ターニャ・デグレチャフとは、小説『幼女戦記』の主人公である。
CV:五十嵐裕美(サウンドドラマ版) / 悠木碧(アニメ版)
概要
白く透き通った肌を持つ金髪碧眼の幼女。統一暦1913年生まれ。身長は140cmくらいと年齢相応の身長の帝国軍航空魔導士官。
8歳にして士官学校に入学し、卒業時点で准尉任官。その時の年齢は9歳。その獅子奮迅の活躍ぶりから初陣で「白銀」の二つ名を下賜され、後にその戦いぶりの苛烈さから血に塗れた「錆銀」と揶揄されるようになる。
その前世は、現代日本の企業に勤めていたエリートサラリーマンである。
シカゴ学派に属し、自身を天才でも凡才でもない、性格の歪みまくったコンプレックスの塊の様な人間であると評している、社会規範と職務(人事の首切り役)に忠実な男。
勤務態度不良の社員にリストラを勧告したある日の帰り道、その会社員の逆恨みによって電車のホームから突き落とされ命を落とすこととなる。その際、「創造主」を自称する「存在X(主人公による仮称)」と邂逅、問答のあげくその人間性の狂いと信仰心のなさを「科学の世界で、男で、戦争を知らず、追いつめられていないから」と一方的に断じられてしまう。そして如何様にすれば現代人の信仰心を目覚めさせられるか、という難題に対するテストケースとして、その全く逆の世界へ
「非科学的な世界で、女に生まれ、戦争を知り、追いつめられるがよい!!!」
かくしてエリートサラリーマンは乳飲み子となり、「帝国」の孤児院でターニャ・デグレチャフとして覚醒。両親に捨てられた女児として、混迷する社会情勢の中成長していく。
ある日の健康診断で自身の魔導適性が発覚し、自身の進路が航空魔導師に定まったと判断したターニャは、弱冠8歳にして帝国軍士官学校へ入学する道を選び、魔導士官として9歳で任官。北方国境の警備にあたるターニャの目の前で協商連合の領土侵攻に端を発する戦争が勃発。これを機に、安全な後方でのエリート勤務と平和で文化的な生活を渇望する、幼女魔導師の長く過酷な戦いが始まった。
人物像(軍事面)
極端なまでの効率主義者で、自称・文明人の自由主義者で個人主義者。
殺すのも殺されるのも嫌い、非生産的な戦争も嫌いと公言する人間だが、軍人として殺人を犯すことに躊躇いはなく、出世と身の安全と休暇の為に敵対する人間は容赦なく殺傷する。自己保身のための労力を厭わず、国際法令や戦時協定などを自軍に有利なように解釈することにも長ける。
部下は道具とみなして使えると判断すればそれなり権限を与え活用するが、無能であれば躊躇なく捨て駒に出来る合理主義者。特に抗命行為を嫌っており、命令を遵守出来ない者を無能として扱い排除する。しかし、同時に部下を無駄に失うこともキャリアに響く(ついでにいざというときの肉壁を失う)と考えているため、手塩に掛けて育てた直属の部下達を失うことを忌避している。様々な事情から課した過酷な訓練の成果もあり、結果的に直属部隊の損耗/人的被害は少なく、部下や上司からの信頼は厚い。また生粋の自由主義者(というより新自由主義者)ゆえに共産主義を心底嫌悪しており、共産主義勢力が相手取った戦闘では単なる仕事以上の情熱を見せる。果たして、その辺りはアニメでは放映できるのか
転生以前より軍事・戦史・国際テロ等に関する深い教養が有り、関連する知識は非常に豊富で幅広い。辻ーんや無茶口といった言葉をモノローグで使っているあたり、某掲示板の軍板にでも出入りしていたのかもしれない。幼女の体躯ながら魔導師としての戦闘技術や指揮能力は超一流で、一兵士・部隊長のいずれの時期に於いても抜きんでた戦果を挙げただけでなく、軍学校・軍大学においても戦術・戦略・兵站といった各方面で卓越した知識を披露したため、一部の上層部からは相当に目をかけられている。
