2022 FIFAワールドカップ 単語

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2022 FIFAワールドカップ(2022 FIFA World Cup)とは、2022年11月21日から12月18日カタールで開催されたFIFAワールドカップである。

概要

2022 FIFAワールドカップ
期間 2022年11月21日12月18日
場所 カタールカタール
出場 32ヶ
公式 アルリフラ(アディダス
マスコット ライーブ

22回の大会であり、中東では初の開催となる。また、カタールFIFAワールドカップへの本大会出場経験がく、選出段階で本大会未出場のが選出されるのは日韓共催2002 FIFAワールドカップ日本以来であり、開催段階でも本大会未出場なのはカタールが初となる。またこれにより開催で初出場となるのもカタールが初である。さらに開催が初出場となるのは第2回の1934 FIFAワールドカップイタリア以来である。

FIFAでは出場の32かから48かへの拡大が検討されていたが、2019年5月22日に出場は現行のままであることが発表された。

ワールドカップはこれまでに開催されていたが、カタールでは場の気温が50℃以上に達するほどの猛暑となるため開催を懸念する声浮上していた。当初、カタールの招致委員会側はエアコンスタジアムの建設を計画していたが、コストの問題もあって断念。結局、FIFAは11下旬から12月にかけての冬開催に変することを決定。ただ、この時期は特にヨーロッパの各リーグはシーズンっ只中で日程面の大幅な変更を強いられることから反対の声も挙がっいた。

また、インフラ建設のために雇われた移民労働者に対して奴隷的な扱いを強いていたことが問題視されており、実際ワールドカップ招致が決定して以降、少なくとも6500人以上の外国人労働者死亡していると報じられている。こういった人権問題に対し、各では抗議が相次いでおり、フランス都市ではパブリック・ビューイングを取りやめている。カタールの大会招致を決めた当時のFIFA会長ゼップ・ブラッターは大会直前に「カタール開催は間違いだった」と発言している。

このほか、日本の中継放送に関しても、放映権料の高騰で交渉が難航した結果、前回までのオリンピック同様のNHK・民放共同のジャパンコンソーシアムではなく、NHKテレビ朝日フジテレビ、そしてテレビ朝日サイバーエージェントの合弁会社であるAbemaTVが放映権を取得している。テレビ放送はNHKテレ朝フジが分担して放送(一部未放送の試合あり)、ネット配信はABEMAが全試合全中継を、NHKプラステレビとのサイマル配信をそれぞれ行う。

今大会からのルール変更・新技術など

最も大きな変更は、1試合における選手の交代可人数が、これまでの3人から5人に増えたこと。チームの登録選手の人数も23人から26人に変更となった。これにより、ベンチを含めた選手運用の幅が広がった。ただし交替回数は3回までなので、4人以上交替する場合は一度に2人以上を交替する必要あり。また延長戦に入ると交替人数と交替回数がそれぞれ+1となる。90分の間に交替人数や回数を使い切っていなくても同様。

イエローカードレッドカードの対も見直され、フィールドの選手に限らず監督コーチといったチームスタッフに対しても、侮辱などの反則相当の行為の場合に掲示されることとなった。

新技術では、前々回のブラジル大会で導入されたゴールラインテクノロジー前回のロシア大会から導入されたビデオアシスタント・レフェリー(VAR)に続き、今大会からは半自動オフサイドシステムが導入。今大会の公式ボールは内部に慣性計測装置(IMU)センサーを搭載しており、スタジアムに設置された12台の専用トラキングカメラと合わせて、ボールの蹴られた位置とその間のフィールド上の選手の位置関係を正確に把握。VARとの組み合わせによって、オフサイドの判定をこれまでよりかに厳密化した。

また、これに合わせてオフサイドディレイが導入された。これはオフサイドか否かが微妙な状況において、一旦プレー継続させて、後からオフサイドの判定を下すもの。副審が咄嗟に旗を上げてしまうなどの判定ミス得点機会を潰してしまうことを防ぐために行われる。なお、オフサイドディレイによって副審がオフサイドの判定を下した後に、VARでそれが覆る場合もある。

地域予選

今大会の出場は、ヨーロッパ13南米4.5アジア4.5+1(開催カタールは予選免除)、アフリカ5、北中米カリブ3.5オセアニア0.5と3大会連続で同じ振りとなった。

2020年新型コロナウィルス世界的に拡大したによって当初の日程に大きな狂いが生じ、スケジュールの大幅な見直しを余儀なくされた。また、急きょ集中開催となったり、ホームでの開催が困難となり第三で開催となった試合もあった。

2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻の制裁によってロシアFIFA催の大会から出場停止の処分が下される。これによってロシアは、2022年3月欧州予選プレーオフまで進出していたが不戦敗となった。またウクライナ欧州予選プレーオフに進出しており、こちらは侵攻のを受け延期され2022年6月に実施された(結果はプレーオフ2回戦でウェールズ相手に敗退)。

初出場は開催カタールのみとなり、ほとんどがそれなりに見慣れた顔ぶれがった中でカナダが9大会ぶりとなる久々の出場となり、ウェールズ1958年大会以来64年ぶりに出場している。
一方、欧州王者のイタリアはまさかの2大会連続で出場権を逃している。グループリーグではスイスの後を拝してプレーオフ行きとなり、プレーオフ1回戦では当時FIFAランキング67位の北マケドニアに敗れ(イタリアは6位)敗退となった。他には、スウェーデンコロンビアチリナイジェリアなどが予選で敗退している。

また、南米予選4位のエクアドル籍を明する文書を改竄し本来出場資格がない選手を出場させたとチリサッカー連盟から申し立てがあり、エクアドルの本大会出場権が取り消される旨の報道も出たが、FIFAエクアドルワールドカップ出場に問題はないという結論を出す。

グループリーグ

(順位は本大会前最後の発表となった2022年10月6日発表のFIFAランキング

グループA グループB グループC グループD グループE グループF グループG グループH

カタール
(50位)

イングランド(5位)

アルゼンチン(3位)

フランス
(4位)

スペイン
(7位)

ベルギー
2位

ブラジル
1位

ポルトガル
(9位)

