概要
4ストローク250cc単気筒の小さなエンジン
2011年までの軽排気量クラスは125ccクラスと呼ばれ、2ストローク125cc単気筒エンジンを使っていた。2ストロークエンジンは環境負荷が大きいので、2011年シーズンをもって125ccクラスが終了した。
2012年より4ストローク250cc単気筒エンジンを使うMoto3クラスが始まった。ちなみに、単気筒のことをシングル（single）と呼ぶことがある。
4スト250ccの単気筒というと一般にはオフロードバイクやビッグスクーターに積まれるものだが、そこはレース専用エンジン故に、回転数は10000rpmを超えて13500rpmにまで到達するので、かなりのパワーを誇る。
しかし、それでも上位クラスに比べれば非力なので、速いライダーであっても単独で抜け出ることができず、何台ものマシンが集団を作って走ることが多い。各ライダーは前のマシンのスリップストリームを最大限に生かして走行するのが基本となる。レース展開によってはトップ争いが最終ラップの最終コーナーまでわからないこともしばしばある。先の読めないレースをドキドキしながら見たいならこのクラスはおすすめである。
ちなみに、Moto3クラスは競り合いのまま最終ラップに突入することが多いが、「優勝を目指すなら最終ラップにさし掛かるときに3番手以内に入っていた方がいい。最終ラップにさし掛かるときに4番手以下だと優勝するのが難しい」とよく言われる。最終ラップは各ライダーが力を振り絞るので2台抜くのが精一杯、というわけである。
Moto3のエンジンは60馬力ほどとされ、最高速度は245kmほどに達する。ちなみにMoto2クラスは140馬力で最高速度295km、最大排気量クラスは250馬力で最高速度350kmである（記事
）。
ECU（エンジンを電子制御する装置）は主催者指定のワンメイクで、イタリアのデロルトが独占供給している。
細いタイヤ
タイヤはMoto2同様、2023年までダンロップのワンメイクで、2024年からピレリのワンメイクになっている。
最大排気量クラスに比べてタイヤが細く、接地面積も小さい。このため、濡れた路面でMoto3クラスの決勝が開催されたとき、走行するたびどんどん路面が乾いていくという現象が起こりにくい。また、タイヤ自体の衝撃吸収性が少ないので、縁石（ゼブラゾーン）の段差に乗り上げることを抑制すべきとされるし、リアタイヤを浮かせたジャックナイフの状態でコーナーに進入することも抑制すべきとされる。
各チームの予算
ライダーを2人雇ってMoto3クラスに参戦するチームの全体予算は、年間100万～200万ユーロ程度である。
2016年まではメーカーから各チームにライダー1人につき年間6台のエンジンが売却され、各チームは使い終わったエンジンをFIMジュニアGP（スペインなどで行われる若手向け選手権 旧称はCEV）Moto3クラス）などに参戦するチームへ売り飛ばしていた。
2017年からはメーカーからチームにライダー1人につき年間6台のエンジンがリース（貸与）されるようになり、各チームは使い終わったエンジンをメーカーに返却するようになった。そして2017年から国際ロードレーシングチーム協会（IRTA）の援助が入るようになり、ライダー1人につき6万ユーロでリースしてもらうがそのうち4万ユーロをIRTAが負担し、各チームのエンジンに関する年間負担額は2万ユーロになった。
ライダー1人につき、シャーシ代が年間8万5千ユーロ、転倒したときの部品代が年間8万ユーロ、レース以外のテストで使用するエンジンのリース料が2万ユーロ、レースで使用するエンジンのリース料のうちチームが負担する分が先述のように2万ユーロ。
以上を合計すると、ライダー1人を走らせるためのマシンの費用は20万5千ユーロほどである。ただし、実際はもう少し高く、ライダー1人を走らせるためのマシンの費用は30万ユーロから40万ユーロになるという。
※この項の資料･･･記事1、記事2、記事3、記事4、記事5
コストを抑える工夫
4ストロークの軽排気量マシンは2ストロークの軽排気量マシンよりも高コストで高額であり[1]、レースをするチームにとって重荷となりやすい。このため、あの手この手でコストを抑える工夫をしている。
メーカーがMoto3クラスに参戦するためには、少なくとも6台のマシンを供給しなければならない（記事）。「2台だけマシンを作って、その2台に高コスト・高品質技術を投入する」ということができず、少なくとも6台のマシンを作れる程度の低コスト・低品質技術に抑えねばならない。
メーカーがシャーシを改良するときはそのメーカーと契約するチーム全員に同時供給せねばならない、という規制が2016年9月から課せられている（記事）。
