京成杯(けいせいはい)とは、JRA(日本中央競馬会)が開催する中山競馬場の3歳限定、芝2000mの重賞競走である。格付けはGⅢ。
ややこしいが、同じ京成電鉄の冠競走であり同じ中山競馬場で開催される京成杯オータムハンデキャップとは別のレースである。また、かつては「京成杯3歳ステークス」という名前だった、現在の京王杯2歳ステークスともやはり別のレースである。
概要
1961年創設。開催時期は創設以来ほぼ一貫して1月中旬。1998年までは中山競馬場と東京競馬場を行ったり来たりしながら、芝1600mで開催されていた。1999年から中山競馬場の芝2000メートルに変更となり、皐月賞と同一条件の競走となった。
1984年、グレード制の導入に伴い格付けがGⅢとなる。同年から外国産馬が出走可能となり、1996年には指定交流競走となり地方馬も出走可能(2頭まで)となった。2009年に国際競走となって現在に至る。
3歳限定の、クラシック三冠前の重賞競走ということで、JRA公式では「クラシックレースに向けて各馬の将来性や距離適性を占ううえで重要な競走」と解説されている……のだが……。
歴代の勝ち馬を見ていくと、1970年代まではスピードシンボリ、アローエクスプレス、ヒデハヤテ、カミノテシオ、テスコガビー、クライムカイザーと現在のGⅠにあたるレースを勝利した馬が並ぶ。
ところが1981年のテンモン(オークス馬)を最後にその流れはピタッと止まってしまい、1982年から2022年までの勝ち馬でGⅠ馬となったのは41年間でエイシンフラッシュただ1頭のみ。コンスタントにGⅠ馬を出している共同通信杯やきさらぎ賞、かつては不出世競走と揶揄されながらも近年はぼちぼちGⅠ馬を出しているシンザン記念と、開催時期の近い3歳牡馬混合重賞と比べても非常にパッとしない競走になってしまっていた。
複勝圏内も含めれば、キヨヒダカ、ニッポーテイオー、ダイナコスモス、スタビライザー、ヒシアマゾン、イーグルカフェ、キングカメハメハ、ナカヤマフェスタなどがGⅠ(GⅠ級)を勝っているのだが……。
しかし2023年皐月賞にてソールオリエンスが勝利、皐月賞と同条件になってから本レース勝ち馬から皐月賞勝利が出たのは史上初となった。さらに2024年にはダノンデサイルが東京優駿を勝利、2年連続でクラシックホースを輩出と流れが変わってきている。
本レースのトピックとしては、2000年の第40回にてサラブレッド系種のマイネルビンテージが勝利。これが現在のところサラブレッド系種の馬として最後のJRA重賞勝利となっている。
2002年の第42回では、ヤマニンセラフィムとローマンエンパイアが、21世紀最初の重賞1着同着を記録している。
2014年の第54回では、川崎競馬場所属のプレイアンドリアルが勝利し、地方所属馬としては7年ぶりの中央重賞制覇を果たした。
京成杯の呪い
概要でも前述したが、京成杯を勝った馬は呪いでもかかったかのように走らなくなる。
どのくらいの呪いかと言うと、京成杯が芝2000mになって以降、勝ち馬はGⅠどころか重賞も勝てなくなる。酷いと甚大な故障を発生して競走生活すらままならなくなるのである。現に京成杯が重賞初制覇だった馬は大半が最初で最後の重賞制覇で終わっており、その中でも重大な故障で半年~1年を棒に振ったとか引退に追い込まれた馬が多数で、重賞2勝目を挙げた馬も3歳の重賞のみで古馬以降は見る影もないほどにオープンで燻っている馬がほとんどなのである。
そんなバカなと思うかもしれないが、どれほど酷いかは毎年の京成杯の勝ち馬の競走生活を調べるより京成杯勝ち馬で後に重賞を勝った馬を数える方が早く、2022年までに京成杯の呪いを脱した馬はオースミブライト、マイネルチャールズ、エイシンフラッシュ、フェイトフルウォー、フェイムゲームだけである。呪いを脱した馬も重賞を勝てたのは3歳までで、古馬以降になっても重賞を勝てた馬はエイシンフラッシュとフェイムゲームだけしかいない。そのくらい凄まじい呪いが京成杯勝ち馬には降りかかるのである。なおGⅠを勝てたエイシンフラッシュは京成杯ではアドマイヤテンクウと壮絶な叩き合いをハナ差で制しており、2着に敗れたアドマイヤテンクウは、その後は低迷して準オープンを勝ってオープン入りするのが精一杯だった。ハナ差の競り合いで間違って京成杯の呪いがアドマイヤテンクウに降りかかったのかもしれない。