オランダ 
(8位)

アメリカ 
(16位)

メキシコ 
(13位)

デンマーク
(10位)

ドイツ
(11位

クロアチア
(12位

スイス 
(15位)

ウルグアイ
(14位)

セネガル 
(18位)

イラン 
(20位)

ポーランド
(26位)

チュニジア
(30位)

日本 
(24位)

モロッコ 
22位

セルビア 
21位

韓国 
(28位)

エクアドル
(44位)

ウェールズ
(19位)

サウジアラビア(51位)

オーストラリア(38位)

コスタリカ
(31位

カナダ
41位

カメルーン
(43位)

ガーナ 
61位

グループA


勝点 得失
点差


1
オランダ

2-0

1-1

2-0
7 4 5 1
2
セネガル

0-2

2-1

3-1
6 1 5 4
3
エクアドル

1-1

1-2

2-0
4 1 4 3
4
カタール

0-2

1-3

0-2
0 -6 1 7
【Before】
カタール「開催最弱とはいわせない」
オランダ「なんだ楽勝じゃん」
セネガル2位いけるな」
エクアドルめられちゃ困る」
After
カタール「(コメント拒否)」
オランダ「まあここからよ」
セネガル2位いけたな」
エクアドル「あと一歩だったな」

開催カタールエクアドルで開幕。開幕戦はエクアドルが2-0で快勝、W杯で開催が初戦は史上初となった。

オランダの首位通過は堅く、対抗はセネガルエクアドル南米勢ではやや格落ち、カタールは開催として旋を起こせるか……という感じのグループ。そして結果だけ見れば、順当に戦前の予想通りの順位になった。

セネガルとの初戦を試合終盤の2得点なんとか制したオランダは、エクアドル戦でも精を欠き辛うじて引き分けに持ち込むのが精一杯だったが、最終戦で危なげなくカタールに貫勝ちして終わってみれば1位通過

エースサディオ・マネを欠いてのW杯となり、初戦でオランダに苦杯を喫したセネガルも、2戦でしっかりカタールを破ると、突破には勝利しかないエクアドル戦を闘の末に制し、2002年日韓大会以来のベスト16進出を果たした。

大会前は出場資格問題などもあり評価の低かったエクアドルも、開幕戦でカタールに快勝すると、オランダ戦も果敢な攻めで内容では圧倒するなど前評判を覆す戦いぶりを見せる。しかしここで勝ち切れなかったのがき、セネガルとの第3戦に敗れて念の敗退となった。

初出場ながら2019年アジアカップ優勝アジア王者として大会に臨んだ開催カタールは、あえなく開催史上初の3連敗で敗退。世界の壁は高かったが、セネガル戦で初ゴールを挙げ、歴史の第一歩を踏み出した。

グループB


勝点 得失
点差


1
イングランド

0-0

6-2

3-0
7 7 9 2
2
アメリカ

0-0

1-0

1-1
5 1 2 1
3
イラン

2-6

0-1

2-0
3 -3 4 7
4
ウェールズ

0-3

1-1

0-2
1 -5 1 6
【Before】
イングランド1位通過するよ」
アメリカ2位いけるな」
イラン2位いけるな」
ウェールズ2位いけるな」
After
イングランド「余裕」
アメリカUSAUSA!」
イランチャンスはあったが」
ウェールズ「次は64年もかからず来たい」

奇しくもサッカー関係に因縁ある々がってしまったグループイングランド大本命、2位争いはアメリカ優位という前評判。ここも結果はおおむね大会前の予想通りという形に落ち着いた。

イングランドは初戦でアジア首位通過イランを6-2と圧倒。アメリカ戦は攻めきれずスコアレスドローに終わったが、ウェールズに貫勝ちして余裕の首位通過

アメリカウェールズ戦、イングランド戦とも好ゲームを繰り広げながら勝ちきれずに終わったが、最後のイラン戦で前半の1点を守り抜いて2位通過を確保。

イランは初戦でイングランドまさかのフルボッコを食らうも、2戦ウェールズ戦で終盤に相手GKの退場もあり後半アディショナルタイムの2得点勝利。悲願のベスト16を賭けてアメリカ戦に臨むも、ゴールネットを揺らせず悔しい敗退となった。

64年ぶり2回の出場となったウェールズは初戦のアメリカ戦こそ引き分けに持ち込んだが、W杯史上初の英国対決を0-3と力負けするなど1分2敗で敗退となった。

グループC


勝点 得失
点差


1
アルゼンチン

2-0

2-0

1-2
6 3 5 2
2
ポーランド

0-2

0-0

2-0
4 0 2 2
3
メキシコ

0-2

0-0

2-1
4 -1 2 3
4
サウジアラビア

2-1

0-2

1-2
3 -2 3 5
【Before】
アルゼンチン1位通過するよ」
メキシコ2位いけるな」
ポーランド2位いけるな」
サウジアラビア「まぁ、がんばる」
After
アルゼンチン「ちょっと危なかった」
メキシコ「あと1点が遠かった…」
ポーランド「負けても突破は前回学んだ」
サウジアラビア祝日ひゃっほう!」

リオネル・メッシ最後のW杯となるアルゼンチンが本命、メキシコポーランド2位争いでサウジアラビア刈場という前評判で迎えたグループ

ところが初戦のサウジアラビアvsアルゼンチンで、なんとサウジアラビアオフサイド判定の厳密化を活かした積極的なラインコントロールアルゼンチンオフサイドを量産させ、後半のワンチャンスを逃さず2得点で見事逆転勝利歴史的なジャイアントキリングを達成し、一気に混戦ムードとなった。

初戦の敗戦で窮地に立たされたアルゼンチンだったが、2戦メッシメキシコゴールをこじ開けると息を吹き返す。メキシコを破ると、3戦ポーランドが得失点差狙いで理をしなかったこともあり鮮やかに連勝。終わってみれば順当に1位通過を果たす。

前回大会エースレバンドフスキが封じられグループリーグ敗退となったポーランドは、今回も初戦のメキシコ戦でレバンドフスキがPKを防がれスコアレスドローに終わるなど嫌なムードだったが、2戦サウジアラビア戦でレバンドフスキが待望の初ゴールを挙げ勝利アルゼンチンには防戦一方で敗れたものの、得失点差でなんとか2位通過を果たす。

