豚の復讐とは (ブタノフクシュウとは) [単語記事]

同級生(あくま)どもは鏖(みなごろし)だ。

豚の復讐とは、作画：黒田高祥、原作：仁藤砂雨による漫画作品である。

概要

『月刊コミックゼノン』（コアミックス）にて2021年 7月^[1]より連載。『正しいコドモの作り方！』『アンタゴニスト』などを連載した黒田高祥による作品。

学校で同級生にいじめられていた主人公が異世界転移しオークの集落で幸せを掴むも、同じく異世界転移してきた同級生によりその幸せも奪われてしまったことからオーク達と共に復讐を誓うサスペンス・異能力バトル漫画。

単行本は既刊11巻。2025年 3月時点で累計100万部を突破^[2]。

あらすじ

主人公・広田武は「顔が豚に似ているから」という理由でクラスメイト達から「豚」と蔑まれ、凄惨ないじめを受けていた。やがて限界を迎え自殺を図るが、気がついたら異世界に転移。そこでオークの集落に助けられ、心優しいエルフ・カレリアとも出会い、束の間の幸せを掴む。しかしその幸せも武と共に転移してきた同級生達により徹底的に破壊され、オークの大半とカレリアまでも犠牲になってしまう。その瞬間から武による復讐劇が幕を開ける。

用語

34人の勇者: 武と共に異世界転移してきた同級生達。全員特殊なスキルを所有しており、その力で異世界の魔王を倒したことから、民衆から「勇者」と称えられた。しかしその後はスキルを悪用して各所を制圧し民衆を奴隷化するなど暴虐の限りを尽くしており、民衆から恐れられている。
スキル: 同級生達が異世界転移した際に女神から授かった特殊能力。発動させるには「宝玉」が必要で、それを奪われると無力化してしまうため、一部の勇者は体内に埋め込んでいる者もいる。各勇者のスキルはサーチスキルで確認できるが、津玉曰く安田のように強力なスキルを持つ者にはサーチスキルが効かないという。

登場人物

広田武（ひろたたけし）: 主人公。顔を理由に同級生達から「豚」と呼ばれいじめられており、更には同級生達の放火により最愛の妹を失う。異世界に転移しオークの集落とカレリアにより束の間の幸せを掴むものの、その幸せさえ同級生達に奪われてしまう。スキルは不明だが、生き残りのオーク達と道中で出会った仲間の力を借りて復讐を遂げていく。
広田文奈（ひろたふみな）: 武の妹。身体は弱いが健気で兄思いな少女。武の同級生達により数々の迷惑行為を受けており、最期は同級生達が起こした放火により命を落としてしまう。

異世界の人々

オーク: 異世界転移した武が森の中で出会った種族。恐ろしい風貌をしているが、武を仲間として迎え入れてくれた。同級生達により集落を破壊され大半が犠牲になったことから、生き残りのオーク達が武と共に復讐に動き出す。後に武と長く共にしているオークにはオーゴと名付けられる。
カレリア: 武が出会ったエルフ族の少女。外見は文奈と瓜二つ。言葉は通じないが武と心を通わせていた。オークの集落を襲った松永・野理・鎌田により凌辱された末に殺害されてしまい、武の復讐心を目覚めさせるきっかけとなる。
ラドガ: エルフの里の戦士長を務める弓使いの女エルフ。人間の言葉を話すことができる。元々は人間の事を快く思っていなかったが、旧知の仲のカレリアから武の話を聞かされていた。エルフの里を占領した斎藤を武と共に撃破し、以降は武の仲間になる。
ドワーフ: 鉱山に住む種族で、族長が率いる筋骨隆々の男達。武達が勇者達に対抗する戦力を増やすために彼らの元に向かったところ、伊藤・山下によって鉱山を制圧されており、彼らの妻や子供が人質に取られていた。武達の活躍により解放されてからは武の仲間になり、高度な技術力で様々な物を製作する。
サラ・トルヴァ・ヤルヴィ: 王国の第一王女。勇者達のスキルを無効化するスキルを持つ。星・上山・木野間・喜多川により城に幽閉されていたところを武に助けられ、以降は武の仲間になる。王都剣術大会で優勝できる程の剣の腕を持つ。拘束、尊厳破壊、洗脳などよくエロい目に遭っている。
コッラ: 大賢者の孫娘で小柄な少女。大賢者の知識と蔵書を狙う宮市・桜井・岡田に村を支配されており、武に助けを求めてきた。宮市達を撃破した後は武の仲間になり、大賢者と集めた様々な道具で武達をサポートする。