メーカーは、チームに供給するエンジンをいったん運営者に預け、運営者がくじ引きで各チームに分配することになっている。このため、メーカーが「このチームに特別な高コスト・高性能エンジンを与えよう」と、えこひいきすることができない（記事、日本のモータースポーツ団体MFJが和訳した2019FIM世界選手権ロードレースグランプリ技術規則の113～114ページ）。
2020年にコロナ禍が発生したので2021年から2023年までは開発費を抑えるためにマシンを新しくすることが禁止されていた。しかし2024年になってマシンを新しくすることが解禁され、KTMとホンダが新型車両を投入している（記事）。
マシンの均一化が進んでいるので、後追い走法やスリップストリームが必須となる
Moto3クラスは、タイヤと電子制御がワンメイクで、シャーシとエンジンは同じメーカーと契約しているチームがどれも全く同じものを手にする、という体制になっている。つまり、マシンの均一化が非常に進んでいる。
このため、各ライダーはマシンの性能差に頼った走りをしても他車を抜き去ることができない。予選で速く走って高いスタート順位を手にして決勝レースで優位に立つためには、後追い走法で先行ライダーのブレーキングポイントを参考にしてみたり、スリップストリームを効かせてみたりする必要がある。
熾烈なメーカー間競争
KTMとホンダの争い
2017年は、KTM、ホンダ、マヒンドラ、プジョー(マヒンドラの別ブランドで中身は同じバイク)が参戦していた。ところが2017年末にマヒンドラとプジョーが撤退し、2018年からKTMとホンダの二大勢力になった。
2025年現在もKTMとホンダの二大勢力の体制が続いていて、KTMライダーが16人でホンダライダーが10人となっている。
最高峰クラスに勝るとも劣らないメーカー同士の激しい開発競争が起こっている。そのため、マシンの単価がシリーズ開始当初より遥かに高くなっており、新規参戦するチームの足枷になっている。
当初は、資金の少ないプライベーターも参戦しやすいように、あまり極端な開発はせずにエンジン価格に制限を設けるなど、マシン価格を抑える方針であった。しかし、KTMがマシン価格が上がることを承知の上で、特にエンジンについて金に糸目をつけない開発を行って正直に約束を守ったホンダを出し抜く形になった。KTMはマシン全部を供給しているので、価格が高くなってもあくまで「シャーシ代」であり、「エンジンはこれまで通り低価格」と言い張るというカラクリである。これに怒ったホンダは全力開発したNSF250RWでリベンジしたという経緯があった。これについての詳細は、KTMワークスの記事の「Moto3クラスにおけるホンダとの抗争」の節を参照のこと。
KTMとホンダの成績
Moto3クラスにおいてKTMとホンダの成績は拮抗している。初年度の2012年からの比較表は次のようになる。
| KTM | ホンダ | |
| 2012年
|
1位 サンドロ・コルテセ | 3位 マーヴェリック・ヴィニャーレス |
| 2013年
|
1位 マーヴェリック・ヴィニャーレス | 7位 ジャック・ミラー |
| 2014年
|
2位 ジャック・ミラー | 1位 アレックス・マルケス |
| 2015年
|
2位 ミゲール・オリヴェイラ | 1位 ダニー・ケント |
| 2016年
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1位 ブラッド・ビンダー | 2位 エネア・バスティアニーニ |
| 2017年
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8位 マルコス・ラミレス | 1位 ジョアン・ミル |
| 2018年
|
3位 マルコ・ベッツェッキ | 1位 ホルヘ・マルティン |
| 2019年
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2位 アロン・カネット | 1位 ロレンツォ・ダラポルタ |
| 2020年
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1位 アルベルト・アレナス | 2位 トニー・アルボリーノ |
| 2021年
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1位 ペドロ・アコスタ | 2位 デニス・フォッジャ |
| 2022年
|
1位 イサン・ゲヴァラ | 3位 デニス・フォッジャ |
| 2023年
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2位 佐々木歩夢 | 1位 ジャウメ・マシア |
