映像フォーマットが複数あるアニメ作品とは、初公開時から技術的、演出的な理由でフォーマットが変わってしまった作品の解説記事。
wikipediaだと要出典独自研究で弾かれる内容が雑多書かれているので、マニアの非公式の読み物として読むこと。
映像作品は一度制作すれば中身が変わることは無いはずなのだが、様々な理由で初版の映像と 後世で手に入る公式映像に違いが生じる事がある。
1999年頃までのアニメ映画は、コストの問題で4:3のアスペクト比で制作を行い、劇場では上下をマスクして16:9で上映する作品が多くあった。
映像の上下を切る事になるが、それを最初から考慮して制作しているので映像に不自然さは原則無い。
この作品の場合、最良のマスターが4:3なのか16:9なのか?という議論が発生する。多くの場合、監督は劇場上映を前提に制作してあるので16:9が本来あるべき姿とする意見が多い。ところが、映像としては4:3で制作してあるので、マニアからするとカットされた「本来の」映像を見たいという意見も存在する。
DVDやBDでの発売が一般化するまでの90年代では、テレビ放送やVHS・レーザーディスクでのセル販売時にはカットされる前の4:3の映像が収録されていた事が問題の複雑さに拍車を掛けている。4:3の映像が上映時にカットされる制作時にしか存在しない映像であればともかく、90年代では劇場公開以降は4:3の映像が標準の時代があった。
太古の昔~2000年前後 劇場では16:9。それ以外のテレビ放送やビデオ発売では4:3
2000年前後~今 劇場公開、テレビ放送、DVD BDまで全て16:9
前述の通り、劇場公開作品は劇場公開が初出なので、監督は16:9をベースに演出を行う事が基本で、4:3は二次利用時のフォーマットに過ぎない。一部作品には4:3だとセルの端が画面に入ってしまう(所謂セルバレ)が発生している事も珍しくない(劇場版・機動警察パトレイバー the Movie)。ブラウン管の時代、画面の四隅は表示されない無効領域だったので問題になる事はほぼ無かった。
DVDやBD テレビ放送の標準のアスペクト比が16:9になると、それらのメディアでも上下をカットした16:9の映像が収録されるようになり、4:3の映像が公式でリリースされる事が無くなった。4:3映像を所有したいマニアは、4:3ソースが収録されたレーザーディスクやVHSを探す事になる。
アメリカのBD発売会社が日本のアニメのBDをアメリカで発売する時に4:3収録を試みる場合があるが、日本の版権元からNGが出されて諦める場合もある。BD発売時にオリジナル版権元がどこまで強権を発動させるかも様々で、厳しい作品だと「日本から提供したBDのマスターをそのまま収録する事しか許さない。色の調整すら一切認めない」という事もある。GAINAX、カラーが厳しいとかなんとか。
他、wikipedia参照。90年代までのアニメ映画はほぼ当てはまるので、画像検索をして4:3の画像をDVDと見比べると上下に伸びている事がわかる
TVシリーズのアニメに当てはまる。2022年現在では映像作品と言えば16:9のHD画質が標準。多くの一般ユーザーからすれば4:3の映像は左右がカットされているネガティブな印象がある事も否めない。
よって、マニア向けではないライトユーザー向けの作品をBDなどで再販・再放送する場合、今の基準に合わせて上下をカットして16:9にする作品がいくつかある。
前述の貧乏ビスタと違い、制作時はあくまで4:3前提なので、キャラクターの頭が画面からはみ出る事も少なくないが、それより画面の左右を気にするライトユーザーの方が多い事も事実である。
これに該当する作品では演出意図は4:3なので、(テレビ放送よりは)ファン向けの商品であるBDでは4:3で収録される事が多いので、貧乏ビスタよりは被害は少ない。
80年代までのアニメ(ドラゴンボール・ドラゴンボールGTが代表的)を見ると音声がこもって聞こえる事がある。これは古いからではなく、残している音声素材の問題。
