アニマ・カル・リブスとは、朴晟佑による日本の漫画作品。集英社「ウルトラジャンプ」にて2008年12月号から2012年2月号まで連載された。単行本は全4巻。
概要
人の姿を持つ強力な武器「アニカル」の使い手が一堂に会した競技大会「ソーダレード」が開かれた町、そこで偶然封印されていたはずの世界最古のアニカルに出会い渦中へと巻き込まれていく主人公を描く。
連載開始当時作者である朴晟佑はヤングガンガンで林達永が原作を担当する代表作『黒神』を、少年ガンガン本誌で『メテオエンブレム』を連載中で、本作はその中で始まった3作目の同時連載となる
作者が作画を担当する『黒神』と同じく武器に変身する者とそれを使って戦う者が二人一組で戦うバディ物の作品。
使い手がの方が力を貸す『黒神』とは逆に使い手の方が戦う関係性になっている。
作中のキャラクターの何人かは作者の他の作品のデザインが流用されている他、ジャンプとは言え青年誌ということでお色気描写も多くなっている。
あらすじ
魂を宿した刀=アニマ・カル・リブス(通称アニカル)。
ソロモンシティで開かれるアニカルの使い手が競い合う“舞刀会"の開催当日。花屋のアルバイトのイヴは、店の裏手に墜落したコンテナ内で黒い布で拘束された謎の少女を発見する。
あまりの恐怖に母から教わった歌をイヴが口ずさむと、少女は消え、代わりにイヴの手には黒い刀が…。
やがて黒い刀は少女へと変身。イヴが手にしたのは世界最古のアニカル・セイリムであり、偶然、その封印をイヴが解いてしまったのだ…!
はたして、イヴの運命は…!?
登場人物
- イヴ
- 本作の主人公。ぼさぼさの白い髪を持つ少女。ソロモンシティの花屋「ワイルドリリー」の店員。
- ワイルドリリーのすぐ上空で輸送機が撃墜され、落ちてきたセイリムを目覚めさせたことから全く興味がなかった舞刀会に出場することになってしまった。
- 巻き込まれて出場したためフェンサーとしての能力は皆無に等しくセイリムに体を乗っ取られて操られる形で戦っていた。しかしアイーシャとの戦闘でセイリムがダメージを受け沈黙してしまってからはセイリムの助けになれないか模索するようになった。
- 人を思いやる優しい心を持ち、成り行きでフェンサーとなってしまった後も敵にとどめを刺そうとするセイリムに逆らうこともしばしばあった。そのたびにセイリムに乗っ取られたはずの体の所有権を取り返すなど、普通のフェンサーではありえない状況がしばしば起こっていた上イヴの身元が全く分からなかったため、物語序盤ですでにイヴにも何か秘密があるのではないかと周りの人物には思われていた。
- その正体はセイリムと同じ七大創造刀の一つ「創造のニンティ」と人間との間に生まれた「新人類」ともいえる存在で、セイリムをはじめとするアニカルと共鳴する存在。セイリムによる人類襲撃に巻き込まれたニンティがセイリムを封印した際に共に封印されていた。セイリムが発見された時と同じくして封印が解かれソロモンシティへ現れた。
- 本編開始の1か月前にソロモンシティ近郊を裸で彷徨っているところを通りがかったステファニーに拾われるまで、世界のあらゆる場所での本人の情報が見つからず謎のままだった。自身の出自を知った後、セイリムを救うために改めて折れたセイリムを「創造」の力で完全体に復元し、セロに勝負を挑んだ。
- セイリム
- 黒いおかっぱ頭で拘束着のような服に身を包む少女。日本刀のような片刃剣のアニカル。七大創造刀「破滅のセイリム」。100年程前に人類の持つ軍隊の半分以上を壊滅させ、最強のアニカルとして恐れられた。
- アンヴィルの輸送機が運んでいたコンテナの中に閉じ込められて運ばれていた際に輸送機が爆破され、偶然墜落場所の近くにいたイヴによって目覚めさせられた。自身の契約者であるはずのイヴの体を乗っ取り他のアニカルを破壊するべく無差別に攻撃を仕掛ける。
