天空の城ラピュタ(てんくうのしろラピュタ)とは、宮崎駿監督及びスタジオジブリ製作のアニメ映画である。
天空の城ラピュタ | |
基本情報 | |
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原作・監督 | 宮崎駿 |
脚本 | 宮崎駿 |
音楽 | 久石譲 |
製作 | 高畑勲 |
配給 | 東映 |
公開 | 1986年8月2日 |
上映時間 | 124分 |
興行収入 | 約11.6億円 |
配給収入 | 5億8300万円 |
映画テンプレート |
概要って言われてたけど、僕の父さんは書いたんだ
少年パズーと少女シータが天空に浮かぶ伝説の島ラピュタを目指す冒険活劇。1986年に公開され、金曜ロードショーで何度も放送されるなど息の長い愛される作品となっている。しかし、公開当時はまったくヒットせず、現時点でもスタジオジブリ映画では観客動員数、興行収入共にワーストレコードホルダーとなっている結構不憫な作品でもある(ブービーは「となりのトトロ」)。この映画以降、宮崎監督は少年漫画的な冒険映画をほとんどやめてしまったのはそういった経緯からなのだろう。
壮大な世界観を描いた映画のように思われるが、作中での経過時間は3日ほどで、タイトルとなっているラピュタ自体も物語の大半はラピュタへの到達方法の解明とその道中での戦いを描いており、本体は後半の約30分ほど登場するに終わっており、ラピュタの全体像や滅びた文明の全容は明らかにされないまま映画は終わる。
DVDのジャケットなどで上の絵が使われているのが有名だが、実は映画中でフラップターをパズーがこのような構図で運転するような場面は何処にもない。それどころか、本編ではかなり危なっかしい運転で、目を覚ましたドーラが操縦桿を握って間一髪浮上している始末である。下のサントラに採用されたジャケットの場面も本編には存在しない。似たような場面があるにはあるが、その時にパズーはまだドーラの大砲を受け取っていない。
なお、映画の続編はまったく存在しないが、「スタジオジブリ作品関連資料集I」という本の65頁にワンカットではあるがオーニソプターに乗って花束を掲げながらゴンドアのシータと再会する絵が載っている。この時のシータは映画ラストからきちんと髪の毛が伸びて再び三つ編みおさげになっている(これを元ネタにしたと思われるディレクターズ・カットが存在するという噂もかなりあるが、公式に否定されている)。
ちなみに、本編で登場するモールス信号は一応本物。冒頭でムスカが発しているのは「VVV」(・・・- ・・・- ・・・-)、即ち試験信号である。本当は試験電波を出す場合、所定の手順に従ってからでないといけないのだが、恐らく緊急時のため「この周波数帯を傍受した者、応答せよ」という意味で発したのであろうと思われる。わざわざ調整符号を打ってから救援を呼ぶとはなかなかの紳士である。ドーラがパズーの家で聞いている暗号は「U D I O F I D I L I N Y 6 M A N U F A C T U R E R G」となっている。手作り映画ですよ、でもウソのお話ですよ、とでも言いたいのであろうか?
ニコニコ動画では登場人物であるムスカ大佐の数々の名言をネタにした作品が多く作られていたが、現在は権利者削除によりほとんどは見ることができない。
宮崎駿の監督・脚本作としては3作目にあたるものの、少々偶然頼みになっているところもあり、例えば冒頭のシーンからしてシータが空から飛行石の力で落下した場所はたまたまラピュタを目指す少年パズーの職場であったり、列車砲から逃れた先で出会った老人が偶然ラピュタの伝説を知っていたり、何気なく呟いたおまじないが実はラピュタ到達への道標であったり、ラピュタ城下で今にも落ちそうなパズーがゴリアテの砲撃に吹き飛ばされた先が偶然王の間に通ずる通路であったりといった具合に、かなり主人公たちに都合のいい場面が散見される。
登場人物
主要人物
- パズー (CV:田中真弓)
- 幼い頃に両親を亡くし、鉄工所跡の小さな小屋に一人で暮らす少年。「スラグ鉱山」の鉱夫見習いとして働いている。鉱山の親方一家からは厳しくも家族のように扱われており、元気で素直。父親が伝説の空に浮かぶ城「ラピュタ」を発見したものの周囲の人々には信用されず失意のうちに死んでしまったため、いつか自分が「ラピュタ」を見つけるべく飛行機械の研究を続けている。ある日、シータが突然空から降ってきたことをきっかけに、いやおうなく冒険に巻き込まれることになる。
なお、本作における田中真弓の声を原作者が気に入ったことで、後に起用されたのが、彼女の最大のヒット作にして当たり役となったモンキー・D・ルフィである。「海賊王におれはなるっ!」って「僕は海賊にはならないよ」じゃなかったのかよ!? - シータ (CV:よこざわけい子)