メキシコは初戦、2戦ノーゴールに終わったのがき、最終戦サウジアラビアでは2-0とリードしてもフェアプレーポイントの差でポーランドを上回れず、逆に後半アディショナルタイム失点してしまい勝負あり。ベスト16進出は7大会連続で途切れた。

初戦で鮮やかにアルゼンチンを破ったサウジアラビアは、力の離脱が相次いでその後は連敗、結局結果最下位でグループリーグ敗退となってしまったが、アルゼンチン戦の戦いぶりは世界を驚かせ、番狂わせの続く今大会の口火を切る存在となった。

なお、メキシコ×ポーランド戦では、男子W杯大会で初の女性審判が採用された(ステファニー・フラパールが第4審判)記念すべき試合である。

グループD


勝点 得失
点差


1
フランス

4-1

0-1

2-1
6 4 6 2
2
オーストラリア

1-4

1-0

1-0
6 -1 3 4
3
チュニジア

1-0

0-1

0-0
4 0 1 1
4
デンマーク

1-2

0-2

0-0
1 -3 1 4
【Before】
フランスジンクス知らんな
デンマーク「今回は白黒つける」
チュニジアには勝つとして…」
オーストラリア「またこいつらかよ」
After
フランス「本番はここから」
デンマーク\(^o^)/
チュニジアオーストラリアめ…」
オーストラリア「これがサッカルーズだ」

なんの因果前回大会グループCと4チーム中3チームが同じ顔ぶれとなったグループ。前回覇者フランスが中心だが、バロンドール受賞者カリム・ベンゼマを欠くなど故障者が多くやや不安材料あり。EURO2020ベスト4のデンマークがそれに次ぎ、チュニジアが堅守で2強にどこまで渡り合えるか、オーストラリアは1勝が標、という感じの前評判。

フランスは前評判通り初戦でオーストラリアを4-1と圧倒。2戦デンマーク戦もエムバペの2ゴールで快勝し、20年前に自分たちで始めた「前回大会優勝欧州チームグループリーグで敗退する」ジンクスを打ち破って々に突破決定。チュニジア戦では力を軒並み休ませた結果敗れたものの1位通過

フランスに初戦でボコられたオーストラリアは、2戦チュニジアの猛攻をぎきって2010年南アフリカ大会以来久々を挙げると、最終戦ではデンマークからカウンターで奪った1点を守り切る番狂わせを起こし、2006年ドイツ大会以来のベスト16進出を果たした。

チュニジアは初戦のデンマーク戦を堅守でスコアレスドローに持ち込むも、オーストラリア戦では先制を許したあと逆に相手の守りを攻めきれず痛恨の力を休ませたフランス相手に金星を挙げたが、念の敗退。

デンマークは3試合を通して攻撃の精度を欠き僅か1ゴール。全く実力を発揮できないまま未勝利で敗退となった。

グループE


勝点 得失
点差


1
日本

2-1

2-1

0-1
6 1 4 3
2
スペイン

1-2

1-1

7-0
4 6 9 3
3
ドイツ

1-2

1-1

4-2
4 1 6 5
4
コスタリカ

1-0

0-7

2-4
3 -8 3 11
【Before】
スペイン「敵はドイツだけだな」
ドイツ「敵はスペインだけだな」
日本うわあ…
コスタリカうわあ…
After
スペイン日本なんなの(戦慄)」
ドイツ日本なんなの(絶望)」
日本日本なんなの(歓喜)」
コスタリカ日本なんなの(然)」

欧州優勝経験2が同じグループに入り、前評判は全な2強2弱グループジャパン日本国内でもグループリーグ突破はほぼ絶望視されていた。

ところが。初戦のドイツ戦で、防戦一方の前半をなんとかPKだけの最少失点ぐと、後半からシステムを変えて突破力のある選手を投入する保采配がズバリ的中。後半30分に途中出場の堂安律が同点ゴールを決めて追いつくと、38分にはこれまた途中出場の浅野拓磨度のないところからゴールに突き刺し逆転。前半にPKを与えてしまったGK権田修一ファインセーブを連発し、2-1でドイツに逆転勝利するという歴史的なジャイアントキリングを達成。「ドーハの歓喜」と讃えられる。

が、続くコスタリカ戦は一転。攻め込みながら決定力を欠き、カウンターから失点して0-1で敗れるという、ドイツ戦とはまるで別のチームのような戦ぶり。最終戦はそのコスタリカに7-0で圧勝したスペイン戦、しかもスペインドイツ引き分けたため、自力での突破にはスペインへの勝利が必須という、再び絶望的な状況に追い込まれる。

しかし。スペイン戦も前半を何とか0-1の最少失点ぐと、ドイツ戦同様に後半から三笘薫堂安律を投入。その堂安が後半3分に快な同点ゴール叩き込むと、後半8分には三笘がゴールラインギリギリで拾ったボール田中碧ゴールに押し込む。眼ではラインを割ったようにも見えたが、VARでの判定の結果ほんの僅かだがボールライン上に残っておりゴール判定、逆転に成功する(三笘の1mm)。その後はスペインが猛攻を仕掛けるが、三笘やこれまた途中出場の冨安健洋マークで攻撃の起点を的確に潰してスペインの攻めを要所で寸断。1点のリードを守り切り、ドイツ戦に続いてのジャイアントキリングを達成。なんとこのグループ日本ドイツスペインに勝って1位通過という、世界中のも予想しなかったような歴史的快挙を為し遂げた。

スペインは初戦のコスタリカ戦での大勝が結果的に功を奏し、得失点差で2位通過
初戦で日本にまさかの敗戦を喫したドイツは、最終戦で一度はコスタリカに逆転されながらも4ゴールを挙げて再逆転勝利したが、まさかの2大会連続グループリーグ敗退で大会を去ることに。
コスタリカも最終戦で一度はドイツを逆転し、日本コスタリカがこのグループを突破する可性すら生じさせたものの、最後はドイツの猛攻に屈した。

