井上尚弥単語

イノウエナオヤ
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井上尚弥いのうえ・なおや)とは、神奈川県座間市出身の日本プロボクサーである。
1993年4月10日生まれ。第33代WBC世界ライトフライ級王者。第17代WBO世界スーパーフライ級王者。現在はWBAスーパーWBCIBF・WBOスーパー世界バンタム級統一王者。

高校アマチュア七冠内最速世界王者(当時)。世界最速二階級制覇(当時)。プロボクサーで元WBC世界バンタム級暫定王者の井上拓ニックネームは「怪物(The Monster)」。 

選手としての特徴

スピード5。テクニック5。ディフェンス、パンチを避ける5。アマチュアを含めて経験も5。 パワーマイク・タイソン
――NHK番組で井上を採点した長谷川穂積(元三階級世界王者)

好戦的でカウンターを得意とする右ボクサーファイター
軽量級としては(というか中重量級でも)破格のKO率からパワーに注されがちだが、選手としては非常にオーソドックスなバランス教科書通りの隙のボクシングで相手を攻め立て、動きを見切ったらノーガード攻撃スタイルで捻じせに掛かる。
フィジカル、攻撃技術、防御技術、メンタルボクシングIQなど心技体のあらゆる完成されており、基本に忠実な戦い方で世界舞台に圧勝を重ねる様から「特徴がいのが強さ」「日本ボクシング史の最高傑作と評される人物。

あらゆるパンチが強だが、よくフィニッシュブローになるのは右ストレートと左フック。特に強な足を活かした左ボディフックKOを量産する十八番の一つ。ただし本人の拘りが一番強く、スパリングパートナーなど周囲の人物が一番恐いとるのは左ジャブである。

数少ない弱点として、クリンチは自分で認めるくらい下手。「実戦で使う機会がかった」というマンガじみた理由だが、実際初めてパンチを効かされたドネア戦ではかなり危険なシーンを作ってしまっている。

アマチュアキャリア

小学校1年生のときに、アマチュアボクシング練習をするの姿を見てボクシングを始める。中学3年時に第一回全U-15大会で優秀選手賞を受賞。

高校1年時にインターハイ国体、選抜の三冠を達成。 高校3年では際シニア大会であるインドネシア大統領杯にて金メダルを獲得。世界選手権こそ3回戦負けも、インターハイ全日本選手権を制覇。高校タイトル5冠、シニアタイトル2冠で、史上初の高校七冠を達成した。

高校卒業後、2012年4月ロンドン五輪予選会を兼ねたアジア選手権に出場。決勝まで残るが、翌年の世界選手権覇者となる地元カザフスタンのビルジャン・ジャキポフに12-16で敗戦。ロンドン五輪出場の望みが絶え、プロに転向する。

なお高校時代からプロとのスパリングを多く行っており、この時点で「当時日本ランカー(後に世界王者)の田口良一が泣かされた」だの「既に世界王者だった八重樫東がボコボコにされてコレ以降一度も勝てなかった」だのといった逸話を残している。

アマチュア戦績は81戦75勝(48KO/RSC

プロキャリア

プロでの戦績は24戦24勝(21KO

ライトフライ級時代

プロテストで当時の日本ライトフライ級王者・黒田之(川崎新田)を終始圧倒し、B級ライセンス試験に合格。

プロデビュー戦は、10月2日後楽園ホールにてOPBF東洋太平洋ミニマム級7位にランクされているクリソン・オマヤオ(フィリピン)と49キロ契約8回戦で対戦。A級でのデビュー1987年赤城武幸以来25年ぶり7人で10代は初。デビュー戦なのにTBS深夜で放送するほどの注度であった。試合自体は4回2分4KO勝利プロ転向からわずか3かでOPBF東洋太平洋ライトフライ級10位にランクインし、日本ライトフライ級6位にもランクされた。

2戦からくも対戦者探しに苦労するようになる。世界ランカー三人にオファーを出すが、「新人と聞いていたが話が違う」と断られる始末。結局、タイライトフライ級王者ガオプラチャン・チュワタナ(タイ)と50キロ契約8回戦で対戦。ここは軽く1回KO勝利する。
なお、この試合はTBSが夕方生中継するというの入れようだった。TBSが将来のvsを意識したのか、それとも既に落ちだった亀田一家の後釜と考えていたかは不明である。(しかしTBSはなぜか井上を手放す。逃した大はあまりに大きい)

