カンパニーとは、
- 英語で「会社」「仲間」などを指す言葉。
- 2001年生まれの日本の元競走馬。 →競走馬の一覧
- マジック:ザ・ギャザリングにおける、集合した中隊というカード、およびそれを使ったデッキ。2015年から2016年のスタンダードで大暴れしたうえ、モダンでも実績がある
当記事では1・2について解説。
概要
カンパニーの語源は古フランス語の「compānis」という単語が語源となっており、これは「共にパンを食べる」を意味する。(com=いっしょ pānis=パン)
またそこから「友好」「親交」のような使われ方をしていた。
この単語は「コンパニオン:companion:仲間、付き添い人」と同じ語源である。
現在の英単語で「company」と言った場合は「会社」「友人」「仲間」「人の集まり」などの意味で使われている。
主に日本で「カンパニー」と言った場合は「会社」を意味することが多い。
カンパニー(競走馬)
春のクラシックは不出走。
3歳、初めてのGIは、菊花賞9着。
4歳、安田記念5着。
5歳、安田記念11着、宝塚記念5着、秋の天皇賞16着。
6歳、秋の天皇賞3着、マイルCS5着。
7歳、宝塚記念8着、秋の天皇賞4着、マイルCS4着。
8歳、安田記念4着、宝塚記念4着。
どうしても越えられないGIの壁。
だけどくじけない、気魄は途切れない。8歳の秋、❝老雄❞と呼ばれる秋。
34戦目、GI13度目の挑戦で戴く冠。
秋の天皇賞1着!マイルCS1着!カンパニー。
がんばってがんばってがんばって得た君の栄光。
男なら逃げるな。負けを恥じるな。最後に笑え。
君の教えてくれた道。君の蹄跡が勇気をくれる。
カンパニーとは2001年4月24日生まれの日本の競走馬、種牡馬である。2018年12月29日死亡(17歳)
- 父:ミラクルアドマイヤ
- 母:ブリリアントベリー
- 生産者:ノーザンファーム
- 厩舎:栗東・音無秀孝厩舎
- 馬主:近藤英子氏
- 競争成績:35戦12勝
- 獲得賞金:9億3969万円
- 主な兄弟 レニングラード(GII・アルゼンチン共和国杯勝利) ヒストリカル(GIII・毎日杯勝利) 等
- 他、叔父にビッグテースト(J・GⅠ・中山グランドジャンプ勝利)、いとこにトーセンジョーダン(GI・天皇賞秋勝利等)、その他近親にトーセンスターダム(GⅠ・エミレーツS勝利等)、タスティエーラ(GⅠ・東京優駿勝利等)など
主な勝ち鞍
2005年:京阪杯(GIII)
2006年:産経大阪杯(GII)
2007年:関屋記念(GIII)
2008年:マイラーズカップ(GII)、中山記念(GII)
2009年:天皇賞(秋)(GI)、マイルチャンピオンシップ(GI)、中山記念(GII)、毎日王冠(GII)
デビュー~6歳
2004年1月のデビュー戦を勝利。強豪ひしめく春のクラシックには出走が叶わなかったものの、2度目の重賞挑戦となったGIII・ラジオたんぱ賞で2着。
5戦3勝、2着1回の好成績でクラシック最終戦・菊花賞でGIに初挑戦したが、デルタブルースの9着に敗れる。
この敗戦以降は本来の適正であるマイルから中距離のレースに矛先を絞り、程なくして重賞、ひいてはGI戦線の常連として名を連ねていくこととなる。
2005年のGIII・京阪杯で重賞初制覇を果たすと、以後も2006年にGII・大阪杯 2007年にGIII・関屋記念 2008年にGII・中山記念 GII・マイラーズカップを制覇するなど、毎年のように重賞での勝利を重ねていった。
その一方、GIの舞台においては後方から脚色良く追い込むも届かずのレースを繰り返し、度々掲示板を確保するも馬券内に入れたのは2007年天皇賞(秋)で3着に食い込んだ1度だけ。GII以下で見せる強さとは裏腹のイマイチぶりにファンの間では「善戦マン」「GII大将」との評価が次第に定着していった。
ヨンパニー
2008年秋、11番人気の低評価で出走した天皇賞(秋)では、直線ほぼ最後方からの怒涛の追い込みにより「牝馬と牝馬と今年のダービー馬」ウオッカ・ダイワスカーレット・ディープスカイの歴史的な叩き合いに1頭違う脚色で割り込み、あわや勝利かと思わせる走りを見せる。結果は惜しくも4着に留まったものの、レコード決着で勝利したウオッカと同タイムでの激走は、今までの善戦マンぶりとは一味違う強烈な印象を残すこととなった。
しかし、この走りで2番人気にまで評価を上げて挑んだマイルCSでは大外から追い込むも一歩届かず、またしても4着に敗れてしまう。
2009年、8歳となったカンパニーは、年明け初戦の中山記念を2年連続で制覇。4歳から続く重賞連勝記録を5年に伸ばした。その後マイラーズカップ2着を挟んで挑んだ安田記念。ウオッカ・ディープスカイの2強に対し、大きく離れた外を回して追い込むも、結果は3度の4着。
