若返りとは、若い状態に返ること、またはそのシチュエーションである。
概要
一般的な「若返り」とはいわゆるアンチエイジングと呼ばれるものであり、体の機能の老化に抵抗する美容活動や健康活動などを指す。
創作での「若返り」
上記の一般的な「若返り」とは別に創作では実際に肉体年齢が逆行し、大人→子供や老人→若者のように若返ることがある。
日本文学における若返りの歴史は古く、昔話「桃太郎」の主人公である桃太郎は「川から流れてきた桃の中から生まれた」ではなく、「川から流れてきた桃を食べて若返ったお爺さんとお婆さんから生まれた」というのが本来のストーリーであるとされている。
かつてTBS系列で放送されていたアニメ『まんが日本昔ばなし』でも若返りを題材としたエピソードが複数放送されている。
「赤ん坊になったお婆さん」の元は山形県などに伝わるお話、「若返りの薬」の元は沖縄県に伝わるお話のようである。
また、若返りの水や若返りの霊薬などを題材とした昔話やおとぎ話は日本だけではなく世界中で語られている。人類がいかに加齢で衰えていく肉体を憎み、若い力を取り戻したいと願っていたかがよく分かる。
アメリカではフロリダ半島に「若返りの泉」があるという伝説が語られており。近年でも2011年公開の『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』にてそのモチーフが使われている。
近年の日本の創作作品においては、若返ることによって加齢で衰えていた肉体が全盛期を取り戻したり、あるいは子供まで戻ってしまって弱体化したりするが、肉体年齢の変化に伴うキャラクター造形の変化や肉体に合わせて性格まで影響を及ぼすなどのインパクトを与えることができる。
また、萌えシチュエーションとしての「若返り」というジャンルがあり、英語圏では「AR(Age Regression・直訳すると年齢回帰という意味)」と呼ばれる。ARは肉体年齢が若返ること、つまり大人が子供になったり、老人が若者になったりするシチュエーションの事である。
ARの対義語に「AP(Age Progression・年齢進行という意味)」があり、こちらは逆に子供が大人になるシチュエーションを指す。
二次創作などで「○○をショタ化・ロリ化してみた」という絵が制作されることもあるが、若返る行為そのものにスポットを当てていることが多いARとはちょっと違うようであり、住み分けが必要とされている。他ジャンルで言う所の「TSF」と「女体化・男体化」のような関係であると分かる方もいるのではないだろうか。
分かりやすく言うとこういうシチュである
俺は高校生探偵、工藤新一。
幼なじみで同級生の毛利蘭と遊園地に遊びに行って、 黒ずくめの男の怪しげな取り引き現場を目撃した。
取り引きを見るのに夢中になっていたオレは、背後から近付いて来る、もう一人の仲間に気付かなかった。
オレはその男に毒薬を飲まされ、目が覚めたら
(↑ここまで新一 ここからコナン↓)
体が縮んでしまっていた!!
工藤新一が生きていると奴らにバレたら、また命を狙われ、まわりの人間にも危害が及ぶ。
阿笠博士の助言で正体を隠すことにしたオレは、蘭に名前を聞かれて、
とっさに江戸川コナンと名のり、奴らの情報をつかむために、
父親が探偵をやっている蘭の家に転がり込んだ。
創作における若返りの方法
若返りの方法としては次のようなものが挙げられる
- 超自然的な存在によるもの
上記の『桃太郎』のように異世界や人間を越えた存在からの恵みにより肉体年齢が全盛期にまで戻るパターン。代表的な例としては『ドラゴンボール』のピッコロ大魔王はどんな願いでもかなえてくれる神龍によって全盛期の肉体を取り戻している。 - 魔法や特殊能力などによるもの
超常的な力と言う意味では上の超自然的な存在とさほど変わらないが、あくまで特殊な能力を持つ作中の人間の手によって起こされるもの。この場合、若返りとともに成長・老化も備えていることもある。代表作としては『ふしぎなメルモ』のメルモは特別なキャンディによって若返りも成長も出来るようになっている。 - 特殊な武術の鍛錬によるもの
肉体を鍛え上げ、さらに特殊な「気」「仙術」「オーラ」などの要素を混ぜ込むことにより、一時的に老体を全盛期にまでもどす作品も多い。代表的な例としては『幽☆遊☆白書』の幻海は普段は老婆であるが戦闘時には妙齢の女性に戻っている。 - SF的な科学技術によるもの
十分に発達した科学は魔法と区別がつかない、とは有名なSF作家の言葉であるが、創作の中でも現代人には理解できないほどに発展した科学技術で肉体を若返らせることがある。代表的なのが上にも挙げられている『名探偵コナン』の毒薬「APTX4869(アポトキシン4869)」であり、あるいは『ドラえもん』の「タイムふろしき」を人間に使用した場合である。 - タイムリープ、死に戻り
これに関しては「タイムリープ」の記事も参照してほしい。意識だけが過去に飛ばされるが、その飛ぶ期間が年単位の場合、肉体的には若返りである。この場合、タイムリープの方がストーリーの主題となるため若返り要素は薄めだが、最初のタイムリープでは若い時の自分の肉体の軽さに驚いたりするなどの若返り要素が濃い場合が多い。死に戻りの場合も同様で、戻る時期が若いときであればほぼ同じことが言える。 - 転生、異世界転生
これに関しても「転生」「異世界転生」の記事も参照してほしい。前世の記憶を引き継いだまま若い肉体を得ることが可能であり、実質的に若返りである。
その他にもさまざまな方法があるが、中にはえげつない方法もある。それは他人の肉体を乗っ取ったり、他人の若さを奪ったりするという、実質的に人を死に至らしめる方法である。科学技術を使った方法では脳移植であったり、記憶のコピーであったり、あるいはクローン技術で自らの肉体のスペアを作るなどの手法が取られ、特殊能力では魂を他人に憑依させたり、入れ替わりで他人の肉体を奪ったり、他人の命を奪うことで若いまま生きながらえる能力を持っていたりといった具合である。どれにせよ、決して主人公側が使っていい手法ではなく、主に悪役側が使う手法である。『入れ替わり』『憑依』の記事も参照。
