概要
機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINYとは、1996年から97年にかけて製作された、全3部作のセガサターン用ソフトである。
ガンダム外伝シリーズの第一作目であり、小説版や漫画版も出版されている。
ストーリー
宇宙世紀0079、地球連邦とジオン公国との戦争が始まって11ヶ月。オデッサ作戦での大勝により、地球上での勝利を確実なものとした連邦軍は最終的な勝利をつかむため、本格的なモビルスーツ(MS)による実験部隊、第11独立機械化混成部隊(通称、モルモット隊)を編成した。彼らの使命は、あらゆる状況下でのMSの実戦データの収集だった。部隊のエースパイロット、ユウ・カジマは、夜間敵基地強襲任務後に謎の蒼いMSの強襲を受ける。その機体は味方であるはずのジムタイプであった。
異常なまでの機動力と攻撃力を持つその機体を、何とか撃退したユウ達モルモット隊。だが、これはユウと蒼いMSとの因縁の始まりでしかなかった。
ゲーム概要
FPS方式のコクピット視点による3Dシューティングゲーム、自分の操縦する機体を見ることはできない。
各巻につき5ステージあり、クリアしたスコアと設定難易度によってランクがつけられ、全てのステージをA以上でクリアすると、ユウの階級が一段階昇進する(少尉から始まり最高で少佐まで)。昇進したデータは次の巻に引き継げ、最終的なエンディングで語られるユウの戦後の消息が変化するマルチエンディング。
主人公の搭乗MSがジムという当時では斬新なアプローチ、「ブルーディスティニー1号機」の圧倒的な存在感、スピード感あふれる操縦感覚などから人気を博し、高い完成度を持ったゲームである。
また、下記「登場人物」欄に記載されているような豪華声優陣の熱演も雰囲気を盛り上げている。
後にPS3ソフト『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』においてリメイク。
FPS視点からTPS視点に変わったものの、その臨場感・スピード感は健在である。
また、当作オリジナルのガンダム外伝である「ミッシングリンク」の面々との協力作戦シナリオも追加された。
登場人物
地球連邦軍
ユウ・カジマ
地球連邦軍のエースパイロット。以前は戦闘機乗りであったが、開戦後にジオンのMSザクと交戦。撃破はされなかったものの、今後はMSが戦場の主力になると考えMSパイロットとなった。地球連邦軍では数少ない開発当初からのMSパイロットである。
搭乗機はジム・コマンド(モルモット隊仕様)→ブルー1号機→ブルー3号機→ジム・コマンド(ユウ・カジマ専用機)
性格は寡黙で、どちらかといえば射撃戦が得意であるとのこと。腕前は、ゲーム中でおまけモードとしてプレイできる戦闘シミュレーター上で、アムロのガンダム(恐らくジャブロー帰還時)に勝つことができるほどである(ただしプレイヤーの腕前次第だが)。
暴走したブルー1号機を撃退した際の戦いぶりを評価されて、ブルーのパイロットとして選出される。ゲーム中ではMS撃墜数が100を超え、地球連邦軍エースパイロットトップ5にランクインできる数だが、EXAMシステムに関する記録はすべて公式から抹消されたためランクインできなかった。
なお、小説版によると映画「逆襲のシャア」でアクシズから弾かれたギラ・ドーガの手を掴んだジェガンに乗っていたのはユウである。
名前の由来は「プレイヤーであるあなた→YOU」、プレイヤーの分身として原作ゲーム中には台詞が存在しない。それゆえGジェネなどのゲームでは「無口で寡黙」という設定付けがされており、初期作品では終始無言である。
ただし漫画版や小説版では当初から口数は少ないが相応に喋る様子を見せており、近年ではゲームにおいても山寺宏一、諏訪部順一によって声が当てられ、喋るようになった。
一年戦争時代の数少ない連邦軍エースパイロットで専用機持ちと設定に恵まれ人気も高く、各種媒体では機体とともに優遇されている。2011年12月には家庭版EXVSにアニメ登場キャラ・MSを差し置いてまさかのDLCとしての参戦。
フィリップ・ヒューズ
モルモット隊所属のMSパイロット。階級は少尉。声優は若本規夫。
饒舌かつ陽気な性格の持ち主だが、ジオン兵を宇宙人呼ばわりなど、服務態度には問題があるが、MSパイロットとしての技術は確かである(そもそも、モルモット隊の“MSの運用データ収集”という設立目的からして、その部隊員に高い技術が要求されるのは当然といえば当然ではある)。