| 2024年
|
1位 ダヴィド・アロンソ | 6位 アドリアン・フェルナンデス |
KTMのマシンとホンダのマシンの違い
KTMのマシン（RC250GP）とホンダのマシン（NSF250RW）は、見た目に違いがある。
KTMのマシンは、2本の排気管を左右の外に出している（画像1、画像2）。このため、ライダー同士が接触したあと排気管が曲がってマシントラブルとなり、ピットインせざるを得なくなることがある[2]。
ホンダのマシンは、2本の排気管をまとめてテールカウル（後部の外装）の下に詰め込んでいる（画像1、画像2）。
KTMのマシンは鋼管トレリスフレームで、鉄パイプを溶接して組み合わせたシャーシを使っている（画像）。KTMと関係の深いアジョ・モータースポーツは鉄パイプをKTMの企業色であるオレンジ色に塗装し（画像）、VR46は鉄パイプを黒色に塗装している（画像）。
ホンダのマシンはアルミ・ツインスパーフレームで、銀色のアルミニウムでできたシャーシを使っている（画像）。
マシンの乗り心地も大きな違いがあるようで、アロン・カネットは「前輪の感触が大きく異なる」と述べている（記事）。また、KTMのマシンは強いブレーキングが可能でこの動画におけるオレンジ色の軌跡になりやすく、ホンダのマシンはコーナーリング速度を高めることが可能でこの動画における青色の軌跡になりやすいという。
年齢制限
規則の簡単な紹介
満18歳の誕生日を迎えるとMoto3クラスに出走できる。ただし、特例措置があり、レッドブルルーキーズカップやFIMジュニアGPのMoto3クラス（スペインなどで行われる若手向け選手権 旧称はCEV）でチャンピオンになっていて満17歳の誕生日を迎えていればMoto3クラスに出走できる。
ある年において、シーズン当初からチームが持つ出場枠を利用してMoto3クラスに参戦することを初めて行うことができるのは、その年の1月1日に満25歳以下であるライダーだけである。
ある年において、シーズン当初からチームが持つ出場枠を利用してMoto3クラスに継続参戦することを再び行うことができるのは、その年の1月1日に満28歳以下であるライダーだけである。
このようにベテランを排除する年齢制限があり、実際には10代後半～20代前半のライダーがほとんどである。若者の登竜門クラスといえる。
本記事の末尾にて、年齢制限の規則を詳しく紹介している。
年齢制限の制度の短所
2012年に始まったMoto3クラスは、全員が若手である。誰かが好ましくない走りをしても、それを叱るベテランが存在しない。このため、年齢制限のない時代を知る有識者は、「年齢制限のない昔の方が、ライダーに対する教育作用が高かった」と語ることがある。
軽排気量クラスに年齢制限が課せられていなかった時代というと、2000年代前半までである。そのころは、「自分の体格に合ったバイクでレースをすべきだ。軽排気量クラスでチャンピオンになっても中排気量クラスや最大排気量クラスに移ったりしないほうがいい」という考え方があり、チャンピオンがずっと軽排気量クラスに残り続けることが多かった。
そういう時代は、30代の体育教師みたいなオッサンと、10代の高校生のような若者が一緒に走っていた。そして、10代の若者ライダーがヤンチャな走りをすると、30代の体育教師ライダーがすっ飛んできて、十分に貫禄を示しながら厳しく教育していた。その一例は、ホルヘ・マルチネスのヴァレンティーノ・ロッシに対する激怒事件である。
年齢制限がなかった時代を知る最後の世代
年齢制限がなかった時代の軽排気量クラスを走ったことがあるライダーのなかで、最も最後の世代は、1986年3月23日生まれのアンドレア・ドヴィツィオーゾや1987年5月4日生まれのホルヘ・ロレンソといったあたりである。彼らは2002年の軽排気量クラスにフル参戦しており、この年には上田昇（この年に35歳）やルーチョ・チェッキネロ（この年に33歳）が参戦していた。
年齢制限がある時代の軽排気量クラスだけを知っているライダーで、最も最初の世代は、1990年7月16日生まれのヨハン・ザルコあたりである。ヨハンは若手向け選手権のレッドブルルーキーズカップの初代2007年王者で、2009年から軽排気量クラスにフル参戦したが、2009年にはベテランライダーが全く存在しなくなっている。
ライダーの発言権が弱くなり、チームの発言権が強くなった
年齢制限が導入されたので、Moto3クラスの各チームにおいて、ライダーの発言権が弱くなり、チームの発言権が強くなった。
