シャフリヤール(Shahriyar/Shahryar)とは、ペルシア語由来の男性名。ペルシア語で「王」「統治者」「君主」といった意味を持つ。固有名詞として以下のことを表す。 |
シャフリヤール(Shahryar)とは2018年生まれの日本の競走馬。黒鹿毛の牡馬。
安平町・ノーザンファーム生産、栗東・藤原英昭厩舎所属
馬主はサンデーレーシング(赤バッテンでお馴染みの一口クラブ。ノーザンファーム生産馬が多数所属)。
主な勝ち鞍
2021年:東京優駿(日本ダービー)(GⅠ)、毎日杯(GⅢ)
2022年:ドバイシーマクラシック(GⅠ)
出自
父ディープインパクト、母*ドバイマジェスティ、母父Essence of Dubaiという血統。
父のディープインパクトは現役時代無敗三冠をはじめGⅠ7勝を挙げ、種牡馬入り後はリーディングサイアーをひた走る大種牡馬である。2018年生まれの本馬は11年目の産駒である。
母の*ドバイマジェスティは2010年のBCフィリー&メアスプリントの勝ち馬で、母父のEssence of Dubai(エッセンスオブドバイ)はUAEダービー含め重賞4勝を挙げた。
米国由来の牝系に属し、6代母まで遡ればGⅠ4勝を挙げた*ムタファーウエクなどと同じ一族である。
父と母を見ればおっ? と思う人も多いだろう。
本馬は2017年皐月賞、2019年大阪杯を制したアルアインの全弟である。
全兄の活躍やその良血の背景もあり、高額一口クラブで知られるサンデーレーシングの中でも総額1億2000万円(1口300万円×40口[1])とその年の目玉として募集がかかり、栗東の藤原英昭厩舎へと入厩する事となった。
偉大なる王
2歳~3歳春
デビューは10月、菊花賞当日の京都1800mでデビュー。鞍上に福永祐一を迎え、1番人気となったレースでは中団から進め、最後の直線で先に抜け出した人気馬のヴィヴァンを差し切って勝利する(なお、このレースの16着(18番人気)にはのちに2022年浦和記念(JpnII)を制したクリノドラゴンがいる)。
休養を挟んで年明け2月の共同通信杯へ出走。ここでは2歳戦から重賞を勝っていたステラヴェローチェが1番人気となり、それに続く2番人気に支持される。鞍上は福永が継続して騎乗し、レースでは外枠から控えて後ろ目を追走。直線では外に持ち出して追い込むが、先に抜け出したエフフォーリアが後続を離し、シャフリヤールは2着ヴィクティファルスをアタマ差捉えられず3着と、収得賞金の加算に失敗する。
続いて3月末の毎日杯に出走。福永がシーザリオ産駒のルペルカーリアに騎乗する為、川田将雅に乗り替わった。ここではクリストフ・ルメール鞍上のグレートマジシャンが単勝2倍を切る1番人気で、続いて本馬が単勝3倍を切る2番人気となった。
9頭立てのこのレースは、ウエストンバートがハナを切って逃げ、スタートがいまいちだったシャフリヤールは徐々にポジションを上げて4, 5番手につける。1000m通過が57秒5とレースは早く流れ、直線入口では馬群が一段となる中、シャフリヤールは馬群の内から鋭く伸びて抜け出し、猛追するグレートマジシャンをクビ差従えてゴール。タイムは1分43秒9という日本レコードタイ。これが重賞初制覇となり、またアルアインとの毎日杯兄弟制覇となった。
兄アルアインとは異なり、皐月賞へは出走せず東京優駿(日本ダービー)に焦点を定め調整が進められた。
その日本ダービーでは皐月賞を圧勝したエフフォーリアが断然の1番人気に推され、続いてオークスを蹴ってダービーにやって来たサトノレイナス、3番人気は毎日杯2着のグレートマジシャンで本馬はそれと差の無い4番人気であった。戦前は本馬とグレートマジシャンの毎日杯直行組の取捨選択が、馬券師達の頭の悩ませ所であった。鞍上は福永祐一に戻った。
レース本番。大外枠のバスラットレオンが戦前の公言通りにハナを切って逃げ、続いてタイトルホルダーやグラティアスなどが続く。シャフリヤールは道中中団から進め、1枠1番からそのままインを走るエフフォーリアを横からマークする格好。3コーナー辺りからサトノレイナスが仕掛けてペースが加速。直線に入り馬群を捌き、シャフリヤールは残り250mで先に抜け出したエフフォーリアの2馬身真後ろに。福永が追い出すと抜群のキレ脚でエフフォーリアに並びかけ、内シャフリヤール、外エフフォーリアの態勢でゴール。
ラジオNIKKEIの実況が「どっちだ!?」と叫んだように全くの横一線。結果は写真判定へと委ねられたが、ハナ差でシャフリヤールがエフフォーリアを差し切り、第88回ダービー馬に戴冠したのはシャフリヤール。2018年に生まれた7398頭の頂点に立った。