余談だがコスタリカ×ドイツ戦では、男子W杯として史上初となるピッチ上の審判女性のみという試合となった。

グループF


勝点 得失
点差


1
モロッコ

0-0

2-0

2-1
7 3 4 1
2
クロアチア

0-0

0-0

4-1
5 3 4 1
3
ベルギー

0-2

0-0

1-0
4 -1 1 2
4
カナダ

1-2

1-4

0-1
0 -5 2 7
【Before】
ベルギールカク微妙だけどおk
クロアチア「敵はベルギーだけか」
モロッコ「そうはいくかな」
カナダ「勝ち点は欲しいな」
After
ベルギー(゚Д゚)
クロアチア「まあこんなもんか」
モロッコ「これがモロッコだ」
カナダ「勝ち点はお預けか…」

前回大会優勝クロアチアと3位のベルギーが同組となり、前評判はここも2強2弱。クロアチアベルギーとも前回大会力が残っているぶん高齢化の懸念はあり、カナダはともかくモロッコがどれだけ健闘できるか、という感じのグループ

しかし大方の予想を裏切り、このグループ役となったのは大会前にあのハリルホジッチ監督を解任したモロッコだった。初戦で積極的なプレスクロアチアの攻撃を封殺しスコアレスドローに持ち込むと、ベルギー戦は鋭いカウンターFIFAランク2位ベルギーを内容でも上回る試合ぶりを見せ2-0で快勝。カナダ戦もハリルホジッチ監督との確執で代表を外れていたが解任で復帰したハキム・ツィエクが先制ゴールを挙げるなど2-1で制し、なんとこのグループ失点オウンゴールの1点のみでの1位通過を果たす。

優勝補の一だったベルギーは初戦のカナダ戦から大苦戦、モロッコにまさかの敗を喫し内では暴動騒ぎに。クロアチア戦では後半から復帰したエースルカクが何度もあった決定機をことごとく決めきれず、まさかのグループリーグ敗退となった。

37歳の前回大会MVPモドリッチ率いるクロアチアは、モロッコ戦、ベルギー戦ともスコアレスドローと、こちらも勝したカナダ戦以外は実力を発揮し切れたとは言えないものの、負けずにしっかり勝ち点を拾って2位通過

久々の出場となったカナダは初戦でベルギーを苦しめたが、クロアチア敗し連敗であっさり敗退決定。モロッコ戦も後半は導権を握りながらモロッコの堅守を崩せず、3連敗で敗退となった。

グループG


勝点 得失
点差


1
ブラジル

1-0

0-1

2-0
6 2 3 1
2
スイス

0-1

1-0

3-2
6 1 4 3
3
カメルーン

1-0

0-1

3-3
4 0 4 4
4
セルビア

0-2

2-3

3-3
1 -3 5 8
【Before】
ブラジル「問題なし」
スイス「またブラジルセルビアか」
セルビア「またブラジルスイスか」
カメルーン「まぁ、がんばる」
After
ブラジル「まあおk
スイス「勝ったけど疲れた」
セルビア「今回もは厚かった」
カメルーンブラジルに勝ったのに…」

グループD同様、こちらも前回大会に続いてブラジルスイスセルビアが同組に。前評判も前回大会同様、ブラジル1位通過は既定路線、スイスセルビア2位争いはスイス優勢という潮。そして結果もほぼ前回大会同様となった。

ブラジルは初戦のセルビア戦で序盤をぐとエンジンがかかり後半の2得点で貫勝ち。初戦でネイマールが負傷するアクシデントがあったものの、スイス戦はお互い引き分けでもOKという展開の中で試合終盤に取った1点で勝ち、あっさりとグループリーグ突破を決めた。

スイスは初戦のカメルーンを堅実に1-0で下すと、ブラジルには0-1で敗れたが、セルビアとの最終戦ではスイスらしからぬラフな打ち合いを制して順当に2位通過

カメルーンは2戦セルビア戦を手な打ち合いの末に引き分け、最終戦ではターンオーバーとはいえなんとブラジル相手に試合終盤の1点で勝利2002年日韓大会以来久々勝利を王相手の大金星で挙げたが、スイスが勝ったため念の敗退。

ストイコビッチ監督率いるセルビアグループ最多の5得点を挙げる攻撃力を見せたが守備も粗く、最後のスイス戦では選手がヒートアップしてしまう場面も立ち、未勝利で敗退となった。

グループH


勝点 得失
点差


1
ポルトガル

1-2

2-0

3-2
6 2 6 4
2
韓国

2-1

0-0

2-3
4 0 4 4
3
ウルグアイ

0-2

0-0

2-0
4 0 2 2
4
ガーナ

2-3

3-2

0-2
3 -2 5 7
【Before】
ポルトガル「前回の借りは返す」
ウルグアイ返り討ちにしてやる」
韓国ガーナには勝つとして…」
ガーナ韓国には勝つとして…」
After
ポルトガルウルグアイ
ウルグアイポルトガルアホー!」
韓国奇跡は起こすもの」
ガーナウルグアイざまあw」

前回大会ベスト16で突したポルトガルウルグアイ、さらにウルグアイとは2010年南アフリカ大会での「神の手/悪魔の手」の因縁があるガーナが同組に。韓国アジア人初のプレミアリーグ得点ソン・フンミンが怪で出場が危ぶまれたこともあり、ここもやはり前評判ではポルトガルウルグアイの2強が順当に通過を決めると思われた。

前評判通りの結果を出したのはポルトガル。初戦はガーナとのしい打ち合いを制すると、2戦では調子の出ないウルグアイ完封してあっさりとグループリーグ通過を決める。

一方、苦しんだのがウルグアイ。初戦の韓国戦は互いに攻め合いながら決め手を欠いてスコアレスドローに終わると、2戦ポルトガルには敗。まさかの2戦連続得点で、グループ最下位で最終戦を迎えることに。