次戦も日本王者含む世界ランカーに試合を断られる。受けたのは日本ライトフライ級1位佐野。試合は3回に右拳を故障するも左一本で佐野をほぼコントロールして、10回1分9TKO勝ちで下した。この勝利日本ライトフライ級1位ランクされる。

2013年8月25日日本ライトフライ級王者・田口良一(ワタナベ)と対戦。田口の左フックKOを期待される重圧に攻めあぐね判定となったが、3-0の明確な判定で田口を下し、吉丈一郎に並ぶ男子最速の4戦日本王座を獲得した。

なお、井上ダウンを奪われなかったのは、2022年6月現在田口ただ一人である。田口は後にWBA世界ライトフライ級王座を獲得、同王座を7度防衛している。特に7度の防衛戦ではIBF世界同級王者の強ミラン・メリンドとの統一戦を制し、ライトフライ級の2団体統一王者となった名王者である。
田口は後に、「どんな強い相手でも井上ほどではない」という思いが自分を支えてきたとっている。強者は強者を生むのである。

2013年12月6日小野心の王座返上に伴ったOPBF東洋太平洋ライトフライ級王座決定戦にて、同級二位のヘルソン・マンシオと対戦。攻防共にボクシングレベルアップした姿を見せつけ、5回2分51で当時内最速の五戦でOPBF東洋太平洋王座を獲得。

そして2014年4月6日大田区合体育館にて、WBC世界ライトフライ級王者アドリアンエルナンデスメキシコ)と対戦。試合の三週間前にインフルエンザにかかり二週間で10キロを落す過酷な減量から試合に臨んだ。
試合は井上が1Rから圧倒し、3R後半に有効打によりエルナンデスの右瞼の上をカットするも、その3Rには井上にも減量苦による分不足から足が攣りかけるアクシンデントが起きる。4回からエルナンデスも王者の意地を見せるが、6回に井上の決死の猛攻にダウン。6回2分51TKO勝ちで当時日本男子最速のプロ入り6戦での世界タイトル獲得となった。

2014年9月5日国立代々木第二体育館にて、元PABAミニマム級王者でWBCライトフライ級13位のサマートレック・ゴーキャットジムタイ)と初防衛戦。プロキャリアを始めたライトフライ級に、筋肉の育つ成長期の身体は減量の限界となり、分不足による試合中の足の痙攣は常態化しつつあり、減量後の姿は病的と表現していいほどの仕上がりになっていた。ダーティな手も使う相手にしっかりと11回1分8TKO勝ちを収めたが、試合後には階級転向を示唆。

スーパーフライ級で真の「怪物」へ

2014年11月6日、かねてからの減量苦によりスーパーフライ級への転向を発表。更に通算27度の王座防衛を誇る階級最強王者オマール・ナルバエスアルゼンチン)への挑戦も発表された。
ジョー小泉ブログによると、当初はWBA世界フライ級正規王者ファンカルロス・レベコ(アルゼンチン)と交渉していたが先行きが見えず、ナルバエスなら年末の日本でも行けるとアルゼンチン側から提案され、実現したら面いとその話をしてみると「強い王者とやりたい」という井上子の希望で実現したそうな。

階級を代表する名王者への挑戦に「謀」「まだい」などのもあったが(ちなみに海外ブックメーカーサイトでは井上有利と出ていた)、2014年12月30日東京体育館にてWBO世界スーパーフライ級王者オマール・ナルバエスと対戦。プロアマ通じてダウン経験なしの不倒の男に対し、1回額への右打ち下ろしからガード越しの右ストレートダウンさせると、テンプルをめる左フックで二度ダウンを奪う。 2回には芸術的な左フックダウンを奪い、更に左ボディでダウンを奪うとテンカウント。

怪物」としか形容しようのない2回3分1の圧勝劇で、ポール・ウェアーの9戦を上回る当時の世界最速となる8戦での2階級制覇を達成した(2016年ワシル・ロマチェンコが7戦で更新)。

尚この勝利が評価され米国ボクシングサイトボクシングシーンドットコム」「セコンド・アウトドットコム」「ファイトニュースドットコム」の2014年ファイターオブ・ジ・イヤー(年間最高選手)に選ばれ、2015年1月6日後楽園飯店で行われた2014年日本ボクシング年間表選手選考会にいて、最優秀選手賞とKO賞に選出。上述のナルバエス戦が年間最高試合に選出されるなど具志堅用高(78・79年)高橋ナオト(89年)以来の3冠を達成した。