- アニカルの中でもと言われる「七大創造刀」の1つで、不完全な隠し状態と言われるでも。ほかのアニカルを凌駕する力を持つ、しかしイヴの肉体を操り戦わせようとしても度々体の所有権を取り返され、人間やアニカルに敵対的な行動はほとんど起こせなくなった。
- かつてアンヴィル・コアからかけらとして別れてから暫くの間は人里離れた場所に世界の平和を願い祈りを捧げにきていた少女が唯一知る人間だった。しかしその少女は戦災により殺害され、その恨みや絶望をもとにしてアニカルへと変化した。セイリムの人間体の時の姿はこの少女の姿が元になっている。少女が願っていた世界の平和を実現するためには人間を殺すしかないという考えのもと軍人を中心に大量の人間を殺害した。
- 人を襲い続ける中で人の中で生きる同じ七大創造刀のニンティに遭遇した彼女に封印されていた。
- アン
- 赤毛の長髪をオールバックにした女性。
- 前回の舞刀会で♥のQに昇格した新進気鋭のフェンサー。舞刀会開催直前にイヴに恥をかかされ、その落とし前を付けるためにワイルドリリーを訪れた所でセイリムとイヴの騒動に巻き込まれた。
- カトラス
- アンとコンビを組む髪の長い少女。剣のアニカル。
- サヴァン症候群の発症者で、異常ともいえる暗算能力を持つ。
- ダイアナ
- 舞刀会を主催する機関「アンヴィル」の職員にして調停者。舞刀会の全体運営の管轄者で、多くの部下を持つ。
- 舞刀会開催の裏でセイリムの復活にも対処することになりイヴたちと顔を合わせた。
- 物語後半のセロによるアンヴィル襲撃では部下と共に迎撃を担当した。
- スワニー
- ダイアナとコンビを組むフェンサー。調停者として働くダイアナのアニカルにふさわしく、一線級の実力を持つ。
- セロ
- アンヴィルの敵対組織である「レッド・バックラー」の幹部。技術開発局局長。通称「ミスター・セロ」。総帥であるブリッジスの一人息子。
- 組織の指示によりセイリムに暗殺者を差し向け、その後ダイアナと戦闘した後のイヴとセイリムを助けた。
- セイリムだけでなくその使い手であるイヴにも興味を示し、奪取するべき2人をそのまま送り届けるなど組織の思惑を外れた行動が多い。セイリムを始めとする七大創造刀の力を組織に取り込もうという考えを持ち、創造刀を破壊すべきとする総帥のブリッジスと対立している
- 実は父のブリッジスとは血の繋がった親子ではなく、レッド・バックラーの研究により生み出されたホムンクルス。イヴと同じくアニカルと融合する力を持ち、七大創造刀の内セイリムとイヴ以外の5本の力を自由に振るうことができる。
- セイリムとイヴの覚醒の為裏から手をまわして2人を舞刀会に出場できるように取り計らい、覚醒後はレッド・バックラーを壊滅させたうえでアンヴィルを襲撃。アンヴィルコアの前にイヴを誘き寄せて七大創造刀とアンヴィルコアを1つに復元しその力で世界を支配しようとしたが、アンヴィルコアの遺志によりその考えを否定され、コアに取り込まれた後消滅した。
- デュラハン
- セロとコンビを組むアニカル。作中に登場するフェンサー持ちのアニカルでは唯一の男性。レッド・バックラーの最新技術により生み出されたアニカルの力を持ちながら生まれたホムンクルスで、セロ本人には及ばないものの卓越した戦闘能力を誇る。
- マティーナと同じシルフィードの力とレッド・バックラーのアンチ・アニカルの力を持ち、大抵のアニカルではまともに力を発揮することもできない。
- ロゼマリ・ヴェルハルト
- フヴェルハルト財閥の令嬢。ヴェルハルト家後継第一位。舞刀会のランクは♦の5で、上から23番目。
- 財閥が持てる技術の粋を集めて作り出したアニカルカリンの使い手として舞刀会に参加する。
- 舞刀会初日最下位の「♣の2」からスタートし、下位である自分を狩りに来た中位のフェンサーを5組返り討ちにして二日目にして全体の半分まで昇格した。