小説版によるとグリプス戦役後に負傷退役した後にサイド6へ移住し、一年戦争当時からの夢でもあったパン屋を開業する、が。
ユウ曰く、「申し訳なかったが不味かった」とのこと。
なお海をみて「俺はコロニー育ちだから、こういうのに憧れちゃうのよ。 ま、これがバカンスなら、もっといいんだけどね」と発言していることから彼自身スペースノイドである事が伺える。
サマナ・フュリス
モルモット隊所属のMSパイロット。階級は准尉。声優は関智一。
フィリップとは対照的に気真面目な性格の持ち主。
小説版によると、ユウやフィリップよりも軍歴は浅いが、基本に忠実なMS操縦技術により一年戦争を生き延び、戦後はMSの訓練将校となった。
モーリン・キタムラ
モルモット隊所属の戦闘オペレーター。階級は伍長。声優は長沢美樹。
部隊に作戦内容や状況を指示する。
小説版によると、モルモット部隊のアイドル的存在で、ユウに恋心を抱いているが、それはユウ・カジマという人間ではなく「連邦軍のエースパイロットであるユウ・カジマ」という偶像に憧れているにすぎない。父親は軍人で、戦後は父親の決めた婚約者と結婚している。
アルフ・カムラ
ブルーディスティニーシリーズを担当する技術士官。声優は大塚芳忠。
戦闘中に機体に関するアドバイスをくれるなど、主人公であるユウに協力的・友好的ではある。だが、こちらが撃破された(つまりゲームオーバーの)時に「俺のブルーが!データが!」と叫ぶなど、ユウよりブルーが大事っぽい本音がうっかりこぼれることもある。
クルスト・モーゼス
ジオンではEXAMを組み込んだ「イフリート改」が開発されたがその性能に不満があり、ジオンのMSに見切りを付けて連邦に亡命。その結果、連邦でもEXAM搭載MS「ブルーディスティニー」シリーズが生み出されることになった。
設定上は重要人物だが、ゲーム中では登場しない。EXAMシステムや彼の思惑についてのさらなる詳細は「EXAM」の記事を参照。
「モーゼス博士」ではなく「クルスト博士」と呼ばれていることが多い。クルストの方が苗字なのだろうか?
ジオン公国軍
ニムバス・シュターゼン
クルスト・モーゼス博士およびEXAMを追う任務を帯びているジオン公国軍大尉。声優は速水奨。
EXAM搭載の機体「イフリート改」、そして連邦から奪取した「ブルーディスティニー2号機」を駆り、何度もユウらモルモット隊の前に立ちはだかる。ただし人物像は媒体によって大きく異なる。
詳細は「ニムバス・シュターゼン」の記事を参照。なぜか、本作登場キャラクターで唯一ニコニコ大百科に単独記事がある(2016年3月27日現在)。
マリオン・ウェルチ
クルスト・モーゼス博士によるEXAMの開発研究に協力していたニュータイプ。結局、EXAMは彼女の精神を取り込むことで完成をみている。
クルスト・モーゼス博士と同様、ゲーム中に本人は登場しない。EXAMが発動するときのシステムボイス「EXAMシステム、スタンバイ」という音声(声優:雪乃五月)は設定上は彼女の声である。
登場機体
RGM-79GS ジム・コマンド(モルモット隊仕様)
ジムの改良機。初出である『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』における装備はビームガンや曲面シールド等であるが、モルモット隊仕様は以下の点が異なる。
- 武装がブルパップ型90mmマシンガン、ビームサーベルとハンドグレネード
小説版においては、陸戦型ガンダムが使用している100mmマシンガンを装備している。また、脚部にビームサーベルを収容している点や腰部側面に予備マガジンを装備している点などから、地の文での描写はジムコマンドと言うよりもむしろ、陸戦型ジムに近い。 - シールドが六角形型で十字マークとのぞき穴が無く、上下にでっぱりがある
小説版の挿絵では、『0080』にて装備していたものと同様の曲面シールドを装備している。 - バックパックが中央下部に大型1つ、左右に小型1つの計3つ
この他にも細部の彩色が違ったりしているが、基本性能は恐らく同じと思われる
RX-79BD-1 ブルーディスティニー1号機
当初は陸戦型ジムをベースに開発されていたが、機体がEXAMシステムの要求する動きに付いていけず(小説版におけるアルフ・カムラ曰く、1分も経たずにオーバーヒートした)、急遽ベース機を陸戦型ガンダムを強化したものに変更して開発された機体。 そのためシステムが搭載された頭部のみジムのままである。