アニメを制作した時、最初の音声はシネテープという磁気テープに記録されており、この段階では音声は比較的クリアである。ところが、このシネテープはフィルムと同じ程度のサイズで保存が面倒という欠点がある。そこで、フィルムの横に音声を波として記録する光学音声を使う場合もあった。
光学音声にすると1本のフィルムで映像と音声を同時に記録する事が出来るので保存する手間は省けるのだが、シネテープと比べると音声が劣化するという最大の欠点があった。
手間とコストをかけてシネテープを残すか、光学音声を残すかは大きくアニメスタジオに依存し、ドラゴンボールを始めとする有名アニメを多く作っている東映アニメーションは質の悪い光学音声を使うスタジオであった。
(ドラゴンボールの場合は)初回放送では高音質なシネテープが使われるが、その後の再放送では光学音声しか素材が残っていないので、公式のBDより 当時本放送を録音したビデオテープの方が高音質という逆転現象がおきている。また、東映はTVアニメをBDにする時 基本的にリマスターをせずアップコンバートで済ませる悪癖があるので画質 音質的には厳しいスタジオと言える。
また、ビデオや以前の放送ではシネテープだったが、何故か光学音声に劣化してしまう という事もある。
BGMでイスラム教の音楽を使った場合、外部からの指摘で差し替えになる場合がある。アラビア風で神秘的な雰囲気を感じるが、それが宗教的な物であると気付かない事が多い。ア~~アア~~♪みたいな音声素材を使う時は注意。下記のどちらも「音声素材を使った」と釈明している。
デジタルアニメの場合は制作時にこの色は赤。と決めたらそのデータが変わる事は無いが、セル画時代のアニメはフィルムの物理的劣化で色が変わる事が避けられなかった
単純に色が薄くなるのであればデジタル補正で修正が出来たのかもしれないが、赤は劣化しやすい といった色ごと退色の具合が違うので補正には技術が必要。
ディズニーはフィルムの保管にもコストを注いでいるので、フィルム時代の作品はRGBの3色に分離をして保存をしている。ディズニーの映画は古くても色があざやか(デジタル補正も当然行っているだろうが)な理由の一つ。
ドラゴンボールの場合、本放送当時に一般家庭にVHSテープが普及していたので、当時の録画と今の「リマスター」版の映像を比較すると明らかに色が異なる。VHSテープはフィルムの様な色の劣化は発生しないので、VHSテープの映像が当時の色となる。
音声の項目でも記載したが、東映アニメーションは著名な作品を数多く手掛けているにも関わらず 映像 音声共に無頓着と言わざるをえない。
多くのTVアニメは東京のキー局で放送されるが、同時ネットしている地方局はどのように映像を放送していたか?
NTTの所有する中継回線が日本全国に無線局の形で張り巡らせてあり、地方局が東京の番組を同時ネットで放送したり、東京キー局が地方局のニュース素材を使用したり、地方局同士で映像素材をやり取りする時にはこの回線が使われている。
このNTT中継回線は2006年まで(NHKは2004年まで)マイクロ波回線が用いられていた。マイクロ波は波長が短く、比較的安定した通信が可能だったが、アナログ回線なので音質・画質が劣化する問題があった。技術的な理由ではあるが、ともかく東京のテレビ局を直接受信した場合と、このNTT中継回線を経由した地方局では音質・画質に差が生じており、東京からの距離が遠いほど顕著な差が生じていた。
上記の問題により、初回放送の東京キー局でしか本来のクリアな音を聞くことが出来なかった。という作品も存在する。
地上波放送の地デジ化に伴い、NHKが利用するNTT中継回線は2004年3月に、民放各局が利用するNTT中継回線は2006年6月に光ファイバーによるデジタル回線に移行したため、現在ではアナログ回線による劣化問題は解消している。
が、地デジ化の影響で局ごとのエンコーダの差異は存在する。詳しくは該当項目を参照
1990年代のフィルムが当たり前だった時代、作ったアニメをどのようにして放送していたか?