- 小柄な体格と巨大な剣の組み合わせで誤解されやすいが、戦闘スタイルは目にも止まらない速さからの一撃必殺で、初日の5連勝は全て一撃で相手のアニカルを破壊して倒している。
- カリン
- ヴェルハルト財閥が作り上げた最新鋭のアニカル。形状はクレイモア。
- フォルムチェンジにより砲台のような「ガン・バレルモード」と細身の剣の形状である「フランベルクモード」に変形することができ、フランベルクモードではクレイモア時を上回るスピードを発揮でき、ガン・バレルモードではガン巨大な威力の砲撃を放つことができる。本来舞刀会で飛び道具を使うことは出来ないが、県の一部を変形させて打ち出すことで「剣撃」としてルール違反にならないようにしている。
- マリオ・クラインシュミッツ
- 舞刀会に参加するロゼマリ達に配下の使用人たちと共に付き従う男。ヴェルハルト家筆頭執事。
- 戦闘中のロゼマリ、カリンから離れた場所から複数台のトラックからリアルタイムで情報解析、バックアップを行っている。
- ヴェルハルト家の技術の粋を集めて製造されたホムンクルスであり、アニカルの技術研究の成果であるプラズマ操作の能力をもつ。戦闘では腕にプラズマを纏わせたり、斬撃として飛ばす事もできる。
- ドクトル・キャリコ
- ヴェルハルト財閥の技術開発統括を務める世界有数のアニカル研究家にして技術者。ヴェルハルト家のカリンやマリオを始めとするホムンクルスを製造した。
- その深い知識によりイヴの正体が現在の常識から外れた存在であると見抜いた。
- マーシャ
- レッド・バックラーの幹部にして舞刀会のアルカナ序列第6位「♠の9」の女性。
- 自分の子飼のフェンサーをJOKERとして舞刀会に参加させようとしていた所、セロにイヴを先に参加させられてしまい出し抜かれてしまう。それ一件とアイーシャの敗北でセロとイヴに敵対心を持つようになった。
- その後総帥のロドニーからの依頼によりΩ13の使用許可を得てイヴを襲撃。ヴェルハルト家の警備をやすやすと排除したが、覚醒したイヴとセイリムには及ばず、Ω13ごとマティーナを破壊され敗れた。
- マティーナ
- マーシャとコンビを組むアニカル。七大創造刀の「風のシルフィード」の力を宿し、真空を操る能力を持つ。七大創造刀の力を宿すだけあって他を寄せ付けない強力な力を持つが、これまでの舞刀会では大会を壊さないように真の実力を隠していた。
- アイーシャ
- マーシャ配下のフェンサー。元々イヴの前にJOKERとして舞刀会に参加する予定だった女性。
- イヴの参加により舞刀会に出れなくなってしまった後、自分の力を自ら証明するためにロゼマリを倒したイヴの前に姿を現した。
- かつてはアンヴィル所属のフェンサーを片腕を犠牲にしつつも倒した凄腕のフェンサーだった。その直後アイーシャに拾われ、失くした腕の代わりに義手を授けられた。以降はアイーシャに忠誠を誓い、自分の代わりに舞刀会に参加したイヴとセイリムに挑戦したが、ゼペットの居合切りを容易く見切られてしまい、義手を切り落とされて敗走した。
- ゼペット
- アイーシャとコンビを組むアニカル。ツインテールが特徴の小柄な少女。形状は日本刀のような刀身に推進装置ようなものが付いた鍔という特徴的な姿をしている。
- 超速剣術に特化したアニカルであり、アイーシャの人工義手と合わせて超スピードの居合切りを繰り出す。
- ブリッジス・ロドニー
- 口髭を蓄えた老人。レッド・バックラーの総帥で、セロの父。
- 現代技術でセイリムの力を制御するすべを探すべきとするセロに対し現在のアニカルではオリジナルであるセイリムには及ばないとする古い考えを持つ。
- セイリムと彼女が関わった人物を抹殺するためイヴが滞在していたヴェルハルト家へ暗殺チームを派遣したが、ヴェルハルト家の敬語を突破できず失敗。その後マーシャにレッド・バックラーが収蔵していた七大創造刀の内2本の力が宿った武器を授けて再度暗殺しようとした。
