鉄人 タイガーセブン |
とは、「風雲ライオン丸」の後番組として放送された、ピープロ制作のタイガーヘッドとゴールデンタイム放送の番組とは思えないハードさに定評のある特撮ヒーローTV番組である。獅子の次が虎かよとか言う子はマグマ原人と熱い抱擁だ!
タイガー!スパーク! |
※1973年10月6日から1974年3月30日までの毎週土曜午後7:00~7:30のゴールデンタイムにフジテレビ系で放映。全26話(打ち切り)
概要
痛快明朗な時代劇アクションが大成功した「怪傑ライオン丸」の後番組として、ハード路線で挑んだ「風雲ライオン丸」が視聴率低迷から打ち切りとなった後に制作・放映された作品が「鉄人タイガーセブン」である。
※ピープロの没企画「パーフェクター・ムー」を元にしており、タイガーセブンの胸のイナズママークや主人公の名前に元企画の面影が残っている。
ウルトラマンそして仮面ライダーの大成功により、特撮ヒーロー番組が氾濫し、1972~1973の間だけでも
と言った数の番組が放送されていた事から、
※「鉄人タイガーセブン」のマスクは、「怪獣の父」とも呼ばれ、「怪傑ライオン丸」「風雲ライオン丸」でもライオン丸のマスク造型にその腕を見せつけた高山良策の手により、全面に植毛を施された虎面のマスクが制作された。
「怪獣ブームの次は妖怪ブーム」と読んだピープロ代表のうしおそうじ(鷺巣富雄)の意向もあって、怪奇色を明示した作品を制作する事になり、子供番組のフォーマットから大きく逸脱しない作品作りを手がける東映や、巨大ヒーローで押す円谷プロ作品との差別化もあってか、風雲ライオン丸での失敗に懲りずに「鉄人タイガーセブン」は、
といった特撮ヒーローの暗黙の了解を打ち破るハードな展開と、怪奇性を前面に出した子供が夜中に見たらちびってしまうほどにおどろおどろしい敵という死亡フラグを選択した。
※「仮面ライダー」が怪奇性で子供受け悪く打ち切り寸前だったところを、主役交代のアクシデントによるイメージ切替成功は、本作の企画陣には「まだブームではなかった」とでも読んだのだろうか・・・
前作の「風雲ライオン丸」でも、人間同士のエゴのぶつかりあいや、命惜しさにヒーローを見捨てる一般人や、次々と死んでいく仲間たち、そして爽快さの無いラストといったハードな要素を描いて営業的には大失敗していたが、「鉄人タイガーセブン」では、正体を隠す為に、敵の出現にあわせて身を隠し、タイガーセブンとなって現れる主人公「滝川剛」に対して、本来仲間であるべき者達から
「肝心な時にお前はいない」
となじられたり、
と言うショッキングなシーンを、吹き替えや少年を見せないようにするといった配慮なしに直接的に表現する等していた他、「風雲ライオン丸」で救いようのない回の脚本を担当していた高際和雄が後半から参加し始めると、本作でも有名なエピソードである、
- 主人公「滝川剛」が変身した際に乗り捨てたバイクが少年をはねる
- ムー原人と仲良しになった少女がムー原人と手をとりあって死ぬ
- 数日後に人工心臓が止まって死ぬ事を知り、正義の味方である事を捨てて自暴自棄になる主人公
- 最後の敵を倒しても、二日後には人工心臓が止まってタイガーセブンが死ぬ事が回避されないラスト
といった路線を爆走し、大方の予想通り怪奇性重視の怖い演出が子供受けせず、ハード路線も特撮ヒーロー然として子供受けを狙ったような戦闘シーンとの間でちぐはぐ感が否めず、特にテコ入れらしいテコ入れも行わなかったこと、そして裏番組に円谷プロの「ジャンボーグA」や「ド根性ガエル」をかかえて視聴率面で苦戦した結果、2作続けての打ち切りとなった。
※明るく解りやすいアクション重視の路線に変更した次作「電人ザボーガー」は大ヒットを遂げる。
番組としては失敗したと言わざるをえない「鉄人タイガーセブン」だったが、描き出したハードな内容については、一部特撮ファンからは一定の評価を得たが、近年では、
- グローブを装着したのに何故蹴る?