2015年12月29日、同級1位ルリト・パレナスフィリピン)と約一年振りとなる初防衛戦。ガードの上からなぎ倒す右でダウンを奪うと、そのまま攻め込み2R1分20TKO勝ちを収めた。試合後、ナルバエス戦の負傷により三月に右拳の手術をしていたことを告白した。

2016年5月8日に同級1位ダビド・カルモナメキシコ)との名戦が有明コロシアムにて開催。「中盤まで技術を試す」というテーマで臨んだが、打たれ強く上手い名挑戦者に、2Rで右拳を痛め、更に左で相手をコントロールするうちに左拳も痛める。それでも最終12Rにはカルモナを攻め立てダウンを奪い、ストップ前でゴング。3-0の判定で勝利

試合後に、2018年には現状のベストエイトであるバンタム級に階級を上げる事を示唆。HBOからも対戦が望まれているWBC世界フライ級王者ローマン・ゴンサレスとの対戦を「(階級変更を)待てるのはあと一年だけ」とした。

……がこれは運命の悪戯で実現することはなかった。これについては後述する。

対戦相手探しに難航する中、当時同級3位(対戦時には同級1位)のペッチパーンボーン・ゴーキャットジムタイ)と9月4日に対戦。試合二週間前に痛を発症し練習を出来ず、を流すだけの減量で計量前の状態は最悪、相手のローブローにイラつき打ったパンチで拳を痛めるなど、全体的に集中が欠ける試合だったが、それでも10R3分3ストレートでのKO勝ちで三度の防衛を果たした。

マゴン戦の機運は高まっていた。9月10日ローマン・ゴンサレスカルロス・クアドラスを視察した井上は熱狂するアメリカの会場の雰囲気に「鳥肌が立った」と話し、これまではさほど興味を持たなかった米国リングに立ちたいと強く感じたという。結果はロマゴンが苦戦しながらも勝利。試合後には「井上とのスーパーファイトが期待されているが?」との問いに、ロマゴンは「もちろん喜んでやりたい」と話していた。この時、井上も周囲も、おそらくはロマゴン自身も、頂上決戦の実現を疑っていなかったであろう。

しかしビッグマッチへのはまだ遠い。当時WBA王者だったルイス・コンセプシオンに統一戦のオファーを出すも実現せず。結局手を挙げたのは古で前WBA王者、河野ワタナベ)であった。2016年12月30日河野有明コロシアムにて対戦。河野雑草の意地を見せるが序盤から終始圧倒し、6R狙い澄ました左フックカウンターダウンを奪い、立ち上がった河野を右ストレートで倒し6R1分1TKO勝ちで、四度の防衛に成功。河野はキャリア初のKO負けとなった。

実現しなかった頂上決戦

ここでロマゴンが翌年3月シーサケット・ソー・ルンヴィサイ勝利すれば、いよいよ井上vsマゴンの頂上決戦となるはずであった。ところが……

マゴンは僅差の判定で、生涯初の敗北を喫してしまったのである。極めて微妙な(そして多くはロマゴンを支持した)判定であった。

マゴンの敗北に、さすがの井上も落胆の色は隠せず「ちょっと言葉が見つからないですね……」「スーパーフライ級にとどまる理由がなくなった」と発言している。モチベーションの維持は困難な状況になった。

それでも井上は勝ち続ける。2017年5月21日には同級2位リカルドロドリゲスメキシコ)を3Rで一蹴。途中でサウスポースタイルを見せる余裕も見せた。試合後、アメリカでの試合のオファーが来ているのを発表。スーパーフライ級の猛者を一同に会したイベントSUPER FLY」のセミファイナルであった。もちろん、メインイベントはロマゴンとシーサケットのリターンマッチ。ロマゴンと井上が両方とも勝てば、今度こそ頂上決戦になる、はずだった。

2017年9月9日井上は元北WBOバンタム級王者のアントニオ・ニエベスアメリカ)を相手に6度の防衛戦を行った。もちろん、前述のSUPER FLYのセミである。井上は当然のようにニエベス子供扱いし、戦意喪失追い込み6R終了TKO勝ち。後はロマゴンが勝つだけだったのだが……。

