ウインマリリンとは、2017年生まれの日本の競走馬である。栗毛の牝馬。
主な勝ち鞍
2020年:フローラステークス(GII)
2021年:日経賞(GII)、オールカマー(GII)
2022年:香港ヴァーズ(G1)
概要
ウインマリリン Win Marilyn/瑪蓮必勝 |
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生年月日 | 2017年5月23日 |
馬種 | サラブレッド |
性・毛色 | 牝・栗毛 |
生産国 | 日本 |
生産者 | コスモヴューファーム (北海道新冠町) |
馬主 | (株)ウイン |
調教師 | 手塚貴久(美浦) |
馬名意味 | 冠名+女性名 |
登録日 | 2019年7月11日 |
抹消日 | 2023年12月27日 |
戦績 | 22戦6勝 [6-2-1-13] |
獲得賞金 | 5億6582万2900円 |
競走馬テンプレート |
血統
父スクリーンヒーロー、母コスモチェーロ、母父フサイチペガサスという血統。
父スクリーンヒーローはグラスワンダー産駒でGIジャパンカップを制し、種牡馬としてもモーリスやゴールドアクターを輩出した実績のある種牡馬。本馬はその7年目の産駒、モーリスがマイル戦線を蹂躙していたころの生産馬である。
母コスモチェーロは9戦1勝の条件馬だが、繁殖牝馬としては第2仔のウインマーレライ(父マツリダゴッホ)がGIIIラジオNIKKEI賞を制し、他の仔も第8仔までの全頭が勝ち上がっている(うち第6仔を除けば中央での勝ち上がり)活力ある系統である。本馬はその第7仔。
母父フサイチペガサスは「フサイチ」の冠名で知られる関口房朗氏がアメリカで所有した馬で、セールにて400万ドルで落札し、その期待に応えてケンタッキーダービーを制した馬。なお種牡馬としては期待と裏腹にGI馬数頭程度の輩出に終わった。
2017~2019年(当歳~2歳)
5月後半というやや遅い生まれではあったが、母譲りの丈夫さと父譲りのバネを持つとの評価を当歳時より受けていた。
コスモヴューファーム生産馬の多くがそうであるように、本馬も系列レーシングクラブであるウインレーシングクラブにて募集される(1口6万円×400口、総額2,400万円)。フィエールマンなどで知られる美浦の手塚貴久厩舎に入厩した。
その後フレグモーネを発症したりゲート試験に落ちるなどしてデビューがやや遅れたが、3年目の横山武史騎手を鞍上に12月の中山開催、2歳新馬戦(2000m)にてデビュー。スタートは今一つだったがすっと2番手につけると、直線入り口で先頭に立ちそのまま突き抜けて3と1/2馬身差の快勝となった。
2020年(3歳)
デビュー戦を飾った本馬はクラシック戦線へ歩みを進めるべく1月の若竹賞(1勝クラス, 中山芝1800m)を選択。騎手はウインレーシングクラブ主戦の松岡正海へと乗り代わりとなった。しかしレースでは稍重の馬場でスピードが殺されたのか馬群に包まれてしまう形になり、直線で必死に足を伸ばすも5着。ちなみにこのレースにはエリザベス女王杯を制したアカイイト(4着)も出走していた。このレース後肩に水が溜まったこともあり一旦放牧へと出されることとなった。
2か月後の復帰戦は3月のミモザ賞(1勝クラス, 中山芝2000m)、鞍上は横山武史に戻って迎えた。季節外れの降雪で2日延期となった馬場は再び稍重となり番手も取れなかったが、第4コーナーで前が開いたところから力強く進出すると同クラブのウインキートスらの追撃を抑えて2勝目、オープン入りを果たした。
4戦目はオークストライアルのフローラステークス(GII, 東京芝2000m)。1番人気のスカイグルーヴが2.1倍と断然の支持を受ける中本馬は4番人気。砂埃が舞う強風の中、2枠3番という好枠から迎えたレースでは1000m58.6秒というやや速いペースの中4番手を追走。最終直線、向かい風の中内から一気に抜け出して先頭に立つ。ここで鞍上の横山武史が鞭を落とすハプニングが発生。同じようなことを府中のGIでやったジョッキーがいたな…。それもあってか外からホウオウピースフルとフアナの追撃を受けるが、クビ差振り切って初重賞制覇。鞍上の横山武史にとっても嬉しい初重賞制覇となった。
次走は優先出走権を獲得した優駿牝馬(オークス)(GI, 東京芝2400m)。ここにいたのが無敗で桜花賞を制したデアリングタクト。1.6倍と断然の1番人気である。主戦の横山武史が騎乗停止になったので、鞍上は父親の横山典弘に乗り替わり。それが起因したのか、それとも大外枠にあたったのが先行馬に苦しいとみられたか、トライアル勝ち馬なのにスイートピーステークス勝ち馬(デゼル、2番人気)や忘れな草賞勝ち馬(リリーピュアハート、6番人気)より下の7番人気に留まる。