アニメスタジオがフィルムを第一に作成するが、それを電波に乗せるには何らかの変換を行う必要がある。その変換する機械は各TV局ごとに所有していたので、90年代のテレビ朝日は映像がxxx という差が生じていた。
地デジにおいては納品されたデータを各地方局ごとにエンコードをしながら放送している。そのエンコード設備、設定は局ごとに違うので画質、音質に差が生まれる。
解像度は大半の局が1440x1080、一部BSが1920x1080。
解像度は高いほうが好ましいが、2022年現在でも1920x1080の解像度で制作しているアニメはごくわずかであり、大半のアニメが1280x720よりちょっと大きい程度なので1920に拘る価値は薄い。
アニメを多数放送しているTOKYO MXは2014年4月1日から常時サブチャンネルの放送が始まり、必然的にHD放送のビットレートが低下した。これ以前のMXはアニメの画質も良いとされていたが、これのせいで画質レースからは完全に脱落する。
地デジの音声も地域差がある。単純にビットレートの大小の差だけでなく、カットオフ周波数の値の違いという概念が存在する。
人間が聞こえる音は一般的に20Hz~20,000Hz(2万)の間だが、世の中の「音」にはその上や下の振動も存在する。人間に聞こえない音のデータを切り捨てる事が音声圧縮の基本だが、人間が聞こえる音の上限値の20kHzは年齢・個人差があるので実際はもっと低い周波数で切り捨てる事が多い。
どの周波数で切り捨てるか?というのは各局の個性が出るところで、まとめたサイトによると2022年現在は20KHzの局が多いものの18、15KHzでカットしている局もそれなりに存在している。
テレビのバラエティで「年齢チェック!この音が聞こえたら耳年齢はxx歳!」というネタをやる事があるが、この仕様について理解しておらず そもそも音が流れていないという場合もあった。
テレビ局の番組は地震速報等のテロップを出す必要があるので、生放送か否かに関わらず、全ての映像・音声は各局でリアルタイムエンコードされるので、東京発全国ネットの番組であろうが 地元の放送局でエンコードされる。
1997年に生じた所謂ポケモンショックの影響で、それ以降のTVアニメは透過光の点滅に規制が入る事になった。
それでも演出として光を使いたいという制作側の要望もあるので、(不特定多数の人が見る可能性のある)テレビ放送では規制を受け入れるが、BD等のセルメディアでは規制を解除する事が2022年現在でも一般的。
また、上記の透過光の点滅規制はあくまでテレビ放送団体 民放連の自主規制なので、ネットのストリーミングでは、それが不特定多数の人が見る可能性のあるYoutubeの無料配信でも解除される事がある。
衛星放送等で「オリジナリティを尊重してそのまま放送します」とか映画での「本編完全ノーカット!」を謳っていても、このポケモンチェックは大前提で適用される。
2000年前後のTBSアニメに見られる。地デジ開始前なので独立項目とする。ワイドソースはBS限定なので知名度は低い。他、RAVEや探偵学園Q(アニメ)も実は16:9制作。
日本の地上波デジタル放送は2003年12月01日に関東・近畿・中京のNHKと一部放送局で放送が始まり、2007年前後に全ての局がデジタル放送を開始、2011年7月に(一部地域を除き)アナログ放送が終了した。その間は同じ内容をアナログ放送、デジタル放送の両方で放送していたのだが、アスペクト比の違いによる差異が存在していた。
この時代に作られたTVアニメは、16:9の映像だが4:3テレビでサイドカットをしても違和感が無いレイアウトになっている。左右スクロールのパンをしても、画面の両端(4:3だとカットされる部分)にキャラクターが移動しなかったり、画面内やOPEDのクレジットが画面中央に寄っていたり、意識してみると結構面白い。
気合の入ったアニメだと4:3と16:9で撮影をしなおしてレイアウトを別々に作っているので上記の現象は発生しないが、16:9が当たり前になった2022年現在だと わざわざ4:3ソースを放送・配信する事はほぼ無いのでレアになってしまう。
また、サイドカットの状態も完全に4:3にカットしたり、16:9との中間で少しだけカットしたり様々。