そして次レースの宝塚記念では、前年から主戦を務めていた横山典弘が他馬に騎乗のため、騎手が岩田康誠へと乗り変わりとなる。不安の一方で新味が出るという意見もあり、事実レースでもGIでは珍しく先行し、前の方で積極的な競馬を見せる。
……が、直線に入ると内目からバテず伸びずの走り。実況でさして名前も呼ばれぬ中、ひっそりと4着。これでなんと、GI出走機会、4戦連続の4着である。この前代未聞とも言える珍記録に、某掲示板等では「わざと4着になっている」「ヨンパニー」などの揶揄が飛び交い、話題と笑いの種を提供することとなってしまった。
ワンパニーへの道
そして2009年秋。8歳秋という、ちょっと前の日本競馬なら、とっくに引退していてもおかしくはなく、調教・休養面での技術が発達し、競走馬としての寿命が伸びている昨今でさえ、大ベテランと称するに相応しいカンパニーにとって、
『年齢的に重賞は何とか勝てても、もはやGI制覇は無理、大レースでの名脇役としての立場を全うすれば御の字』
との評価が大勢を占めていた。
そんな中、カンパニーは秋の初戦、GII・毎日王冠を迎える。世間の注目は、GI6勝馬(当時)にして、この年も安田記念、ヴィクトリアマイルとGIを2勝しているウオッカ。人気の方も、ウオッカが当然のように圧倒的な1番人気に推されたのに対し、カンパニーは4番人気。
しかし、前年に続き逃げを選んだウオッカに対し、カンパニーは直線で一完歩ずつ懸命に詰め寄ると、ゴール前でこれを捕らえ勝利。ここにきて、ウオッカとの対戦3度目にして初めての金星を挙げる。
尤も、ファンの認識としてはあくまでここは前哨戦。事実、前哨戦でどんなに好走しようと、本番では4着・5着の定位置に収まっているのが今までのカンパニーであり、「本番」となった天皇賞(秋)においても、負けた側のウオッカが2戦連続で1番人気に推されたのに対し、勝利したはずのカンパニーは新興勢力にすら後れを取る5番人気にとどまった。
だが、秋からの好調を維持して迎えたレースでは、中段後方の位置から徐々に進出し、最後の直線で「ヨンパニー」と呼ばれ続けた鬱憤を晴らすかのような豪脚を繰り出すと、最後まで脚色衰えることなく、ウオッカを初めとするGI馬9頭の追撃を退けて勝利。8歳、そして13度目の挑戦にして悲願のGI制覇を果たした。
中央競馬の平地GIで8歳馬(旧年齢で9歳馬)が勝利を挙げたのは、これが史上初めてのことであった。また、鞍上の横山典弘にとっても、かつてサクラローレル・セイウンスカイ等の名馬で獲れなかった秋の盾を20度目の挑戦にして掴み取る悲願の勝利となった。
余談になるが、レースが終わった後、カンパニーはウイニングランの最中に観客の前でUターンしたり、検量所を通り越して再度パドックに向かおうとするなどの「奇行」を続け様に披露していた。慣れない大歓声に戸惑いつつも、体全体で喜びを爆発させていた証かもしれない。
ようやく掴んだ勲章を携え、カンパニーはラストランとなるマイルチャンピオンシップへと挑む。他の有力馬が軒並みレースを回避した結果、それまで長きに渡って主役を引き立てる脇役でしかなかったカンパニーは、引退レースにしてGIの舞台で初めての「主役」を務めることとなった。
「この相手なら負けないだろう。」「いや、そうと見せかけて4着になってくれるのがヨンパニー。」期待と不安、様々な声で埋め尽くされた競馬場で、1番人気に推されたカンパニーは中段から馬場の中央を力強く抜け出すと、スローペースで逃げた馬を最後きっちり捕らえ、キャリアと格の差を見せ付ける形での完勝。足掛け6年、35戦の現役生活をGI連勝の大団円で締めくくった。
現役最後のこの年、生涯最高の7戦4勝、うちGI2勝。掲示板を外さぬ安定感もあり、一時は年度代表馬の有力候補にさえ挙げられるも、その後のライバルの活躍により、年度代表馬、最優秀4歳以上牡馬等のタイトルには一歩及ばなかった。しかし、史上初の8歳でのGI制覇を含む活躍が評価され、JRA賞の特別賞を満場一致で受賞。引退に大きな花を添えることとなった。
引退後
引退後は社台スタリオンステーションにて種牡馬デビューを果たし、初年度から地方競馬では重賞勝ち馬を出したものの、中央競馬においては思うように勝ち星を伸ばすことができず苦戦が続いた。
初年度には100頭以上の牝馬を集めたものの、実績ある他の種牡馬との競争に打ち勝つことができず、種付け数も減少。2015年には熊本県の本田土寿牧場へと移動する形となり、馬産の中心地である北海道から遠く離れることとなってしまった。
贔屓目に見ても当時の実績では見切られてもやむを得ないところで、種牡馬失敗の烙印を押されたままひっそり消えていくかにも思われたが、その後徐々にではあるが中央競馬の舞台でも活躍する産駒が現れ始め、遂に2018年にはウインテンダネスがGII・目黒記念を勝利し、中央競馬の重賞を勝つところまでこぎつけた。