- 突然パズーの前に降ってきた少女。「飛行石」のペンダントを持つ。パズーと同じく孤児で、両親の遺した家と家畜で何とか生活していたがある日突然軍の人間に拉致される。海賊が襲撃した隙を突いて移送中の飛行船から何とか逃げ出したものの飛行船から落下してしまい、飛行石の力で軟着陸したところをパズーに助けられる。先祖から数々のおまじないを口伝で受け継いでいる。
空中海賊「ドーラ一家」
- ドーラ(CV:初井言榮)
- 大の男達よりも足が速く、ナイフをぶっ刺したハムを食いちぎる豪快な婆さん。頑強な身体だけでなく、武器の扱いやオートモービルの運転、知略にも長けている。自らの息子「アンリ」「シャルル」「ルイ」と数人の手下達、機関工があつまる海賊一家「ドーラ一家」を率いる。シータの飛行石とラピュタのお宝を狙い、執拗に二人を追う。設定資料集の宮崎による落書きで「あたしが主役だよ~」なる暴言を吐いている。また、この本では、壁に飾られていた若くて超美人だった頃から如何にしてあの容姿へと変貌したのか、が詳細に描かれている。
政府・軍関係者
- ムスカ大佐 (CV:寺田農)
- 本名は「ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ」。国軍の特務大佐。年齢は明らかではないが、20代~30代に見えるエリート。ラピュタ調査の一切の権限を持ち、ラピュタへの鍵を握るシータを拉致する。この映画を彼中心に考えると、年端もいかない少女を妃にしようと誘拐したがばかりに、その少女に惚れる少年によって失明した上で破滅させられた悲劇と取れなくも無い。
用語詳細
- 飛行石
- その昔ラピュタ人だけが精製できた、膨大なエネルギーを秘めた石。シータのものは呪文に呼応したりラピュタ中枢で特定の扉を開いたりと鍵のような役割を持っていた。ラピュタ中枢にも巨大な結晶があり、ラピュタの全エネルギーをまかなう。
- ラピュタ
- 古くはその発達した科学力(現実のテクノロジーをも超える)で地上人を支配していた、古代ラピュタ人の住まう空中要塞兼帝国都市として栄えていた島である。
- 上部は城壁で守られ、底部は特殊合金製の半球型ドームで守られている。城壁内部には街(700年もの年月が経ちほぼ廃墟、森林化している)が広がり、中央からは巨大樹が生えている。巨大樹の根や中枢は底部ドームの中に存在する。中枢には「飛行石」の巨大結晶(ラミエル、ブルーウォーターであるとの説も)があり、島が空中浮遊・飛行するための動力源とされている。
底部ドームは巨大なエネルギー砲で武装しており、ドーム中心の周囲から7本の雷針が突出、そこから発生する稲妻を中心で収束してエネルギー火球を放つ。劇中描写から、ある程度の方向に狙いを付けて撃つ事が可能であるとされ、爆発の描写から恐らく現実の核兵器並みかそれ以上の威力を有していると推察される。巨神兵のプロトンビームと良い勝負。劇中では、旧約聖書に登場するソドムとゴモラを滅ぼした「天の火」やラーマヤーナで伝えられる「インドラの矢」とも呼ばれている、という設定。 - ロボット兵
- ラピュタ帝国製の自律型戦闘ロボット。劇中ではロボットの兵隊、単にロボットと呼ばれている。
外観は、丸みを帯びた三角形の頭、歪んだ眼鏡の様な大小の目(目の様に見える部分はビーム砲であり、中心の赤く点滅する二つの点が恐らくセンサー)、長く蛇腹状の平たい腕と大きな手、同じく蛇腹状の脚、甲冑の様な胴体、等が印象的であり、胸にはラピュタ帝国の紋章がある。
全高3.5m。劇中では材質が何なのか解明されていないとムスカが語っているが、設定では形状記憶弾性セラミック製の躯体であるとされる。主武装は頭部の大小のビーム砲(劇中描写では着弾に若干のタイムラグがあるため、恐らくレーザーでなく粒子ビームであると考えられる)。胸部には小型推進装置を搭載しており、両腕から突起している数本の骨組み部分から膜状のヒレを作り、翼の様に腕を広げることで飛行が可能。この突起している骨組みが無い個体や、兵器として扱われていない個体も確認できる。ロボット(園丁)の足音
- タイガーモス号
- ドーラ一家が駆る小型の飛行船。武装はないが、二人乗りの羽ばたき式飛行機械「フラップター」を複数収容している。彼らの家でもある。
- 飛行戦艦ゴリアテ
- ムスカ達国軍が乗り込む巨大飛行戦艦。タイガーモス号と同じく飛行船であるが、こちらは所謂硬式飛行船に分類される。大型の砲を搭載し多くの兵員の積載しながらも、かなりの高速を実現するなど、飛行船としては常識外れの高性能である。それを可能とする飛行石を装備してるとしか思えないあの浮力を一体どのような気体で実現しているのか。T鉱に電圧をかけて発生させるエーテルガスか?