34人の勇者

武と同じく異世界転移した同級生達で、武の復讐対象。ほぼ全員が武のいじめと放火事件に関わっており、異世界でも各街を乗っ取り民衆を平気で殺害している極悪非道集団。
安田がリーダーとして統括しており、勇者達に各役割を与えている。また、特に強力なスキルを持つ者は幹部を務めている。

安田徳則（やすだとくのり）: 容姿端麗・成績優秀な男。家は代々政治家の家系で、人柄が良く人望も厚いが、その正体は武のいじめや放火事件の首謀者。なお、自身は同級生達に指示するだけで、直接手は出していない。異世界でも勇者達のリーダー的存在で、新たな首都を作ろうとしている。所有スキルは不明だが、上空から無数の光線を発射し街一つを壊滅に追い込むことができる。
松永琉絆空（まつながるきあ）: 亜人解放隊所属。典型的なDQNで、元の世界でも武を度々いじめていたクズ。野理・鎌田の3人でつるんでおり、武から「3バカ」と呼ばれている。所有スキルは、剣技で相手を一瞬で切り裂く「八邪剣（やつじゃけん）」。
野理勇五郎（のりゆうごろう）: 亜人解放隊所属。坊主の男子。所有スキルは、高速移動できる「魔闊歩行（まかっぽう）」。
鎌田信男（かまたのぶお）: 亜人解放隊所属。3バカの中では小柄な男子。所有スキルは明かされないまま武達に殺害される。
岩本夏喜（いわもとなつき）: 駐屯局所属。異世界では加村と共に街で民衆を火あぶりにし、その娘を城に連れさらい凌辱しようとしていた。所有スキルは、対象を発火させる「炎上焼法（フレイム・インフルエンサー）」。
加村翼（かむらつばさ）: 駐屯局所属。眼鏡をかけたおかっぱの男子。所有スキルは、長い舌を操る「大海を知る蛙人（メタモル・トード）」。
津玉繭子（つだままゆこ）: 人民管理局所属。黒髪ロングヘアーの美少女だが、元の世界では古家・原松と共に武を奴隷扱いしていたクズ。異世界でも民衆達を奴隷化していた。所有スキルは、対象の体内の水分を操る「死装束を濡れ衣に（ギルティメイカー）」。
古家敬子（ふるいえけいこ）: 人民管理局所属。ショートカットの女子。所有スキルは、触れた生き物を宝石化させる「強欲宝石蒐集家（グリードジュエライザー）」。
原松由美子（はらまつゆみこ）: 人民管理局所属。お世辞にも良い容姿とは言えず、武から「俺がいなけりゃ不細工ナンバー1」とまで言われた哀れな女子。所有スキルは、その辺にいる動物を操る「都合のいい命令（ジコチュー・テイマー）」。
斎藤信二郎（さいとうしんじろう）: 肥満体型で鼻毛を生やした清潔感のない男。元の世界では中学の頃までスクールカースト最底辺だった。所有スキルは、ゴブリンを操るだけの「卑小なる者の王（ゴブリンテイマー）」。異世界に来てからも自身のスキルが最底辺スキルであることを嘆いており、松永達が去った後のエルフの里を乗っ取り鬱憤を晴らしていた。ちなみに勇者の中で唯一所属局がない。
伊藤紗友美（いとうさゆみ）: 資源回収局所属。ボブカットの女子で、山下と仲が良い。元の世界では山下と共に痴漢冤罪をしていたが、それを武に邪魔された腹いせで学校で武に体操着泥棒の濡れ衣を着せた。異世界では山下と共にドワーフの鉱山を制圧してドワーフ達を強制労働させており、更には女子供を人質に取って他国の貴族や猛獣ショーに売り飛ばしていた。所有スキルは、一定範囲の物を自分の手に収める「欲望の手（ギル・ガメール）」。
山下早苗（やましたさなえ）: 資源回収局所属。ロングヘアーの女子。顔芸が多い。所有スキルは、触れた相手を操ることができる「絶対の主従関係（イエスマニアック）」。なお発動条件が強力で、他者が落とした髪の毛に触れたり、自身が流した血が相手に触れただけでも発動させることができる。伊藤と共にドワーフの村を制圧していたところを武に襲撃され制裁されそうになるが、スキルを発動させドワーフを操り逃亡。自身に深傷を負わせた事に怒り狂い、彼女もまた武に対して復讐を誓う。