ちなみに、ウインテンダネスは一口馬主として募集されたのだが、募集時の売り文句は「この馬は障害レース向きだと思っている。平地レースで成績が出なかったら障害レースで走らせるつもりなので、障害レースに興味のある方にお薦め(要約)」であった。それが平地レースの、しかも重賞まで勝ってしまったのだから、つくづく可能性とは分からないものである。
しかし、産駒の初重賞制覇から1年も経たない2018年12月29日に、腹内腫瘍による腎不全により17歳で死亡。種牡馬としての逆襲が期待されていた矢先の、道半ばの死であった。
その後、後継種牡馬が未定のまま、更に父系として自らの血を継ぐことができる可能性は厳しくなってしまったように見えた。ダービー出走まであと一歩のところまで迫った実績のあるイェッツトが共に種牡馬入りが叶わなかったのもその厳しさに拍車をかけていたが、2024年、乗馬として活動していた先述のウインテンダネスが種牡馬入りした。
父ミラクルアドマイヤが一子相伝でカンパニーを出したように、カンパニーにも一子相伝で自らの血を継ぐチャンスはまだ残されている。これまでの産駒の傾向としても、当初期待されていないところから活躍馬を出す意外性が持ち味の一つでもある。その可能性に期待したい。
エピソード
- カンパニーの父、ミラクルアドマイヤは兄にフサイチコンコルド(東京優駿馬)、弟にアンライバルド(皐月賞馬)等のいる良血馬ながら、現役時代は3戦1勝と結果を残せなかった。種牡馬となって以降も暫くは人気・評価共に上がらず、2003年には種付け数が1頭のみとなる苦境に陥っていたが、翌2004年にカンパニーが活躍したことで俄然注目が集まるようになり、2005年には171頭もの種付けに恵まれることとなった。しかし、カンパニーの後に続く活躍馬を輩出することはできず、2008年をもって種牡馬を引退。翌2009年8月にノーザンホースパークを去って以降の消息は不明となっている。カンパニーが悲願のGI制覇を果たす、僅か3ヶ月前のことであった。
- カンパニーと同期で、重賞戦線でも度々対戦したGI5勝馬、ダイワメジャーとの間には、偶然の一致だけでは片付けきれないいくつかの共通点が見られる 。
1.ダイワメジャーの2006年の競争成績と、カンパニーの2009年の競争成績がほぼ一致している。
2006年 ダイワメジャー 中山記念2着→マイラーズカップ1着→安田記念4着→宝塚記念4着→毎日王冠1着→天皇賞(秋)1着→マイルCS1着→(有馬記念3着)
2009年 カンパニー 中山記念1着→マイラーズカップ2着→安田記念4着→宝塚記念4着→毎日王冠1着→天皇賞(秋)1着→マイルCS1着→(引退)
最後の有馬記念以外は同一のローテーションで出走し、中山記念とマイラーズカップの着順が逆転している以外は着順も同一である。加えて、マイルCSにおいては両馬とも単勝2.3倍のオッズで1番人気に応え勝利を収めている。
2.1とも重なるが、両馬ともに同一年で天皇賞(秋)、マイルCSのGIの連勝を達成している。本記事を作成した2011年末において、達成馬は両馬の他にはニッポーテイオー(1987年に達成)のみである。
3.両馬ともに、天皇賞(秋)において1着と最下位の両方を経験している。(ダイワメジャー・2004年に17頭立て17着 カンパニー・2006年に16頭立て16着、1頭出走取消)本記事を作成した2011年末においては、グレード制施行以降中央競馬の同一の平地GIで1着と最下位を共に経験したことがあるのはこの2頭のみであったが、その後トランセンド(GI・ジャパンカップダートにおいて2010年・2011年に1着→2012年に16頭立て16着)とナミュール(GI・マイルチャンピオンシップにおいて2023年に1着→2024年に17頭立て17着)が新たに加わった。
尤も、これだけの共通点がありながら、活躍のピークがずれていた事もあってか、直接の対戦成績では9戦してカンパニー2勝・ダイワメジャー7勝と、大幅に水を空けられた記録が残っている。
レース動画
- ヨンパニー
- ワンパニー
関連項目
JRA賞特別賞 | |
優駿賞時代 | 1973 ハイセイコー(大衆賞) | 1978 テンポイント(マスコミ賞) | 1982 モンテプリンス(ドリーム賞) | 1983 アンバーシャダイ |
---|---|
JRA賞時代 | 1989 オグリキャップ | 1993 トウカイテイオー | 1995 ライスシャワー | 1998 サイレンススズカ | 1999 グラスワンダー、スペシャルウィーク | 2001 ステイゴールド | 2004 コスモバルク(特別敢闘賞) | 2007 ウオッカ、メイショウサムソン | 2009 カンパニー | 2016 モーリス | 2020 クロノジェネシス |
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