「機動戦士クロスボーン・ガンダム」とは、原作:富野由悠季、作画:長谷川裕一による漫画作品。
ガンダムシリーズのひとつに数えられる。
ニコニコ動画では「機動戦士クロスボーンガンダム」と「・」が省略されている場合が多い。
→「機動戦士クロスボーンガンダム」でタグ検索
概要
月刊少年エース(角川書店)にて1994年12月号(創刊号)から1997年3月号にかけて連載。
全27話。単行本は全6巻。
「機動戦士ガンダムF91」の時代(コスモ・バビロニア戦争)から10年後の宇宙世紀0133年を舞台に、木星圏における宇宙海賊クロスボーン・バンガードと木星帝国(ジュピター・エンパイア)の戦い(木星戦役)を描く。
解説
もともとSF漫画を得意としている長谷川氏による作品ということもあり、ガンダム作品ではあるが長谷川自身の色も出ている部分も多い。貧乳は正義。戦艦内という閉鎖空間でもシャワーシーンははずせない。
その一方で、「F91」から引き続き登場するキャラクターや、時代的には後世に位置する「機動戦士Vガンダム」に登場する技術の片鱗を盛り込むなど、宇宙世紀シリーズにおける前後のつながりを意識していると思われる部分もある。
また、原作者である富野由悠季本人が漫画制作に初めて深く携わった作品でもある。
そのためか、宇宙世紀の正史に準ずるものとして扱われることもあり、近年では公式年表に含まれることも多くなってきた。(なお、短編集「スカルハート」以降は長谷川氏のみによる作品であり、富野氏は関わっていない)
作中では近年語られることが少なくなったニュータイプについて久し振りに向き合い、新たな考えを提示している。
ストーリー
木星への留学生だったコロニー育ちの少年トビア・アロナクスは宇宙海賊クロスボーン・バンガードの襲撃をきっかけに木星帝国の恐るべき地球侵攻計画を知る。自問自答の末、全てを知ることを望んだトビアは、地球侵攻計画を阻止しようとしているクロスボーン・バンガードに参加する。
また、同じく留学生だったベルナデット・ブリエットも成り行き上クロスボーン・バンガードに保護されることになった。
木星帝国との戦いの中、トビアはエースパイロットであるキンケドゥ・ナウの指導などによりモビルスーツパイロットとしての才能を開花させていく。また、ニュータイプの能力も見せ始める。
しかし、木星帝国の拠点である衛星イオへ総攻撃を仕掛けるも地球侵攻計画を止めることはかなわず、大量破壊兵器を積み込んだ巨大連絡船(ジュピトリス9)は木星を飛び立つ。トビアたちはそれを追って地球へと向かうが・・・
主な登場人物
宇宙海賊クロスボーン・バンガード
- トビア・アロナクス 「俺は人間だ、人間でたくさんだっ!」
- 本作の主人公。幼い頃に両親を亡くすも(ガンダムシリーズの主人公では珍しく)明朗快活で前向きな少年。強い意志と判断力を併せ持ち、ときに無茶をするも機転でカバーすることが多い成長型の主人公である。
本作後半ではクロスボーン・ガンダムX3を駆り、優れたニュータイプ能力を発揮する。しかしニュータイプそのものには懐疑的であり、”人間”としての可能性を最後まで信じ続けた。 - ベルナデット・ブリエット 「父の怨念にこれ以上-ひどいことをさせないで」
- 本作のヒロイン。ガンダムシリーズのヒロインのお約束ともいえる事情を抱えている。(義母に心配されるほどの貧乳であるためか)特技は密航。母が地球人であり”自分の足で地球の大地を歩きたい”という夢を持つ。
なお、彼女の大きな瞳はあまり好まれないらしい(?) - キンケドゥ・ナウ 「俺は彼女を守り続ける。それだけだ」
- 新生クロスボーン・バンガードのエースパイロットにしてもうひとりの主人公。乗機はクロスボーン・ガンダムX1。
キンケドゥ・ナウは偽名であり、その正体は「機動戦士ガンダムF91」の主人公シーブック・アノーである。
本作ではベラ・ロナに協力して木星帝国の計画を阻止するべく戦っている。 - ベラ・ロナ 「これならまだハタチだってつうじるわよ♥」
- 新生クロスボーン・バンガードのリーダーであり、旗艦マザー・バンガードの艦長。もうひとりのヒロイン。
セシリー・フェアチャイルドの本名であり、同一人物である。「F91」のエピソード後にコスモ・バビロニアは崩壊したが、木星帝国の陰謀を知り、それを阻止するべく再度クロスボーン・バンガードを結成する。 - ザビーネ・シャル 「貴様が私の夢を・・・貴族社会を潰したのだ!」