マシン作りでライダーとクルーチーフの意見が食い違ったとき、たいていはクルーチーフの意見が通る。さらに、レオパードレーシングのような名門チームならクルーチーフやメカニックが好みのマシンを作り上げてライダーがそれに合わせることを強制される。いずれも「ライダーは若くて経験がないのだから黙ってチームの指示に従え」という風潮になる。
年齢制限が導入される前は30代の体育教師のような貫禄のあるライダーがいたこともあり、ライダーの発言権がそれなりに高く、マシン作りにおいてライダーが主導権を握ることができたという。
Moto3クラスに参戦するチーム
2025年シーズンにMoto3クラスへ参戦するチームを挙げていく。チームの並びは2024年のチームランキング順で、チーム内におけるライダーの並びは2024年のライダーランキング順となっている。
- CFモト・ガヴィオタ・アスパー・チーム
- スペイン・バレンシアに拠点を持つチーム。チームオーナーはバレンシア出身で125ccクラスや80ccクラスで合計4度の世界チャンピオンに輝いたホルヘ・マルチネス。バレンシア出身で2011年にこのチームに所属して125ccクラスチャンピオンに輝いたニコラス・テロルがチーム監督である。
チーム名のアスパーというのはホルヘ・マルチネスの愛称である。2017年夏に急逝したアンヘル・ニエト（13回の世界チャンピオンに輝いたスペインの英雄的MotoGPライダー。13という数字を不吉として嫌い、12+1というステッカーを好んでいた）に敬意を表し、2018年と2019年はチーム名をアンヘル・ニエト・チームに改めていた。2019年11月にホルヘ・マルチネスがMotoGP殿堂入りしたのをきっかけに（記事）、2020年から再びチーム名をチーム・アスパーに戻した。
スポンサーは、オートソーラー（スペイン・バレンシアの太陽光発電企業）、ヴァルレサ（スペインの塗料メーカー）、ガヴィオタ（スペインアリカンテ州の建設業界向けメーカー。ブラインドなどの日光防止部品に強み。社名の由来はカモメのスペイン語名gaviotas）、ソルニオン（スペインの保険企業）など。そして2024年からCFMotoというKTM傘下の中国のオートバイメーカーがメインスポンサーになった。
使用マシンはKTM。
| ＃ | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
| 71 | デニス・フォッジャ
|
|
ローマ
|
165cm63kg | 2001年1月7日 |
| 28 | マクシモ・キレス
|
|
ムルシア
|
2008年3月19日 |
- フリンサ・MTヘルメッツ・MSi
- スペインの首都マドリッドのこの場所にあるモータースポーツ向け専門学校のMSi（Motor & Sport Institute）が結成したチーム。MSiは公式サイトや公式Instagramを開設しているが、iを小文字にしたロゴを掲げている。
スポンサーはフリンサ（スペインの水産物缶詰企業）、MTヘルメッツ（スペインのヘルメット企業）。MTヘルメッツは、TEAM MT- FOUNDATION77というチーム[3]を2019年から支援している（記事）。
また、山中琉聖のマシンには中外テクノスという広島県の検査企業がスポンサーについている（画像）。
使用マシンはKTM。 また、ライダーの1人の山中琉聖は蕎麦屋の孫である。詳しくは本記事の過去ログを参照のこと。
| ＃ | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
| 36 | アンヘル・ピケラス
|
|
レケナ
|
170cm59kg | 2006年12月1日 |
| 6 | 山中琉聖
|
|
千葉県四街道市
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170cm57kg | 2001年11月6日 |
- リキモリ・ダイナヴォルト・インタクトGP
- チーム監督はピーター・エッテルで、2019年までMoto2クラスに出走していたフィリップ・エッテルの父親。
このチームの前々身は2015年から2018年までMotoGPのMoto3クラスに参戦したスドメタル・シェドルGPチーム（Sudmetall Schedl GP-Team）である。オーナーがピーター・エッテル、ライダーがフィリップ・エッテルという、エッテル親子のために存在するようなチームだった。
さらに、このチームの前身が2019年に生まれた。イタリア人のマックス・ビアッジとドイツ人のピーター・エッテルが組んでできたチームだった。しかし2022年になってマックス・ビアッジとピーター・エッテルの抗争が生まれ、マックスが抗争に敗れ、2023年からピーターが単独でチームを指揮するようになった。