- 物語後半、アンヴィルを使い世界を支配しようとするセロに手始めとして他の幹部たち諸共全滅させられた。
- シェルビー
- オールバックにしたロングヘア―の女性。序列8位「♠の7」のフェンサー。
- 好戦的な性格でセイリムを追うマーシャの車ををサラマンダと共に襲撃したが、Ω13を手に入れ舞刀会の存在に拘らなくなったマーシャに殺害された。
- サラマンダ
- シェルビーとコンビを組むアニカル。炎を操る能力を持ち、離れた場所にも炎の斬撃を飛ばすことができる強力な力を持つ。
- ステファニー
- ソロモンシティの外れの崖の上にある花屋「ワイルドリリー」のオーナー。
- 1ヶ月前に何もない道の真ん中でイヴと出会い、彼女をソロモンシティまで送り届けた。
- 現在は行く宛のない彼女を店員として雇っている。
- イヴの母
- 幼い頃からイヴを女手一つで育てていた。1ヶ月前にソロモンシティへ行くと言って失踪し、イヴは母を追いかけてソロモンシティまでやってきた。
- しかしイブは母の顔を覚えておらず、またそれを指摘されるまで気づかないままだった。正体はセイリムと同じ七大創造刀の「創造のニンティ」。イヴの母親であることは間違いないが、人間ではなくアニカルだった。生まれたばかりの頃にセイリムの襲撃を受け夫を失い、戦いの末セイリムを封印したものの自分の存在の半分を使い果たしてしまった。残されたイブを守るために残りの半分を使いセイリムと同じようにイヴを封印し、2人が同じ時代に復活するように仕組んでいた。
用語
- アニカル
- 100年以上前に地球に飛来した隕石を解析し、その技術を使って作られた武器。普段は人間と同じ姿で使い手に従い、戦闘開始と共に武器に変化する。人間ではない超常の存在。
- 普通は剣をはじめとする武器に変化するが、複数の形態や能力を持つアニカルもいる。
- 戦闘中に武器を破壊されると戦闘不能になり、破壊の度合いが大きい場合は修復できなくなる。
- 舞刀会
- ソロモンシティで開かれるアニカルと使い手の競技大会。予選を突破した52名がトランプをモチーフとした序列に割り振られ、戦いを勝ち抜き上位のランクになると大きな名声が得られる。
- 大会中は主催のアンヴィルの調停者が大会全体を監視している。
- アンヴィル
- 世界最先端のアニカル技術を研究している世界企業で現在のアニカルについての技術はほぼ全てがアンヴィルの研究が元になっている。
- レッド・バックラー
- かつてアンヴィルから分裂した反アンヴィル組織。
- アンヴィル・コアを所有するがゆえに軽視しがちだった七大創造刀の収集に力を入れ、ホムンクルスの研究、製造では世界一の技術を持つ。
- アンヴィル・コア
- かつて地球に飛来した金属生命体。地球に落ちた後100年ほど前にアンヴィルの前身に発見された。アンヴィルのアニカル技術はこのアンヴィル・コアから削ぎ落したサンプルから研究したものだった。
- 地球に落ちてくるときに七つの破片が分かれそれが七台創造刀となった。
- 七大創造刀
- アンヴィル・コアが地球に落下する際に分かれた7つの欠片から生まれた「風のシルフィーゼ」「炎のイフリータ」「破滅のセイリム」「水のエルアイム」「土のノアス」「光のソラ」「創造のニンティ」の7つのアニカルの事。
- 現代では半ば伝説化されており、人々には名前くらいしか伝わっていない。
- 落ちた当初は隕石の姿をしていたが、周りの環境を観測して人間と同じ姿をとれるようになった。最初に目覚めたニンティとセイリムは周囲の人間から、残りの5本は自然環境から姿を得ている。
- アンヴィルやレッド・バックラーはコアが大気圏を通過する際に分かれたと思われていたが、実際は動けないコアが地球の情報を集めるために自ら切り離したものだった。
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