宝塚記念(たからづかきねん)とは、6月に阪神競馬場で開催されるJRAのGI競走。ローカル競馬場に主戦場が移る夏季の始めに行われる、春シーズンの締めのGIである。
春の総決算として有馬記念のようなレースを夏の関西にも、という声の元、1960年に創設された。レース名は阪神競馬場の所在地である兵庫県宝塚市に由来する。
有馬記念と同じく、ファン投票によって優先出走権が与えられる。そのため「有馬記念=グランプリ→夏版・有馬記念→宝塚記念=グランプリ」という認識がファン・マスコミの間で浸透しているが、正式にグランプリの副名称が付いているのは有馬記念のみで、宝塚記念は厳密にはグランプリではない。正直、今となってはどっちでもええわ、という人が大半かもしれないが……。
天皇賞(春)と並ぶ上半期におけるビッグレースであり、長距離中心であった時代では中距離馬がその本領を発揮できる数少ないレースの1つであったが、中距離の上に別定戦だった故に八大競走には数えられず、グレード制導入前の1983年以前は現在のスーパーGⅡ相当の格付けのレースという見方がされていた。1984年にグレード制が導入され、GIに格付けされた後も他の古馬王道GIと比べて格下扱いされる時代が長く続いた。5冠馬・シンザンは本競走を勝っても「6冠馬」とは言われなかったし、主戦騎手が「天皇賞勝ち抜けしたので有馬記念しか出るレースがない(から海外遠征する)」とコメントしたテンポイントの事例などから、かつての扱われ方が伺える。
しかし時は流れ、長距離から中距離へ主流が移った近年では、距離適性の不適を理由として天皇賞(春)を回避し、安田記念やドバイ・香港に向かった実力馬達が出走してくるため、名実ともに上半期の総決算と呼べるレースになりつつある。
ただそれでも、開催時期が馬にとって厳しい梅雨の蒸し暑い時期であること、クラシック路線を目標とする3歳馬にはスケジュールがキツイことなどの理由により、フルゲートで開催されることはほとんどない。2022年にフルゲート18頭に20頭が登録、回避もなく2頭が除外となったが、記録にある限りでは63回目にしてレース史上初の除外発生だったそうな。
2017年からは産経大阪杯がGIへ昇格したことに伴い、大阪杯・天皇賞(春)・宝塚記念の春古馬三冠を形成して、秋古馬三冠と同様にこれらのレースを三連勝した馬には褒賞金が与えられることになった。
出走ファンファーレは1999年の第40回開催から通常の阪神GI曲に変わり、一般公募によって選ばれた宝塚記念専用曲が用いられるようになった。数少ない「一年に一度しか聞けない」ファンファーレである。
過去最高のファン投票数を獲得したのは2022年のタイトルホルダー。2位のエフフォーリアとともに、それ以前の1位だった1990年のオグリキャップを上回った。
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本記事冒頭の一文は、元関西テレビアナウンサー・杉本清の名調子であり、宝塚記念を象徴するフレーズである。もともとは1977年有馬記念の特別実況にて使った『あなたの、そしてわたしの夢が走っています』というフレーズであり、これを気に入った杉本アナは宝塚実況でほぼ毎回差し込むようになったのである。
とはいえ、いい加減マンネリを感じてきたので91年からはやめとこう、と考えていたらしいのだが……。杉本アナはつい、ゲートイン直前に例年通り『今年もあなたの、そしてわたしの夢が走ります』と喋ってしまった。そしてそれを取り繕うために『あなたの夢はメジロマックイーンかライアンかストーンか』と人気馬を取り上げた後、『わたしの夢はバンブーです』といらんこと自身の本命を語ってしまう。
その「わたしの夢」・バンブーメモリーは最下位大敗し、先輩からも叱られたので翌92年こそは自重したところ、今度は視聴者から「なんで言わんかったんや!」と苦情が殺到。かくして93年以降は『あなたの夢、わたしの夢』が宝塚実況の名物として定着したのであった。杉本アナが引退した現在でも、往年の競馬ファンには馴染み深い。
「夢ということで、来そうで来ない馬を選んでいた」ためでもあるのだが、『わたしの夢』に指名された馬たちの好走率は妙に低く、一種の死亡フラグ扱いされることもしばしばであった。関係者からも疫病神扱いされており、武豊は「(杉本アナは)僕の馬に◎を打たないで欲しい」と愚痴っている。
おそらくもっとも有名なくだりは、99年のものであろうか。98年度優勝馬のサイレンススズカは同年の天皇賞(秋)で予後不良・安楽死となっていたが、杉本アナはあえてこの場にいない同馬を『わたしの夢』に選び、在りし日の姿を偲んだ。杉本アナが非出走馬を取り上げたのはこれが唯一だった。
変わったところでは、2000年の『わたしの夢』は「直線、沈黙の実況」だった。杉本節の代表格「もう言葉はいらないのか!」と同じく、言葉も発せないような息詰まる名レースを期待したい、という意味であったが、本番ではテイエムオペラオーがいつもと同じようなパターンで僅差圧勝し、杉本アナもごく普通の実況に終始。またも『わたしの夢』は撃沈したのであった。ジョービッグバン(3着)の名前は最終直線で一度も呼ばなかったけど
内回りコースを使用し、スタンド前直線の最右端から発走する。最初の直線は525mと十分に長く、枠順の有利不利はあまりない。小回りコースで行われるレースらしく、先行馬が積極的なレース運びをして緩みないペースになることが多い。一方で梅雨時ということもあり、馬場状態は渋りやすく、見た目以上にタフなレースになりがち。自力の高い馬が勝つ、比較的堅い決着が多い。
第7回、10回、15回、17回、32回、36回、47回は阪神競馬場が改修工事や災害で使えなかったので、京都競馬場の芝外回り2,200メートルで行なわれた。
第21回は京都競馬場の改修工事の振り分け開催の都合上、中京競馬場の芝2,400mで行われた。
競走名 | 格付 | 施行競馬場 | 施行距離 | 間隔 |
---|---|---|---|---|
ドバイ・ミーティング | GI~GII | メイダン競馬場 | レースにより異なる | 12週 |
香港チャンピオンズデー | GI | 沙田競馬場 | レースにより異なる | 8週 |
天皇賞(春) | GI | 京都競馬場 | 芝3200m | 8週 |
ヴィクトリアマイル | GI | 東京競馬場 | 芝1600m | 6週 |
目黒記念 | GII | 東京競馬場 | 芝2500m | 4週 |
安田記念 | GI | 東京競馬場 | 芝1600m | 3週 |
鳴尾記念 | GIII | 阪神競馬場 | 芝2000m | 3週 |
宝塚記念の優勝馬には同年中の指定国際競走への優先出走権が与えられる。しかし両競走ともJRA下半期開催のGI競争と時期がかぶってしまうため、実際にこの制度を利用して海外遠征した馬は非常に少ない。むしろ凱旋門賞の前哨戦と見做されている感がある。
指定競走名 | 格付 | 施行競馬場 | 施行距離 | 制度開始年 |
---|---|---|---|---|
ブリーダーズカップ・ターフ | 米GI | 開催年により異なる | 芝12ハロン(約2400m) | 2011年から |
コックスプレート | 豪GI | ムーニーヴァレー競馬場 | 芝2040m | 2019年から |
宝塚記念ファンファーレ (掲示板>>115より) |
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最終更新:2024/04/27(土) 15:00
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