負けた馬の方が走る
京成杯の呪いの凄まじさは前述したとおりである。
まず京成杯自体が前年の2歳王者決定戦とも言える朝日杯FS、阪神JF、ホープフルS(前身のラジオNIKKEI杯2歳S)と言った2歳の一線級がレースを使った直後で強い馬が集まりにくいのと、中山芝2000mが小回りで紛れが生じやすいこと、前述したが基本的に強い馬が集まらないので重賞タイトルが欲しい1勝馬が多数登録してきてメンバーの3分の2以上が1勝馬なんて年も珍しくない。同じ時期の3歳重賞のシンザン記念と比べると強い馬がそろいにくいのかもしれない。
しかしこのレースの呪いを象徴するのが、勝った馬よりも負けた馬の方が後々に走るという法則である。
現に京成杯を勝った馬はことごとく呪いにかかり、近年は特に呪いが強さを増しておりレースの出走すらままならない馬が続出しているのに対し、負けた馬は特に古馬以降に急速に強くなって重賞を勝ったりGⅠを勝ったり、最終的には京成杯を勝った馬よりも賞金を稼いでいる馬がほとんどなのである。
勝った馬より負けた馬の方が多いから当然だと思うかもしれないが、負けを掲示板以内(5着まで)に限定しても京成杯が2000mになって以降、これだけの馬が重賞を勝っていて、京成杯の呪いを断ち切ったエイシンフラッシュとフェイムゲームを除けば、例外なく同年の京成杯勝ち馬よりも賞金を稼いでいるのである。なお近年は呪いが更に強まったのか、勝ち馬だけでなく掲示板以内の馬まで低迷するようになってしまっている。
年度 | 京成杯で掲示板以内だった後の重賞タイトル | 京成杯勝ち馬 |
---|---|---|
2000年 | イーグルカフェ(NHKマイルCなどGⅠ2勝) | マイネルビンテージ |
2002年 | カゼニフカレテ(愛知杯) マイネルアムンゼン(エプソムC連覇) |
ヤマニンセラフィム ローマンエンパイア |
2004年 | キングカメハメハ(NHKマイルCなどGⅠ2勝) スズカマンボ(天皇賞春、朝日チャレンジC) |
フォーカルポイント |
2005年 | シックスセンス(京都記念) | アドマイヤジャパン |
2006年 | ネヴァブション(AJCC連覇など重賞3勝) | ジャリスコライト |
2007年 | アルナスライン(日経賞) | サンツェッペリン |
2008年 | リトルアマポーラ(エリザベス女王杯、愛知杯) | マイネルチャールズ |
2009年 | ナカヤマフェスタ(宝塚記念) モエレビクトリー(道営記念※地方出身のため) |
アーリーロブスト |
2010年 | フラガラッハ(中京記念) | エイシンフラッシュ |
2011年 | マイネルメダリスト(目黒記念) | フェイトフルウォー |
2013年 | ケイアイチョウサン(ラジオNIKKEI賞) | フェイムゲーム |
2014年 | アデイインザライフ(新潟記念) | プレイアンドリアル |
2015年 | クルーガー(マイラーズC) | ベルーフ |
2016年 | メートルダール(中日新聞杯) | プロフェット |
2021年 | タイムトゥヘブン(ダービー卿CT) | グラティアス |
……以上のようにかくも強烈な呪いと云えるが、前述の通り2023年のソールオリエンスが皐月賞を、2024年のダノンデサイルが東京優駿を制し、2年連続で呪いを打破。「不出世競走」と言われていたシンザン記念がアーモンドアイを出して言われなくなったように、「京成杯の呪い」も今後過去のものになっていくのかもしれない。
レース結果
第1回~第38回:芝1600m、第39回~:芝2000m
第1回~第9回,第12回,第20回~第35回,第37回~第41回,第43回~:中山競馬場
第10回,第11回,第13回~第19回,第36回,第42回:東京競馬場
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