ソン・フンミンフェイスガードをつけて復帰した韓国は、ウルグアイ相手に引き分けたのは上々ながら、ガーナとの打ち合いに敗れ、ポルトガル戦を残して勝ち点1という絶望的状況。しかもガーナの試合ではコーナーキックチャンスを得たと思いきや、このタイミングで試合終了のホイッスル。これを不とする監督審判に猛抗議するが、これが暴言とされ史上初となる監督レッドカードで退場処分になるという罰則を受ける羽に。
ガーナは2戦続けて3-2という打ち合いで1勝1敗。3チームとも勝たないとグループリーグ突破を自力で決められない状況で最終戦を迎える。とはいえ韓国ポルトガルに勝つ確率は低く、ウルグアイガーナの勝った方が2位通過になるだろうというのが大方の予想であった。

迎えた最終戦ウルグアイガーナはようやく攻撃覚めたウルグアイが2-0でリード。なんだかんだ2強で決まりか……と思われたが、スタメンの半分ほどを休ませたポルトガル相手に前半を1-1で終えた韓国が後半は攻勢を強め、後半46分にソンの作ったチャンスからついに逆転。そのまま勝利を決める。この時点でウルグアイは総得点韓国に負けており、アディショナルタイムであと1点取らなければ敗退の状況に追いつめられる。慌てて3点を取りに行くが恨み髄のガーナに阻まれついに実らず、そのまま試合終了。最も絶望的と思われた韓国が土壇場で大逆転の2位通過を決めた。

グループリーグ総括

ドイツの敗退以外はほぼだった前回大会から一転、今大会のグループリーグジャイアントキリング・大波乱が相次ぎ、どのグループも混戦となった。3連勝チームしは1994年アメリカ大会以来、32チーム制となってからは初。また勝ち点4で敗退したチームが7チームというのもぶっちぎりの史上最多である。

この混戦状況を生んだのは、なんといってもアジア勢の躍進だろう。開催カタールを含めた出場6チーム中、日本オーストラリア韓国の3チームグループリーグを突破。ドイツスペインを破った日本を筆頭に、オーストラリアデンマークを、韓国ポルトガルを下し、敗退したサウジアラビアアルゼンチンに大金星を挙げ、イランウェールズを撃破。3連敗で消えたカタールを除く、予選通過組の5チーム全てが欧州南米勝利するという快挙を達成した。

中東カタール開催ということもあってかアフリカ勢も躍動。グループリーグ全滅した前回大会から一転、ベルギーを破って1位通過したモロッコと、セネガルの2チームベスト16入り。敗退したチュニジアカメルーンも相手が力を休ませていたとはいえフランスブラジルに大金星を挙げ、ガーナは因縁のウルグアイ連れにした。

一方、欧州リーグ開催期間中の大会ということもあって欧州南米勢は調整が難しかったのか、前評判の段階ではとりたてて「死の組」のない、強豪国がうまくばらけた組み合わせと見られたにもかかわらず、優勝補やベスト16常連が次々と敗退。まさかの2大会連続敗退となったドイツ前回大会3位のベルギー前回ベスト8のウルグアイEURO2020ベスト4のデンマーク、7大会連続ベスト16のメキシコが姿を消すことになった。全グループ欧州は1チームのみの通過である。

ベスト16の内訳は欧州8、南米2、アジア3、アフリカ2、北中米1。アジアが3チーム突破は史上最多、逆に欧州南米で合わせて10チームは史上最少。2連勝であっさり突破を決めたフランスブラジルポルトガルもそれぞれターンオーバーで挑んだ3戦チュニジアカメルーン韓国に敗れるなど、欧州南米とそれ以外の地域の実力差が詰まってきていることを感じさせるグループリーグであった。

   ♪                   ♪
  ∧__,∧∧__,∧∧__,∧ ∧__,∧∧__,∧  ♪
 ( ^ω^) ^ω^) ^ω^) ^ω^) ^ω^)   ♪ どうしてこうなった!
 (っ    )っ    )っ   )っ   )っ   )っ♪       どうしてこうなった!
  ( __フ( __フ( _フ( __フ( __フ  
   (_/彡 (_/彡 (_/彡 (_/彡  (_/彡  ♪
 ↑メキシコデンマー↑ドツ↑ベギー↑ウルグアイ

決勝トーナメント

ラウンド16

ダンフリースの1G2Aの活躍でオランダ年齢25歳アメリカを撃破。

グループリーグでは低調だったオランダだったが、前半10分にダンフリースの折り返しをデパイが合わせて先制。その後、ボールを保持して押し込むアメリカに対し、オランダカウンターで牽制しつつ試合をコントロール。前半ATには、ダンフリースの折り返しを逆サイドブリントが押し込み、オランダが追加点。後半も攻め込みながらオランダの堅守を崩せないアメリカだったが、31分にプリシッチクロスからライトトリッキーループシュートを決め、1点を返す。反撃ムードのアメリカだったが、36分オランダの見事に連動したカウンターからダンフリースがダメ押しの3点が決まり、勝負あり。
調子を上げてきたオランダが、得意のサイドアタックベスト8入りを果たす。
オーストラリアが健闘するも、"神の子"メッシアルゼンチンベスト8に導く。

立ち上がりからボールを保持するアルゼンチンだったが、オーストラリアのプレスに苦しめられペースを握れずにいた。オーストラリアの思惑通りで時間が進む中、試合の流れを変えたのはやはりこの男だった。前半35分メッシが「ここしかない」コースに左足のシュートを決め、アルゼンチンが先制。次第にペースを取り戻したアルゼンチンは、後半12分GKライアンミスを突いたアルバレスが追加点を奪う。オーストラリアも32分に幸運なオウンゴールで1点を返す。息を吹き返したオーストラリアは猛反撃に出るが、試合巧者のアルゼンチンがこれをいなし続け、逃げ切りに成功。
最後までアルゼンチンを苦しめたオーストラリアだったが、惜しくもここで敗退となった。
フランスエムバペポーランドレバンドフスキ世界を代表するストライカー同士の対決は、王者の若き怪物爆発した。