地デジ移行期のスターチャイルドによくあったが、HD制作なのにそれを地上波で流すと録画されるので、わざと画質を落として放送するという方法があった。
また、HD制作移行期なのでHD制作だが画質を落として放送している(だからBDを買えというメッセージ)のか、本当にSD16:9制作なのかを区別させる為に 1話の1週間前に放送される新番組の番宣だけハイビジョン画質で放送して本放送ではSDアプコン。という事があった。
ビジネス的には理屈は通るが、当然ファンからの評判は悪かった。また、HD画質で制作してSD画質で放送したくせにDVDでしか発売されない事もあった。
が、それは邪推で 本編全てをハイビジョン制作するだけの機材が無いので番宣や一部エピソードだけ頑張ってハイビジョン制作出来た という苦肉の策の可能性は否定できない。
詳しくは2chアニメサロンにあった高画質 高音質なアニメを望むスレに情報が記録されている。また、個人サイトの あに瓶 が2007年~2020年頃に放送されたアニメの画像にFFT(高速フーリエ変換 簡単に説明すると画像のシャープさを求める方法)をかけて元の解像度を分類してまとめていた。
バージョン違いと言われて一番メジャーなのが作画修正かもしれない。一般的にはテレビ放送版とBD版だが、配信ファーストになっている2022年現在 BDよりさらに修正されたソースが配信で使われる事がある。
一般的に修正前より「良く」なっているので修正前の需要は比較的少ないが、マニアックなファンにとってはオリジナル版の価値はある。
アニメはコマ単位で撮影をするので、1コマだけお遊びのカットを入れる事があった。人間の目で区別する事は困難で、ビデオで1コマ単位で再生するマニア向けのファンサービスだった。
1989年12月24日に放送されたCITY HUNTER 3で、制作のサンライズの郵便ポストに入っていたチラシに写っていた変なおじさんの写真を遊びで挿入したら、それがオウム真理教の松本智津夫であり サリン事件発生後の1995年5月に「サブリミナル効果を狙った」としてスクープされた。
サブリミナル効果は今となっては効果が極めて疑わしいが、当時は洗脳ではないかと大騒ぎになり、それ以降1コマ遊びはNG演出になり、ポケモンチェックと違ってセルメディアでも復活する事はなく、1995年以前に制作されたアニメでも遡って削除される事になる。
TVアニメ資料館 というサイトで当時の報道も踏まえて細かく調査されている。
モノクロの時代~カラー初期のアニメを見るとEDがノンクレジットの作品が多い事に気がつく。
これは当時、クレジットは放送局側で合成するもので、素材には入っておらず、後世に残らなかった理由がある。これのせいで、該当作品はOPに載っている共通スタッフは残っているが各話スタッフを知ることが出来ない弊害がある。
TBSアニメは(少なくとも2010年代は)OPEDは最終回や一話であってもカット不可という成約があったが、クレジットの表現方法にも同等の成約があった
多くのTVアニメは30分枠で放送され、CM等があるのでアニメ素材に割ける長さは概ね25分00秒前後。OPED予告を除くと純粋な本編は20~21分前後。そのフォーマットに当てはまらないアニメの場合。
掲示板
20 ななしのよっしん
2023/08/30(水) 11:06:55 ID: zcXIzwD+1K
すげえオタクって感じで最高の記事(褒め)
21 ななしのよっしん
2023/09/13(水) 20:18:03 ID: ZDSvK+Fxug
>>19
Dragon Ball wikiによると、Funimationから発売されていたDVDの旧パッケージのものが4:3収録との事
まだ売ってる所があるみたいだから探してみたら?
余談だけどドロリーのやつは中指立ててるみたい
22 ななしのよっしん
2024/01/20(土) 23:04:32 ID: lHBGOgTvU6
急上昇ワード改
最終更新:2024/12/26(木) 21:00
最終更新:2024/12/26(木) 21:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。