スーパーフライ級に対応しきれなかったロマゴンは、階級屈の強打者、シーサケットの前に4RKO負けしてしまったのである。この間、の新旧怪物の頂上決戦は実質上消滅した。

失意の中、井上営はビッグマッチを模索。IBF王者、ジェルウィンアンハスとは実に3度、統一戦の合意寸前まで行った。しかし、明確に勝ちがないと判断したアンハスは逃亡。途方に暮れる中、フェイスブックで対戦名乗りを上げたヨアン・ボアイヨ(フランス)との防衛戦となったが、当然のように相手にならず3RTKO勝ち。もはや相手がいなくなったスーパーフライ級に留まる理由は、一切なくなった。

バンタム級転級とWBSS参戦、モンスター進撃

2018年井上バンタム級転級を発表する。この後押しとなったのが、WBSS(ワールドボクシングスーパーシリーズ)の存在である。

WBSSは、乱立する世界王者の中で「が一番強いのか?」を決めるというシンプルかつ例を見ないトーナメント戦である。実現不可能と思われていたボクシング版「天下一武道会」であったが、巨額の優勝クルーザー級では約11億円)もあり第1シーズンは成功裏に終了。この第2シーズン補として白羽の矢が立ったのが、井上尚弥であった。悲願の世界進出につながる大会だけに、井上営は参加を了承。このエントリー条件がWBA王者、ジェイミー・マクドネル戦の勝利であった。

そうして2018年5月25日大田区合体育館で3階級制覇への挑戦となるタイトルマッチ。当時10年間敗を保っていたマクドネルは、減量苦が報じられていたとはいえ身長リーチとも大きく上回る相手だったが
「開始30で戦を見切った」という井上悪な左フックからのコンビネーションダウンを奪うと、立ち上がりざまガード越しに猛ラッシュ。あろうことか試合時間112秒殺マクドネルを沈めてしまった。1RKO世界タイトル奪取、バンタム級戦線へのこの上ないアピールであった。

そして7月の組み合わせ抽選会。WBSSの参加者はメンバーとなった。

ほとんどが敗か1敗のみ、複数回負けているテテとドネアも実績は十分と、まさにバンタム級最強を決めるに十分な8人である。ルイス・ネリ?そんな外道知らんなあ)
試合相手に逃げられ続けてきた井上にとってこれは願ってもない舞台ではあったが、初戦の期決着も相まってバンタム級リングでは経験値を積めていない。優勝予想オッズ1.6倍と圧倒的な優勝補と見なされていたとはいえ、この面子であれば初の試練ともなり得る。そう思われていたが……

階級を上げた怪物進化は、人々の想像を絶していた。

2018/10/7に行われた一回戦は、元WBAスーパー王者ファンカルロス・パヤノとの初防衛戦。パヤノは至近距離での連打に定評があり、ラフファイトで試合をかき乱すのも得意な強である。下評では井上が有利ではあるにせよおそらくは手こずるという見方が大半だったが……

互いの隙をう立ち上がりから――2発。井上が放った、たった2発のワン・ツーがパヤノの意識を刈り取った。試合時間70、再びの秒殺劇であった。
あまりにもセンセーショナルなKO世界を駆け巡り、Twitterの全世界のトレンドに「Naoya Inoue」が4位で登場する事態までヒートアップボクシング典と言われる海外名門格闘技雑誌・RINGは、この試合を2018年ノックアウトオブ・ザ・イヤー(年間最高KO)に選出した。

衝撃秒殺KOから半年後の2019/5/19、続く準決勝の相手はIBF世界王者エマヌエル・ロドリゲス。互いに敗を誇る世界王者同士のである。試合の数カ前には過熱する周囲の注と期待に井上スランプを起こした報道もあり、戦的にも拮抗した互の技術戦になるとされていた。しかし…

1Rこそロドリゲス性のカウンターセンスと闘志満々の前進に攻めあぐねるも、2Rで動きを修正するとあっという間に井上導権を奪取。立て続けに3度のダウンを奪う猛攻で敗王者の戦意を叩き折ってしまった。2R1分18TKO、まさにとも言うべき圧勝劇であった。

