宮藤芳佳(みやふじ よしか)とは、アニメ「ストライクウィッチーズ」シリーズの主人公である。
概要
扶桑皇国海軍の航空ウィッチ。連合軍第501統合戦闘航空団<ストライクウィッチーズ>(501JFW)のメンバー。モデルは旧日本海軍航空隊「空の宮本武蔵」武藤金義。
類まれなる強大な魔法力と治癒の固有魔法、そして多くの人を守り助けたいという一途で頑強な精神を持つ少女。その強い思いは、やがて人類と謎の侵略者ネウロイとの戦いに大きく貢献することとなる。
「その力を、多くの人を守るために」
『ストライクウィッチーズ』(第1期)
時期は1944年夏。自らの持つ治癒魔法で多くの人を助ける事を望み、父親を奪った戦争を好まない極普通の少女であった芳佳は、坂本美緒のスカウトを最初は拒絶するが、死んだはずの父親からの手紙をきっかけに美緒とともに欧州ブリタニアに赴くことを決意する。その途上、ネウロイとの戦争状態にある世界を目の当たりにし、幼い頃の「皆を守る立派な人になりなさい」という父親との約束を果たすため、<ストライクウィッチーズ>への加入を決意する。
芳佳はリネット・ビショップと親友となるなど501JFWの面々と交友を深め、精鋭ながらどこかいびつだった<ストライクウィッチーズ>をひとつにまとめてゆく。やがて謎の人型ネウロイが出現し、さらにブリタニア空軍が開発した謎の新兵器「ウォーロック」の実戦投入によって事態は急転。501JFWも解散させられかかるが、ついには彼女たちの総力戦によってガリアの解放が達成される。
『ストライクウィッチーズ2』(第2期)
時期は1945年3~7月。ガリア解放後、診療所を継ぐ決意を固めた芳佳のもとに父親からの2通目の手紙が届く。真相を知るため横須賀軍港に美緒をたずねた芳佳は、ネウロイのヴェネツィア侵攻を知る。在ガリアの親友リーネからの通信は途絶え、シールドを失った美緒がなお戦いに赴くことを知った芳佳は零式艦上戦闘脚を得て再び大空を駆ける。
アドリア海沿岸ロマーニャ公国での<ストライクウィッチーズ>再結成に参加し、『SW2』最終話、決戦「オペレーション・マルス」にて自身の全魔法力と引き換えに放った「真・烈風斬」によってヴェネツイア上空の巨大なネウロイの巣を撃破。これにより魔法力を使い果たし、ウィッチではなくなった[1]。
『ストライクウィッチーズ劇場版』
時期は1945年8~9月。『SW2』末での魔法力の喪失にともない退役。北極圏航路経由で扶桑に帰還し、坂本美緒や親友みっちゃんこと山川美千子の頻繁な訪問を受けつつ、医学校を目指すため勉学に励む。
その後、美緒の手配により2階級を特進した軍医少尉としてヘルウェティア連邦の医学校への進学が決定、服部静夏を随員としてみたび欧州へ。その途中でネウロイの大規模攻勢を受け、魔法を喪った身ながら尚人々を守るため尽力。戦いの中で、仲間のいる空へ戻りたいという強い願いから魔法力が戻り、三度ストライクウィッチーズの一員として飛び立つ。
『ストライクウィッチーズ Operation Victory Arrow』(O.V.A.)
『SW2』と『SW劇場版』の合間のため、大過なく扶桑で過ごしている。
『ブレイブウィッチーズ』
9話Cパート(1945年初頭)にてゲスト登場。時期は『SW』と『SW2』の合間で除隊後。
一般人ながら、北極海方面で重傷を負い昏睡状態のまま舞鶴へ後送された雁淵孝美の治療のため、北郷章香(佐世保航空予備学校校長)→坂本(北郷の弟子)の経由で舞鶴へ派遣された。
『ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN』(第3期)
時期は『SW劇場版』の後。ヘルウェティアの医学校に短期留学して勉強の日々を送る中、坂本美緒の訪問を受け、アントウェルペン沖で起こった異変を察知し出撃。カールスラント解放に向けた第501統合戦闘航空団の再々結成に参加する。
『SW2』で使い果たした魔法力の不調に苦しみながらも、新たに加入した静夏の拠り所として導く姿も見せる。ベルリン解放の前段階で魔法力を費消し昏倒するが、それでも誰かを守りたいという勁い意志から軍医としてベルリン解放作戦に参加。芳佳を守った静夏の重傷を前に治癒の手立てがない絶望感から奇跡を起こし、ベルリンのネウロイの巣の破壊に貢献する。
『ルミナスウィッチーズ』
7話(1944年8月)にてゲスト登場。時期は『SW』6話中。
『ルミナスウィッチーズ』7話「太陽の理由」は『SW』6話を別側面から描く回であり、サーニャ・V・リトヴャク、エイラ・イルマタル・ユーティライネンとともに戦った『SW』6話クライマックスの直後の様子が描かれている。
パーソナルデータ
