古の昔、力こそがすべてであり、
鋼の教えと闇を司る魔が支配する
ゼテギネアと呼ばれる時代があった…
タクティクスオウガとは、1995年10月6日に株式会社クエストから発売されたスーパーファミコン用シミュレーションRPGである。後にプレイステーションとセガサターンにも移植。 現在ではSFC版がWiiのバーチャルコンソールから配信されている。
2010年7月、15年ぶりにPSPにてリメイク(再構築)されることが発表され、同年11月に発売された。
→タクティクスオウガ 運命の輪
「オウガバトル」シリーズとしては「伝説のオウガバトル」に続く第2作目であり、「オウガバトルサーガ」全体では全8章のうち、第7章に位置付けられている。続きマダー?
概要
ストーリー
物語の舞台は海洋貿易の主要地として栄えた「ヴァレリア島」。この地を半世紀近くに渡り治めた覇王ドルガルアが後継者を残さず死した後、バクラム人・ガルガスタン人・ウォルスタ人の3民族による覇権争いが表面化する。そこに北大陸の大国、ローディス教国がバクラムの求めに応じて「暗黒騎士団」ロスローリアンを派遣し、紛争に介入。
2割程度の人口でありながら、紛争以前より支配者層であったバクラム人は、ロスローリアンの後ろ盾を得て「バクラム・ヴァレリア王国」を建国する。しかしその支配圏は島の北部にとどまり、島西部には人口の7割を占めるガルガスタンが旗を掲げ、人口の1割程度である南部のウォルスタ人を「民族浄化」と称して弾圧していた。
物語はヴァレリア島の最南端、「港町ゴリアテ」から始まる。主人公デニムと姉のカチュアは、かつて港町ゴリアテを焼き払い、父親を連れ去った暗黒騎士団の長「ランスロット」がゴリアテを訪れている…と言う情報を掴む。彼らは幼馴染のヴァイスと共に、港町を訪れたランスロットに復讐を試みるが…
ゲームの特徴
リリースより20年以上前の作品ではあるが、その後のS・RPGに多大な影響を及ぼしたシステムの数々が盛り込まれ、重厚なテーマを描き切るためのマルチストーリー・マルチエンディングを採用。
ひとつの選択肢で主人公の立場が大きく変化し、ルートごとに角度を変えてひとつの事件・人物それぞれを重層的に描写する手法は画期的であった。「秩序のロウ」「中道のニュートラル」「自由のカオス」、それぞれのルートを遊ばなければこのゲームを真に堪能したとはいえない…と言い切れるほど、全てのルートの物語は練り込まれている。
それに加えて数多の斬新な新システム、精緻な背景と人物画、SFC時代の職人芸の到達点とも称されるドット絵のアニメーション、そして「民族紛争」を正面から扱った歯ごたえ十分のシナリオ、にも関わらず充実したヘルプ・チュートリアル機能、熟練者をも唸らせるやりこみ要素の数々が高レベルで融合し、「本格ウォーシミュレーション」の金字塔として現在も存在感を放ち続けている。
システム
数多の新システムがゲームの軸として採用されているが、ここでは代表的なものを記す。
「秩序」「中道」「自由」のアライメント
前述のように、今作では主人公・デニムの選択肢ひとつでストーリー内容も、登場する人物やその描写も、エンディングも大幅に変化する。デニムの選択によって
の3ルートに物語は分岐し、また全てのユニットにもそれぞれの志向するアライメントが設定される。アライメントはユニットのクラスチェンジにも大きく影響し、例えば「ロウ」のキャラクターはバーサーカー(狂戦士)に転職出来なかったり、「ニュートラル」でなければドラグーン(竜騎兵)になれない…など、戦闘システムの根幹を占める要素となっている。
戦闘マップに立体地形を採用
従来のウォーシミュレーションゲームでは、平面上のマップで戦闘が行われ、いわゆる「高さ」「障害物」などの表現は、例えば「地形効果」と呼ばれる数値的要素でなされていた。