昇級から世界王者クラスの強者に三連勝、それも全員を1~2RKOとまさに怪物じみた戦いぶりを見せた井上の注度は更に上昇。日本メディアへの露出は急増し、海外からも熱視線が注がれるようになった。
前述の「RING」誌が認定するパウンド・フォー・パウンド(階級を無視した最強ランキング)でも井上は7位からパヤノ戦で6位、ロドリゲス戦で4位に上昇。日本人ボクサーとしては初めて、同誌の表を飾った。
加えて念願の海外進出について、村田諒太ロマチェンコが所属する米国の大手プロモーター・トップランク社が契約を持ち掛けられているとの報道も。中重量級が流の海外ボクシング行でも、井上なら「稼げる」という評価の明であった。

遂に世界は井上尚弥を知ったのである。

レジェンドとの頂上決戦、初の試練

WBSS決勝の相手はノニト・ドネア。かつて閃光と謳われた左フック武器に五階級を制覇、歴史に名を刻んだ選手である。
既に全盛期を過ぎて久しいとされ、下評は井上有利の予想が圧倒的。しかし歴戦の王者は「勝つことは分かっている」「私がバンタム級戦線のトップに再浮上する一戦になる」と、一種然とした不気味な自信を滲ませていた。
日本ボクシングファンの間でも絶大な人気を持つレジェンドと、今まさに世界スターダムを駆け上がらんとするモンスター決戦とあって内外の注度は最大級。会場のさいたまスーパーアリーナ平日開催にも拘わらず日本ボクシング行としては異例の22000席が即座に売し、NHK実に半世紀ぶりのボクシング中継を行うと発表した。

2019/11/7、アリーナを埋め尽くす人々が見守る中で決戦ゴング。立ち上がりは井上が優位に立って攻め込むも2R、絶妙のタイミングで入ったドネアの左フックが試合を一変させる。瞼をカットした井上キャリア初の流血を強いられ、加えて眼窩底骨折で視界の焦点が合わない状態に。全身を使った強打と精密な距離感、井上の大きな武器をまとめて奪われる緊急事態であった。
戦前から「ドネアが勝つには伝家の宝刀・左フックワンチャンスを掴むしかない」との見方が大半だったが、望み薄ともされた勝ち筋をレジェンドはこの大一番で通してのけたのである。

思わぬ逆に立たされた井上はこの状況でなおもペースを握り、幾度もドネアをぐらつかせる。しかし上の階級を知るドネアタフネス経験値、そして全盛期の切れ味を取り戻した左フックプレッシャーが攻め切ることを許さない。
9Rには一気に攻勢に出たドネアの右ストレートカウンターで浴び、大きくよろめく場面も。ジム大橋会長ですら初めて見る姿、それは井上が直面する最大のピンチであった。
しかし、井上は倒れない。数多の強者を葬って来たドネアの剛腕に怯むどころか攻めに転じると、片眼ながら負けず劣らずの攻撃で逆に追い込んでいく。11Rには警され続けた左ボディが遂に直撃し、この試合で初めてのダウンを奪った。
一方、ネアも屈しない。決定的と思われたダウンから限界以上に時間を使って立ち上がると、こちらも井上パワーに臆せず最後まで逆転を狙う。
哮と共に襲い掛かるドネア、迎え撃つ井上。判定に持ち込まれたこの試合は大半のラウンドをコントロールし決め手となるダウンを奪った井上が3-0で勝利し、WBSS優勝バンタム級最強の栄冠を手にした。
後にドラマインサイタマと称され、RING誌を含む複数の海外メディア2019年最高の試合と讃える歴史的な名試合であった。

未知数とされていた逆での対応をも明した井上は、「ようやく世界戦が出来た気分」「数えきれない程多くのものを受け取った」と試合を振り返る。試合後にはトップランク社との契約と次戦のラスベガス開催を正式発表、本格的な海外進出が決まった。

長い空白、ラスベガス上陸

対戦相手不足から解放され、直後にはラスベガスでWBO王者ジョンリルカシメロとの統一戦が発表されていた井上。しかし待ち受けていたのは、新型コロナウイルスの感染拡大による業界の長い停滞だった。
行どころではない状況にカシメロ戦は立ち消えとなり、次戦の予定は全くの不透明に。練習すら万全には行えない日々が続いた。

