ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃とは、ゴジラ映画である。
2001年に公開されたミレニアムシリーズ第3作で、平成ガメラ三部作を手掛けた金子修介監督作品。ゴジラを監督することを希望していた同氏としては、まさに夢が叶った作品である。
今作におけるゴジラは、どちらかというと”いいもん”傾向が強かったそれまでに対し、シリーズ史上でもトップクラスに入る悪役として描かれている。
同時上映は本来予定になかったとっとこハム太郎。ホラー映画もかくやな今作の作風とは、凄まじい程のミスマッチだった。ゴジラの着ぐるみを着たハム太郎(ゴジハムくん)をマスコットにしたが、正直子供に見せるにはヤバすぎたようで、泣き出す子も多かったとか。この謎コラボは観客動員数低下を防ぐための苦肉の策だったらしい。
生き残るのは誰だ!!
なお、平成ガメラで特技監督を担当した樋口真嗣は絵コンテで17年ぶりにゴジラ映画に参加し、音楽においては、大谷幸がガメラと同様に担当している。
本作には自衛隊が登場せず、代わりに防衛軍が登場。服装自体は自衛隊のものを使用している。どうやら自衛隊の協力が得られなかった模様。
1954年のゴジラ襲撃を、防衛軍が退けて半世紀。
人々は、ゴジラや戦争の恐怖をすっかり忘れ去っていた。
ある日、グアム島沖で米原潜が消息を立ち、日本防衛軍は潜水艇「さつま」を派遣して海底調査に当たらせる。
しかし「さつま」はその海域で、原潜の残骸と共に、青白く光る背びれを目撃する。
50年前のゴジラ襲来に遭遇した、日本防衛海軍の立花泰三は、ゴジラが復活したのではないかと危惧し、対策を叫ぶも、司令部は彼を一蹴する。
その頃、新潟の妙高山、鹿児島の池田湖で、犬を殺そうとした若者や暴走族が怪死するという事件が起こっていた。
泰三の娘で、BSデジタルQのリポーターである由里は、その場所が、『護国聖獣』として伝わる怪獣・バラゴン・モスラ・ギドラの内、バラゴンとモスラが眠る場所と一致していることに気づき、護国聖獣を研究する伊佐山教授の下をたずねる。
伊佐山教授は、ゴジラを「太平洋戦争で死んだ全ての人間の怨念の塊」とし、それが今再び復活して日本に襲い掛かろうとしていると話す。そして、ゴジラから国を守るために、護国聖獣が復活しようとしているのだ、と。
果たして、ゴジラは生きていた。
小笠原諸島に上陸したゴジラは島を壊滅させ、日本を蹂躙しようとする。
しかし、東京を目指すゴジラの前に、バラゴンが現れた……!
全高:60m
体重:3万トン
白目をむいた、シリーズ史上類を見ない凶悪な面構え。
身長的にはそこまで高いわけでもないが、非常にどっしりとした体格をしている。
今作では他の怪獣に対して異常な強さを誇り、モスラ・ギドラの2体をも圧倒する。
特に放射能熱線は、バラゴンを1発で仕留め、モスラを2発で灰にするなど、強烈な威力を見せる。キングギドラの引力光線も巻き込み、威力を増してギドラに返すなどの技も見せている。
護国聖獣の力が集まって誕生したキングギドラに対しても互角以上の戦いを演じ、最後には倒してしまった。
最終的には、泰三が「さつま」で体内から攻撃したことで、放射能熱線が体を破って暴発し爆散するが、その後もなお、心臓だけになって東京湾海底で生き延びている。
また今作では、ゴジラの行動による人間の死が明確に描写されている場面が多い。また、殆どのシリーズ作品では怪獣相手にしか用いなかった放射能熱線を、足元を歩く人間達に浴びせるという暴挙も久々に行っている。その際、原爆さながらのキノコ雲が発生した。
「水爆によって突然変異を起こした恐竜」という従来の設定を踏襲しつつも、劇中では「例えそうであっても、所詮生物、砲弾の嵐に耐えられるはずは無い」と、一歩踏み込んで、その怪物性の根源としては否定されている。
それでも実際には人間の武力では決して倒せないその理由として、「ゴジラは、太平洋戦争で死んだ人々全ての怨念が宿った怪物である」という新たな解釈が与えられた。
