○○全冠(ウマ娘)とは、特定のウマ娘で出走可能なGIからGIIIまでのレースをすべて制覇した際に得られる称号である。
概要
全冠とは?
全冠とは複数存在する資格やタイトルをすべて獲得することである。そのため競馬で言えば皐月賞・日本ダービー・菊花賞をすべて制覇することは牡馬クラシック全冠と言えるし、同年に天皇賞秋・ジャパンカップ・有馬記念を制覇することは秋古馬全冠といえる。
他のスポーツで言えば1997年から1998年にかけて松坂大輔らを擁した横浜高校が成し遂げた明治神宮大会・春の甲子園・夏の甲子園・国民体育大会の四大大会全冠やサッカーのJリーグ・天皇杯・Jリーグカップの全冠、大学駅伝における同一年度の出雲駅伝・全日本大学駅伝・箱根駅伝の全冠、テニスの四大大会の全冠、1995年に棋士の羽生善治九段が成し遂げた将棋の七大タイトル全冠や2023年に藤井聡太六冠が成し遂げた将棋の八大タイトル全冠が挙げられるだろう。
…こんな言われ方は聞いたことがない?筆者もない。どれも三冠や四冠などのようにタイトルの総数をつけて呼ばれるか、あるいは完全制覇やグランドスラムと呼ばれる方が多いだろう。実際2025年11月現在「全冠」でググってみると出てくるのはだいたいがウマ娘の全冠に関する記事である。その他には情報処理技術者試験(全13種)やAWS認定試験(全12種)をすべて合格することを全冠と称する記事がちらほらあった。またニコニコにはサカつくのトロフィーを制することを全冠と称する動画があった。
ウマ娘の全冠について
ウマ娘プレイヤーなら知っていることだろうが、ウマ娘には元になった競走馬の戦績を踏まえた芝/ダートの馬場適性と、短距離/マイル/中距離/長距離の距離適性が存在しており、前者はスタートダッシュやラストスパートにおける加速の鋭さ、後者はトップスピードに影響する。賢さに影響する逃げ/先行/差し/追い込みの脚質適性もあるが、チャンミやリグヒはともかく全冠にはそこまで関係しないので割愛
例えばアニメ1期の主人公スペシャルウィークは中距離GI(天皇賞秋、日本ダービー、ジャパンカップ※)と長距離GI(天皇賞(春))を制しているのでこの2つはデフォルトの最高値のA、またきさらぎ賞(当時1800m)を制しているのでマイル適性もCがつけられている。ゆえにこれらのレースではステータス通りの実力を発揮しやすく勝ちやすい。
※現実の競馬における距離区分(SMILE区分)では日本ダービーとジャパンカップ(ともに2400m)はLONGに分類されるが、ウマ娘では中距離扱いである
一方でダートレースは出走経験がないので最低ランクのG、短距離レースも出走経験がないのでG…ではないがその1つ上止まりのFであり、それぞれに強力なデバフがかかる。そのためそのままの適性で走らせた場合、東京大賞典などのダートレースやスプリンターズステークスなどの短距離レースではたとえステータスを十分に鍛えていても勝負所でずるずると後ろに沈んでいくことになり勝つことは困難である。ダートかつ短距離のJBCスプリントなんかはもはやどうしようもない。
それではスペシャルウィークにJBCスプリントは絶対勝てないのか?というとそういうわけでもなく、ウマ娘には「因子継承」という要素がある。育成完了後のウマ娘には因子と呼ばれる次回育成時にステータス上限と初期ステータスを引き上げたり各種スキルを付与するための要素がランダムで付与されるが、この中の赤因子と呼ばれるものによってこの適性を上昇させることができる。育成開始時に1つの適性については最大4段階(Gランクからなら最大Cランクまで)、適性合計で6段階まで上昇させることができ、そのほかにもクラシック級とシニア級の3月後半と4月前半の間にランダムで適性が上昇する。これを使えばスペシャルウィークも開始時点でダート適性を最高Cランク、短距離適性を最高Bランクまで盛って走らせられるし、前述のJBCスプリントについても片方Cランク・片方Dランクに2度のランダム上昇を交えることで現実的に勝てる範囲になるのである。
そしてウマ娘では実際の戦績に関係なく、100を超える重賞レースを走らせられる。デフォルトの適性なんぞ因子継承でどうとでもなる、推しウマ娘にすべてのレースを勝たせたい…そんな感情が芽生えるのも無理はない。
歴史
サービス開始当初 -「全冠」誕生前 -
サービス開始当初の重賞数はGIが30競走、GIIが36競走、GIIIが69競走の計135個。このときにはまだ(後述する「GI全冠」「GII全冠」「GIII全冠」という称号はあったものの)個々のウマ娘についての全冠という概念はなかった。というか全冠はできなかったのである。
