グランド・セフト・オートIV(Grand Theft Auto IV)は、アメリカRockstar Games社から発売されているクライムアクションゲーム。略称はGTA4。欧米諸国では2008年4月29日発売。
概要
GTAシリーズ通算9作目に当たる。プラットフォームは、PlayStation3、Xbox360、Windows。
HD対応ハードに始めて進出した作品であり、従来のシリーズに比べて格段にリアルに再現された都市やアクションが特徴。
「チャンスの街」であると同時に「アメリカ最悪の街」と呼ばれる、人口800万人の大都市リバティーシティを舞台に、不法移民である主人公ニコ・ベリックが仲間と出会い、時に裏切られながらも奮闘する様子が描かれる。
全世界で累計2500万本を売り上げ、当時『GTASA』(累計2750万本)に次ぐシリーズ2位の売り上げを記録した。2015年4月現在、続編である『GTA5』が累計4000万本を突破しており、GTA4の売り上げはシリーズ3位となっている。
ゲームシステム
それまでのシリーズ作品とは比べ物にならないほどグラフィックが向上しており、それに伴う形で非常にリアルな都市が再現されている。建造物はもちろん、都市を囲む水面の表現は今尚高評価である。
また、多額の予算をかけ、モーションキャプチャーで非常に多くの動きを取り入れており、人のアクションや挙動のリアルさとバリエーションが増している(車を盗むにしても、ガラスを割る→ドアを開ける→回路を弄る、という流れを経て初めて車が動くようになるという演出が用意されている)。
物理演算の精度も上がっており、車の挙動・ダメージ表現も現実に近くなっている。
アクションも進化しており、特に、R1・RBボタンで、近くの構造物に自動で身を隠すシステムが特徴的。これにより、身を隠しながら相手を銃撃するというスタイルが確立され、棒立ちで銃をぶっ放しあっていたそれまでの戦いと比べ緊張感と快適性が増した。
また、射撃や攻撃、運転時のアクセル・ブレーキが、ほぼ全てトリガーボタンに集約されたため、右スティックによる視点操作・ターゲッティングが常に可能になった(それまでは親指で押すボタンに攻撃やアクセルが割り振られていた)。そのため、ターゲッティングと射撃がスムーズに行えるようになり、運転中の射撃も容易になった。
警察の指名手配システムも大幅に進化しており、犯罪行為に及ぶに当たって、警察官の目にそれが入っているかが指名手配開始の鍵となるようになった(通行人が通報して指名手配になることもある)。また、解除にあたっても、レベルに応じた捜査範囲が都度マップに表示され、それを抜け出さないとレベルが減らないようになっている。
そして、警察や特殊部隊のAIが大幅に進化しているため、高レベルの指名手配状態では、それまで最強と呼ばれていた『GTA3』の州軍をも超える恐ろしさを発揮するようになっている。
全体として、それまでシリーズに漂っていたバカゲー的な雰囲気が大幅に削減され、現実世界に非常に近い舞台が用意されたといえる。
裏を返せば、従来作品で可能だった無茶なアクションの多くが不可能になっている。特に、戦車や戦闘機の削除は多くのファンに不満を残した。
また、PlayStation2時代のシリーズの最終形であった『GTASA』と比べると、航空機や自転車が無く、マップのほぼ全域が都市で山や川などの自然が殆どないなど、行動範囲やアクションの自由度は下がっている。
HDハードに対応したことで、Windows版の要求スペックも、それまでと比較にならないぐらい跳ね上がった(具体的には、マルチコアCPU、2.5GB以上のメインメモリ、1GB以上のVRAMを備えたグラフィックボードなど)。
舞台
『GTA』『GTA3』に続いて2度目の再構築がなされた、全く新たなリバティーシティが舞台となっている。
ニューヨークがモデルになっている人口800万人の大都市で、現実のニューヨークと同じく様々な人種であふれる「人種のるつぼ」と言われている。
盛んな商業・工業と多種多様な人材から、「チャンスの街」と呼ばれているが、一方、それぞれの人種が犯罪組織を作り、絶えず権力争いをしているため、治安はかなり悪く、『GTA3』に引き続いて「アメリカ最悪の街」の称号も持っており、メディアでは「住みたくない街第1位」にランクされている。因みにその1年後のリバティーシティが舞台であるGTACWではチャンスの街の称号が消されており、不名誉な「アメリカ最悪の街」の称号だけ残ってしまっている。