三ツ屋茂幸（みつやしげゆき）: 国家公安庁所属。元の世界では大病院の跡取り息子で、親の権力で威張り散らしていたが、志望校に落ち現在の学校に入学。自分のテストより点数が良かった武を「俺のをカンニングした」と理不尽な言い掛かりをつけたり、松永が用意した「豚の餌」と称したゴミに自身がブレンドした薬を混ぜて武に食べさせていた。また、武の家に火を点けた張本人。…と本人は言っていたが実は嘘で、武を挑発するために大口を叩いただけだった。所有スキルは、風を自由自在に操ることができる「統制されし乱気流（タービュランス・ドミネイター）」。
星ヒカル（ほし - ）: 人民教化庁所属。爽やかな美青年で、元の世界では読者モデルとして活躍しており女子からの人気も熱かった。しかし実際は自己中心的なナルシストで「美形は正義、醜い者は悪」という思想を持って武を貶しており、更には美化活動と称してホームレス狩りを行っていた。異世界ではスキルを無効化する力を持つサラの秘密を解き明かすために、上山・木野間・喜多川と共にサラを城に幽閉していた。所有スキルは、亜光速で突進する「嗚呼、麗しき星ヒカル（ライトニングチャージ）」。スキルを発動する際は白馬に乗って大槍で貫く。
上山恵都男（かみやまえつお）: 人民管理局所属。一人称は「俺氏」。サラをいやらしい目で見ている童貞変態で、自身に気があると勘違いをしている。所有スキルは、目が監視カメラになっている10体の使い魔を駆使する「我が覗み、遥かなり（ピーピング・ROM）」。使い魔の耐久性は低く攻撃しただけて消滅してしまうが、遠隔から監視できるため安田に重宝されている。
木野間美穂（きのまみほ）: 人民管理局所属。痩せ型の女子。星の大ファンで、喜多川と共に彼の事を「星サマ」と呼んで慕っている。所有スキルは、自身を幽体化できる「幽命の彼岸（エゴイスティック・ゴースト）」。ただし幽体化している間は他者に触れる事ができない。
喜多川織香（きたがわおりか）: 人民管理局所属。ぽっちゃり系の女子。所有スキルは、指定した場所に即席の建築物を建設・破壊できる「巨人の手遊び（インスタント・コンストラクション）」。
岸山頼太（きしやまらいた）: 資源回収局所属。「下級国民はぶっ壊れようが働いていればいい」というブラック企業ばりの思想を持ち、異世界でも民衆達を強制労働させていた。所有スキルは、範囲内の対象を亜空間の倉庫に送り込み自由に取り出すことができる「不可視の大金庫（ゲーミング・ストレージ）」。
中田愁子（なかたしゅうこ）: 資源回収局所属。岸山と行動している女子で、強制労働により倒れた民衆を自身のスキルで結晶化していた。所有スキルは、対象から任意の物質を結晶化して取り出すことができる「虐奪の抽出（デーモニック・クリスタライザー）」。
笠川博（かさかわひろし）: 国家公安庁所属。アフロヘアーの男子。オカルトマニアの動画配信者で、元の世界では火事により命を落とした文奈の墓を荒らす不謹慎な動画を投稿した。所有スキルは、死体を無数に操る「蹂躙された死者の安寧（シェイムレス・ネクロマンサー）」。もんもんもんもんうるさい男。
宮市珠美子（みやいちすみこ）: 執行省所属および勇者の幹部。穏やかな口調の女子。男を憎み女性の味方をするフェミニストだが、実際は安田の気を惹くためにその主義主張をしていただけの自己中心的な薄っぺらい女。異世界では桜井・岡田と共に大賢者の村を占拠し、大賢者の知識を奪おうとしていた。所有スキルは「不平不満の書き散らし（パラノイド・レター）」。出現させた筆と札を使って文字を書くと、その札に書いた通りの効果を発動させるという強力なスキルを持つ（例：「絶対防御」「電撃」「飛行」など）。
桜井寿美礼（さくらいすみれ）: 人民教化庁所属。岡田と仲が良く、元の世界では武が喋っただけで「声ハラ」、武がキモいから「豚ハラ」などと何でもハラスメント呼びし言いがかりをつけていた。所有スキルは、自身の体の一部を刃に変えて放つ「縦横無尽の言いがかり（ゾーニング・ハラスメント）」。
