第三セクター 単語


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ダイサンセクター

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第三セクター(Third sector)とは、法人の一種である。略称は三セク 若しくは 3セク。当記事では主に日本国内における第三セクターを取り扱う。

概要

歴史

日本に於いては1978年(昭和48年)に閣議決定された「社会経済基本計画」にその名前が現れたのが始まり。各種要因によって年々減少している。

ただし、実際に活用され脚光を浴びるようになったのは、昭和50年代後半の一村一品運動に代表される地域おこし運動や、昭和60年代に発布された民活法、リゾート法の施行及び三陸鉄道の開業以降からである。地方の地域活性化を目的として設立されたものが多く、官の信用力、民の効率性と採算性を併せ持つシステムとして当時は大いに持て囃された。また、当時は莫大な貿易赤字に苦しむアメリカとの日米構造協議による内需拡大政策と、空前の好景気であるバブル景気襲来と相まって全国的な第三セクター設立ブームが到来した。

その他、現在、地方自治体の第三セクターを所管・監督指導する総務省では地方三公社(地方住宅供給公社、地方道路公社、土地開発公社の三種類の公社)も第三セクターと同様の扱いをしているが、当記事では地方三公社の詳細は記述しない。

言葉

本来、第三セクター(Third Secter)という単語は政府を第一、民間を第二セクターとカウントした際に、政府、営利民間団体以外の組織を指し示す単語であり、発祥元である英語圏(イギリス)などにおいてはNPO、NGOを指し示す言葉であることに注意が必要である。その為、日本国内においては本来のNPO、NGOを第4セクターと表現する場合もあるが本来の言葉の意味から考えると誤用である。

もう一点、注意すべきは第三セクターという形式の法人体系は存在せず、実態としては多くの場合が株式会社形式で設立される。

総数

総数は第三セクター及び地方三公社、地方独立行政法人合せて、平成15年には10,111法人(公社含む)存在したが平成28年1月時点においては7,604法人にまで減少している。平成26年との比較で141法人の減少となっている。

現在、会社法人が3,488法人、社団・財団法人が3,175法人、地方三公社821法人、地方独立行政法人120法人となっている(平成28年1月末現在)。会社法人としては主に観光、産業振興、都市開発系等の主に営利企業としての設立が多く、社団・財団法人としては教育文化、社会福祉、医療関係等の採算が望めない事業を運営する為に設立された法人が多い。 

問題点

前述の通り、官の信用力と民間の効率性を持ち合わせるシステムとして発足した筈の第三セクターではあるのだが、実際は官の効率性で動く組織がかなり多く、結果として赤字経営を強いられる第三セクターが多い。(国の統計によれば、全三セク法人のうち会社法人の28%、社団・財団法人の36%が赤字経営である。)

また、その損失補填(赤字の穴埋め)を地方自治体の一般会計から第三セクターに対する出資金等として行う例が多々あるのだが、これらの損失補填の財源は何かといえば、地域住民が納めた税金である。

この為、赤字を出し続けても結果的に損を埋められるという事で放漫経営を続ける第三セクターも過去に存在し、地域住民がその支出を差し止めるよう求める訴訟が起こる、といった事例も存在する。

さらには、第三セクター自体の存在が地方自治体の経営を圧迫し、財政再建団体へと転落するといった事例も見受けられる。(驚く事に、規模の大小はあれども経営破綻を起こした責任を求めて住民から経営者側が訴追されたと言う例が殆ど無い。そうなる理由としては多くが株式会社形式にて設立するため訴訟を起こそうとしても利害関係の発生する株主、つまり自治体自身にしか訴訟が起こせないこと、その為、利害の直接の県連が発生しない住民が経営者相手に訴訟することが困難なためである。)

現在は、地方公共団体財政健全化法により地方自治体の財務体質改善と合わせて経営の健全化を図っている第三セクターや、これ以上の経営は赤字が膨らむだけだと解消・精算へ向けて動く第三セクターも多い。

指定管理者制度

小泉内閣時に行われた地方自治法の一部改正で可能となった指定管理者制度によって第三セクターを取り巻く状況が大きく経化している。

指定管理者制度とは行政サービスの一端を総合評価方式やプロポーザル方式により指定管理者に委託する制度で近年流行となったPFIの一方式である。多くの場合において第三セクターで設立されたなどが行政サービスの代行を行う指定管理者となる場合が目立つが、その一方で財政の困窮から第三セクターそのものの維持ができなくなった自治体が、一般の民間業者に委託することも多くなっている。