劇中では「人間を殺戮しつつ東京を目指している」としか表現されず、ゴジラの明確な目的は明かされていない。というか多分明かせない。→菊タブー
『ガメラ3』でも見られた、金子監督のオカルト的作風がここでも発揮されたと言えるが、本作を好意的に評価するファンの間では、この新解釈が今作の高評価に一役買っている向きもある。
“クニ”を護る存在。
古来よりその存在が日本各地で伝承されてきた。大昔、朝廷によって討伐・封印された怪獣が神として崇められた事で国を護る存在に昇華した。怪獣倒せる朝廷とか防衛軍より強いと思う。
劇中では、伊佐山嘉利教授がその研究を進め、所産として詳細を『護国聖獣伝記』に纏め上げていた。
伊佐山によれば、怨念集合体であるゴジラを倒すには、人間の力は及ばず、護国聖獣の力を借りるしかない。
日本国家を護るものではなく、より昔の時代から日本列島に形成されてきた、生物全ての集合体としての“クニ”を護る存在であり、生物に対して非道な行いをするのであれば、人間であっても容赦なく排除する。
聖獣が眠るそれぞれの場所には、地蔵のようなモニュメントが置かれている。
これを破損させたり倒したりするのとほぼ同時に聖獣達は目覚めていたが、このことが覚醒の直接の原因なのかは不明。モスラとバラゴンの場合は、これを倒した若者を殺していたが、ギドラの時は特に排除行動には移らなかった。ちなみにモスラとバラゴンが殺した若者は、直前に悪事を働いていたので因果応報と取れる。ギドラの場合、自殺志願者で特に悪事をしていない(石像を踏み台にしていたが)事から手を下さなかったと思われる。終盤では主人公を助けており(後述)、ギドラの性格が飛びぬけて温厚だった可能性もある。
富士樹海の地下に眠る聖獣で、三聖獣の中でも最強の力を持つ。
が、その分覚醒の周期が長く、完全な力を発揮するには1万年の眠りを要する。
歴代のキングギドラの中でも最小サイズであり、ゴジラよりも小さい。また、覚醒前であるためか翼は閉じられている。 また首の長さも短い。宇宙から来る事が多いギドラ族の中では珍しく国産である。
ゴジラ復活を受けて富士樹海で覚醒するが、わずか2000年程度で目覚めてしまったため寝不足で力が発揮できない状態だった。それでも横浜に姿を現し、モスラと共にゴジラに戦いを挑む。
噛み付いて電撃を見舞う能力で戦うが、不完全なまま覚醒していたために本来の力から遥かに劣っており、まるで歯が立たないままビルに叩きつけられる。そこへゴジラの熱線を浴び、気絶。トドメの熱線が放たれたが、モスラがかばった事で九死に一生を得る(モスラがギドラをかばうのはこれが唯一)。その後、防衛軍やモスラが戦っている間もずっと気絶していた。
熱線で焼き殺されたモスラのエネルギーを吸収し、千年竜王・キングギドラとして復活。
この状態は、本来のキングギドラと同様の姿をしている。完全体となったキングギドラは陸海空を統べる伝説の聖獣となり、大幅に強化される。
翼を広げて猛スピードで飛行し、牙から流れる電撃は引力光線(電撃とも)となった。また、身にまとう黄金の粒子は、ゴジラの熱線をも受け付けない防御力を誇る。まさに伝承通りの、最強の聖獣である。
その後、ゴジラに蹴りをかまして潜航。東京湾の中で戦い続ける。陸海空を統べるだけあって水中戦も余裕のようである。がんじ絡めにされたゴジラは身動きが取れず、キングギドラが一方的に攻撃を加える。ゴジラにトドメを刺すべく防衛軍の潜航作業艇さつまが魚雷D-03をゴジラに向けて放ったが、ギドラの体を盾にされ防がれる。ダメージを負ったキングギドラはゴジラに投げ飛ばされ、また気絶させられる。
が、偶然落ちてきた古代のディスクで目を覚まし、再び立ち上がる。海上に飛び上がったキングギドラは金色に発光し、ゴジラに雷にも匹敵する電撃を浴びせる。
しかし、引力光線を浴び続けたゴジラは、いつしかそのエネルギーをも吸収する術を発揮する……。