と言う、必殺のファイトグローブを右手に装着した後に、なぜかキックでトドメをさす第1話のみの不可解な表現がとりあげられたり(第2話以降は、ファイトグローブを飛ばしたり、グローブをはめた右手を手刀として使うといった表現に改善されている)、いろんな意味で代名詞となってしまっている
と言うシーンを、バトルフィーバーJのバトルコサックの最期の如く、失笑する部分だけを取り出して笑いものにされる事が多いが、ヒーローとは孤独に戦い続ける者であり、ヒーローもまた死から逃れる事ができないというハードさを貫いた本作が、多くのクリエイターに影響を与えた事は事実である。
そして、長年待望されていたDVDも無事発売され、レンタル等で映像を見る機会に恵まれるようになった現在、大人の視点で(特撮部分は時代の違いを考慮しながら)見ると、以外と楽しめるのではないかとも言えるだろう。きっと・・・多分。
あらすじ
サハラ砂漠で考古学調査を行っていた滝川博士の調査隊が、一万四千年前に地上を追われて地底に封印されていたムー一族の封印を解いてしまい、有名オートレーサーながら調査隊に加わっていた滝川博士の息子・滝川剛が、砂原人スナウラミにより殺害されてしまう。
滝川博士の手により、ミイラ蘇生用に持ち込まれていた人工心臓SPの移植を受けて蘇生した滝川剛は、父である滝川博士と調査隊員達がムー一族のムー原人やギル太子により惨殺された事を知ると、父から託されていた古代エジプトに伝わる正義の鉄人を描いた虎のマーク入りペンダントと、人工心臓SPが組み合わさる奇跡により、「鉄人タイガーセブン」へと変身した。
神出鬼没で正体を現さないムー一族に対して、滝川剛の理解者である高井戸博士は、
チームワークがあれば必ずムー一族の謎を世間にさらすことができる。
と言う信念の元に、高井戸グループと呼ばれるチームを組織して、ムー一族を世間に知らしめんと尽力し、滝川剛もまた高井戸グループのメンバーとともに、自らが鉄人タイガーセブンであることを秘密にしながらムー一族との戦いを続けた。
しかし・・・
次々と降りかかる困難、仲間にすらなじられる現状、疲弊した滝川剛につきつけられたのは、人工心臓SPが停止する日が近づいていると言う「死の宣告」だった。
宿命の重さに耐え切れなくなった滝川剛は、ムー原人との戦いから逃げ出し、オートレーサーに戻ってサーキットを突っ走ったが、自分の代わりに高井戸博士が犠牲になってギル太子の手にかかった事を知ると、
思い通り生きるんだ。しかし、逃げようとはするな!
と言う高井戸博士の遺言を受け、人工心臓SPの停止まで二日も無い状況ながらムー一族との最後の戦いに向った。
そして・・・
ムー一族の長・ムー大帝と同化して最強の存在となっていたギル太子を倒し、ムー一族を滅ぼした鉄人タイガーセブン=滝川剛は、それまで秘密にしていた正体を仲間達に明かして、無言で去って行った・・・
滝川剛と鉄人タイガーセブン
滝川剛は、体に埋め込まれた人工心臓SPと、古代エジプトに伝わる正義の鉄人が描かれたペンダントにより「鉄人タイガーセブン」に変身する。
「滝川剛(たきがわ・ごう)」演:南城竜也 | ||||||||||||||||||||||||
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「鉄人タイガーセブン」演:鴨志田和夫 | ||||||||||||||||||||||||
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協力者達
滝川博士亡き後、世間に知られないように行動するムー一族に対抗して高井戸博士が組織したのが、高井戸グループであり、滝川剛も所属している。
しかし、ムー原人の襲来を予測して現場に向かうものの、基本的には考古学を研究する集団の為、特殊な技能持ちはおらず、基本的にムー原人に手も足もでないというお荷物だったりする。
※たまに武器を使用して対抗するが、ムー原人を倒すことは無い。
滝川剛にとっては心のよりどころであるが、タイガーセブンに変身する際に姿を消す為に、仲間達からは大事な時にいなくなる奴と言うレッテルをはられていたりする。人間って怖い・・・
演:中条静夫 |
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北川史郎 演:達純一 |
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演:久万里由香 |
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演:吉田友紀 |
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演:隅田和世 |
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演:北沢彪 |
ムー一族
一万四千年前に封印された者達で、ムー大帝を最高権力者として、ギル太子が直接的な指揮をとり、ムー原人と呼ばれる怪人や戦闘員を送り込む。
なお、ムー原人は大きくわけて