インターネット文化における「天空の城ラピュタ」
スタジオジブリの作品の中でも、恐らく一番知名度と人気が高い作品である。
昭和61年の作品であり数十年が経過しているにもかかわらず今日でもしばしばテレビ放送され、また今のネット文化の中核をなす20~30代の人間は大抵鑑賞済みであることから、劇中の設定やセリフなどはかなり早い時期から共通言語として機能していた。
特にクライマックスで叫ばれる滅びの呪文「バルス」は有名で、金曜ロードショーで流されるたび2chの実況掲示板や関連スレのある掲示板が「バルス!」の書き込みで埋め尽くされ、サーバが負荷に耐えられずダウンする現象はもはや風物詩となっている。
ちなみに、実況鯖が「バルス!」でダウンすることはあまりない。なぜなら「見ろ!!人がゴミのようだ!!」ですでに落ちているからである。
ネット上では作中で登場する悪役「ムスカ大佐」が特に人気で、それは主要人物の中はおろか当記事よりも早くムスカ大佐の記事が作成されたことからも伺える。
ニコニコ動画でも
2011年12月のテレビ放送に合わせてニコニコ動画での連動企画として「バルス祭り」が開催された。ニコニコ生放送でも実況生放送が行われ、ツイッターとも連動させてテレビで「バルス!」が流れる瞬間に同時にツイートをしようという企画だったが、2chと同様に生放送のサーバーが耐え切れずダウンこそしなかったものの、コメントが投稿できなくなる結果となった。
2013年8月、再びラピュタがテレビ放送されるのに合わせて、ニコニコ生放送では再度「バルス祭り」が開催された。結果、ニコ生のサーバは見事耐え切った。
ちなみに、twitterでは前回の一秒あたり25,088ツイートを大幅に上回る143,199「バルス」ツイートを記録した。
なお、これに合わせて、Twitterではサーバーダウンを警戒してユーザーに自粛を求める要請を出しており、その際にはTwitter画調で書かれたラピュタの絵が載っていた。
この放送は日テレもかなり悪乗りして、リモコンのdボタンで観られるサブ画面ではラピュタの名言の数々を解説していたほか、バルスの瞬間に画面の周りがブワッっとまぶしくなるというネタギミックまで仕込まれていた。
会場はこちら → バルス祭り ニコニコ会場|ニコニコ動画
2016年1月15日、再びラピュタがテレビ放送されるのに合わせて、バルス祭りが開催された。今回は日テレ側も公式サイトで「バルス!!みんなの時刻予想」なるページを開設し、タニタなどの企業もこの流れに便乗した。ニコニコ生放送でも再び特別生放送を用意した。
しかし、ふたを開けてみれば結果は1秒当たり約55,000ツイートと前回から大幅に数を減らす結果となった。
3年ぶりのテレビ放映となった2022年8月19日の放送では、金曜ロードショーの担当者が変化した影響もあってか、上記のようなネタギミックやバルス予想などの過剰なイベントはなりを潜め、データ放送で本作のミニ情報を流すほかは純粋に作品を楽しめるように最低限のことだけを行っており、これは視聴者からも好評をもって迎えられた。しかし、年々視聴率は低下傾向にあり、2017年、2019年には14%を記録していたものが、2022年には12.6%となっていた。一部ではジブリ特集をやり過ぎて飽きられているとの声もある。
観るぞ~、きっと関連動画を見尽くしてやる!
素晴らしい…最高の静画だと思わんかね?
関連項目は滅びぬ! 何個でも読み返すさ!!
- スタジオジブリ / ジブリ
- バルス
- オーニソプター
- 天空城
- 飛行石
- パズー
- 40秒で支度しな
- ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ(ムスカ大佐)
- ㍊㌉
- 君をのせて
- アニメ作品一覧
- ロックマンDASH
主役の少年&ヒロインの少女の声優が本作と全く同じ。「空賊」、「古代文明の遺産の暴走」など、ストーリー面でも意図して似せている節がある。 - ふしぎの海のナディア
元々は「未来少年コナン」の続編テレビシリーズとして企画した「海底世界一周」が「ラピュタ」と「ナディア」のルーツに当たる。この企画書がNHKに提出されたもののボツにされ、宮崎駿がこれを練り直し劇場作品にしたものが「ラピュタ」、NHKが残された企画書を基にGAINAXへ新作テレビアニメの制作依頼を行い庵野秀明を監督に据えたのが「ナディア」となった。両作に設定の共通点が見られるのはこの名残である。
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