このゲームでは戦闘マップに立体地形を採用。高低差・ユニットの向きの概念も採用され、
などなど、語りきれないほどのリアルな趣を実現させた。
ウェイトターン・システム
今作では、ユニットそれぞれのアジリティ(素早さ)や装備の重さなどを加味した「ウェイトゲージ」が設定され、このゲージが0になった順から行動できる「ウェイトターン・システム」が採用された。
「味方が全員行動したら敵のターンに移り、敵が行動し終わったら味方のターンに移る」を繰り返すターンフェイズ制とは大きく異なり、敵味方が入り混じって行動する戦場の混沌をシステム上で表現した秀逸かつ画期的なものであった。
このシステムによって、ただ速攻するだけでなく、どのクラスを投入しどのタイミングでいかに動くか…を見極める戦術的な奥深さも要求されている。が、システムを理解すればするほど、ある特定の職と武器を揃えれば楽にクリア出来てしまうばかりか、強力な武器や防具すら不要と結論付けられる…と言うバランス調整のピーキーさも指摘されてはいる。
主な登場人物
- デニム・パウエル
- 本作の主人公(名前は変更可能)。超機密事項を知る家庭に育てられ、エキセントリックな姉の世話や反骨精神と天邪鬼で構成された友人に苛まれながらも、民族紛争の中心に引き摺り出されるという超の付く苦労人。子供の頃、とある女の子と遊んでいて川に落ちたことがあるが、そのとき女の子の額に傷がついてしまった。十年くらい経った後に本人から責任を取れと迫られるが、結局どうしたのかは不明である。こいつが倒されると一発でゲームオーバー。
- カチュア・パウエル
- デニムの姉。デニムに愚痴ったり無理難題を押し付ける担当。実姉を持つ人はデニムに共感する事も少なくないという。実はさる高貴な血筋を引くのだが、わがままな理由で敵軍に寝返り、あげく捕虜になってしまうという痛さも持ち合わせている。かなり酷い人にも見えるが、一度は物語を最後まで進めないと彼女の苦悩は解らない・・・。
- ヴァイス・ボゼック
- デニムの悪友で常に逆の道を行く、いわば裏主人公。袂を分かって以降は顔を合わせる度にデニムに悪態ばかり吐くが、あるルートでは「絶対に許さないよ!」と言いながらも再び心強い仲間となってくれる。ちなみに同ルートではほぼ彼が島の情勢を左右しており、デニムなんか目じゃない行動力ってゆーかこっちが主人公でいいよもう。ちなみに、別ルートでもかなりの行動力を持つが、顔グラフィックもセリフも酷いのでどこをどう見ても悪役です本当にありがとうございました。
- ランスロット・ハミルトン(白)
- 騎士キュアの白い方。新生ゼノビア王国聖騎士団の団長だったが故あって少数の帯同者を伴いヴァレリア島を訪れる。名前が同じというだけ(人違い)で訪問早々デニム達に(主に石ころで)襲撃されるが、大人らしい冷静な対応の後に味方になってくれるという超が付くお人よし。奥さんに先立たれ形見のオルゴールを大事にしているが、ゲーム終盤のイベントではそのオルゴールが彼の身分証の役割も果たした。それにしてもあのイベントのインパクトは強烈だ。
- ランスロット・タルタロス(黒)
- 騎士キュアの黒い方。ローディス教国国主、サルディアン教皇直属である暗黒騎士団の団長。デニム達の本来のターゲットだった方で、戦隊モノで云えば悪の組織の幹部と思えばだいたい合ってる。アポカリプスという必殺技を使うが、これがなんと最大HPを削る恐怖の攻撃。万一デニムやカノープスがこれを食らったときにリセットするか、まあいいやと諦めるかはプレイヤー次第。
- ウォーレン・ムーン