結果として第三セクターの総数は年々減少している

近年の傾向

総じて総数は減少傾向にある。

これは自治体の財政の悪化、および平成の合併の影響や後述する指定管理者制度など複数の理由のよるものであり明確な単一の原因によるものではない。

会社法人、社団・財団法人、地方三公社は毎年減少している。その一方で地方独立行政法人は増加傾向(年間平均12ほどの増加)にある。これは指定管理者制度の確立にともない純粋に民間に委託しきってしまう事例が増えたことと、切り替えの難しい組織は地方独立行政法人に変更しているためと思われる。

第三セクター及び地方三公社は減少する一方であるのに対し、近年は地方独立行政法人(平成24年においては94法人)は増加傾向にあり、総務省では第三セクター及び地方三公社と同様に管理対象としている。

ニコニコ大百科に記事のある第三セクター組織一覧

現存する組織

アルファベット順→あいうえお順。ここに出てくるのは全て株式会社のため、法人格種別名(株式会社)は省略する。
特定記事へのリダイレクトになっているものも含む。
出資比率等その他欄は、レイアウト崩壊防止のため脚注形式とする。

企業正式名称 本社所在地 業種 出資比率等
その他
IGRいわて銀河鉄道 岩手県盛岡市青山 運輸業(鉄道)
IRいしかわ鉄道 石川県金沢市高柳町 運輸業(鉄道)
愛知環状鉄道 愛知県岡崎市北野町 運輸業(鉄道)
愛知高速交通 愛知県長久手市茨ケ廻間 運輸業(鉄道)
会津鉄道 福島県会津若松市材木町 運輸業(鉄道)
あいの風とやま鉄道 富山県富山市明輪町 運輸業(鉄道)
青い森鉄道 青森県青森市篠田 運輸業(鉄道)
阿佐海岸鉄道 徳島県海部郡海陽町宍喰浦 運輸業(鉄道)
秋田内陸縦貫鉄道 秋田県北秋田市阿仁銀山 運輸業(鉄道)
阿武隈急行 福島県伊達市梁川町 運輸業(鉄道)
甘木鉄道 福岡県朝倉市甘木 運輸業(鉄道)
伊賀鉄道 三重県伊賀市上野丸之内 運輸業(鉄道)
いすみ鉄道 千葉県夷隅郡大多喜町大多喜 運輸業(鉄道)
伊勢鉄道 三重県鈴鹿市桜島町 運輸業(鉄道)
井原鉄道 岡山県井原市東江原町 運輸業(鉄道)
えちごトキめき鉄道 新潟県上越市東町 運輸業(鉄道)
えちぜん鉄道 福井県福井市松本上町 運輸業(鉄道)
大阪モノレール 大阪府吹田市千里万博公園 運輸業(鉄道)
沖縄都市モノレール 沖縄県那覇市字安次嶺 運輸業(鉄道)
鹿島臨海鉄道 茨城県東茨城郡大洗町桜道 運輸業(鉄道)
北大阪急行電鉄 大阪府豊中市寺内二丁目 運輸業(鉄道)
北近畿タンゴ鉄道 京都府宮津市字外側 運輸業(鉄道)
くま川鉄道 熊本県人吉市中青井町 運輸業(鉄道)
神戸高速鉄道 兵庫県神戸市中央区多聞通 運輸業(鉄道)
神戸新交通 兵庫県神戸市中央区港島 運輸業(鉄道)
埼玉高速鉄道 埼玉県さいたま市緑区美園 運輸業(鉄道)
埼玉新都市交通 埼玉県北足立郡伊奈町小室 運輸業(鉄道)
さいたまアリーナ 埼玉県さいたま市中央区新都心 サービス業(多目的ホール運営) [1]
栄公園振興 愛知県名古屋市東区東桜 サービス業(商業施設運営) [2]
札幌ドーム 北海道札幌市豊平区羊ケ丘 サービス業(球場運営) [3]
三陸鉄道 岩手県宮古市栄町 運輸業(鉄道)
信楽高原鐵道 滋賀県甲賀市信楽町長野 運輸業(鉄道)
しなの鉄道 長野県上田市常田 運輸業(鉄道)