創作における「若返り」の目的
アンチエイジング、延命治療
昔ばなしなどでもお決まりのパターン。若返ることによって寿命を延ばし、死を先延ばしにする。
バフ(強化)
老人が若返り、全盛期の力を取り戻す場合には、バフ=強化となる。
デバフ(弱体化)
若返り過ぎて、無力な幼児や赤ん坊になってしまう場合はデバフ=弱体化となる。
萌えシチュにおける若返りの魅力
本来加齢する一方であるはずの人間の年齢が退行するというありえない状態がどのように起こるかは様々である。若返りの時間も一瞬だったり徐々に変化していったりなど色々である。
例として20歳の男性が10年若返ったパターンを挙げる。成長期の前まで退行することになるため身長が10歳当時まで縮んだり、筋肉の発達も退行したり、変声期前の高い声色になったり、男の大切な部分が小さくなってしまったりという状況になる。そして若返る直前に全裸になっていない限り服装は20歳当時の格好であるため服のサイズが合わなくなるというシチュエーションも発生する。
肉体の若返りはおおむね5歳から10歳~12歳程度が主流で、ほとんどは幼稚園児から小学生相当まで若返る。中にはさらに年齢を退行させて乳児や胎児レベルにまで若返らせるパターンもある。また、老年と呼ばれる年齢の人間が若返ることで妙齢の若者に変化するというシチュエーションもあり、こちらは場合によっては「ロリババア」「ショタジジイ」と要素を兼ねることもある。
肉体年齢の若返りのほか、頭の中まで若返りが進行することもある。元の年齢で分かった計算ができなかったり、読めた漢字が分からなくなったり知能レベルも年齢相当まで下がるという精神年齢の若返りも進行し、元の年齢とのギャップに恥を感じる…という展開もある。
若返ることで社会的立場も変わってしまうこともある。とっくの昔に卒業した小学校にもう一度入学したり、以前は年下だった存在(妹や弟など)を年上として敬わなくてはいけなかったり…。
他ジャンルとの組み合わせ
年齢という普遍的な要素を使ったシチュエーションなので汎用性も高く、他のジャンルとも組み合わせて若返りのシチュエーションが作られることもある。先述の「ロリババア」「ショタジジイ」もそのうちのひとつである。
また大人の男女のカップルのうち男性が若返ることで「おねショタ」というシチュエーションが完成する。このシチュエーションを完成させるため、おねショタと若返りを組み合わせた作品では女性に一服盛られたり魔法をかけられて若返る男性が後を絶たないとか。
他ジャンルとの組み合わせでは性別が変わるTSFというジャンルともあわせられる事が多い。例えば小学生の女子と大人の男性による入れ替わりでは(男性目線では)小学生への若返りと女子への性転換が同時に発生するため、その手の愛好者には堪らないシチュエーションとなる。
ニコニコ大百科に記事のある若返りシチュが登場する作品
作品名と作者、若返りを経験したキャラクター(年齢が判明している場合は若返り前・後の年齢)、若返りの方法を記載する。
- あさっての方向。(山田J太)
- からくりサーカス(藤田和日郎)
- キン肉マンⅡ世(ゆでたまご)
- REBORN(再生)アシュラマン(ジェネラルストーンによる全盛期への復活)
- 豪血寺一族
- 豪血寺お種(対戦相手の精気を吸って若返る)
- じいさんばあさん若返る(新挑限)
- 斎藤正蔵、いね夫妻
- 女子小学生はじめました(牛乳のみお)
- ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド
- ジョジョの奇妙な冒険 戦闘潮流
- ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース(荒木飛呂彦)
- ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
- 東方星蓮船
- ドラえもん(藤子・F・不二雄)
- ドラゴンクエストⅪ
- ドラゴンボール(鳥山明)
- ドラゴンボールGT
- ドラゴンボールZ 神と神、ドラゴンボール超
- 火の鳥(手塚治虫)
- Fate/hollow ataraxia
- Fate/Grand Order
- アレキサンダー(イスカンダルが若い時の姿で召喚された)
- ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ(ジャンヌ・ダルク[オルタ]がギルガメッシュの秘薬を飲んだ姿)
- 諸葛孔明(当初は29歳時のロード・エルメロイⅡ世の姿だが、レベルを上げると19歳時のウェイバー・ベルベットの姿に戻せる)
- ジェームズ・モリアーティ(モリアーティ教授が若い時の姿で召喚された)
- 殺生院リリィ(殺生院キアラが少女時の姿で召喚された)
- フェルグス・リリィ(フェルグスが若い時の姿で召喚された)
- メディア・リリィ (メディアが若い時の姿で召喚された)
- メドゥーサ(ランサー)(メドゥーサが若い時の姿で召喚された。正確にはifの存在)
- ふしぎなメルモ(手塚治虫)
- HELLSING
- ウォルター・C・ドルネーズ(吸血鬼化により、老人→青年→少年と若返る)
- 名探偵コナン(青山剛昌)
- 江戸川コナン(17歳→7歳、APTX4869(アポトキシン4869))
- 灰原哀(18歳→7歳、APTX4869(アポトキシン4869))
- 幽☆遊☆白書(冨樫義博)
関連動画
関連項目
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