岡田遊々美（おかだゆゆみ）: 人民管理局所属。1話に登場した集合写真には写っておらず撮影を担当していた女子。所有スキルは「醜聞になる美談（ファクトレス・パパラッチ）」。指カメラで囲った人物を動かなくして写真を生成し、その写真内の人物を傷つけると実際の人物にも加害できる。ただし鏡などに映った自身を指カメラで囲ってしまうと自身が動けなくなるという弱点を持つ。
内田一二三（うちだひふみ）: 哨戒局所属。2巻から登場しており、武が仕掛けた落とし穴に落とされるが安田のスキルによって脱出する。その後、塔本と共に亜人狩りをしていたところを武達と再会し彼らに襲い掛かる。そこでも武によって再び穴に落とされてしまい、武から「真性のバカ」と言われてしまう。所有スキルは、自身の腕を巨大化し馬鹿力を発揮する「粗にして暴、強にして狂（パワー！パワー！パワァァァ！）」。スキル名までバカっぽい。
塔本伊佐美（とうもといさみ）: 哨戒局所属。ぶっきらぼうな口調の女子。クールな印象だが、内田と共にゲーム感覚で亜人狩りを行っており、元の世界でも武にスタンガンを当てたり弓の的代わりにしていたドS女。所有スキルは、弓で広範囲を圧縮消滅させる矢を放つ「天地飛光闇貫断弓矢（あめつちをとびひかりとやみをわかつもの）」。
槇山未華子（まきやまみかこ）: 人民教化庁所属。ぽっちゃり系で自意識過剰な女子。アイドルを自称しているが歌声は超音痴。8巻の帯に「ブサイクアイドル」と書かれてしまう可哀想な女。異世界では佐々木と共に修道院を占拠し、修道僧を強制的に集め毎日ライブを行っていた。所有スキルは、ジャイアンの如く自身の歌声で広範囲を攻撃する「歌姫未華子の超絶美声（インビジブルアサシン）」。
佐々木晃典（ささきあきのり）: 国土開発庁を統括する執行省所属および勇者の幹部。眼鏡をかけ鎧を纏ったゲーマーの男。所有スキルは「異次元遊戯の大奸物（アルティメイトチートマスター）」。スピード・パワー・耐久などゲームのような能力を3つまで同時に装備・入れ替えが可能な上、100人殺害すると残機が1つ増え死んでも復活できるというチート級の能力を持つ。槇山と共に修道院を占拠しており、自身を18禁ゲーム「ササクエファンタジー」の主人公と称して修道女を集め辱めていた。武達が槇山を撃破し修道僧・修道女達を連れて逃げ出していたところを追撃し、チート級のスキルで武達を圧倒。更にはラドガの片足を失わせる。
長谷川哲（はせがわてつ）: 人民教化庁所属。もみあげの長い男子で、武曰く「クソもみあげ野郎」。元の世界では、教祖になれば金も女も思いのままにできるという考えから、新興宗教を作り宗教活動を行っていた。異世界ではハセガワ教の教祖として民衆達を欺いており、民衆達の傷を癒すお礼に若い女性の純潔を奪っていた。所有スキルは、左手で触れた対象の生命力を奪い取る代わりに右手で触れた対象を回復させる「気まぐれな命秤（エナジーブローカー）」。ちなみに負傷した山下と上山を治癒したのは彼である。
仲村美由起（なかむらみゆき）: 人民教化庁所属および勇者の幹部。不気味な容姿をした女子で、臨時幹部会では隣の席の田山から「この人の隣怖い」と言われていた。でも笑顔はかわいい。所有スキルは、自身の髪の毛など糸状の物を操る「繊細たる拗糸（センチメンタルストリング）」。街中に自身の髪の毛を張り巡らせ、その髪で民衆達を首吊りにし、更には遠距離でも他人の居場所を察知することができる。
金巻健次（かねまきけつじ）: 国家公安庁を統括する執行省所属および勇者の幹部。長身の男子で、安田に従順な態度を取っている。
村中朱里（むらなかあかり）: 国家公安庁所属および勇者の幹部。無口な女子。
田山輝之（たやまてるゆき）: 国土開発庁（後に国家公安庁）所属および勇者の幹部。おどおどとした男子。