Robloxとは、ユーザーがゲームを作成・共有し、遊ぶことができるマルチバース型ゲーミングプラットフォームである。
なお、公式では本作で制作されたコンテンツを「ゲーム」ではなく「体験(エクスペリエンス)」や「バーチャル空間」と表記しているが、本記事では「ゲーム」に統一する。
概要
2004年にDavid Baszucki氏(現Roblox CEO)によって前身となる「Dynablox」が開発された後、2006年に正式リリースされた。(類似作とされるMinecraftよりも古い)。2020年にCOVID-19が流行した際に、主に小中学生の巣ごもり需要によってユーザー数が激増した。2023年時点でのアクティブユーザー数は7000万人、2025年に入ってからは1億人に迫る勢いに達している(出典
)。
日本国内では海外に比べて大きなブームにはなっていないが、「Sonic Speed Simulator
」や「BEYBLADE PARK
」など国内IPを利用した公式作品も増えてきており、少しずつだが業界の注目度も高まっていると言える。
プラットフォーム本体は無料で配布されており、PC(Win/Mac/ChromeOS)やモバイル(Android/iOS)、ゲーム機(Xbox One/PS4)などかなり幅広い機種で遊ぶことが可能。プレイするにはRobloxのアカウントを作成する必要があるが、メールアドレスの登録は必須ではない。とはいえ、パスワードのリセットや課金、ボイスチャットの利用などを行うためにはメールや電話番号など認証手段を登録しておくことが必要。
ゲームについて
公開されているゲームの種類は多種多様であり、FPS、ホラー、RPG、クリッカー系(SimulatorやTycoonと呼ばれる事が多い)など様々なジャンルのゲームが作成されている。とりわけFPSとクリッカーの層が厚く、CoDやフォートナイトなど他のゲームをモチーフにした作品も多い。モチーフどころか市販のゲームの素材を無断利用しているものも多く、割と無法地帯。近年ではそれに対抗して各種アニメ作品が「公式」ゲームとして参入する動きもあるが、海賊版の人気を上回ることがなかなかできずにいる。さらには、後述するように公式でも他作品の効果音を盗用していたこともあった。
- FPS/TPS・アクション
- FPSジャンルでは「Arsenal」や「Big PaintBall」といったデスマッチ系ミニゲームが常に一定の人気を博している。近年では商業作並みのリアルなグラフィックを追求した作品も多い。TPSはゲームの1要素として組み込まれることが多く、「JailBreak」などのクライムアクション系が流行していた。
- その他シューター系以外では、「自然災害サバイバル」などのカジュアルなアクションゲームや、後述のObbyと呼ばれる3Dジャンプアクションが公開されているゲームの多くの比重を占める。
- RPG
- RPGを冠するゲームは多いが、ゲームエンジンとの相性的にコマンド型のいわゆるJRPGはほぼ作られておらず、アクションRPGが大半を占めており、その多くは日本のアニメを題材にした量産型のタイトルである。
むしろMMORPGの生活系コンテンツを抽出したような、会話・交流・ガチャと本来の意味でのロールプレイがメインの作品が多く作られており、人気を博している。代表作に「Adopt Me!」や「Welcome to Bloxburg」などがある。 - ホラー
- 年齢層も手伝って根強い需要を持つジャンルであるが、流行り廃りが激しいジャンルでもある。圧倒的に多いのが「Piggy」や「DOORS」など、鬼ごっこをしながらステージを脱出するタイプの作品。「Camping」の登場以降はストーリー型作品も流行したが、スクリプトが検閲されるようになった現在では下火となっている。SCPやBackroom関連のゲームもブーム時には量産され人気を集めていた。「Rainbow Friends」は特にRobloxの枠を超えて有名になった作品である。
- Simulator/Tycoon
- Roblox特有のジャンル。Simulatorは一般的な「シミュレーションゲーム/シム」とは異なり、単純作業(「走る」など)をしてお金を稼ぎ、それで装備を強化して稼ぎを増やしていく…というゲームを指すことが多い。一方のTycoonは何かの生産施設や店舗を舞台とし、資源の生産と設備の強化を繰り返すタイプのゲームを指す。両者とも実際にはクリッカー系に近く、実質同ジャンルと言えるが、能動的なものがSimulatior・受動的なものがTycoonと名付けられる傾向にあるようだ。いわゆる「量産型」のゲームが多いためヘビーユーザーからは不評だが、中には「Restaurant Tycoon 2」など、本格的な経営要素を取り入れた力作もわずかに存在する。