2025年11月現在では12本のシナリオを数えるが、当時のシナリオはURAファイナルズ1本。そしてURAファイナルズは(というか12本中10本がそうだが)ウマ娘固有の目標レースが存在し、それと同タイミングにしか行われないレースへの出走は行えない仕様である。例えばスペシャルウィークなら
- きさらぎ賞(クラシック級2月前半)と同タイミングの共同通信杯・クイーンステークス
- 日本ダービー(クラシック級5月後半)と同タイミングのオークス・葵ステークス
- 菊花賞(クラシック級10月後半)と同タイミングの秋華賞
- 天皇賞(春)(シニア級4月後半)と同タイミングのマイラーズカップ・福島ウマ娘ステークス(当時)
以上7レースにはどうやっても出走できなかったのである。
当初実装された25人のうち、牡牝三冠レースの少なくとも1つが目標になっていたのは実に20人。残る5人(オグリキャップ・サイレンススズカ・タイキシャトル・サクラバクシンオー・ハルウララ)もクラシックのトライアルレースだったり同じレースをクラシック級とシニア級で2回走ったりといった目標になっていた。クラシック級まで目標がファン集めなことでおなじみのハルウララも、シニア級の1月後半(根岸ステークス)・2月後半(フェブラリーステークス)が目標なのでそれと同タイミングの8レース(当時)にはどうやっても出走できなかったのである。ちなみに一番多くの重賞を勝たせられたのはオグリの132個であった(NHKマイルカップの裏の京都新聞杯、有馬記念の裏の東京大賞典と阪神カップが出走不可能)。
ではこれらの出られるレースなら勝てるのか?というとそういうわけでもない。その大きな理由としては2つ。
1つはUSだのUAだのがガンガン生成される2025年現在とは異なり、Sランクに到達すれば上振れになるほどにステータスが盛れずスキルも取れない環境だったこと。もう1つはレースで勝てなかったとしてもそれが育成目標でなければ、また育成目標でも目標(例・5位以内)を満たしていれば指定以下の順位になる以外ではコンティニューができなかったことである。これゆえにメジロマックEーンは量産され、レース出走が目標であるために文字通りの一発勝負だったハルウララの有馬チャレンジがエンドコンテンツとして知れ渡ったのである。
その後育成の積み重ねでステータス・適性・スキル全てに優れた因子ができたこと、スピードSSRキタサンブラックに代表される強力なサポカや2つめのシナリオのアオハル杯の実装でステータスがインフレしたことで少しずつ勝ちやすくなっていったものの、アオハル杯も目標レースがあるタイプのシナリオなので全冠できるウマ娘は存在しなかった。
メイクラ期 -「全冠」登場 -
ウマ娘サービス開始1周年を迎えた2022年2月24日、3つめの育成シナリオとして「Make a new track!!」(通称メイクラ)が実装。このシナリオ最大(にして今も唯一)の特徴は目標レースがないこと。これにより従来出られなかったレースへの出走が可能になり、個々のウマ娘での「全冠」が可能になった。これを機に当時実装されていた51人のウマ娘向けに「〇〇全冠」という称号が誕生し、その後実装されるウマ娘についてもストーリーを読んだ称号やファン数称号とあわせて「〇〇全冠」が実装されるようになったのである。そして実装から引いて全冠するまでのタイムを競う全冠RTAという競技も開幕
それでは全冠が容易なのか…というとそんなことはなく、オグリキャップやアグネスデジタルのような一部の例を除けば芝かダートの片方しか走れず、キングヘイローやマルゼンスキー、ミホノブルボンのような一部の例を除けばすべての距離を高い適性で走り切ることはできない(というかその3人でもCがあり、当時であれば補正しなければ普通に負ける適性である)。メイクラは目標レースがないのでレースで負けた際に目覚まし時計を使ってやり直しができるがそれもたった3回まで、しかもスキルの取り直しはできずただ調子を上げて再戦するだけ。そもそもパラメータが足りないこともあれば馬群事故が連発することもある。トレーナーの目覚まし時計はひたすらに溶けていくのであった。
グラライ・グラマス期 - ダートレースという名の苦行追加 -
その半年後、それまでは大井競馬場…もとい大井レース場のみが実装されていた地方競馬に川崎・船橋・盛岡の当時JpnI競走があった(さきたま杯はまだJpnIIの時代)競馬場モチーフのレース場とそこで開催されていた(当時)JpnI~JpnIIIまでのレース17競走が実装。総数は152となり、当然ながらこの17競走も善感称号のためには勝利が必須となった。(すでに全冠称号を持っていれば取らなくてもいい…けどどうせなら取りたいよね)これによりだいたいのウマ娘が適正外のダート競走への出走を余儀なくされ、一部のウマ娘(後述)にとっては全冠が一気に困難になった。おまけに4番目のシナリオの「私たちのグランドライブ」(通称グラライ)と5番目のシナリオ「グランドマスターズ」(通称グラマス)は目標あり+目標外での目覚まし時計使用不可という仕様に逆戻り。トレーナーは「ステータスを盛れて周回も早いが一発勝負」のグラライ・グラマスか、「コンティニューできるがステータスは低くて時間もかかる」メイクラかの二択を迫られる結果になった。