前半はフランス導権を握り、ポーランドはプレスをかけながらチャンスを伺う。前半38分、ポーランドの決定機を好守で防いだフランスは、前半終了間際にエムバペスルーパスをジルーが決めて先制。1-0で折り返す。
後半はポーランドが攻勢に出るが、逆にその裏のスペースを突かれ、後半29分にカウンターからエムバペが右足一ポーランドの心をへし折ると、アディショナルタイムにも快なゴールを決めて2ゴール1アシストの大暴れ。前回王者が圧勝でベスト8へ駒を進めた。
いいところなく終わりそうなポーランドは、試合終了間際にPKを獲得。レバンドフスキが一度はこれを止められるも、やり直しとなって二度は成功。最後に今大会2得点を決め、ポーランド英雄笑顔エムバペを讃えて大会を去った。
スリーライオンズが決定力の差を見せつけるようにしてアフリカの雄を圧倒した。

前半はセネガルカウンター体にイングランドを脅かす展開。前半31分にはブライユ・ディアが決定機を迎えたが、GKピックフォードファインセーブに阻まれるなど、流れを掴みながら先制点を奪えない。すると前半38分、セネガル守備の隙を突いた縦への突破からのクロスをヘンダーソンがきっちり決めてイングランドが先制。前半47分にはカウンターから完璧セネガルを崩して前回大会得点王のハリー・ケインが今大会初ゴールを決める。
これで余裕をもったイングランドが後半は試合を支配し、後半12分に3点を奪って勝負あり。
終わってみればイングランドシュート4本で3得点力を休ませる余裕を見せながら盤石の試合運びで勝した。セネガルは前半の決定力不足がき、エースサディオ・マネ不在が改めて重くのしかかっての敗退となった。
初のベスト8をめざし4度の決勝トーナメントに挑んだ日本だったが、またしてもは厚く高かった。

ドイツ戦やスペイン戦とは異なり向こうに一方的ボールを保持される展開ではなく、前半は互いに一進一退という感じの攻防。前半43分、CKからのこぼれ球を前田大然が押し込み、日本は今大会初めて先制点を奪い前半を終える。
しかし後半10分、ペリシッチの強ヘッドで同点に追いつかれると、日本は切り札の三笘薫浅野拓磨を投入して打開を図る。だがクロアチアもしっかり対策を講じてきており、GLのような逆襲の形を作れない。結局その後はクロアチア優勢ながら互いに見せ場は作るも最後の決め手を欠き、延長戦でも決着つかずPK戦へ。
さすがにここでは前回大会で2度のPK戦を勝ち抜いたクロアチアが上手だった。日本GKリバビッチに3本を阻止され万事休す。ベスト8のはまたしても手からすり抜けていった。
奇跡的なGL突破を果たした韓国だったが、王の情け容赦のない強さに圧倒された。

試合は開始々からネイマールが復帰したブラジルやりたい放題。前半7分、韓国の守備を翻弄してフリーのヴィニシウスが冷静に先制点を奪うと、12分にはネイマールのPKで追加点。もうこの時点でほぼ試合終了に等しいが、22分には完璧なパスワークでリシャルリソンが3点を決めると、36分にはパケタがクロスダイレクトに蹴り込んで、あっという間に4-0。面いようにゴールを重ねていく。
後半は緩めたブラジルに対して韓国なんとか意地を見せようと攻め込むが、ブラジルの好守に阻まれる。それでも後半31分に途中出場のペク・スンホが強なミドルシュート叩き込んで1点を返したが、反撃もここまで。
ブラジルが盤石の圧勝で王の貫を見せつけ、今大会躍進を見せたアジア勢はあえなくベスト16で全滅となった。
モロッコグループリーグに続き、堅固な守備で対無敵艦隊に一度もゴールを破らせることなく、初のベスト8進出を果たした。

アラブの利を得たモロッコサポーターの大ブーイングの中、前半からスペインボールを支配し、ゆったりとしたパスワークで攻撃の機を伺う。しかしモロッコはフィジカルでタイトに寄せていき、スペインになかなかシュートまで持って行かせず、またサイド攻撃で反撃も狙って行く。
時間経過とともにスペインが徐々に押し込んでいくが、モロッコの組織的な守備は崩れない。結局スペインシュートすらほとんど放てないまま、0-0のまま延長戦でも決着つかずPK戦へ。
前日会見でエンリケ監督が「1000本のPK練習をしてきた」と語したスペインだったが、1本ポストに当たると、2本と3本は長年スペインプレーするモロッコの守護神ヤシン・ブヌに阻止され、なんと一度もPKを決められず。モロッコは冷静に4本中3本を決め、見事に初のベスト8進出を果たした。
6-1。固い守備で知られるスイスしたのは、世界英雄クリスティアーノ・ロナウド……ではなく、その代役で出場した新だった。

C・ロナウドをスタメンから外して臨んだポルトガル。試合の役となったのは、その代わりに今大会……どころかポルトガル代表として初先発となったゴンサロ・ラモスである。
前半16分にラモスが強シュート叩き込んで先制すると、33分にはCKからペペヘッドで追加点。後半6分にラモスが3点叩き込むと、10分にはラファエル・ゲレイロが4点スイスは13分にCKから1点を返すが、後半21分、ラモスが冷静に5点を奪い、今大会第1号ハットトリックを達成。ポルトガルは終了間際にももう1点追加し、終わってみれば6-1。21歳の新が躍動したポルトガルが大楽勝でベスト8進出を果たした。
スイスは自慢の守備が崩壊して屈辱の大敗。決勝T進出した大会で5回連続ベスト16敗退という悔しい記録が続くこととなった。

準々決勝

不屈のクロアチアが2試合連続のPK戦優勝ブラジルを撃破。ブラジルは2大会連続でベスト8止まりに。

日本戦を120分間戦い抜き、コンディション面が不安視されたクロアチアだったが、モドリッチを中心に試合をコントロールブラジルは思ったようにペースを握れないまま前半を終えることになる。
後半、ギアを上げたブラジルは怒涛の猛攻に出るが、クロアチアの守護神リバビッチが再三のピンチを救い、試合は延長戦に突入。
延長前半終了間際、中央を綺麗に崩したネイマールゴールが決まり、ついにブラジルが先制。もがブラジル勝利を確信したが、"炎の男"たちは諦めていなかった。延長後半12分カウンターから最後はペトコビッチが決め、試合はクロアチアが得意とするPK戦に突入。
日本戦に続きリバビッチが見事なセービングで流れを作り、2試合連続でヒーローとなる。
闘を制したクロアチアは2大会連続でのベスト4進出。敗れたブラジルは、2大会連続ベスト8で姿を消すこととなった。
イエローカード17枚が飛び交う喧嘩マッチを制したアルゼンチンが2大会ぶりのベスト4進出。