- Obby
- Roblox特有のジャンル。障害物を避けながらゴールに行くタイプのジャンプアクションを総称する。サービス開始時の2006年からすでに存在している。数あるジャンルの中でも特に簡単に作れるため、異様に簡単かつお粗末な出来のゲームが非常に多い。一方で「Tower of Hell」などの上級者に向けて作成されたものは難易度インフレが激しいという両極性を持っている。
Roblox Studio
Robloxで公開されるゲームは、Roblox StudioというPC版Robloxに付属するソフトを利用して制作することができる。スクリプトの言語にはLuau
というLuaのバリアント言語が用いられている。
ゲームエンジンの特徴としては、マルチプレイ対応の3Dアクションに特化している点が挙げられる。特にサーバーの立ち上げや通信などサーバーサイドの処理はすべてRoblox運営側が持つため、これらを気にすることがなくオンラインゲームを開発できるのが最大の強みである。また、ゲーム内のテキストは自動的に翻訳されるため言語の壁を気にしなくてもいい……とはいえ所詮は機械翻訳なので、元より分かりづらくなることもしばしば。
3DモデルやBGMなどを配信するアセットストアも内蔵されており、自作の素材をアップロードして使用することも可能。ただしStudio自体にはモデル作成機能がないため、オリジナルのモデルを使う場合はBlenderなどの知識が必須となる。また、自作素材やスクリプトに対しては開発中であっても度々チェックが入るが、これによる削除基準が厳しいうえに不明瞭な上、回数が重なるとBANの可能性もあるので注意。
有料コンテンツ
ごく一部のゲームを除いて基本無料の形を取っている(多くの有料ゲームはベータテスト中のもの)。
課金形態は「Robux」というゲーム内通貨に集約されている。レートは1R$=約2円程度で、アカウントごとにタイトルを跨いで利用できる。Robuxは主に運営が販売するアバターアイテムと、それぞれのゲーム内で製作者が独自に設定した有料アイテムを購入するために利用される。
また、月額制のメンバーシップ「Roblox Premium」も用意されており、そちらでは月額分に若干上乗せされたRobuxが毎月貰えたり、ゲームの作者が独自に設定した会員特典を受けることができる。また、アイテムの販売などの権利を得るためには入会が必須であるため、どちらかと言えばクリエイター向けのサービスである。
また、制作したゲームやアクセサリーにRobuxが支払われた場合は製作者に還元され、一定の条件を満たした開発者であればRobuxを現金に交換することが可能。いわばゲーム版クリ奨であり、これによって個人の趣味だけではなく、中小規模のスタジオが収益を得るためにゲームを制作・供給できるエコシステムが形成されている。
かつては「Tix」という無課金で入手でき、Robuxに交換できる通貨もあったのだが、捨て垢を利用した増殖などが問題視され現在は廃止されている。この決定の際には無課金でアバターを入手することが難しくなったことで反発やユーザー離れを引き起こした。Robuxを無料で入手する手段は基本的にない(グループ機能を使ってユーザー同士で譲渡する以外では)が、無料もしくは格安でRobuxを入手できると騙り、アカウントやカード情報などを盗む詐欺が現在まで横行している。
用語・ミーム集
- Noob
- 一般的には初心者を意味するスラング。Robloxにおいては、2014年までに使われていた初期アバターの事を指す。黄色い肌と角ばった身体が特徴。初期アバターが変更された後も「クラシック」なRobloxを象徴するキャラクターとして認知されており、多くのゲームや公式動画に登場している。
- Bacon Hair
- Noobから変更された初期アバター(男性)の通称。Noobよりも見た目が人間に近づいているのだが、髪型が焼いたベーコンを頭頂に張り付けたかのような見た目になっているためそう呼ばれている。現在ではアカウント作成時にある程度のカスタマイズが出来るようになっているので、本当の意味でのデフォルトアバターは珍しくなっている。
- Guest
- 2017年には廃止されたが、過去にはアカウントを作成せずにゲストとしてプレイする機能があった。Noobとは別の規定アバターと「Guest〇〇〇(ランダムな数字)」という名前で参加し、チャットは利用できなかった。性質上荒らしが多く、Guestというだけで嫌悪するユーザーも存在した。現在はNoobやBaconとともに昔のRobloxを象徴する存在となっている。