プロジェクトL'Arc登場 - ダートウマ娘たちの劇的改善 -
ダートレース追加から1年後、6番目のシナリオ「プロジェクトL'Arc」が登場。このシナリオの最終目標は日本競馬永遠の目標「凱旋門賞」であり、凱旋門賞とその前哨戦のニエル賞・フォワ賞が新たに全冠の対象として加わって総数は155となった。
そんな凱旋門賞は日本とは全く質が違うけど芝の中距離レースであり、そのままではハルウララには到底勝ち目のないレースである。しかしそれではいくらなんでもゲームが成立しないため、シナリオのギミックで「海外洋芝適性」を取得することで芝の適性を、「ロンシャン適性」を取得することで中距離の適性をそれぞれシナリオ内に限ってAに引き上げることができた(逆に取らないと凱旋門では強制的にGになるので取得必須)。
そしてこのシナリオで出走が必須なのは凱旋門賞・ニエル賞・フォワ賞を除くと日本ダービーとシニア級宝塚記念の2つのみ。メイクラ同様かなり自由の利くレース選択ができるのである。これによりダート専門ウマ娘やスプリンター/マイラーにとっては全冠がグッと容易になった。また目覚ましも使えるし周回も早いので全冠へのハードルはメイクラと比べて一気に下がることとなった。
しかしながら確かにハードルは下がったものの本シナリオが万全というわけでもない。確かに目標レースは少ないがその裏で行われるオークス・葵ステークス・帝王賞、さらにフランスに旅立つ7月前半から10月前半のレースへの出走はLArcでは絶対にできないため、これらについてはメイクラやグラマスを使う必要があった。また芝中距離を走れるウマ娘にとっては上述の適正引き上げは何の意味もなさないので、ダートや短距離・マイル・長距離を走るための補正がいるのは相変わらずであった。
その後 - インフレと各種のUI改善 -
LArc以降今に至るまでシナリオは6つが追加され、その中で一層のインフレが進んでいった。また3周年のアップデートではメイクラとLArc以外でも自由に目覚まし時計を使えるようになり(利用可能回数も5回に増加)、4周年ではオート育成機能とかつての強サポカがセットされたレンタルデッキでの育成機能が実装、4.5周年ではコンティニュー時にスキルの追加取得が可能に、と育成におけるハードルは劇的に低下しており、全冠も圧倒的に容易になってきている。
とはいえラーク以降に追加されたシナリオ6つはいずれも目標レースが個々に存在するタイプであり、出られないレースについてはLArcかメイクラでなければ出られない。また芝および中距離以外については赤因子での補正が必須なのも相変わらずである。そして何より全冠を目指す育成は強いウマ娘の育成にはつながらない。そういうわけで全冠はウマ娘への愛を示す一要素として残っているのである…というのは言い過ぎだろうか。
全冠する上でのコツ(※あくまで初稿作成者の主観なので追記ください)
おすすめのウマ娘
1番はいうまでもなく自分の推しのウマ娘なことである。だいぶ容易になったとはいえ、全冠するという行為そのものへのモチベがないと一部レースの制覇はなかなかに辛いものがある。
だれでもいいから全冠したい、あるいは全員全冠するとっかかりとして手始めに誰かを全冠したい、といった場合には以下のポイントで考えるとよいだろう。
- 芝とダート両方走れること(該当:オグリキャップ、アグネスデジタル、イナリワンなど)
- 各距離を走れること(該当:キングヘイロー、マルゼンスキー、ミホノブルボンなど)
- 赤因子で上げる対象の適性を減らせるため、レースで勝ちやすくなるし1度の周回で多くのレースに勝つことができる。 - 目標レースの裏にあるレースが少ないこと(該当:アグネスデジタル(2個)、オグリキャップ(3個)、タップダンスシチー(4個)など)
- LArcやメイクラだとステータスを盛りづらい+手動育成が必須のため、最新シナリオで出られるレースが多い方が全冠は容易である。
- ダート適性・マイル適性共に低いウマ娘(例:スーパークリーク、シュヴァルグラン、ヒシミラクルなど)
- ジュニア級12月後半に控える全日本ジュニア優駿が適性・パラメータともに低い状態でしか臨めないためとにかく難関になる。
- 脚質が差し/追い込みのウマ娘(例:ナリタタイシン、デュランダル、ドゥラメンテなど)