- 誕生日:8月18日は、父・宮藤一郎の命日(死亡通知が届いた日)でもある(10歳の誕生日)。サーニャ、静夏も同じ誕生日(サーニャは1年、静夏は2年下)。いずれもモデルとなったパイロットに由来する。ワールドウィッチーズ多しといえど、3人のウィッチが同じ誕生日を共有するのは珍しい例だが、その上を行く4人という例もある[5]。
- 階級:『SW2』までは軍曹。『SW劇場版』では少尉。『SW RtB』では軍医少尉として欧州留学していたが、再結成された第501統合戦闘航空団では曹長として勤務する(後述)。
- 原隊:扶桑海軍遣欧艦隊第24航空戦隊288航空隊は、坂本を始め欧州に派遣されている多くの扶桑海軍ウィッチの所属先でもある。ただし当人は自身の原隊についてはあまり理解していない。そもそも毎度直接501JFWに加入しているのでむべなるかな。
- 搭乗機:『SW』で使用していた零式艦上戦闘脚二二型甲(V-139号機)は坂本美緒の予備機だったもの。同機体は最終話で喪失したため、『SW2』第8話までは旧美緒機(V-128号機)に搭乗したほか、『SW』最終話前半でもこの旧美緒機を使用していた。『SW RtB』第1話~第2話では一時的にヘルウェティア空軍のBf109K-4を使用したが、501JFW再々結成後はメイン機は紫電二一型(紫電改)。
- 固有魔法「治癒魔法」:生体の損傷を修復できる念動系固有魔法。強力だが『SW』では不安定で、魔力切れで気絶することも多々あった。『SW2』では安定し、より強力になっている。
- 強大な魔法力:ウィッチとしての才覚はピカイチ。他者に献身的かつ何事にも全力な当人の性格もあって、度を越した魔法力の力押しで事態を解決すること一度ではない。イレギュラーな地点から飛び立とうとするたびに、あまりにも大きな魔法陣に周囲が驚愕を示すのはもはや様式美の域。『SW2』8話で<大和>後部のカタパルトから発艦しようとした際の魔法陣は、<大和>と比較して直径500mを軽く超える。
- 501メンバー中最大のシールド能力:ストライカー・ユニット装着時はネウロイの集中砲火も防ぐ巨大なシールドを展開できる。だが「シールドだけが取り柄」とも言われたりする。これに関連して「主人公(盾)」、「メイン盾来た!これで勝つる!」などと言うコメントが投稿される事がある。
- 魔法力の減衰が起こらない血統:魔力を持つ宮藤家の女性は成人・経産しても魔法力が消失しない。芳佳の母親(宮藤清佳)や祖母(秋本芳子。清佳の母)も治癒魔法が使用できる。
- 料理が得意。本人曰く「扶桑の家庭料理しか作れない」ということになっているが、大豆製品は得意で自家製豆腐や納豆を作れるほか、ジャガイモ料理のフルコースを披露するなどスゴ腕である。特に『SW2』の前半では頻繁に調理する場面が見られ、これに伴いからかい半分に「主人公(飯)」、「主人公のくせにおさんどんばっかりやってるなwww」などと言うコメントが寄せられている。発進しませんであんなことに
- 実父は現行型ストライカーユニットの開発者で宮藤理論の提唱者・宮藤一郎博士。「その力を、多くの人を守るために」という彼の言葉は、芳佳の中に生き続けている。芳佳が6歳の時欧州に渡り3年後に事故死したとされ、ブリタニアには墓所もある……が、実際の生死についてはいまいち曖昧にされているフシがある。ナレーターになったわけではない。
- 実家の所在地は神奈川県鎌倉市明石九九九番。「宮藤診療所」を営む(診療科はなんと“よろづ疾患”である)。実はこの世界の横須賀周辺は魔力が充満した異境とおぼしき扱いを受けている。ちなみに宮藤診療所の看板はのちにリアルに製作され、アニメイベント(みんデキ)のたびに会場に登場している。でかい。
- 「みっちゃん」こと山川美千子とははとこ同士である(美千子の祖父が芳佳の祖父の弟)。
- 通っていた学校は「横須賀第四女子中学校」。ブリタニアから帰国後復学し、『SW2』第1話にて無事卒業。出席日数不足ながら501JFWの一員としての活動が認められ、卒業生代表まで務めた。
- 『SW』での階級は一般的なウィッチのスタート階級である軍曹。ガリア解放後は一時除隊している。同作での軍規違反のために「不名誉除隊」と言う扱いであったが、坂本からは「予備役編入」されていると説明されていたようだ。『SW2』で坂本を追いかけたことから「再志願」と言う扱いで欧州に向かったため、あれだけの殊勲を上げたにもかかわらず階級は軍曹のままだった。その後は美緒の手回しもあって予備海軍軍医少尉となったため『SW劇場版』では少尉として登場したが、これはあくまで軍医としての少尉であり、『SW RtB』で501JFWが再々結成されると兵科での階級は曹長となった。
- ガリア解放の功績でカールスラント皇帝より騎士鉄十字章を、ヴェネツィア解放の功績により柏葉付騎士鉄十字章をそれぞれ受勲している。フリードリヒ4世自重。