際試合を開催する体制が少しずつ出来上がった9月、発表された防衛戦の相手はジェイソンモロニー。WBSSではロドリゲスに敗れるも、その後WBO世界ランキング1位まで駆け登っていた試合巧者である。
会場はラスベガスMGMグランドアリーナ内に設けられた専用施設『ザ・バブル』。井上念願のラスベガスデビューとなる一戦は、底的な検・隔離体制のもと試合自体も無観客という環境で行われることになった。

2020/11/1(現地時間10/31)、不安要素はありつつも約一年ぶり4回の防衛戦は事開催された。
序盤から試合を握した井上は食い下がるモロニーを終始攻め立てながらも冷静にコントロールすると7R、相手のコンビネーションの隙間をカウンターで一。盤石の試合運びと鮮KOで「第二章(本人談)」の開幕を飾った。

モロニー戦のあとは本格的に四団体統一をすも、各団体の都合や対抗王者達のトラブルでこれが停滞。敵と呼べる相手が存在しない中での防衛が続く。

2021/6/20(現地時間6/19)、ラスベガスにてマイケル・ダスマリナスフィリピンIBF世界バンタム級1位)との名試合。左ボディで3度のダウンを奪い3回途中TKO勝ちを収める。

続く2021/12/14、久々内開催となった防衛戦の相手はアラン・ディパエン(タイIBF世界5位)。日本ボクシングでは初のPPV(ペイ・パー・ビュー、一番組単位で視聴料が発生する配信形態)形式の行となった。試合は挑戦者の驚異的なタフネスられはしたものの、反撃の糸口を与えない一方的な試合展開で8RTKO勝ち。

レジェンドの復活と再戦。時代の最強ボクサーの座へ

井上が中々ベルト統一に辿り着けずにいる一方、井上との一戦を糧に心を燃やす男の姿があった。あろうノニト・ドネアである。WBSS決勝で敗れてなおを上げたレジェンドは、井上との再戦をモチベーションにめてバンタム級で再起。当時敗だったWBC王者ウバーリを圧巻のKOで沈め、くも対抗王者の地位を手に入れる。更に井上対ディパエンと同じタイミングWBC暫定王者ガバリョに挑むと、こちらもKOでの勝でWBCのベルトを統一。かつてバンタム級無敵を誇った姿を取り戻し、今やキャリア第二のピークと言われるきを見せていた。
そんなドネアの姿に井上も「バンタムで戦うならもうドネアしか居ない」と再戦を熱望。こうして両者のは再び交わり、WBA・IBF王者井上WBC王者ドネア三団体統一戦が決まった。

久々ビッグマッチはかつて苦戦を強いられ、そこから更にを増したレジェンドとの再戦。そして、勝者は史上9人の四団体統一に王手を掛ける大一番。
内ではAmazon prime(欧はESPN)の独占配信となったこの試合は、アメリカTwitterレン一位に「Inoue」が入るなど世界が固を飲んで見守る一戦となった。

2022/6/7、再びのさいたまスーパーアリーナで迎えた決戦。1Rから高等技術とKOパンチが飛び交う中、高速の応酬を制した井上がいきなりダウンを奪う。歴戦のドネアをして「自分が倒れたことに気付かなかった」芸術的な右カウンターであった。
これが決定打となり、2Rで更にギアを上げた井上はドネアを圧倒。冷なまでの攻勢から最後は左フックでレフェリーストップを呼び込み、完全勝利日本人初(バンタム級では世界初)の三団体統一を決めた。

ネアパフォーマンスが一戦以降かなりの充実を見せていただけに、それを再戦で粉砕した井上の評価は盤石のものに。「RING」誌のPFPランキングでも遂に1位に選出された。いわゆる「世界最強ボクサー」の座に日本人が選ばれるのはもちろん史上初、軽量級出身の王者としてもパッキャオやロマゴン位しか前例のい快挙である。

バンタム級最終章

2022/12/13、有明アリーナにWBO王者ポールバトラー(英国)を迎え四団体統一戦に臨み、11ラウンド途中TKO勝ち。ボクシング史上9人四団体統一王者となった(WBA8度IBF6WBC初の防衛+WBO奪取)。中はバトラーの堅守からカウンターを狙うスタイルでラウンドが進んだが、井上バトラーのパンチを誘発すべくノーガード戦法を繰り出すなど、それに動じず優位の試合運び。そして11R、得意の左ボディが当たるとバトラーは万事休す。そのまま井上のラッシュが炸裂し、ワンチャンスバンタム級ラストマッチを締めくくった。