本作では、悪役一貫だったキングギドラが善玉怪獣として描かれている。国を護るためにゴジラと戦い、また高所から海面へ転落する主人公の悲鳴を聞いて気絶から目を覚まし、気泡を吐いて助けるというキングギドラらしからぬ一面が見受けられる。イケメン。
インファント島の守り神、ではなく、『海』を護る聖獣。
今作では、幼虫・繭の状態でも若干登場するものの、殆ど成虫の状態でしか登場しない。
蛾怪獣であるものの、今作でのモスラには蜂の意匠が多く取り入れられており、温和な印象を持つ従来とは違い、割と凶悪な印象を与える。
全体的に色が毒々しく、目は紫色で、面構えも悪い。特に胴体には体毛が無く、まさに蜂のようである。
また攻撃方法も、鱗粉や光線ではなく、尾から飛び出す無数の針と、鋭い脚による引っかき攻撃が主となった。
鹿児島県池田湖で覚醒する。この時は幼虫で湖底に潜んでおり、犬を湖に沈めようとする不良を糸で引きずり込み全員溺死させる。
その後、湖上に繭を形成し、ゴジラの東京到達と時を同じくして羽化する。
ギドラと共にゴジラと戦う。
『地』を護る聖獣。
『フランケンシュタイン対地底怪獣』で初登場した怪獣で、後述の怪獣変更劇においても生き残った。
が、三聖獣であるにも関わらずそもそもタイトルに含めてもらえず、劇中においても殆ど噛ませ犬的ポジションを取らされるなど、結構不遇な存在。
原典と比べて最も大きくそのキャラクターが変わっている怪獣である。
原典では2足歩行も可能で、人を積極的に食う怪物だったが、今作中では終始4足歩行で、人食いもしない。
ゴジラと比べて一際小柄にデザインされており、劇中ではその圧倒的な実力差を絶望視されるシーンもあった。
地中を自在に掘り進み、地上においても非常に高くジャンプできるその身軽さと、噛み付き攻撃を駆使して戦う。
妙高山で覚醒し、ゴジラに向かって地中を進撃、その途中で暴走族を圧死させる。
箱根温泉大湧谷でゴジラと対峙し、単独で奮戦するものの、やはり絶対的に体格差が大きく、いたぶられる様に敗北。最期は熱線で焼き払われた。
バラゴンの姿を見て「可愛い」と話す観光客が描かれ、テレビ局の中継スタッフが格闘番組よろしくバラゴンを応援するなど、ゴジラと比べて人間に人気があった。
が、怪獣が近づいているのにあまつさえ記念写真を撮ろうとする観光客の姿や、トンネルを進むバラゴンを見てゴジラと勘違いする男の様子などは、劇中の日本国民の殆どがゴジラの恐怖を忘れ去ってしまったことを象徴しており、ゴジラ(ひいては太平洋戦争)の記憶を人々が消し去っていることを表すかのような怪獣でもあった。
元々ゴジラの対戦怪獣についてはカマキラスを予定していたが、金子監督が飲み会で友人にそのアイディアを話したところ「地味」と言われて変更することになった。次にアンギラス・バラン・バラゴンとなったが、今度は東宝が「それでは客を呼べない」として変更を要求し、最終的にモスラ・キングギドラ・バラゴンとなった。
これらは全て護国聖獣としての登場であり、それぞれの出自・特徴は、従来のものとは大きく異なる。
また、この作品の世界ではアメリカにもGODZILLA巨大なイグアナが登場している模様だが、日本の学者は同類と認めていない。
興行低下を防ぐため、東宝の決定により急遽ハム太郎が同時上映となったのだが、ハム太郎を観終わった子供がゴジラのあまりの迫力に泣き出してしまい、ゴジラを観に来た親が連れ出したが親が結局戻ってこない光景が多々見られた。
ハム太郎の並映が功を奏したのか作品の人気があったのか、いわゆるミレニアムシリーズでは最大の興行収入を記録した。
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最終更新:2024/04/24(水) 17:00
最終更新:2024/04/24(水) 17:00
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