構成自体は『GTA3』でのリバティーシティと似ており、大まかには、現実におけるブルックリンをモデルにしたエリア、マンハッタン島をモデルにしたエリア、ニュージャージー州の都市をモデルにしたエリアの3つに分かれている。
一番東の島はブルックリンがモデルで、同市がモデルの工業地区「ブローカー」と、クイーンズがモデルの「デュークス」の2地区がある。その北にはブロンクスがモデルとなった「ボーハン」という小さな島が隣接している。そしてそれらの西に隣接する市最大の島が、マンハッタンをモデルにした巨大商業地区「アルゴンキン」である。
そのさらに西にある島は、一見するとリバティーシティのようだが、実はこれは正確には隣の「オルダニー州」である。
アルゴンキンは特に現実の都市に近いデザインであり、セントラルパークそっくりの公園や、エンパイア・ステート・ビルディングやクライスラービルにそっくりな高層ビル、ブロードウェイそのままの通りがあったりと、殆どニューヨークのマンハッタン島をそっくり再現している。
アルゴンキンとオルダニーの間には、リバティ島ならぬハピネス島があり、自由の女神ならぬ「幸福の女神」像が鎮座している。その顔は『GTASA』のセックス描写発掘MODにケチをつけてきたヒラリー・クリントンに似ており、掲げているのは問題の発端となったホットコーヒー、さらに内部には茨まみれの気持ち悪い心臓があったりと、いわばヒラリーへの嫌がらせの化身である。
『GTA3』のリバティーシティと比べると、ハード性能の上昇のおかげで行動範囲が飛躍的に増しているため、高層ビルなどのスケールが非常に現実に近いものになっており、比較にならないほど違いがあるといってよい。面積にしても、『GTA3』の4倍以上、『GTASA』に肉薄する広さである。
オンライン
今作はオンラインプレイに標準対応しており、ネット回線を通じて、コンシューマ版は最大16人、PC版は最大32人でプレイできる。
内容は様々で、最後の1人になるまで戦うデスマッチや、チームに分かれて戦うチームデスマッチなどの基本的なルールのほか、警察とマフィアに分かれて、ボスの護衛など特殊な目標達成を目指すルールなどもある。
また、人数は限られるが、オンライン専用のミッションに協力して挑戦することも可能。
もちろん、フリーモードで自由に街で遊び続けることも出来る。
ちなみにオンラインプレイ時は、車の走行量がオフラインキャンペーンモードに比べて多少減る。
ストーリー
主人公ニコ・ベリックは、30歳になる今までどん底の人生を歩んできた。
父親からの虐待に耐えた幼少時代を経て、成人する前に戦争に駆り出される。
しかし所属していた部隊が内部の裏切りによって自分を含む3人を除いて全滅。仲間を失ったニコは部隊を売った裏切り者に復讐を誓う。
戦後、職もないニコはロシア人の下で裏稼業を手伝い糊口をしのいでいたが、濡れ衣を着せられ国を追われる。
一方、従兄弟のローマン・ベリックはアメリカの大都市「リバティーシティ」で成功を収めていることを知り、更に部隊の生き残りの一人がリバティーシティにいることを掴んだニコは、貨物船「プラティパス号」で働きながらリバティーシティを目指した。自らの過去を精算し、従兄弟と共にアメリカンドリームを謳歌する生活を夢見ながら。
しかし、夢は儚い夢でしかなかった。ローマンがアメリカンドリームを掴んだなどという話は嘘っぱちで、実際は倒産寸前のタクシー会社で、借金取りに追われながら生計を立てていたのだ。
今さら後に引けないニコは裏の仕事に手を出すが、そのうちに「アメリカ最悪の街」としてのリバティーシティが彼に牙を剥き、どんどん大きな事件や騒動に巻き込まれていく。
彼は、成功を掴むため、そして、街のどこかにいるという「裏切り者」を見つけ出して過去に決着をつけるため、ローマンや街で出会った仲間たちと共に奮闘する……。
どん底にある主人公が成功を掴む、という点では従来作品とあまり変わらないが、バカゲー的な雰囲気と、裏切りにまみれてはいるものの陽気なサクセスストーリーの要素が強かった従来と違い、陰鬱でハードな展開が多い。