- ヴェネツィア解放の功績は扶桑でも評価され、遣欧艦隊司令部から個人感状、海軍から功五級金鵄勲章を受けている。なお、芳佳はその重要性を全く理解しておらず、勲章は机の上で文鎮扱いされている。
- 素朴で天真爛漫な性格。実家の診療所を継ぎたいという心持から博愛精神にもあふれ、銃を撃つことにも少々ためらいがあった。初対面の人にも笑顔で接すように人見知りはせずに誰とも仲良くなれる。
- ひたむきで諦めを知らず、誰かの役に立つことを最優先に頭より先に体が動く。意外に図太く頑固な性格もあって失敗も多いが、隊内でもそれでこそ宮藤芳佳だと理解されるようになっていった。
- リネット・ビショップとは初戦果を挙げて以来、一番の友人である。家事が好きという共通点もあり、よく一緒に炊事や洗濯、掃除などを率先して行っている。
- 師・坂本美緒の人格的影響を随分受けており、『SW RtB』で魔法圧に問題が生じたときには走り込み・素振り・大食いなどかなり体育会系な対処を試みている。「こんな時は走り込めばだいたい解決する」なんて坂本少佐の言を真に受けるんじゃない。魔法圧の問題の原因を体力不足に帰そうとしたスタイルは、隣で「気合です」とか声をかけていた静夏にまで微妙な顔をされている。
- 501JFW参加時以外は民間にいるため、501JFW以外のウィッチとの交友関係は比較的とぼしい。とはいえ縁がないわけではなく、扶桑では雁淵孝美や竹井醇子、国外では504JFWの“赤ズボン隊”3人組などとの交流がある。例えば“赤ズボン隊”のフェルナンディア・マルヴェッツィには同じ治癒魔法の使い手として気に入られている様子。
- ウイッチに必要な基礎体力や射撃など、一般女学生だった芳佳によっては縁遠いものだったので直接指導する坂本の訓練では苦労している。しかしかなりの努力家であり、そのおかげか徐々に頭角を現し不規則機動のネウロイを撃ち落とすなど成長が見られていく。
- 『SW2』冒頭では着の身着のまま二式飛行艇に乗り込んだため、着替えなどを持ってきておらず、経由地のハワイなどで最低限の身の回りのものを買い揃えた(実家に手紙も送った)。『SW2』6話における高高度戦闘のための防寒着のコートは、ゲルトルート・バルクホルン大尉から借りたもの。
- ヘルウェティア留学にあたっては、『SW2』5話でローマに襲来したネウロイを迎撃した功を讃えたいと申し出たマリア・ピア・ディ・ロマーニャ公女から医学校に支援と働きかけがなされている。もとは共闘したシャーロット・E・イェーガー、フランチェスカ・ルッキーニと同じく特別デザインの拳銃が贈呈される予定だったが、芳佳が拳銃を好まず使わないことから別のかたちに代えられた。
- パラレル設定のコミック『天空の乙女たち』で語られた設定であるが、使い魔の「九字兼定」は元々横須賀基地近傍にあるネウロイを封印するために祀られていた祠の御神体の守り刀の化身。芳佳の秘める強大な魔法力に惹かれて脱走し、使い魔として契約してしまった。芳佳の前では純真な子犬を装っているものの、その本性はスケベ親父そのものである。なお、推測ではあるものの、アニメ版のいっそ潔いほどに自重しないおっぱい星人ぶりは、使い魔である九字兼定の性格によるものという説がある。
関連動画
関連静画
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関連項目
脚注
- *戦闘終結の日付から見てイメージモデルとなった武藤の未帰還(戦死)に合わせているものと思われる。
- *『SW2』は物語世界で1期終了後の半年後、3月末から物語がスタートしているため、まだ15歳である。
- *初期設定では初めから軍属であった為、サブウェポン(私物)としてシュネルフォイヤーを持つとされていたが、その後の設定変更により『SW』3話ではミーナが用意した護身用のワルサーPPKを受け取らないという描写がある。
- *とのことだが、『SW』でペリーヌ・クロステルマンによって名づけられた「豆狸」のあだ名のほうが有名であろう。ただし『SW2』以降では呼ばれない。なお、「豆狸(まめだぬき)」というのは実際に日本の四国地方(主に香川県)に伝わる妖怪の名前。見た目は普通のタヌキであるが、巨大な陰のう(全部広げるとタタミ8畳ほどの面積!)を持っている。つまりオス。コレをかぶり、変形させて千変万化な擬態を得意とする、という。ペリーヌがこれを詳しく知った上で名付けたのかどうか定かではない……。
- *11月11日。コンスタンティア・カンタクジノ、アドリアーナ・ヴィスコンティ、ヴァルトルート・クルピンスキー、エルフリーデ・シュライバーの4名。
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