同士の一戦は、今大会初めて3バックを採用したアルゼンチンの策が嵌り、試合の導権を握る。すると、前半35分メッシの絶妙なスルーパスからモリーナが決め、アルゼンチンが先制。
後半も試合の流れは変わらず、28分にPKをメッシが冷静に決め、アルゼンチンリードを広げる。選手交代で息を吹き返したオランダも38分に1点を返す。ここから両チームヒートアップし始め、マテウ・ラオス審がカードを乱発。アルゼンチン側の度を過ぎた挑発行為によって乱闘が起こるなど大荒れの展開となる。冷静さを欠いたアルゼンチンに対し、オランダは試合終了間際にトリッキーなFKからヴェグホルストが決め、土壇場で同点に追いつく。
延長戦でも決着は付かず、PK戦に突入。アルゼンチンGKマルティネスが2人を止める活躍を見せ、ベスト4へと駒を進める。しかし、収まらない両チームは試合後も小競り合いを続け、試合後のインタビューメッシ昂するなど後味の悪い試合となってしまった。
ベスト4進出達成でアフリカ、そしてアラブ希望となったモロッコネイマールに続いてクリスティアーノ・ロナウドが大会を去る。

ボールを保持するポルトガルに対し、圧倒的な大援を受けるモロッココンパクトラインを敷いた組織的な守備で応戦。すると、前半42分カウンターの流れからエン=ネシリが打点のヘディンシュートを決め、モロッコが先制。
攻めあぐねるポルトガルは、後半6分に2試合連続でスタメンを外れていたC・ロナウドを投入。サイドを起点に攻勢をかけていくが、将のサイスが怪で離脱してもモロッコの守備の集中力は切れず、GKブヌの牙を崩すことができない。ついにクリーンシートで試合を終えたモロッコアフリカ勢初のベスト4進出という快挙を成し遂げ、歴史を動かしてみせた。
再三のチャンスを決められなかったポルトガルベスト8で敗退。試合終了直後、破れたC・ロナウドは人をはばからず号泣した。
優勝補同士の手に握る死闘を制したフランスが連覇へまた一歩近づく。

今大会屈タレント軍団同士の対戦は、互いにカウンターチャンスを作る一進一退の攻防となる。そんな中、前半17分チュアメニのスーパードルが決まり、フランスが先制。ここからイングランドの反撃が始まり、エースケインボールを集めてゴールを脅かすが、フランスケインの同僚のGKロリスが何とかぐ。
後半9分イングランドはサカの仕掛けからPKを獲得すると、ケインが冷静に決め同点に追いつく。その後、互いに攻め合うオープンな試合となるが、33分グリーズマンクロスからジルーがヘディングで決め、フランスが再びリード。一方、イングランドも35分に再びPKを得るが、今度はケインが痛恨の失敗。このまま逃げ切ったフランスが連覇への大きな関門を突破する。
内容ではむしろ上回っていたイングランドだったが、悲願の優勝はまたもに消えた。

準決勝

メッシ&アルバレス躍動のアルゼンチンクロアチアを撃破。二人の10番を付けた英雄の明暗が分かれる。

試合開始から互いに慎重さを崩さずクローズな展開が続くが、前半32分抜け出したアルバレスGKリバビッチファウルを誘い、アルゼンチンがPKを獲得。今大会PK戦で神がかった活躍を見せるリバビッチを相手にメッシ完璧コースに決め、アルゼンチンが先制。さらに39分自から1人で持ちあがったアルバレスがそのままゴールを決め、アルゼンチンが追加点を奪う。
後半攻勢に出るクロアチアだが、守備を固めたアルゼンチンは隙を見せない。すると24分今大会大きく名を上げたグヴァルディオルとのマッチアップを制したメッシの圧巻のアシストから再びアルバレスが決め、アルゼンチンが決定的な3点を奪う。最後まで集中を切らさなかったアルゼンチンが盤石の試合運びで2大会ぶりの決勝進出。
ブラジルとの闘のダメージが大きいクロアチアは最後までギアが上がらないままだった。
最強の矛対決は、王者フランスが貫録の勝利モロッコの快進撃を止める。

準決勝までOGのわずか1失点のみという堅守のモロッコに対し、フランスは前半5分に波状攻撃からテオ・エルナンデスボレーシュートを決め々と先制する。5バックを採用したプランがあっさりと崩れたモロッコだったが、怪人ので4-3-3に戻したことでペースを取り戻す。以降は両チームが堅守からのカウンターで応戦する一進一退の戦いとなる。
後半は互いに決め手を欠いたまま時間が経過するが、34分エムバペの個人技から投入されたばかりのコロ・ムアニが決め、フランスが追加点を奪い、試合の行方を決めてしまう。観客の大援を受け、最後まで王者に抵抗したモロッコだったが、これをぎきったフランスがいよいよ連覇に王手をかける。
快進撃はベスト4でストップしたモロッコだったが、最終ラインに怪人が続出しながらも最後までフランスを苦しめた。

3位決定戦

予想外の快進撃で今大会をおおいに盛り上げた両雄。互いに満身創痍の状況の中、0-0で引き分けグループリーグ初戦の再戦となった。

堅守でここまで勝ち上がった両チームだったが、メンバーの入れ替えもありオープンな試合展開となる。前半7分FKの流れからグヴァルディオルがダイビングヘッドを決め、クロアチアが先制。一方のモロッコもFKの流れからダリがゴールに押し込み、すぐに同点に追いつく。その後も互いに攻守が入れ替わるスリリングな試合となるが、徐々に地力で勝るクロアチアペースを握るようになる。42分にはオルシッチが技ありのゴールを決め、クロアチアリードを奪う。
後半、反撃に出たいモロッコだったが、中盤の要であるアムラバトを最終ラインで起用しなければならない状況になり、ペースを握れない。一方のクロアチアは選手交代を積極的におこないながら終盤は冷静に時間を進めていった。