- ウォーレンレポートなどでお馴染みの大魔法使い。ランスロット(白)一行の一人。レポートのお陰で印象は濃いがゲーム中では殆ど出番がない。前作ではリッチになってまで活躍したのに・・・。
- キャラの一部に声の入ったセガサターン版だと、なんだか今すぐにでも倒れそうな声である(声:堀内賢雄)。
- カノープス・ウォルフ
- 鳥人間にして頼れるアニキ。ルートに関係なく序盤から終盤までずっと使用できる固有ユニットで、ランスロット(白)一行の一人。苦手なものは自分を「カノぷ~」と呼ぶあの女。普通のユニットに彼の色を薄くしたやつがいるが、こいつらは脆くてあまり役に立たない。飛べて割と固いのがアニキの強さ。一応得意武器が変なハンマーみたいなやつだが、わざわざ反撃食らいながら叩くメリットがあまりない。キャラクター性こだわりがあるなら槍。チートでもいいのなら弓といったところか。
- ドナルド・プレザンス
- ゲーム序盤で仲間になるエクソシスト。ピンチの中、含蓄あるご高説を述べた上、イクソシズムをキメるいかしたおっさん。ウォーレンレポートにしてもひいきと思えるほど格好いい記述になっている。しかし、序盤から中盤にかけて、おっさんの出番はほとんどななく、ルートによってはほぼ皆無の有様。またゲーム終盤で若干出番があるが、スターティアラを繰り出すカチュア姉さんのせいでまたもや戦力外。そのためトレーニングのめんどくささから、除名の魔が差したプレイヤーも多いと思われる。ウォーレンがいうとおり悲しき人である。 →もしかして:リフ
- フォリナー四姉妹
- フォリナーさん家のセリエ、シェリー、システィーナ、オリビアの姉妹。選択ルートによっては全員仲間にできたりできなかったりする。デニムとの絡みが多く、長女が一番肉食系で下にいくほど草食系になる。デニムは末っ子のオリビアと気が合うらしいが、この子にしてもキズものにした責任を取れと迫ってくる辺り、やはりフォリナーの娘である。
- ジェダ・ロンウェー公爵
- 少数派勢力であるデニムたちウォルスタ人陣営の指導者、なのだが自己の保身を優先してデニムたちにせっせと汚れ仕事を押し付ける、とんだ小悪党。この公爵に限らずヴァイスにしても、バルマムッサのご老人にしても、彼の右腕にしてもどうにもウォルスタ人には、しちめんどくさい繊細な人が多いようだ。そういう民族なのだろうか。でも、ザパンみたいな判り易い人もいるしなあ。
- 騎士レオナール・レシ・リモン
- ロンウェー公爵の腹心にしてウォルスタ陣営の知恵袋。一見ロンウェー公爵の意思のままに動いてるとも見えるが、彼は彼なりの信念を持っている。第1章でいきなりデニムに凄まじい選択を迫り、デニムがどのルートに進もうと物語に重厚に絡んでくる、敵に回すと厄介だが味方にしても厄介な人。なんか舌噛みそうな名前だし。ロウルート(Lルート)のLはレオナールのLとまで言う人もいる。
- レーウンダ・バルバトス枢機卿
- 多数派勢力であるガルガスタン人陣営の指導者。ウォルスタ人弾圧を行い同族からも反発があるが粛清も厭わない非情な体制を布いている。いうなれば中ボスだが、残念ながらユニットとして登場することはない。ルートによってはいきなり処刑されるかなり不憫な人。彼をはじめ、ガルガスタン人はよくしゃべる。彼の部下にせよ、ネクロマンサーの爺さんにせよ、敵リーダーの皆さんにせよ。きっと活発な民族性なのだろう。だから人口も・・・(ry 最重要人物の一人でありながら、セガサターン版でも彼には声が付いておらず、やっぱり不憫な人。
- 屍術師ニバス・オブデロード
