Gundam vs ガンダム──
新型ガンダム強奪に巻き込まれた
若き戦士の遥かなる軌跡。
『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』とは、サンライズが製作した機動戦士ガンダムのOVAである。
全13話構成。ガンダムOVAシリーズ第2作目。関連するタグは「0083
」が多い。
『機動戦士ガンダム』(1979年4月7日~1980年1月26日)の放送に始まったガンダムシリーズは、『機動戦士Zガンダム』と『機動戦士ガンダムZZ』のTV続編2作品、そして劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年3月12日)の公開でひとつの区切りをつけた。日本サンライズは新たな試みとして、TVアニメシリーズや劇場版アニメを手掛けた富野由悠季監督の手を離れた、ガンダムシリーズの外伝となるOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)シリーズを制作した。また、本作が発表される2ヶ月前の1991年3月16日には劇場用アニメ『機動戦士ガンダムF91』が公開され、『逆襲のシャア』から30年後、今までの登場人物がまったく登場しない時代を描く試みもされている。
OVA第一弾は1989年3月23日~8月24日に発表された『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』。毎月1話発表の全6話で構成されている。『機動戦士ガンダム』で描かれた一年戦争の末期を舞台に「同じ時間軸の別の場所ではこんな事があった」といった横の広がりを描いている。
第二弾として製作された本作は1991年5月22日~1992年9月24日に発表され、第一弾と同様の毎月1話を基本としながら数話毎に若干長めの期間を置いている。第一弾が横の広がりを描いたのに対して、本作では一年戦争終結(UC.0080年)から3年後のUC.0083を舞台に「機動戦士ガンダム(UC.0079~0080)から機動戦士Zガンダム(UC.0087~0088)の間にはこんな事があった」といった縦の繋がりを描いている。
『0080』から引き続き、TVアニメシリーズで中心となった「ニュータイプ」や「強化人間」といった超能力的な存在は登場させず、あくまでも「普通の兵隊」同士の物語が描かれている。それと共に、戦闘・メカ描写の多くを架空のSF設定で成立させていた(SFアニメとしては当然なのだが)部分を、より現実っぽいリアリティを持たせる形にするべく、ミリタリー設定を多く取り入れた造形や設定になっている(一年戦争時のモビルスーツをリファインしたバリエーション機)。また本作に於いては「ガンダム対ガンダム」というプロットを定着させた作品としても影響を与えている。
物語としてはジオン公国軍残党による新型ガンダムの試作機強奪事件を発端として、地球連邦政府に対して宣戦を布告した地球圏最大のジオン公国軍残党組織「デラーズ・フリート」とガンダムの試作機を奪われて追撃の任務に就いた地球連邦軍の「アルビオン隊」の戦いを中心に、戦いの裏でうごめく陰謀も絡めて描かれている。
登場するモビルスーツや人物の人気が高かったことからOVA版の第12話が発表(1992年8月21日)と同時期(1992年8月29日)に、総集編としてOVA版の390分から120分に再構成された『機動戦士ガンダム0083 LAST BLITZ OF ZION(販売時は「ジオンの残光」)』が劇場公開されている。大幅な時間短縮とOVA版最終話の発表より一ヶ月も早く公開されたことから異なる展開も存在する。
バブル経済末期、脂の乗り切ったOVA最盛期時代の制作ということもあり、劇場用作品を除けばその手書きアニメーションのクオリティはガンダムシリーズ最高峰と評してもよい。ストーリーも若き青年士官の成長物語として俊逸で、最終盤のヒロインの言動が展開の帳尻合わせを感じさせる強引なものではあるが笑いあり恋愛あり熱い戦いあり陰謀ありの手堅くまとまった作風により、ガンダムシリーズ初心者にもおすすめしやすいタイトルである。
主君の信念に殉じようとするガトーら、デラーズ・フリートの戦士たちも敵キャラとしての魅力にあふれており、高い人気を誇る。しかし2001年のアメリカ同時多発テロ以降、「テロリスト」の実態が世間一般に明らかになるにつれて「結局こいつらもテロリストだよな…」と冷めた目で見てしまうファンが増えた気もする。
一年戦争終戦から3年後の、宇宙世紀0083年。戦後復興を進める地球連邦軍は、「連邦とジオンの技術を発展的に融合させた、現時点での最高性能を持つ試作モビルスーツ」を開発していた。オーストラリア・トリントン基地では連邦の新型機やジオンから鹵獲した機体のテストが行われており、士官学校を卒業したばかりのコウ・ウラキ少尉も、テストパイロットの一人として日夜研鑽を重ねていた。
そんなある日、民間企業のアナハイム・エレクトロニクスとの合同計画である「ガンダム開発計画」によって作り出された2機の試作ガンダムが、重力下試験のためトリントン基地に搬入された。だが、この動きはジオン公国軍残党に察知されており、トリントン基地は襲撃を受け半壊。更に“ソロモンの悪夢”と呼ばれたエースパイロット、アナベル・ガトー少佐によって、核弾頭を搭載したガンダム試作2号機が強奪されてしまう。偶然にも強奪の現場に居合わせたコウは、たまたま空いていた試作1号機に乗り込んで応戦するが、ガトーの力量には遠く及ばず、取り逃がしてしまう。