芝山鉄道 千葉県山武郡芝山町香山新田 運輸業(鉄道)
首都圏新都市鉄道 東京都千代田区神田練塀町 運輸業(鉄道)
仙台空港鉄道 宮城県名取市杜せきのした 運輸業(鉄道)
多摩都市モノレール 東京都立川市泉町 運輸業(鉄道)
樽見鉄道 岐阜県本巣市曽井中島 運輸業(鉄道)
智頭急行 鳥取県八頭郡智頭町智頭 運輸業(鉄道)
千葉都市モノレール 千葉県千葉市稲毛区萩台町 運輸業(鉄道)
千葉マリンスタジアム 千葉県千葉市中央区千葉港 サービス業(球場運営)
土山ハイウェイサービス 滋賀県甲賀市土山町南土山字尾巻甲 サービス業(サービスエリア運営) [4]
天竜浜名湖鉄道 静岡県浜松市天竜区二俣町阿蔵 運輸業(鉄道)
東京メトロポリタンテレビジョン 東京都千代田区麹町 情報通信業(テレビ局) [5]
東京臨海高速鉄道 東京都江東区青海 運輸業(鉄道)
道南いさりび鉄道 北海道函館市若松町 運輸業(鉄道)
東葉高速鉄道 千葉県八千代市緑が丘 運輸業(鉄道)
土佐くろしお鉄道 高知県四万十市駅前町 運輸業(鉄道)
とさでん交通 高知県高知市桟橋通 運輸業(鉄道・バス)
長良川鉄道 岐阜県関市元重町 運輸業(鉄道)
名古屋ガイドウェイバス 愛知県名古屋市守山区竜泉寺 運輸業(鉄道)
名古屋テレビ塔 愛知県名古屋市中区錦 サービス業(電波塔管理) [6]
名古屋臨海高速鉄道 愛知県名古屋市港区十一屋 運輸業(鉄道)
西大阪高速鉄道 大阪府大阪市福島区海老江 運輸業(鉄道)
錦川鉄道 山口県岩国市錦町広瀬 運輸業(鉄道)
のと鉄道 石川県鳳珠郡穴水町字大町 運輸業(鉄道)
肥薩おれんじ鉄道 熊本県八代市萩原町 運輸業(鉄道)
ひたちなか海浜鉄道 茨城県ひたちなか市釈迦町 運輸業(鉄道)
広島高速交通 広島県広島市安佐南区長楽寺 運輸業(鉄道)
広島バスセンター 広島県広島市中区基町 サービス業(バスターミナル運営) [7]
福島テレビ 福島県福島市御山町 情報通信業(テレビ局) [8]
平成筑豊鉄道 福岡県田川郡福智町金田 運輸業(鉄道)
北条鉄道 兵庫県加西市北条町北条 運輸業(鉄道)
北越急行 新潟県南魚沼市六日町 運輸業(鉄道)
北海道エアシステム 北海道札幌市東区丘珠町 運輸業(航空機)
北海道高速鉄道開発 北海道札幌市中央区北13条 運輸業(鉄道)
幕張メッセ 千葉県千葉市美浜区中瀬 サービス業(多目的ホール運営) [9]
松浦鉄道 長崎県佐世保市白南風町 運輸業(鉄道)
万葉線 富山県高岡市荻布字川西 運輸業(鉄道)
水島臨海鉄道 岡山県倉敷市水島東栄町 運輸業(鉄道)
湊町開発センター 大阪府大阪市浪速区湊町 サービス業(建物・商業施設運営) [10]
南阿蘇鉄道 熊本県阿蘇郡高森町大字高森 運輸業(鉄道)
真岡鐵道 栃木県真岡市台町 運輸業(鉄道)
野岩鉄道 栃木県日光市藤原 運輸業(鉄道)
山形鉄道 山形県長井市栄町 運輸業(鉄道)
ゆりかもめ 東京都江東区有明 運輸業(鉄道)
由利高原鉄道 秋田県由利本荘市矢島町七日町字羽坂 運輸業(鉄道)
横浜高速鉄道 神奈川県横浜市中区元町 運輸業(鉄道)
横浜国際平和会議場 神奈川県横浜市西区みなとみらい サービス業(多目的ホール運営) [11]
横浜シーサイドライン 神奈川県横浜市金沢区幸浦 運輸業(鉄道)
四日市あすなろう鉄道 三重県四日市市安島 運輸業(鉄道)
若桜鉄道 鳥取県八頭郡若桜町若桜 運輸業(鉄道)