勝ち時計は2:22:5。一昨年に記録されたロジャーバローズのレコードを更新。この勝利により鞍上の福永祐一は武豊、四位洋文に次ぐダービー連覇を達成した。
3歳秋
3歳の秋シーズンは神戸新聞杯から始動。京都競馬場が改修のため中京2200mで行われ、基本ダービー馬を含めた前走ダービー組が優勢のレースであり、最終的に単勝1.8倍の1番人気に推された。
しかし当日の中京競馬は雨が降り次第に馬場状態が悪化。メインレースの頃には不良馬場となり、レースでは大外10番枠から道中中団を追走。直線では外に持ち出したものの不良馬場と相まって消耗戦となり、重馬場巧者ステラヴェローチェの4着となった。
この敗戦に陣営は菊花賞の3000mはシャフリヤールに不適と判断、同レースを回避。皐月賞馬のエフフォーリアも菊花賞を避けて天皇賞(秋)へ向かったため、春のクラシック競走勝利馬が不在のレースとなった。
次走にはジャパンカップを選択。京都大賞典を勝ってきた8歳馬のマカヒキ、秋天を経てのラストランとなるコントレイル、更にはワグネリアンまで出走を表明と、史上初となるダービー馬4頭が出走するジャパンカップとなった。鞍上の福永がコントレイルに騎乗する為、毎日杯で騎乗した川田に乗り替わった。
当日は引退レースとなるコントレイルに次ぐ2番人気となり、戦前は不良馬場で行われた神戸新聞杯の疲労が若干不安視されていた。レースでは内目の2枠4番からスタートしたが、1コーナーで外から寄られた事もあり内ラチに激突。若干ポジションが下がってしまった。その後は中団でスローペースを折り合い、直線に入って一段前にいるオーソリティを目標に脚を伸ばすが、外からコントレイルが上がってくるとそれに気を取られて物見をしてしまい減速。先に抜け出したオーソリティにも届かず最後は3着に入線。その後の有馬記念には向わず、ひとまず3歳シーズンを終えた。
4歳春~
当初の予定通り、4歳ローテはドバイシーマクラシックから始動。これまではどちらかというと華奢な体型であった[2]この馬だが、この合間に急激な体重増が見られており、一時期は+49キロという凄まじい報道が流れたことも。更に鞍上はドバイ遠征にも向かった川田将雅…ではなく初コンビとなるクリスチャン・デムーロ。
これらの要因に加えて、ダービー以降の惜しい戦績やこの馬以前のディープインパクト産駒ダービー馬のその後の傾向などもあって不安な声も多々囁かれており、基本的に日本馬が高騰しやすい国内オッズでも単勝5.9倍の4番人気とやや控えめな支持で迎えた本番。
割り当てられた8番ゲートから飛び出して狙ったのは、今までとは違って好位前方からの競馬。展開が進む中インで追走しつつ最終直線で勢い良く飛び出した。その勢いのまま集団から抜け出して先頭に立ち、後方から迫り来るYibirの追撃をクビ差で凌ぎきって1着でゴールイン。勝ち時計は2:26:88。
レース前の不安はどこへやら、終わってみれば2014年のジェンティルドンナ以来久しく果たせていなかった日本勢によるドバイシーマクラシックの勝利を達成。加えて「日本ダービー勝ち馬による海外GⅠの勝利」という史上初の記録までやってのけてしまった。
エフフォーリアを筆頭に同期の活躍が目立つ中、ジンクスや評判に負けじとばかりに(名前の由来とも縁深い)中東の地で偉業を成し遂げたシャフリヤール。その姿は疑いようもなく「偉大なる王」そのものであった。
ドバイ遠征のあとはいったん帰国し、滋賀県のノーザンファームしがらきで着地検疫を行っている間に秋の凱旋門賞の1次登録を済ませていたため、秋に海外遠征を目指すのか?との向きもあったが、4月21日に6月15日に僚馬グレナディアガーズと共にアスコット競馬場のロイヤルアスコット開催へ参戦し、プリンスオブウェールズステークスを目指すことが発表された。
そのプリンスオブウェールズステークスは5頭立てとなり、馬番3、ゲート番号も3。日本での馬券発売も行われ、そこでは2番人気に支持された。スタートすると目隠しを外すのに手こずって出遅れたロードノースを尻目に4頭一団になって出ていくが、逃げるステートオブレストの後ろにつける2番手。残り2ハロンまでは粘るが、上り坂がこたえたのか徐々に失速。ステートオブレストが逃げ切る中、2頭にかわされて4着に終わった(出遅れたロードノースが5着なので、実質的には最下位)。