当初は「ジム・ブルーディスティニー」と呼ばれていたが、2、3号機が登場したため、この名前ではあまり呼ばれなくなった。
強化型の陸戦型ガンダムのボディは通常の17%増しのジェネレーターに加え、マグネット・コーティングを試験的に施し、運動性を約20%向上させているなど、一年戦争時のMSとしては破格の運動性を持っている。
武装面も頭部バルカンの他に、胸部機関砲を2門、腹部両脇に有線式ミサイルを追加している。手持ち武器は100mmマシンガンと三脚が外された専用の陸戦型シールド。
また、前述の通り破格の機動性を実現させるために脚部に推進剤を大量に入れているため、ビームサーベルは腰部フロントアーマーに移されている(ただし、最近のプラモデルでは脚部となったようだが、Gジェネ等ではフロントアーマーから取り出しているため、かなり曖昧となっている)。
蒼い塗装は開発者のクルスト博士の趣味と言われているが、実際は対NT用の迷彩塗装であると思われる(NTは宇宙が蒼く見えると博士が聞いたため)。
初登場は第1章「戦慄のブルー」STAGE2。撃破か一定時間生存でクリアだが、ロックオンが追いつかないスピードでこちらを翻弄し、STAGE1で操作に慣れたばかりのプレイヤーに「蒼き死神」として強烈な印象を残して去っていく。
第2章「蒼を受け継ぐもの」ではSTAGE2からSTAGE5まで自機として使用できる。
ちなみに上述のEXVSでの搭乗機体はこれである。
EXVSではコスト2000機体として登場、販売価格は500ポイント(500円)である。
今回の担当声優は諏訪部順一氏となっており、よく喋ってくれる。覚醒ゲージが最大になると「EXAMシステム、スタンバイ。」と言った風に時折マリオンの声(CV.林原めぐみ)がはいる。
メイン射撃は撃ち切り手動リロード方式の100mmマシンガン、サブ射撃は射出後、任意で切り離せる有線式ミサイル、特殊射撃はその場でビームスプレーガンを数発相手に向けて発砲するジムを呼び出す。
特殊格闘は、レバー入力で任意方向に最大4回(覚醒中は6回)まで追加入力できるサイドステップを行う。
弾幕を展開できるマシンガンや癖のあるミサイル、アシストで相手を追い詰めていく射撃よりの機体となっている。
しかし覚醒状態になると一変、頭部のカメラが赤く発光し、同時に赤い異様なオーラを纏いながら凄まじい速度で
相手に襲いかかる。移動や格闘の速度が大きく上昇し、また格闘モーションはサーベルを使用しない専用のものに
すべて変更される。さらに特殊射撃のジム呼び出しが、ジムをそのまま投擲するものに変更され、ブーストダッシュ時のモーションも若干変化する。高速で相手を追い詰め、容赦なく格闘で叩き潰す様や、勝利時の、味方ジムの頭を地面に投げ捨てる演出はまさに「蒼き死神」である。
RX-79BD-2 ブルーディスティニー2号機
1号機と異なり当初から陸戦型ガンダムをベースに製造されたため、頭部はガンダムタイプとなった。宇宙空間での運用を想定し、バックパック及び各部スラスターの換装が行われている。ただし、1号機や3号機と異なりEXAMシステムに対する時限リミッターが搭載されていない為、暴走する危険性がある。携行武装として陸戦型ガンダムのものと同型のビームライフルとジム・コマンド系のものと同型の曲面型シールドを装備する。
ジオン軍特殊部隊によって強奪され、ニムバス・シュターゼンの2番目の乗機となる。元々は全身が蒼い塗装だったが、イフリート改と同様、ニムバスのパーソナルマーキングとして両肩が赤く塗装された。
RX-79BD-3 ブルーディスティニー3号機
本来は1、2号機のパーツ取り用の予備機だったが、強奪された2号機の追撃任務を受け急遽実戦投入された。そのため機体の再塗装が間に合わず、機体カラーは陸戦型ガンダムと同系のホワイト、ダークブルーとなっている。また、後に本機も宇宙用に改装されている。携行武装はビームライフルとシールドで、スペック上は2号機と同等だが違いとしてはEXAMシステムに1号機同様の時限リミッターが設定されている。
損傷した1号機に代わり、ユウ・カジマの乗機となる。地球上での数回の任務の後、ジオン公国軍のEXAMシステム実験施設コロニー調査任務に投入され、直後に発生したコロニー外部宇宙空間での戦闘で、公国軍に奪取されていた2号機と交戦、相討ちとなり大破した。
イフリート改
「イフリート(ガンダムシリーズ)」の記事を参照。
関連動画
関連静画
関連項目
- 7
- 0pt