レース本番。まずまずのスタートを切るとノリさんは外枠にも関わらず一気に内に切れ込んで2番手を確保。先頭のスマイルカナ(桜花賞3着)馬の1000mは59.8秒と平均ペース。第3コーナーで後続馬が外から交わしにかかるが本馬は落ち着いて内ラチ沿いを回っていく。そして直線で追い出すといつもの豪脚を炸裂させ、先に抜け出した同クラブのウインマイティーを捉えた…が、そのさらに外から馬群を割って飛んできたのがデアリングタクト。63年ぶりとなる無敗での牝馬2冠を達成される後ろで半馬身差の2着に終わる。
捲土重来を期して秋華賞(GI, 京都芝2000m)へと直行したが、3番手で進むも直線で沈没し期待を大きく裏切る15着。デアリングタクトが無敗での牝馬三冠を達成するという偉業を成し遂げるのをただ見送るのみとなった。
次走は初の古馬混合戦となるエリザベス女王杯(GI, 阪神芝2200m)(京都競馬場の改修につき阪神競馬場での代替開催)。人気は前走の大敗で大きく下げた9番人気。レースでは2番人気ノームコアの逃げを離れた番手から見ながら進める。最終コーナーを内ラチ沿いぴったりと回って最終直線に入るが、外から伸びてきた前年覇者のラッキーライラックらにあっという間に交わされて4着。一応3歳馬では唯一の掲示板内である。
2021年(4歳)
2021年はアメリカジョッキークラブカップ(GII, 中山芝2200m)より始動するが、不良馬場の影響かそれとも距離の影響か、直線伸びず6着。
次走は横山武史騎手が距離が長いと前走後言ってたのに日経賞(GII, 中山芝2500m)を選択。1番人気に善戦ウーマンカレンブーケドールが押される中本馬は4番人気。レースはというといつも通りに先行して内ラチ沿いを通り、早めに先頭に立つと中山の短い直線を粘りこんで1着。ほぼ同じコースを通ってきたカレンブーケドール、外から迫ってきたワールドプレミアを抑え込んで待望の重賞2勝目を挙げた。
距離のめどがついたので次走は天皇賞(春)(GI, 阪神芝3200m)に挑戦。外枠に入れられたので外を回らされる羽目になり、直線じりじりと伸びたが5着まで。それでも牝馬が春天の掲示板に入るのは56年ぶりの偉業であった。一緒に参戦したカレンブーケドールが見せ場たっぷりのレースをして3着に入ったのでだいたいそっちに意識取られてるけど。
レース後、以前から不安のあった右肘に肘腫(肘関節への刺激により、潤滑油である滑液が過剰に溜まり腫れあがること)を発症し手術を受けた。
復帰戦はオールカマー(GII, 中山芝2200m)。同年に無敗で大阪杯を制したレイパパレに次ぐ2番人気に推された。そしてレースは内ラチ沿い4番手から最終直線で内に切れ込んできたレイパパレの外へと持ち出し、距離の壁で失速するレイパパレを突き放して重賞3勝目。2着には同クラブ馬のウインキートスが入りウインレーシングクラブのワンツーとなった。
アオシマバクシンオー「ウインウインだぁ!」
そして2年連続の参戦となるエリザベス女王杯(GI, 阪神2200m)。しかしレース前から前述の手術した肘に腫れが再発しており、状態次第で回避という話もあった中での出走となった。近走の安定感よりGI馬2頭(レイパパレ、アカイトリノムスメ)に次ぐ3番人気に推されたものの、レースは3番手を進んだものの第3コーナーで早々とつかまり16着轟沈。横山武史騎手は「きょう乗ったのはマリリンじゃなかったです。別の馬です」とコメントしたように、肘の不安という懸念が的中した格好で、悲願のGI制覇はまたしても成らなかった。
2022年(5歳)
クラブ規定で実質的なラストイヤーとなる2022年度は肘の状態を考慮し、前年は使用した前哨戦ではなく大阪杯(GI, 阪神芝2000m)へと直行。鞍上は横山武史騎手がエフフォーリアを選択したため、2戦目以来となる松岡正海騎手となった。レースはというと先行したものの第3コーナーから沈んでいき最下位16着。松岡騎手は「久々だったので今一つだった」とコメント。
次走は春グランプリ・宝塚記念(GI, 阪神芝2200m)。ファン投票順位は37位、出走意志がある馬の中では13番目と優先出走権は得られなかったが、賞金順で出走を果たす。レースはというとタイトルホルダーが好スタートを決め、それにパンサラッサがせりかけていく展開。本馬はディープボンド・アフリカンゴールドとともにタイトルホルダーをつっつく3番手集団を形成する。そして彼らが作り出したのが1000m57秒8の超ハイペース。このペースでも振り落とされずに最終直線まで頑張ったのは称賛に値するのだが、さすがに先頭をいくタイトルホルダーを追いかける余力が残っておらず、秋華賞以来の再戦となったデアリングタクトや連続で顔を合わせたエフフォーリアらに最後差されて7着。とはいえ人気(9番人気)より上の順位に来たし、GIでの好走という収穫は得られたといえる。
2022年の3走目は夏のスーパーGII・札幌記念(GII, 札幌芝2000m)。レースはパンサラッサとユニコーンライオンが飛ばす中ジャックドールと共に3番手から進み、そのまま最後まで垂れることなくジャックドール・パンサラッサに次ぐ3着を確保。秋に向けて良好な気配を示した。