コウたちテストパイロットの生き残りは、試作2号機を宇宙へ運ぼうと企むジオン公国軍残党の追撃隊に編入され、強襲揚陸艦アルビオンと共にガトーたちの後を追う。大義を掲げて連邦への宣戦を布告するジオン公国軍残党組織「デラーズ・フリート」と、彼らが計画する謎に包まれた「星の屑作戦」、そしてこの事件を利用しようとする様々な人々の思惑が絡み合う中で、コウら渦中の人々は思わぬ方向へと導かれて行くのであった。
この他の兵器は「ガンダムシリーズのMS・MAの一覧」も参照のこと。
地球連邦軍 |
デラーズ・フリート |
| 企画 | サンライズ |
| 原作 | 矢立肇 富野由悠季 |
| キャラクターデザイン 総作画監督 |
川元利浩 |
| 総メカニカル作画監督 | 佐野浩敏 |
| モビルスーツ原案 | 大河原邦男 |
| メカニカルスタイリング | 河森正治 |
| メカニカルデザイン | カトキハジメ 明貴美加(RED) 石津泰志 |
| 美術監督 | 東潤一 |
| 撮影監督 | 奥井敦 |
| 音楽 | 萩田光男 |
| 音響監督 | 浦上靖夫 |
監督は1話が加瀬充子、2~7話が加瀬充子と今西隆志の共同、8~13話が今西隆志となる。
| 話数 | サブタイトル | 監督 | 脚本 | 演出 | 絵コンテ |
| 1 | ガンダム強奪 | 加瀬充子 | 五武冬史 | 渡辺信一郎 | 加瀬充子 |
| 2 | 終わりなき追撃 | 加瀬充子 今西隆志 |
五武冬史 | 今西隆志 | |
| 3 | 出撃アルビオン | 加瀬充子 今西隆志 |
五武冬史 | 渡辺信一郎 | |
| 4 | 熱砂の攻防戦 | 加瀬充子 今西隆志 |
五武冬史 | 赤根和樹 | 今西隆志 |
| 5 | ガンダム星の海へ | 加瀬充子 今西隆志 |
遠藤明範 | 加瀬充子 | |
| 6 | フォン・ブラウンの戦士 | 加瀬充子 今西隆志 |
遠藤明範 | 渡辺信一郎 | |
| 7 | 蒼く輝く炎で | 加瀬充子 今西隆志 |
大熊朝秀 | 赤根和樹 | |
| 8 | 策謀の宙域 | 今西隆志 | 大熊朝秀 | 渡辺信一郎 | 加瀬充子 |
| 9 | ソロモンの悪夢 | 今西隆志 | 高橋良輔 | 赤根和樹 | 今西隆志 |
| 10 | 激突戦域 | 今西隆志 | 大熊朝秀 | 渡辺信一郎 | |
| 11 | ラビアンローズ | 今西隆志 | 高橋良輔 | 赤根和樹 | |
| 12 | 強襲、阻止限界点 | 今西隆志 | 大熊朝秀 | 渡辺信一郎 | 今西隆志 |
| 13 | 駆け抜ける嵐 | 今西隆志 | 大熊朝秀 | 大熊朝秀 | 今西隆志 |
| 劇場版 | LAST BLITZ OF ZION (ジオンの残光) |
今西隆志 | 今西隆志(構成) | 今西隆志 加瀬充子 渡辺信一郎 赤根和樹 大熊朝秀 |
今西隆志 加瀬充子 渡辺信一郎 赤根和樹 大熊朝秀 |
バンダイ系列から発売された家庭用ゲーム機向けのガンダムゲームに於いて登場人物や機体、ステージが盛り込まれている。それ以外に、PC-98でガンダムゲームを開発・販売していたファミリーソフトからは0083単体で一本のゲームにした「機動戦士ガンダム スターダスト・オペレーション」が発売されている。
| ガンダムシリーズ(映像作品) |
|---|
| 1st - Z - ZZ - V - G - W - X - ∀ - 種 - 種運命 - 00 - 三国伝 - AGE - BF - Gレコ - BFT - 鉄血 - BD - BDR - 創傑伝 - SDWH - 水星 - GQu6X |
| CCA - F91 - 0080 - 0083 - 08 - G-SAVIOUR - EVOLVE - IGLOO - STARGAZER - UC - GPB - ORIGIN - サンダーボルト - Twilight AXIS - NT - 閃ハサ - ククルス・ドアンの島 - 種自由 - 復レク |
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掲示板
856 ななしのよっしん
2025/08/20(水) 16:34:03 ID: AFTnqrGibL
「火垂るの墓」みたいに、見る世代や時期で感想がガラッと変わる作品だと思う
思春期だと「連邦はクソ!ガトーカッコイイ!ニナはクソ!」って感じるけれど、成長して知識や教養を得たり物語の背景が分かってくるとデラーズ・フリートはただのテロリストだと分かるし、ニナも戦争に翻弄された被害者と受け取れる所があるんだよね
火垂るの墓も初見(特に子供や思春期)だと「おばさんはクソ!清太と節子が可哀想!」と感じるけど、成長してから見ると「おばさんの言うことは間違ってはいない、清太も男なら働けや!」と感じるのに似てる
857 ななしのよっしん
2025/08/20(水) 16:37:06 ID: ctX6jWpNeu
858 ななしのよっしん
2025/09/04(木) 23:15:25 ID: vj0kQr4gTQ
個人的にはデラーズ・フリートをテロ等と叩くだけになるとか
同情してた清太に対し働けやと叩くだけになるのはまだ逆張りの範囲に留まってて
成長した大人の冷静な意見というには早い感じがするな
最初の意見(ガトーカッコいい連邦酷いニナ酷い)(清太と節子可哀想)も間違ってないし、途中の別な角度から見た感想もまた間違いじゃない…と思えて
両方に〇をつけて昇華できたときが大人なんじゃないかなって
二つ丸を付けてちょっぴり大人さ♪って懐かしの歌もあることだし
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最終更新:2025/12/06(土) 06:00
最終更新:2025/12/06(土) 06:00
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