- 通称ニバス様。一応ガルガスタン陣営の重鎮だが、民族紛争も島の覇権もどこ吹く風で我が道を突き進むマッドサイエンティスト。ある意味話の分かる御仁ではあり、過激派が多いゲーム中では異色の紳士と言えなくもない。しかし、その価値観は一般的な倫理観を窓から投げ捨てたもの。人の生き死にや尊厳すら彼にとっては「俗世のノイズ」で済まされてしまう。中道たるNルートでは、ニバス様の繰り広げる「中道故に倫理なき世界」と対面させられる。「いくら何でもこんなこと・・・」だって?現実に寄り添って生きる君が何の権利でニバス様を断罪できるのか、ちょっと聞いてみたいものですねェ。
- プランシー・パウエル神父
- デニムとカチュアの父。オープニングの中で暗黒騎士団により捕らわれ拉致されるヒロイン属性の持ち主。デニム、カチュア、ヴァイスの3人が行動を起こす、ある意味原因となった人。民族紛争よりも解りやすい『目的』として、(少なくともデニムは)ルートに関係なく彼を探し回っているやっぱりヒロイン。物語を決定付けるある重要な情報を知っており、第4章でついにデニムと対面するが・・・
- ネタバレ→http://www.nicovideo.jp/watch/sm652127
- この対面シーンが無ければカチュアを見殺しにした人は多いだろう。TO屈指の名場面である。
- 司祭ブランタ・モウン
- 旧支配勢力であるバクラム人陣営を扇動し、ローディス教国と密約を結ぶ。これがヴァレリア動乱の火種となった。デニムの伯父だったりする。ゲーム的には二人目の中ボスで、こちらはユニットとして登場。多くのプレイヤーから狙撃される運命にある。しかし彼の行動は計画通りだったのか、はたまた野心に踊らされた哀れな権力者か。人によってかなり印象が違ってくる。
- ところで、バクラム人は意外と登場人物が少ない上、かなり特殊な立場の人が大きな割合を占めているため、どういう人たちなのかははっきりしない。強いていえば、保守的で社会のしきたりなどを重視する人が多いのであろうか。デニムにしても親父の遺言を守ろうとしてるし、フォリナー四姉妹もなんだかんだで実家を気にしている。ゆえに、単細胞なガルガスタンや大人になりきれないウォルスタより、人をまとめる役どころには向いているのかもしれない。(昔の)王様しかり、人が作った組織をがっつり育てていく解放軍の大将しかり、あれだけとりみだしてたのにすぐさっぱりして名演技かます姉さんしかり、平民orzとかいいながらがっちり自分の楽園地位や組織を作っているブランタ叔父さんしかり。いずれにしても、少数派なのにヴァレリア島の国取り合戦二連勝する人たちはあなどれないね。
- 覇王ドルガルア・オヴェリス・ヴァレリア
- かつて島を統一してヴァレリア王国を建国、融和政策を推進したバクラム人出身の名君。通称平民王。しかし王の死後、島は紛争状態に。殆どゲーム中に絡んでこないせいか重要な人物だが非常に影が薄い。当然セガサターン版でも声は無い。ラスボスで出てくるが、伏線もなくいきなり登場するため、意外とインパクトがない。ちなみに、シナリオが進めば進むほど(真相を知れば知るほど)『ヘタレ』呼ばわりされるため、なんとも言いがたい立ち位置のお方である。ディリータ?何のことかな?
こぼれ話
週刊ファミ通の読者アンケートにおいても、SFC版でありながら次世代機(PS3・XBOX360・Wii)と並んでいまだにランクインするほど根強い人気を誇る。人気絶頂期にはタクティクスオウガ本品とガラスのかぼちゃ(隠しダンジョンを突破し、その証明写真を開発元に送ると先着順で貰えるレアグッズ)・ランスロットのオルゴールとのセットがオークションに出品され、落札価格が10万円を超えるほどのプレミアがついたこともある。
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関連項目
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