その後21日に帰国し、次走はジャパンカップを予定しているとのことだったが、天皇賞(秋)に参戦。2番人気になるが、パンサラッサが大逃げで1着のイクイノックスから1馬身差の2着に残し、ダノンベルーガがクビ差3着、そこから半馬身差にジャックドールがいて、さらにそこから2馬身後ろの5着となった。そして本番のジャパンカップ、ドバイシーマクラシック勝ち馬である彼には褒賞金が出ることになっていた。最終的には1番人気に支持される。道中は後方に位置し、一気に追い込んで残り100mで先頭に立つが内側からヴェラアズールが突っ込んできて4分の3馬身差の2着となった(日本調教馬の2着の褒賞金は40万ドル)。ヴェラアズールの父はエイシンフラッシュで、エイシンフラッシュは藤原英照調厩舎。シャフリヤールと同じ厩舎なのであった。調教師のコメントも「エイシンフラッシュ(産駒)に負けたな。負けるならこの馬だけだと思っていた」というものであった。
5歳
明けて5歳。始動戦には前年同様にドバイシーマクラシックへの遠征を選択し連覇を狙うものの、レースでは出負けして後方からの競馬になり5着。勝ったのは恐怖のノーステッキ逃げ切り勝ちを果たし世界中に衝撃を与えたイクイノックス。秋天に続いて天才がまたしても見せ場を根こそぎ持っていった結果に。
秋にはブリーダーズカップ・ターフへの遠征が計画され、ステップレースとして札幌記念へ出走。道中は中団で進めたが、3コーナー付近でズルズルと後退しデビュー以来初の2桁着順となる11着と大敗。
レース後の検査で喉頭蓋エントラップメントを発症していることが判明。思えばエフフォーリアもタイトルホルダーも、5歳は故障で調子を落として引退や長期離脱に追い込まれていたが、シャフリヤールもその流れに逆らえなかったようである。
しかし術後の結果は良好で、予定通り米国遠征に向かう事になった。本番のBCターフでは同じディープインパクト産駒で愛チャンピオンステークスを勝ったオーギュストロダンらとの対決となった。
まずまずのスタートから中団でレースを進め、4コーナーで先に抜け出したオーギュストロダンを最終直線追いかけるも差は縮まらず3着まで。敗れこそしたが、先輩ダービー馬の意地は見せたと言えよう。
次は香港ヴァーズへの転戦が決まっていたが、現地主催者の判断で不整脈の疑いにより出走不可に。このため、帰国後に有馬記念への出走となった、引退前に一つでも多くの結果を残しておきたい所だったが、結果は5着であった。
6歳
春は3年連続でドバイシーマクラシックへ行くが、Rebel's Romanceに2馬身離される2着。夏も前年同様札幌記念に向かうが、前年ほどの大敗はせず5着にまとめる。そしてブリーダーズカップ・ターフへ向かうが、再びRebel's Romanceが勝利。ローシャムパークにも置いて行かれるがほかの馬はきっちり抜ききっての3着にまとめた。
血統
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
*ウインドインハーヘア 1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | |
Lady Rebecca | |||
Burghclere | Busted | ||
Highclere | |||
*ドバイマジェスティ 2005 黒鹿毛 FNo.2-s |
Essence of Dubai 1999 黒鹿毛 |
Pulpit | A.P. Indy |
Preach | |||
Epitome | Summing | ||
Honest and True | |||
Great Majesty 1990 黒鹿毛 |
Great Above | Minnesota Mac | |
Ta Wee | |||
Mistic Majesty | His Majesty | ||
Necaras Miss |
関連動画
関連項目
脚注
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- ソダシ
- リフレイム
- ダノンザキッド
- メイケイエール
- エフフォーリア
- ユーバーレーベン
- ピクシーナイト
- バスラットレオン
- タイトルホルダー(競走馬)
- ファインルージュ
- ステラヴェローチェ
- ソングライン
- ジャックドール
- フライトライン
- バーイード
- アリーヴォ
- シャマル(競走馬)
- EST(競馬)
- テーオーロイヤル
- ロマンチックウォリアー
- カリフォルニアスパングル
- レモンポップ
- レベルスロマンス
- ドバイオナー
- イグナイター(競走馬)
- プログノーシス
- スルーセブンシーズ
- マイネルグロン
- ディヴィーナ
- アイコンテーラー
- ペプチドナイル
- ローレルリバー
- インペラトリス
- テンハッピーローズ
- ヴォイッジバブル
- ノースブリッジ(競走馬)
- ブレークアップ
- ディクテオン
- ソウルラッシュ
- ポエティックフレア
▶もっと見る
- 20
- 0pt