- キンケドゥと双璧をなすクロスボーン・バンガードのエースパイロット。乗機はクロスボーン・ガンダムX2。
コスモ・バビロニアの残虐な行為に疑問を抱き離反するも、貴族主義は捨てていない。
木星帝国
- クラックス・ドゥガチ 「人類の支配に地球など-いらぬと言っておる」
- 木星帝国総統。70年余りにわたって木星圏を人の住める環境とすべく尽力してきたが、地球連邦の行為にかつてない屈辱を味わい、地球に対し狂気ともいえる憎悪を抱く。そのため密かに木星帝国を築き上げ、地球侵攻計画を画策する。普段は正体不明の液体に満たされた玉座にいるなど、謎多き老人である。
- カラス 「我々は木星人なのだよ、地球人がそう呼ぶようにっ!」
- トビア達留学生の指導教官でありトビアには「先生」と呼ばれるが、実際は木星帝国の特殊工作員のひとり。「強い者こそが正しい」という確固たる信念を持つ。またニュータイプとしての素質を持つ者を集め「スクール」と呼ばれる場所で教育しており、ニュータイプとして成長していくトビアに強い関心を示した。
- ギリ・ガデューカ・アスピス 「もう2・3年もすれば色っぽくなるだろうから」
- カラスのスクール出身者である木星帝国・少佐。次期幹部候補生にして対クロスボーン・ガンダムチーム「死の旋風隊(デス・ゲイルズ)」のリーダー。尊大にして傲慢、残虐な性格の持ち主。トビアと同世代の少年であり、ライバル的存在として激闘を繰り広げる。あとツンデレ。
- バーンズ・ガーンズバック 「それが宇宙で生きるということだ!」
- 木星帝国・大尉。ベテランパイロットであり、その腕を買われ死の旋風隊に抜擢される。酸素工場で働いていた息子を事故で失っており(それ以来、出撃時にはヘルメットをかぶらない)、トビアに亡き息子の面影を見るが、過酷な環境である木星と比べ豊かな水資源を持つ地球圏の住人に対して恨みに近い感情を抱いていた。
- ローズマリー・ラズベリー 「このままプチッとやっても客受けが良くないだろうしねえ?」
- 死の旋風隊の女性パイロット。金と血生臭い騒動が大好きという少々困った性格。その言動から木星帝国の軍人ではなく傭兵と思われる。本作では目立った活躍はないが、キンケドゥに匹敵する実力の持ち主である。
地球連邦
- ハリソン・マディン 「うまくいったら裁判にいい弁護士をつけてやるぞ、海賊!」
- 地球連邦軍第17機動中隊・大尉。連邦では珍しくまともな考え方を持った軍人。青い量産型ガンダムF91を駆り、「連邦の青い閃光」と呼ばれる連邦軍随一のエースパイロットである。あとロリコン。
その他
- シェリンドン・ロナ 「私はもう-今のままでは人類はダメだと思っています」
- 通称シェリー。ベラ・ロナの従姉妹であり、コスモ・バビロニア崩壊後に貴族主義勢力から担ぎ出された名家の令嬢。ニュータイプ至上主義者でありニュータイプ(及びその素質を持つ者)を集めており、ニュータイプの素質を開花させつつあったトビアに興味を示す。
機動戦士クロスボーン・ガンダム外伝 -スカルハート-
「機動戦士クロスボーン・ガンダム」本編の後日談エピソードが主な内容となる。
全6話。単行本は全1巻。
名実共にクロスボーン・バンガードのエースパイロットに成長したトビアが様々な厄介ごと(?)に巻き込まれる。
単行本にはクロスボーン・ガンダム以前のエピソードも挿入されているほか、長谷川氏の過去のガンダム作品に登場するキャラなどが登場しているエピソードなども含まれる。
機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人
月刊ガンダムエースにて2006年7月号から2007年9月号にかけて連載されていた長谷川氏による漫画作品。
全15話。単行本は全3巻。
宇宙世紀0136年、木星帝国の新総統”光のカリスト”による「神の雷計画」を阻止すべく立ち上がったトビア達の最終決戦を描いた、本編の完結編である。
なお、本作品は故・黒澤明監督の映画「七人の侍」がモチーフとなっており、劇中でもこの映画に関する話題が出ている。
機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト
月刊ガンダムエース2012年1月号から2016年5月号まで連載されていた作品。全53話。単行本は全12巻。
宇宙世紀0153年、即ち機動戦士Vガンダムと同じ時代、かつてジオン公国の首都であったサイド3のズム・シティに住む少年フォント・ボーと、木星ユピテル財団の特殊部隊”蛇の足(セルピエンテ・タコーン)”に所属する盲目の青年カーティスを中心に紡がれる物語。
機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST
月刊ガンダムエース2016年9月号から2021年1月号まで連載されていた作品。全52話。単行本は全13巻。
『ゴースト』最終話後の宇宙世紀0168年の話が描かれる。宇宙戦国時代中期に於けるコロニー同士による泥沼の闘いの中、諍うように動き始める”塵”達の物語。
シリーズで唯一1話からクロスボーン・ガンダムが登場しないためか、タイトルがcrossbone(交差する骨)からcrossborn(交わり、産まれる)に変更されている。
機動戦士クロスボーン・ガンダム X-11
月刊ガンダムエース2021年8月号から2022年8月号まで連載された作品。単行本は全2巻。
『DUST』の途中で物語からフェードアウトしたカーティス・ロスコが木星圏で何をしていたのかが描かれる。
機動戦士クロスボーン・ガンダム LOVE&PIECE
月刊ガンダムエース2022年12月号から2024年1月号まで連載されていた作品。単行本は全2巻。
オムニバスシリーズであり、これまでのクロスボーン・ガンダムシリーズの登場人物のサイドストーリーが描かれる。
関連機体
ニコニコ大百科に記事があるクロスボーン関連のモビルスーツを記す。
ゲームへの参戦
非映像化作品ではあるが、ガンダムを題材にしたゲームにも本作からモビルスーツやキャラクターが参戦している。
初参戦は「SDガンダム GGENERATION-F」で、スパロボ等でも使われているBGMもここが出自。大きく知名度が向上する要因になった。その後の作品でも高い人気を維持し続け、「WORLD」「OVER WORLD」では、トビア及びX1を非映像化作品組としては唯一マスターセレクトで選択可能という優遇ぶりとなっている。
スーパーロボット大戦には、「第2次スーパーロボット大戦α」で初参戦。前述の通りキャスト、BGMはGジェネFを元に変わらず。原作再現はおろか、原作で描かれていない部分にまで踏み込んでおり、「キンケドゥが元祖F91に乗ってくる」「生存しているビルギッドと再会する」「X2を鹵獲して最後まで自軍で使える」「ウモン爺さんがちゃんとNTなのでファンネルを撃てる」等色々こだわっている。
αシリーズの続編には参加できず、その後未参戦が続いていたが、「スーパーロボット大戦V」で再参戦を果たす。今回は本編に加え「スカルハート」が新規参戦、また「鋼鉄の7人」も機体のみだが登場と相成る。
2010年夏発売の「Another Century's Episode:R」に参戦。
また、2010年10月稼動のガンダムVSシリーズ最新作「機動戦士ガンダム EXTREME VS.」にも当初よりX1が参戦し、ザンバス(↑)ター!の叫びがやけにいい声で響き渡った。主人公のトビアは当初セリフもなくペズ・バタラで特攻しているだけだったが、後にザビーネのX2改、そして「コノシュンカンヲマッテイタンダー!」で有名になってしまったトビアのX1フルクロス(ついでにサポートとしてギリのビギナ・ギナⅡ)が参戦し、クロスボーンガンダムが3機共演することになった。X3いないけど。
2013年6月、EXTREME VS FULL BOOST公式サイトにて遂にX3が参戦した。
後の続編にも全機登場を果たしている。後はX-0だけ
関連動画
手書きOP風
手描きPV
GAME関連
関連コミュニティ
関連項目
- 機動戦士ガンダムF91
- クロスボーン・ガンダム
- ファントムガンダム
- Bガンダム
- 長谷川裕一
- 漫画作品一覧
- ガンダムシリーズ一覧
- スーパーロボット大戦シリーズ登場作品の一覧
- GジェネレーションF
- 目が2つついててアンテナはえてりゃマスコミがみんなガンダムにしちまうのさ!
- 10
- 0pt