一方、あまりに突き抜けたその感性故か、『自分の発言が周囲の人間(常人)にどのように解釈され、どのような人格と認識されるか』という一点では頻繁に的を大きく外した思考を披露する。そのため、本人はあくまで自らの立身出世と保身のために「後方での軍務に繋がりそうな、軍人として上官に評価されるような」行動を心がけているに過ぎないのだが、前世のサラリーマンの思考と職業軍人の思考の差異に加え、これまた複雑な事情が噛み合って、周りからは『理想的な軍人像を体現し、躊躇いなく最前線に身を晒せる稀有な存在』だとか、『合理的かつ常識にとらわれず、あらゆる手段でもって目的を達成する生粋の戦争屋』だとか、『祖国の危機を前にし、いかなる論理や利害も通用しない狂信的愛国者たる神の信仰者』などといった方向性で捉えられている。
これにより『出世して安全な後方でのエリート勤務』を望むターニャの意思に反し、彼女は過酷な前線にばかり送り出されることとなる。
人物像(その他)
- 前世の男性としての価値観を強く引き継いでおり、外見相応の「幼女」としての行動を強いられるシーンでは多大なストレスを受けていることが伺える。
- 過去の経験群から「存在X」や神、創造主といった存在に強い忌避感を抱く。効かないとは理解していても、いつでも銃弾を叩き込めるようにと軍大学在校時は移動中ライフルを常に携帯するほど。
- 前世が現代日本ということもあり、この時代の「帝国」の人間にしては舌が肥えている。その為味気ない戦場食はあまり好まず、栄養素や素材の味を悉く台無しにする参謀本部食堂のメニューについては「某島国と食事の世界最底辺を争っている」とまで酷評する。
- 好物はコーヒー。美味しいコーヒーを淹れるヴィーシャや、代用品ではない本物のコーヒー豆を仕入れて差し入れてくれるレルゲンやウーガに対し人間として好印象を抱いている。
- 色恋沙汰に関しては興味を持たず、劇中で他人に恋慕する描写は皆無。自身の将来の伴侶として男女どちらにすべきか、ちらりと思慮を巡らせる程度である。
- 前世から禁煙者であり、当然ながら幼女の身である現代においても煙草の煙は苦手であり、上官達との作戦の打ち合わせに赴く際、喫煙所と化している司令室に赴く度に溜息を吐いている。
物語序盤の来歴
孤児院の健康診断で魔導素質を認められ、いずれ徴兵対象になることを見越して「他に道はない」と、弱冠8歳で士官学校に入学(なお、魔導資質の程度については各メディアで差がある)。士官学校在校時代、戦地での研修中に敵陣地への潜入斥候を行い、二級鉄十字と軍大学への推薦を受けるも、人事局(=レルゲン)によって棄却されている。また、彼女の卒業論文「戦域機動における兵站」は帝国鉄道部から絶賛を受けている。
北方ノルデンで新米魔導士官として国境警備に着任した直後、協商連合の大規模な越境行動により国境紛争が発生。「フェアリー08」として前線観測任務に就く中、哨戒線を掻い潜って襲撃を試みた中隊規模の敵魔導師と遭遇、「撤退せず一人で遅滞戦闘を行え」という事実上の玉砕命令を下される羽目に陥る。全体的な味方の優勢の中で、自身のみが敗北してキャリアに傷がつくのを恐れた彼女は全力で抗戦しその突破を阻止。瀕死の重傷を負いながらも無事生還し、兵士の誉れたる銀翼突撃章とともに「白銀」の二つ名を下賜された。
傷を癒やしたターニャに伝達されたのは、帝国戦技教導隊への内示と総監部付き技術検証員としての出向要請。シューゲル主任技師の下、試作魔導演算宝珠「エレニウム九五式」の技術試験要員となった彼女は、紆余曲折を経て、”奇跡の演算宝珠”「エレニウム九五式」を専用装備として手に入れることとなる。
次なる戦場、対「共和国」西方ライン戦線でも徹底した効率主義と出世安泰至上主義に由来する苛烈さと果断さをもって戦功(確認撃墜スコア62、実際には80以上)をあげ、名実ともにエース・オブ・エースとなった彼女は、11歳にして中尉に昇進するとともに軍大学に入学。同期百人中十二位の成績で卒業。軍大学の誉れたる十二騎士の一翼を占め、新規叙爵を受け「ターニャ・フォン・デグレチャフ」を名乗る。また就学中、図書室で偶然出会ったゼートゥーア准将の問いかけに、前世の知識を基にした戦況予測の提唱したことをきっかけとして、試験編成の即応魔導大隊である第二〇三航空魔導大隊を任されることになる。