今作の特徴として、いくつかのミッションで、ターゲットの命を本当に奪うかどうかがプレイヤーの手に委ねられるという点がある。具体的には、ビルの縁にしがみついて今にも落ちそうな人間を助けるかどうか、といった調子である。ミッションの流れがほぼ完全に固定だった従来との大きな違いである。
序盤のミッションをはじめとして、殺した場合と殺さなかった場合でプレイヤーが後で享受出来るメリットが変化したりする(ネタバレ注意→例えば、後半プレイボーイXを殺しちゃえば彼の豪邸とGTA3の主人公の服が手に入る)。
また、シリーズ史上初めてマルチエンディングとなっており、終盤、2通りのエンディングを選ぶことになる(ネタバレ注意→どのルートでも報酬は一緒で、敵の生死も一緒なので、その後のプレイには大きな影響は与えない。しかしそれ以上に、どちらを選んでも結局、ニコの大切な人が殺されたり彼の元を去ったりするというアメリカンニューシネマ的な欝エンドを迎えるという点で、プレイヤーの精神に与える影響が大きく、従来のシリーズとは一線を画している)。
主要登場人物
- ニコ・ベリック
主人公。2008年時点で30歳の東欧人。掘りが深い顔立ちと長く大きな鼻、無精ひげが特徴。
セルビア育ちで、ユーゴスラビア紛争に参加していた元軍人。いいことなしの人生に別れを告げ、紛争の最中に自分たちを売った裏切り者を探し出すために、リバティーシティを訪れた。
元軍人だけあって銃器の扱いや格闘能力が優れており、裏の仕事に手を染めることもいとわない。圧力に対しては断固反発するし、仲間を傷つけられれば、容赦なく壮絶な報復を行う。ただし、自身は非常に常識的で真面目な性格であり、まっとうな生活を掴むことを夢見ている。
『GTA5』で彼の“その後”が少しだけ語られている。現在はローマンのタクシー会社の運転手として働いておりライフインベーダーでローマンの誕生日を祝う投稿をしている。つまり『復讐』を選び犯罪から足を洗った可能性が非常に高い。 - ローマン・ベリック
ニコの従兄弟。2008年時点で31歳。元軍人のニコとは対照的な、締りの無いおっさん。
10年前にリバティーシティに渡っており、ニコには「アメリカンドリームを掴んだ」と嘯いていたが、実際には倒産寸前のタクシー業者を経営しているだけである。
態度はでかいが不真面目で気弱で、酒とギャンブルが大好きなダメ人間。しかもよくドジを踏み、そのたびにニコに救われている。しかし、根は従兄弟思いな所謂「憎めない奴」で、能天気で立ち直りが早いため、ニコ達の支えになることもある。ただし、あまりにも立ち直りが早い場合もあり、その時はニコに呆れられている。
街の権力者に虐げられた末、ニコ達と共にのしあがっていくことを決意する。 - リトル・ジェイコブ
ジャマイカ人ギャング。ローマンの数少ないお得意様で、ニコと出会ってからは彼の腕にほれ込み、彼に仕事を提供するほか、共に困難な仕事に挑戦し、親友になる。
気のいい男で、冷静沈着で的確な判断力を持っており、度々ニコ達の大きな助けになる。ただ2つの欠点は、常に大量に大麻を吸っていないと我慢できないという点と、ジャマイカ特有のラスタファリ英語を話すため度々話が意味不明になる点。彼と一緒に車に乗ると、大麻の白い煙で車内が見えなくなってしまう。 - ブルース・“ブルーシー”・キボッツ
高級自動車ディーラーの経営者。
とにかく自分の筋肉が大好きな筋肉フェチで、体はムキムキ、頭はスキンヘッド、そしてその中身つまり考え方までマッチョな男。要約すると「いつかアメリカン・ドリームをこの筋肉で掴む」となるような、よくわからない目標を立てている。
能天気で単純である点でローマンと馬が合うのか、彼とは友人。ニコが街に来てからは彼に仕事を与えるようになり、うやがて友人になった。
左胸に「我」という漢字タトゥーを入れている。
誰に対してもお調子者の彼だが、モーリという兄に対しては唯一頭が上がらない。
『GTA5』ではあるステロイド製品のスポークスマンになっており、ネット広告で彼の姿が見られるほか、『GTAO』では直接その姿を現しプレイヤーに接触してくる。 - パトリック・“パッキー”・マクレリー
アイルランド系小規模マフィア「マクレリー兄弟」の一員。