同年4走目は鞍上にダミアン・レーンを迎え、3年連続の参戦となるエリザベス女王杯(GI, 阪神芝2200m)。クラブ規定により6歳4月末での引退が原則であり、ラストイヤーとなる今年、悲願のGI馬の称号をつかみ取ることができるか期待された。先行集団につけ、4コーナーを過ぎ直線に向かう時に2番手。残り200mを過ぎたあたりで先頭に立つがジェラルディーナに差し切られてしまう。さらに追い込んできたライラックに並ばれてしまい、全く並んでのゴールイン。写真判定の結果、ライラックとの2着同着となった。
ジャパンカップにも登録されていたがこちらは回避し、陣営は香港国際競走への招待を受諾。同年5走目は初の海外遠征となる香港ヴァーズ(香港G1, 沙田芝2400m)となった。日本からは同競走2勝のグローリーヴェイズが出走したが、この年は欧州馬のメンバーが比較的軽く、ウインマリリンはGI未勝利ながら現地オッズで3番人気に支持される。
鞍上に再びダミアン・レーンを迎えたウインマリリンは大外枠からスタートし、道中は後方。後方2番手で直線を向くと、力強い末脚で大外から馬群を呑み込んでいく。真ん中から抜けようとした1番人気グローリーヴェイズも悠々とかわし、最後は2着馬に1馬身半差をつける完勝。悲願のGI勝利を海外遠征で成し遂げた。また、香港ヴァーズの日本調教馬勝利はこれで5勝目だが、日本調教牝馬としては初の勝利となった。
2023年(6歳)
引退期限は年度末の翌2023年3月一杯なので、ラストランには再度遠征してのドバイシーマクラシック(UAEG1、メイダン芝2410m)とのアナウンス。海外G1を2勝して有終の美を飾った牝馬ではラヴズオンリーユーが記憶に新しいが、ウインマリリンは続けるかとなったが、中団にとどまり、一時直線で下がったが盛り返し6着となった。ただし、社台グループ系のクラブではないので、引退期限というのは絶対的なものではないため、帰国後現役期間の延長を発表。次走は札幌記念(GII、札幌芝2000m)で9着。その次のオールカマーも9着に沈んだが、ブリーダーズカップ・フィリー&メアターフ(米GI、サンタアニタ芝10ハロン)では4着と健闘。有馬記念(GI、中山芝2500m)では当年の皐月賞馬ソールオリエンスにアタマ差先着する7着として現役引退となった。今後は母として力を継いでいく。
ちなみに生まれ故郷のコスモヴューファームで繁殖入りしたウインマリリンだが、同じく昨年限りで現役引退・繁殖入りしたウインマイティーと非常に馬が合ったようで、たびたび牧場見学者から仲の良い様子が報告されている。
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https://twitter.com/winrc_official/status/1751815457106247945
血統表
スクリーンヒーロー 2004 栗毛 |
*グラスワンダー 1995 栗毛 |
Silver Hawk | Roberto |
Gris Vitesse | |||
Ameriflora | Danzig | ||
Graceful Touch | |||
ランニングヒロイン 1993 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo | |
Wishing Well | |||
ダイナアクトレス | *ノーザンテースト | ||
モデルスポート | |||
*コスモチェーロ 2001 鹿毛 FNo.14-e |
Fusaichi Pegasus 1997 鹿毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native |
Gold Digger | |||
Angel Fever | Danzig | ||
Rowdy Angel | |||
Shorwon 1983 栗毛 |
Buena Shore | George Lewis | |
Full View | |||
April Wonder | Newtown Wonder | ||
April Flower | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Danzig 4×4(12.50%)、Northern Dancer 5×5×5(9.38%)、Halo 4×5(9.38%)、Hail to Reason 5×5(6.25%)
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初GI制覇
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関連項目
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