に分かれており、無機物タイプはギル太子の遠隔操作を受けて忠実に行動するが、生物タイプのムー原人は、自らの一族も抱えているらしく、ギル太子の命令よりも、自らの理念・理想を第一として言うことをきかない場合があり、単なる上から下への悪の組織ではないところがまたタイガーセブンらしいと言える。
※鼠原人は、ムー大帝が鼠を保護する気が無いと判断して、独自に鼠達を守る為にタイガーセブンと戦った。
ギル太子 |
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※第一話には、7体ものムー原人が登場するが、その中の一体「カッパ原人」はその後の消息が不明で、他の原人の様に別の回でタイガーセブンと戦うこともなかった。
キャスト |
スタッフ |
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主題歌
タイトル | 歌 | 作詞 | 作曲 | 編曲 | |
OP | 「鉄人タイガーセブン」 | 秀夕木 | しのだとみお | 菊池俊輔 | 菊池俊輔 |
ED | 「走れタイガーセブン」 | コロムビアゆりかご会 ブルーエンジェルス |
しのだとみお | 菊池俊輔 | 菊池俊輔 |
※OPを歌う「秀夕木」は、シンガー「ヒデ夕樹(ひで・ゆうき)」の別名義
放映リスト
No. | 放映日 | サブタイトル | 登場怪人 | 脚本 | 監督 |
1 | 1973/10/6 | ムー原人 恐怖の大反乱 | 砂原人スナウラミ マグマ原人カエンジン カッパ原人 ミイラ原人 半魚原人 オイル原人 エレキ原人 |
上原正三 | 大塚莞爾 |
2 | 1973/10/13 | 甦ったミイラ原人の復讐 | ミイラ原人 オイル原人 半魚原人 |
上原正三 | 大塚莞爾 |
3 | 1973/10/20 | 逆襲!半魚原人アマゾンX | 半魚原人 | 上原正三 | 山田健 |
4 | 1973/10/27 | オイル原人恐怖の陰謀!! | オイル原人 | 藤川桂介 | 山田健 |
5 | 1973/11/3 | 戦慄!へび原人! | へび原人 | 上原正三 | 大塚莞爾 |
6 | 1973/11/10 | 忍び寄る電撃殺人!! | エレキ原人 | 藤川桂介 | 大塚莞爾 |
7 | 1973/11/17 | 疾風!!オオカミライダー部隊 | オオカミ原人 | 上原正三 | 内藤まこと |
8 | 1973/11/24 | スカーフに怒りをこめて!! | 石原人 | 上原正三 | 内藤まこと |
9 | 1973/12/1 | 死斗!!飛竜原人対タイガーセブン | 飛龍原人 | 上原正三 | 大塚莞爾 |
10 | 1973/12/8 | 大爆発!!ツチノコ原人 | ツチノコ原人 | 藤川桂介 | 大塚莞爾 |
11 | 1973/12/15 | とける顔 ロウ原人 | ロウ原人 | 上原正三 | 山田健 |
12 | 1973/12/22 | 三平 ハエ原人になる!! | ハエ原人 | 藤川桂介 | 山田健 |
13 | 1973/12/29 | 剛兄ちゃん助けてェーッ!! | ガマ原人ガマツブラ | 高際和雄 | 大塚莞爾 |
14 | 1974/1/5 | 燃える命のろくろ地獄 | ろくろ原人 | 上原正三 | 大塚莞爾 |
15 | 1974/1/12 | ムー帝国大侵略 | ガス原人 クモ原人 |
上原正三 | 山田健 |
16 | 1974/1/19 | ムー帝国への挑戦 | クモ原人 地震原人 |
上原正三 | 山田健 |
17 | 1974/1/26 | 日本列島沈没の危機!! | 地震原人 海坊主原人 |
藤川桂介 | 大塚莞爾 |
18 | 1974/2/2 | 伊豆半島死の攻防戦!! | 地震原人 海坊主原人 |
高際和雄 | 大塚莞爾 |
19 | 1974/2/9 | タイガーセブンの唄が聞こえる | 流星原人 | 高際和雄 | 大塚莞爾 |
20 | 1974/2/16 | ガンファイター鼠原人の挑戦 | 鼠原人 | 藤川桂介 | 山田健 |
21 | 1974/2/23 | 必殺!!タイガー回転スパーク | ミノムシ原人 | 上原正三 | 山田健 |
22 | 1974/3/2 | 逆襲!!狂った犬原人 | 犬原人 | 藤川桂介 | 鈴木俊継 |
23 | 1974/3/9 | 悪魔の唸りコールタール原人 | コールタール原人 | 高際和雄 | 鈴木俊継 |
24 | 1974/3/16 | ムー帝国移動大作戦!! | 植物原人 | 高際和雄 | 大塚莞爾 |
25 | 1974/3/23 | 恐怖の大サーカス マリオネット原人 | マリオネット原人 | 高際和雄 | 大塚莞爾 |
26 | 1974/3/30 | 今甦えるタイガースパーク!! | 水牛原人 | 高際和雄 | 大塚莞爾 |
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▼初音ミクに歌ってもらってみた
関連項目 |
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