ファン・公式からの扱い
ファンからの愛称はWEB版時代から作者も使用している「デグさん」、「デグ閣下」、アニメ化を経て公式ラジオパーソナリティや視聴者の間で呼ばれ始めた「ターニャおじさん」など。
所謂、「神様転生」を経たキャラクターとして見ればテンプレを皮肉ったかのような人物。
作品の空気にあまり毒されていない概要だけを読んだような人間からは、元日本人のサラリーマンであるため「中身がおっさん」と揶揄されることがあるものの、劇中での発言や振る舞いでそれらしいものが皆無なことや、漫画版の転生前の描画等がどう見ても一般的なサラリーマンのものではないことからただの「おっさん」ではない独特のキャラクター像を確立している。TS(性転換)キャラとしてみても、お約束のイベント(ニコ百の「TSF」記事参照)の大半をスルーし、そもそも小説媒体だと外見の描写が入ると「あ、そういえばこの人幼女だったね」と読者がたまに思い出すレベルで幼女していない。更に言うと彼女が魔法を使う少女、すなわち魔法少女だということを大半の読者が忘れている。ちなみに、小説版では部下のヴァイスが戦勝記念パーティーを開く為に、とあるレストランを部隊で貸し切ったのだが、その店は未成年者NGだった為にターニャだけが外につまみ出された事があった。
アニメ版の版権絵が色々な意味で媚を売らず、萌えをブン投げてている代物であるなど、外見的には美少女でありながら萌えキャラとしての扱いは全くと言って良いほどされていない。
これらを指して、作者は「デグさんに萌える勇者も少なからずいる」とインタビューで語っていたが、ターニャの外見を常時映す必要のある漫画・アニメ版ではそのギャップのある姿や墓穴掘り芸などで普通に萌えキャラとみなす人たちも増えてきている模様。
特に漫画版では多彩な表現が用いられた聖天使幼女ターニャ像や鬼神幼女ターニャ像が拝めるので、一般的な二次元の幼女に対する萌要素を期待するならこちらを購読するのが良いかもしれない。
余談
名前元ネタ
我が名はターニャ・デグレチャフ。命名は、信じるならば、神と称する存在Xによる凶行。
うん、この前ターニャさんなる人物、対物ライフル、デグちゃんに撃ち抜かれてましたよね?
いや、さすがに中二アニメは、嗜んだ程度なので、はっきりとは覚えてませんが。
死ねという悪意を感じるのですが。
というくだりから、おそらく「ターニャ・アクロウ」(DARKER THAN BLACK 流星の双子)および彼女を射殺したライフル「デグチャレフPTRD1941」であると思われる。
他作品への出演
幼女戦記の原作者である、カルロ・ゼン氏がシナリオを執筆した戦略SLG『銃魔のレザネーション』にて、ユニークユニットとして登場。自国ユニットの死亡によって累積される「死者の魂」を消費し発動する「禁呪」により召喚することが出来、以後自軍ユニットとしてその辣腕を振るう。(仕方ないよね○○○・○○さんだって、疲れているからね。(by匿名希望))
なお、同作品はターニャが元居た世界よりも前の時代(17~19世紀)が舞台だが、超長距離射撃や高火力爆撃など魔導師としてのスペックはそのまま再現されている。
また作者の別作品では、某人類に敵対的な地球外起源種によって蹂躙される世界で奮闘する彼女の姿があるとか。
関連動画
関連項目
- 幼女戦記
- カルロ・ゼン
- ライヒに黄金の時代を
- 銃魔のレザネーション
- 幼女 / 神様転生 / TSF
- 勘違い / ギャップ萌え
- 皇国の守護者
- 魔法少女リリカルなのは
- 邪道魔法少女
- 正社員
- モモンガ / アインズ・ウール・ゴウン - 異世界かるてっとで共演した、同じく元会社員の異世界転生者 ただし学歴には大きな差がある
- マブラヴ
- 違法おっさん
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