- ダートレースだと馬群に引っかかったり加速が乗らなかったりで先頭まで届かないケースがある。 - 日本ダービーorオークスとシニア級宝塚記念が出走目標にあるウマ娘(例:グラスワンダー、セイウンスカイ、ジェンティルドンナなど)
- 葵ステークスと帝王賞という必要適性がまるっきり異なるレースの両方にメイクラで出走しなければならないため、因子やサポカが弱いうちは骨が折れる。
全冠のハードルになるレース
- 全日本ジュニア優駿(ジュニア級12月後半)
- 葵ステークス(クラシック級5月後半)
- オークス(クラシック級5月後半)
- ジャパンダートダービー(クラシック級7月前半)
- 帝王賞(シニア級6月後半)
- シリウスステークス(クラシック級・シニア級9月後半)
- セントライト記念/神戸新聞杯(クラシック級9月後半)
- 新潟ジュニアステークス(ジュニア級8月後半)
かつての壁
- ホープフルステークス(ジュニア級12月後半)
- 京都ジュニアステークス(ジュニア級11月後半)
- 京成杯(クラシック級1月前半)
- 弥生賞ディープインパクト記念(クラシック級3月前半)
- 芝の長距離レース
- 日本ダービー(クラシック級5月後半)
これらの課題はLArc実装でまとめて解決。特に長距離レースはすべてLArcで出走出来たので、オークスを超えられればウララ全冠も現実的に可能な部類になった。
サポートカードについて
最新シナリオに応じたサポカを組めば概ね良いが、距離適性が低いならスピードや根性、馬場適性が低いならパワーや根性といった具合にあがるステータスを意識してサポカを組むとよい。開始当初はレンタルデッキを積極的に用いればよいだろう。
レンタルウマ娘の活用
検索すると出てくるウマ娘は青因子・赤因子ともに9かつスキル大量というものが多数存在するため、始めたての因子でも能力を3段階アップさせることができる。次の因子の強化にもつながるのでマニーはかかるが積極的に活用しよう。
相性の良いウマ娘の育成
ウマ娘には同期や同室、同馬主といった相性があり、これが近いウマ娘だと適性アップが発動しやすくなる。全冠したいウマ娘と仲の良いウマ娘を事前に育成しておくと楽になる。
繰り返しの育成
結局のところウマ娘は何度も何度も育成を繰り返して良因子や覚醒アイテムを集め、強くなるゲームである。不意の拍子でぽろっと勝てることもまれによくあるし、オート育成も実装されたのでアニメ2期のツインターボも言う通り諦めないことが肝心である。
でも全日本ジュニア優駿はドバイワールドカップやBCクラシックのシナリオの実装を待った方が早いかも
その他の全冠
GI全冠
GI35競走すべてを制することで得られる称号。各競走を勝っておけばジュエルを100個貰えるので実利もある。
初期に必ず手に入る5人の目標レースで取れないのは凱旋門賞を除くとNHKマイルカップ、帝王賞、ジャパンダートダービー、JBCクラシック、JBCレディスクラシック、ジャパンカップ、チャンピオンズカップ、朝日杯フューチュリティステークス、東京大賞典(、川崎記念、マイルチャンピオンシップ南部杯、全日本ジュニア優駿)の12競走。芝レースとダートマイルは問題なく取れるがダート中距離5競走に関しては因子補正が必須である。ジュエルを取りたいだけならオグリキャップを引き換えるのが1番早い。
GII全冠
GII44競走すべてを制することで得られる称号。各競走を勝っておけばジュエルを100個貰えるので以下略。
初期に必ず手に入る5人&URAファイナルズで取ろうとした場合、ダート中距離レースに加えてシニア級1月後半の東海ステークスがウララを使えないためやや困難か。まあオグリ迎えるなりエルコン引くなりすれば解決するが。
GIII全冠
GII76競走すべてを制することで得られる称号。各競走を勝っておけば以下略。
初期に必ず手に入る5人&URAファイナルズで取ろうとした場合、ダート中距離レースに加えてシニア級1月後半のTCK女王盃がウララを使えない、クラシック3月後半のファルコンステークスがバクシンオーをためやや困難か。まあこっちもオグリ迎えるなりエルコンやキングを引くなりすれば解決するが。
関連動画
全冠RTA
関連項目
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- ウマ娘 プリティーダービー(アニメ)
- ウマ娘血統
- ウマ娘 シンデレラグレイ
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- ウマ娘のレース
- ウマ娘 プリティーダービー -ハルウララがんばる!-
- ウマ娘MAD
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