ボクシングにおける四団体統一は日本人アジア地域出身者としても初であり、さらに4団体のタイトルマッチを全てKO決着としたボクサーは史上初めてのことだった。試合後に井上スーパーバンタム級への転向を宣言。ければ来年5月に転向後初戦のカードが組まれ、ボクシング史上初の2階級王座統一に向けて動き出すことになる。

今回も地上波等のテレビでは中継されず、dTVにて独占配信(欧は従来通りESPNでの中継)。今後も高騰する放映権をカバーできる動画配信サイトによる争奪戦が展開されるだろう。

WBOは12月20日付で井上世界バンタム級スーパー王者に認定した。WBOはスーパー王者が上位または下位の階級に転向した場合、転向後の階級での名挑戦権を付与する規定がある。

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井上尚弥

1472 ななしのよっしん
2022/12/31(土) 15:43:39 ID: 4zZIQ5GEL0
ネア戦(2回)のボクシング関係者のリアクション動画上げてるけど、フェイントカウンター取ったシーンで皆んな「なんやコイツ....」って絶句してるのすげーな
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1473 ななしのよっしん
2023/01/06(金) 12:22:46 ID: gKKC3jhjCm
フルトンは次戦Feにあげるんでほぼ確定みたいだね
一応その次はSB井上とやることに含みは持たせてるけど
MJも次戦は名試合だし、井上SBで調整試合挟んでもいいんじゃないだろうか、試合間隔的に
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1474 ななしのよっしん
2023/01/17(火) 11:54:13 ID: Ox7aAOBXLy
ほぼほぼアリームで確定な気がするな。
まぁフルトンとしてもフェザーでフィゲロアとやるの、SB井上とやるの、どっちがいいビジネスかって言われたらそりゃ前者に決まってるし、そもそもフィゲロア戦は井上の統一前からほぼ内々定してた話だからしゃーない。
フルトン返上前提で考えてアリームとWBO王者決定戦→アフマダリエフと順調に進めればいいけど、多分防衛挟みながら先にWBC新王者との対戦探る事にはなるんだろうな……
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1475 ななしのよっしん
2023/01/19(木) 10:15:07 ID: Ox7aAOBXLy
と、思ってたけどフィゲロアが別の相手を模索し始めて、井上先にフルトン日本でやる交渉進めてるのか。
これは熱いニュースだな。
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1476 ななしのよっしん
2023/01/19(木) 10:21:06 ID: sK8JALhBig
フルトン当人のインタビューだと「まずフェザーには上げるけど井上と戦いにSバンタム戻る可性はある」とのことなので本命はフィロゲア戦だろうし、やるやる詐欺はこの業界の常なのであんまり期待しすぎるのも待ったほうが良さそう
もちろん実現するなら願ってもない展開だけど
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1477 ななしのよっしん
2023/01/19(木) 20:07:55 ID: Qbf6AMHhTv
フルトン側と条件で合意して5月日本で対戦とESPNが報じてるね。
これで確定してほしいなぁ
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1478 ななしのよっしん
2023/01/19(木) 21:22:15 ID: gKKC3jhjCm
ボクシングにおける交渉中は、ハリウッドの「◯◯を原作とした企画が進行中」と同じ
対戦に合意、は「制作は順調に進行中(意味深)」と同じ

知らんけど
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1479 ななしのよっしん
2023/01/20(金) 02:52:01 ID: e/T4t1Goye
いきなりフルトンのベルト2本もとっちゃったら速攻でスーパーバンタム統一しそうだわ井上
逃げないのえらいわ
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1480 ななしのよっしん
2023/01/20(金) 14:59:25 ID: gKKC3jhjCm
仮に元に収まっても別に逃げたとは思わんけどな
井上というpfpトップクラスとやるか、フェザーという人気階級でやるか、どっちが得かは必ずしも断言できないと思うし
対戦リスクを言うならvsフィゲロアだって前回対戦時は2-0なんだから十分リスクあるし
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1481 ななしのよっしん
2023/01/23(月) 16:48:49 ID: gkFbudAcKD
フルトンには井上戦やるメリットしかないからね
勝ったら一気にPFP、負けても彼にとっては法外なファイトマネーを得られる
VSフィゲロアなんていつでもやれるし、今が彼の売り時
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