリアは9着に沈み、3連単は53万7590円の波乱の決着。
昨年の年度代表馬も、5連勝中の新星逃げ馬も、昨年の覇者もまとめて撫で切り、前週高松宮記念のナランフレグに続いて8番人気の重賞未勝利馬がGI初制覇。善戦マンという評価を蹴っ飛ばし最高の舞台で大金星を挙げ、半姉ルージュバックが10度挑んで届かなかったGIのタイトルを手にした。
大阪杯の賞金2億円(2022年から増額)で自身のセリ取引額も回収し黒字になったが、セレクトセールで2億円以上がついた高額取引馬でGIを勝ったのはアドマイヤグルーヴ、サトノダイヤモンド、ワールドプレミアに次いで4頭目だそうな。
ちなみに金子オーナーは1億円以上の高額取引馬ではこれがGI初制覇。また大阪杯も所有馬初勝利で、JRAのGI完全制覇まで残り4つ(高松宮記念・マイルCS・朝日杯FS・ホープフルS)となった。
されど収穫の季節は遠し
晴れてGI馬となり、続いては宝塚記念(GI)へ。ファン投票ではなんとタイトルホルダー、エフフォーリア、ソダシに次ぐ4位という得票数(11万9427票)を獲得する。
本番では大外枠に加え、グランプリに相応しい超豪華メンバーが揃ったこともあり、大阪杯よりオッズはだいぶ低くなった(22.9倍)が、8番人気に留まる。吉田隼人騎手は前日の函館11Rで前の馬の転倒に巻き込まれて落馬するアクシデントがあったが、幸い怪我はなく無事騎乗できた。
レースはパンサラッサがぶっ飛ばしてタイトルホルダーがそれについていく超ハイペースの展開の中、エフフォーリアとデアリングタクトを見ながら後方集団でレースを進めたが、直線でもそこから動いていけず11着に撃沈。夏バテで前走より調子も落ちていたようだが、超ハイペースの消耗戦にすり潰されてしまった。
秋は前年同様に毎日王冠(GII)から始動。トップハンデ58kgを背負ったこともあってか、10頭立てのうち12.9倍の7番人気に留まる。中団からレースを進めたものの、直線で上手く進路を取れず、伸び脚を欠いて6着。吉田隼人騎手は「58kgだし着順ほど負けてない」とコメントしたが……。
続いて天皇賞(秋)(GI)へ。出走全頭が重賞馬というメンバーの中、34.6倍の8番人気。スタートで行き脚がつかず後方からのレースになり、大逃げパンサラッサを追っての直線の極限の末脚勝負では、金鯱賞(34秒2)よりずっと速い上がり33秒4でも、周りが全員同程度の脚ではそこから上がって行きようがなく13着に撃沈。吉田隼人騎手は「1完歩目でジャンプするような形になってしまって、スピードに乗れなかった」とコメント。
年内最後は有馬記念(GI)。この3戦の凡走でとうとう単勝万馬券の136.9倍、12番人気まで評価を落とす。そしてそれに反発するでもなく、中団からレースを進めるも直線では全く伸びずに人気通りの12着。気付けばすっかり影が薄くなってしまったまま5歳シーズンを終えた。
明けて6歳となる2023年も現役続行。鞍上には新たに岩田望来を迎え、金鯱賞(GII)から始動。すっかり凡走続きなのに大阪杯の勝利が1年以内なので59kgのトップハンデを背負う羽目に。中団から進めたが、直線では最後に脚が上がってしまい伸びきれず6着。
連覇を目指した大阪杯(GI)では坂井瑠星を迎え、48.5倍の12番人気。馬群の中、前目の5番手で進めたが、ジャックドールと武豊の絶妙なハイラップ逃げに脚を使わされてしまい、直線伸びず10着。坂井騎手は「もう少し時計がかかる馬場だったら、もっとやれていたと思います」とのコメント。
宝塚記念はパスし、次走は札幌記念(GII)の予定。2022年大阪杯の勝利以降、苦戦が続くポタジェ。春の仁川に花を咲かせた家庭菜園は、収穫の秋を迎えられるか。
血統表
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
*ウインドインハーヘア 1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | |
Lady Rebecca | |||
Burghclere | Busted | ||
Highclere | |||
*ジンジャーパンチ 2003 栗毛 FNo.16-d |
Awesome Again 1994 鹿毛 |
Deputy Minister | Vice Regent |
Mint Copy | |||
Primal Force | Blushing Groom | ||
Prime Prospect | |||
Nappelon 1992 栗毛 |
Bold Revenue | Bold Ruckus | |
More Revenue | |||
Sally Go Gray | Wise Exchange | ||
Surreptitious | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Promised Land 5×5(6.25%)、Northern Dancer 5×5(6.25%)
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