かつて第三セクターだった組織・消滅した組織

名実共に消滅したものには取り消し線を引いている。敬称略。

企業正式名称 本社所在地 業種 出資比率等
その他
蒲郡海洋開発 愛知県蒲郡市海陽町 サービス業(ヨットハーバー・遊園地運営) [12]
北九州高速鉄道 福岡県北九州市小倉南区企救丘二丁目 運輸業(鉄道) [13]
新銀行東京 東京都新宿区西新宿 金融業(銀行) [14]
高千穂鉄道 宮崎県西臼杵郡高千穂町大字三田井 運輸業(鉄道) [15]
富山ライトレール 富山県富山市城川原 運輸業(鉄道・バス) [16]
鳴尾ウォーターワールド 兵庫県西宮市鳴尾浜 サービス業(健康増進施設運営) [17]
北海道ちほく高原鉄道 北海道北見市大通西 運輸業(鉄道) [18]
りんくうゲートタワービル 大阪府泉佐野市りんくう往来北 サービス業(建物管理) [19]

 出資比率的に国家・地方自治体が絡むが第三セクター扱いされない組織

敬称略。

企業正式名称 本社所在地 業種 出資比率等
その他
京福電気鉄道 京都府京都市中京区壬生賀陽御所町 運輸業(鉄道) [20]
富山地方鉄道 富山県富山市桜町 運輸業(鉄道・バス) [21]

関連項目

  • 総務省
  • 法人
  • 都道府県 / 市区町村 / 地方自治体
  • 一部事務組合 / 広域連合
  • PFI
  • NPO / NGO
  • 上下分離方式
  • 夕張市
  • 道の駅
  • 海の駅
  • 地方債
  • ローカル線
  • 指定管理者
  • 地方公共団体
  • 地方独立行政法人

関連リンク

リンク先は全て総務省の法令データ提供システム。

脚注

  1. *埼玉県が株式の30%を保有。
  2. *名古屋市が筆頭株主(保有比率52.5%)。
  3. *札幌市が筆頭株主(保有比率55%)。
  4. *甲賀市を筆頭に近江鉄道、西武鉄道、伊豆箱根鉄道等の西武グループも株式を保有。
  5. *出資比率は上からエフエム東京20%→中日新聞社6%→東京都3.5%と続く。
  6. *愛知県と名古屋市とで半分の株式を保有。
  7. *広島市と県内主要バス会社が共同で株式を保有。
  8. *福島市が株式の半分を保有。
  9. *千葉県と千葉市とで株式の38%を保有。
  10. *大阪市と民間企業が共同で株式を保有。
  11. *横浜市と神奈川県とで株式の37%を所有。
  12. *2015年清算・解散。
  13. *2005年に北九州市が同社の民間資本を全て買い上げて北九州市100%出資(実質公営化)となり、第三セクターの定義から外れた。
  14. *東京都がBNPパリバ信託銀行を公有化する手法で発足。2018年東京都民銀行・八千代銀行と合併しきれぼし銀行きらぼし銀行となった。
  15. *2009年解散。
  16. *2020年に富山地方鉄道に吸収合併。
  17. *2020年解散。
  18. *2008年解散。
  19. *2005年に経営破綻。その後2012年にイギリス領バミューダ諸島の不動産投資会社が保有するようになった。
  20. *京福電鉄の株主のひとりが死亡したことによる相続税納付の際、株券の現物納付が国税庁に対し行われたため、財務大臣が同社の大株主リストに入っていた。2006年度版の国土交通省鉄道局監修 鉄道要覧より。だが国は京福電鉄の運営に関与する腹積もりが無いので"形だけの"第三セクターと言われており、第三セクター鉄道に分類されないことが多い。2017年時点での有価証券報告書で財務大臣が大株主リストから外れており現状不明。国からの手を離れている可能性もある。
  21. *1943年に施行された陸上交通事業調整法により富山市営軌道も合併対象になった経緯があることから、富山市が大株主のひとつに入っている。しかし一般的には第三セクター扱いされていない。

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