試合はそのままクロアチア逃げ切り、1998年に続いて二度の3位入賞を果たす。

決勝

W杯史上に残る壮絶な死闘を制し、アルゼンチンが36年ぶり3度の戴冠。〝神の子リオネル・メッシが最後のW杯を有終の美で飾った。

試合は前半から、明らかに動きの悪いフランスに対しアルゼンチンが優勢に試合を進める。前半23分、PKをメッシが決めてアルゼンチンが先制すると、36分には鮮やかなカウンターからディマリアが決めて2-0。フランスは前半シュート0という有様で、前半のうちにジルーとデンベレを下げてテュラムコロ・ムアニを投入するものの、後半に入っても動きは冴えない。このままアルゼンチンが快勝か……ともが確信を抱き始めた後半35分、フランスはPKを獲得。これをエムバペがきっちり決めて1点差とすると、その僅か1分後にエムバペが強ボレーを叩き込んで、一にして同点。全にアルゼンチン優位の流れを、フランス怪物がひっくり返した。これで息を吹き返したフランスが攻勢を強めるが、アルゼンチン必死いで延長戦へ。

同点のまま迎えた延長後半3分。マルティネスシュートフランスGKロリスが弾いたところに詰めていたのはメッシ。こぼれ球を押し込み、アルゼンチンがついに勝ち越す。今度こそメッシの決勝点でアルゼンチン優勝か――と思いきや、13分、ハンドで再びフランスがPKを獲得。これをエムバペが決めてハットトリック達成、怪物がなおも神の子の前に立ち塞がり、再び3-3の同点。そのまま決着つかず、壮絶な死闘はPK戦にもつれ込んだ。

フランス先攻のPK戦はともに1人キッカーとなったエムバペメッシがきっちりと決めたあと、フランスは2人アルゼンチンGKマルティネス阻止され、3人の外へ。アルゼンチンは4人全員が冷静に決めて決着。
かくしてアルゼンチンディエゴ・マラドーナを擁した1986年メキシコ大会以来、36年ぶり3度の戴冠。世界最高のサッカー選手として数々のタイトルを手にしながら、ただW杯だけは手に出来ていなかったリオネル・メッシは、最後のW杯言した大会でメッシ背中を見て育った選手たちに支えられ、大会MVPタイトルとともに悲願のジュール・リメ杯を掲げた。

大会まとめ

2022 FIFAワールドカップ 大会結果
優勝 アルゼンチンアルゼンチン(3回)
優勝 フランスフランス
3位 クロアチアクロアチア
4位 モロッコモロッコ
個人表
大会MVP アルゼンチンリオネル・メッシ
得点 フランスキリアン・エムバペ
最優秀若手選手 アルゼンチンエンソ・フェルナンデス
最優秀GK アルゼンチンエミリアーノ・マルティネス

2008年から2021年までほぼ2人でバロンドールを独占し続けたポルトガルクリスティアーノ・ロナウド(37)と、アルゼンチンリオネル・メッシ(35)。それに一割って入ったことがあるクロアチアルカ・モドリッチ(37)を含め、いずれもW杯タイトルを獲ったことがない世界スーパースター年齢的におそらく最後の大会となった今大会。最後に悲願の栄冠を掴み取ったのは〝神の子メッシだった。前回大会を制したフランス怪物エムバペとの死闘となった決勝戦は、W杯史上に残る名勝負として語り継がれることになるだろう。

波乱続きだったグループリーグから一転、決勝トーナメントは強豪国が強さを見せて順当に勝ち進む展開が多かった。その中でやはり際だったのは、組織的な堅守でスペインポルトガルを下し、アフリカ勢初のベスト4を為し遂げたモロッコの躍進だろう。クロアチア前回大会に続いて2試合連続のPK戦を制するタフな戦いぶりで、今大会も3位と大会を盛り上げた。

メッシC・ロナウドネイマールらがベスト8までで姿を消した前回大会が「個の力よりも組織力」の大会であったとすれば、前回大会では「メッシ頼み」と言われベスト16で敗れたアルゼンチンが、メッシの個の力とチームメイトの支えで栄冠を手にした今大会は、「個の力+組織力」の大会であったと言えるだろうか。

今大会を通しての大きな特徴は、アディショナルタイム計測の厳密化に伴う長時間化だろう。グループリーグイングランドイラン前半の14分を筆頭に、7分や8分のアディショナルタイムが標準となり、過去大会より日数の少ない過密日程やカタールの気リーグ開催期間中の大会ということも含め、選手にとってはタフな大会であったと思われる。

日本国内ではグループリーグ突破が絶望視されていたこともあり大会前は盛り上がりに欠けたが、日本代表ドイツスペインを撃破する2度の大金星に加え、AbemaTVが全試合全中継を無料配信で大きなトラブルなく遂したことも追いとなって日本以外のの戦いにも注が集まり、終わってみれば決勝戦まで大いに盛り上がった大会となった。

また、男子W杯として歴史上初の女性審判員が採用された(審・副審で各3名)。その中には日本から山下良美が選ばれており、今回の大会における審判員で日本出身は彼女のみで、実際にグループリーグFのカナダ×モロッコ戦で第4審判として初めて務めた。これはFIFAの方針として、性別を問わずに審判員の質を重視しており、様々なサッカー大会で女性審判として活躍できるようにすることが標として掲げられている。また、もが活躍できる当たり前の世界していることが挙げられる。

ピッチ外では、日本人サポーターによる試合後のゴミ拾いが海外メディアの間で話題となり、FIFA公式ツイッターでもその様子が取りあげられた。また、日本代表選手がドイツ戦後ロッカールームを清掃している様子も注された。こうした動きは各にも波及し、他サポーターが試合後にゴミ拾いを始めるようになったり、イラン代表がウェールズ戦後ロッカールームを清掃したりと好を及ぼした。ちなみにこうした日本サポーターの動きは前回大会でも見られた。

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