エリザベートという女性に関するミッションでニコと知り合い、やがて彼をマフィアの重要な協力者として認め仕事を与えるようになる。中盤以降重要な仲間となり、今作屈指の人気ミッションである銀行強盗ミッションでは、ニコと共に兄弟揃って前代未聞の強盗に挑戦する。
『TBoGT』にて、空港からリバティーシティを去っていくのが見られる。
彼を含むマクレリー兄弟が中心になった強盗ミッションは、続編『GTA5』のキーワードが「強盗」になるほどの人気を得たが、パッキー本人がその『GTA5』に登場している。マップにランダムで現れる彼を見つけて仲間にすると、強盗ミッションの協力者として選択が可能になる。報酬が高めだが腕は良いので探してみよう。また、プレイヤーの選択によっては、カルト集団に送り届けることも可能。なお、『GTA5』の時代では、ニコとマクレリー兄弟の強盗は裏社会で有名になっているようだ。
ちなみに、『GTA5』で彼が語ったところによると、彼とニコは今作以降一切連絡をとっていないらしく、死んだと思っている。
その他
それまでの作品と比べてあまりにもリアルになりすぎたため、残酷表現は抑え目(とは言え爆殺したり車でひき殺したりするとやっぱりエグい)になっており、シリーズ恒例の暴動チートはお蔵入り (3Dになって唯一)となっている。
Windows版の発表・発売以後、MOD製作と導入が盛んになった。
特に、いわゆる廃スペックのPCであれば、グラフィックにいくつかのシェーダを加え、『GTA5』をも超えるレベルの美麗なグラフィックを実現するMODが導入できる。また、上述した暴動チートも、MODでなら再現可能。
また、Windows版にはGTA4VEというモードが導入されている。これは、プレイを録画しておいて、好きな視点から再編集が可能なおまけモード。
キャッシュの都合上弾痕や血痕が再現されなかったり、既存のムービーには手を加えられなかったりと多少癖があるが、バカなプレイから、映画の再現まで多様な動画が製作可能であり、オリジナル短編を製作するファンも多い。
詳しくはGTA4VEの項を参照。
DLC
『The Lost and Damned(TLaD)』と『The Ballad of Gay Tony(TBoGT)』という、2つのダウンロードコンテンツが発売されている。
詳細は、『TLaD』『TBoGT』の項をそれぞれ参照。
いずれもリバティーシティを舞台にした追加ストーリーだが、ミッション数やエピソードの数的には殆ど新作と読んで差し支えないレベルのボリュームを誇っている。また、乗り物の種類も増えているほか、パラシュートなど新たなギミックが追加されたりしている。
『TLaD』は、本編に登場したバイカーギャング「ロスト」の副リーダー・ジョニーが、『TBoGT』はリバティーシティのナイトクラブの伝説的経営者の右腕であるルイス・ロペスが、それぞれ主人公である。本編とほぼ同時期の物語で、本編のキャラクターが絡んでいたりする。
『TLaD』は本編同様ハードな物語だが、『TBoGT』は従来作品に似たサクセスストーリーとなっている。
ちなみに、ジョニーをはじめとする、『TLaD』の「ロスト」主要メンバーは、『GTA5』にて悲惨な末路を辿る。
PlayStation3での導入がXbox360に比べてかなり遅かったため、一部ファンが不満の声を上げていた時期もあった。
現在は、『GTA4』本編とこれらの2つのDLCが1つになったパックが発売されている。今から『GTA4』を遊ぶならこちらを買うと良い。
関連動画
ニコ動ではプレイ動画の他、スポット巡りやオンラインプレイ動画、手配レベル6から逃げるシリーズ、安全運転シリーズな どの動画が多いが、中には他人のボウリングの球を蹴りで弾く等のバカプレイ動画もうpされている。
WIndows版発売以降はMODを使ったカオスモードやムービーなども多くうpされるようになったが、当初は主人公のモデル全体を入れ替えるスキンが無かったため、頭身や体型が大きく異なるキャラクターのスキンは存在せず、本編のキャラクターやストーリーが主体のMAD動画が殆どであった。
2011年10月下旬、遂に頭身の異なるキャラクターのスキンが導入可能となり、今後の動向が注目されている。
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