- R6/R15/Rthro
- アバターの規格の種類。いわゆるクラシックアバターはR6とR15の2種類があり、R15の方が自然な動きができ、服のカスタマイズ性も高く現在の事実上標準となっている。一方で開発者目線ではアニメが作りやすい、ヒットボックスの均一性などの理由からゲーム側でR6仕様に統一することも多い。
Rthroはリアル寄りで体形を自由に変えられる新しい規格なのだが、対応しているゲームが少ないのでぶっちゃけ不人気である。 - OOF
- プレイヤーが死亡する時の効果音。う゛ぉ゛「お゛ぅ゛」という独特の響きが耳に残りやすく、Noobと双璧をなすRobloxの象徴であった。音MAD(YTPMV)も多数作られている。
…ちろっと先述した「他作品の効果音を盗用」はこれのことであり、Messiahという2000年発売のPCゲームのカットシーン
から採られている。その後原作者は正式に使用を許可していたのだが、2022年に公式が強制的に音声を別のもの(通称「DUH」)に差し替え、アセットストアで音源を購入したクリエイターしか使えなくした。これはかなり不評が大きく、クライアントのファイルを元通り差し替えて対抗するユーザーも多かった。その後、2025年に「OOF IS BACK.
」の宣伝つきで元の音源が復活し、ファンを歓喜させた。 - Rich
- 文字通り金持ちで、Robuxを大量に持っている人。イコール廃課金というだけではなく、Premium加入時のRobuxのボーナスと後述するLimitedアイテムの取引を利用して稼ぎを得ているプレイヤーが多い。
- Limited
- 公式から販売されるアバターアイテムの一形態。文字通り販売数が限定されており、またPremiumユーザーであれば他者への転売が可能。これによって起こる価格変動を用いた、さながら株や仮想通貨のようなRobux稼ぎの手段として廃課金者間で扱われている。
- UGC
- User-Generated Contentsの略。ユーザーが制作したアバターアイテムのこと。運営の承認を得たPremiumユーザーのみが制作・販売できる。なお、Tシャツに限ってはPremiumなら誰でも作れるのでラインナップが結構カオスである。
- Bobux
- Robuxではない。Tixの廃止以降、無課金プレイヤーへの圧力が強まってから生まれたミーム。「7Bobux」や「0.1Bobux」のような数字でも大金として扱われ、貴重になったRobuxとそれを買わせようとする運営を皮肉る目的で使われる。シンプソンズにもRobloxパロディの素材として登場した。
- Gamepass / Developer products
- ゲーム内の有料コンテンツ。前者はVIPパスなど一回きり購入可能なアイテム、後者はゲーム内での通貨(石)や、ガチャなど複数回購入可能なものを指す。
- Hashtag
- 「Tag」とも。チャット内の不適切な単語が「####」のように検閲されること。RobloxではAIによる検閲を行っているがこの基準が厳しいことで悪名高い。年齢設定が一定以下だとまともなコミュニケーションも取れないとすら言われている。日本語だと「草」の一文字で規制される場合もある。
- ODer
- Online Dater、つまり出会い目的でゲームを利用するプレイヤーのこと。Robloxの規約で禁止されている行為である。低年齢層がチャットに集まるRPGを中心に出没しており、目の敵にされている。
余談だが、ODerを撲滅するという名目で平和なRPGにチートで銃器を持ち込んでプレイヤーを虐殺した事件がゲーム内で実際に起こったことがある。
- R34
- Rule34とアバターのR6/R15を合わせたスラング。つまり意味はお察しください。
- 良い子はこの他にも「Condo」や「Vive」と付いているゲームには手を出さぬが吉。
- John Doe
- Roblox初期から確認されているアカウント。実際は運営が所持しているテストアカウントなのだが、実はハッカーで恋人のJaneを探しており3月18日になると全てのアカウントがハッキングされる…といったCreepyPastaの題材となっている。
似たような話のネタとしては「1x1x1x1」があり、こちらはその人気により公式キャラとしてイベントに登場するにまで至った。
関連動画
関連リンク
関連項目
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