ピーターは2023年からインタクトGPというドイツのチームと組み、インタクトGPのMoto3クラス部門としてチームを再編成した。
スポンサーはリキモリ（ドイツのウルムに本社がある潤滑油メーカーで、二硫化モリブデンを使った潤滑油の特許を持っているので「モリ」の名前を名乗っている）、ダイナヴォルト（中国のバッテリーメーカー）、ランドフリューゲル（ドイツの鶏肉企業。「国鳥」という意味の社名）。
使用マシンはKTM。
| ＃ | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
| 64 | ダヴィド・ムニョス
|
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ブレネス
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168cm53kg | 2006年5月15日 |
| 94 | グイド・ピニ
|
|
ボルゴ・サン・ロレンツォ
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2008年1月9日 |
- レッドブル・KTM・Tech3
- フランスのボルム＝レ＝ミモザに拠点を持つTech3のMoto3部門。チーム監督はエルヴェ・ポンシャラルで、数々の日本人ライダーと仕事をしてきた経歴を持つ。
2001年から2009年までのTech3は最大排気量クラスだけに参戦していたが、2010年から2019年までのTech3は最大排気量クラスとMoto2クラスの複数クラスに参戦していた。2010年から2018年までMoto2クラスに「Tech3が自分で作ったオリジナルのシャーシ」で参戦し、2019年はメインスポンサーにオーストリアのレッドブルを迎えて完全にKTM陣営の一員になりつつMoto2クラスにKTMのシャーシで参戦した。
2020年からMoto2クラス参戦をとりやめてMoto3クラスに参戦することになった。このチームの歴史は非常に長いが、軽量級に参戦するのは史上初めてのことだった。ちなみに、KTMから「Moto2クラスをやめてMoto3クラスに転向してくれないか」と打診されたときのエルヴェ・ポンシャラルはちょっとショックだったらしい（記事）。
フランスのチームなのでフランス語がチーム内で飛び交う（記事）。チーム名のフランス語読みは「テック・トワ」である（動画）。
スポンサーは先述のレッドブルである。
使用マシンはKTM。
| ＃ | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
| 12 | ジェイコブ・ロールストン
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ウロンゴン
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2005年2月4日 | |
| 73 | ヴァレンティン・ペッローネ
|
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バルセロナ
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2007年12月28日 |
- レオパード・レーシング
- メインスポンサーのレオパードはルクセンブルクのエナジードリンク企業。ちなみに、レオパードとは豹（ヒョウ）を意味する言葉である。チームの拠点はルクセンブルクにある。
もともとこのチームの本体はキーファーレーシング（ドイツのバート・クロイツナハに本拠があり、ステファン・キーファーが設立したチーム）だった。そこにルクセンブルクの不動産王で大富豪のフラヴィオ・ベッカという人物が現れ、キーファーレーシングから主導権を奪っていった。
フラヴィオ・ベッカの一族はイタリア出身で、両親の代にルクセンブルクへ移ってきた（記事）。また、フラヴィオ・ベッカはF91デュドランジュというルクセンブルクのサッカークラブのオーナーでもあり（記事）、サイクリングのチームのオーナーでもある。
監督は、ミオドラグ・コトゥルというF1で活躍していたフランス人[4]と、マッシモ・ヴェルジーニというイタリア人[5]である。また、クリスチャン・ルンドベルグという名物メカニックがいる。さらに、ジョアン・ミルを育てたことで知られるダニ・ヴァディーロがライダーコーチとして所属している。
直線の速度が速いチームとして知られており、G+の解説者の坂田和人さんが「やっぱりレオパードのマシンは直線で伸びますね～」と語ることが多い。どうやら電子制御の技術が優れているようである。「電子制御で何か不正をしているのではないか」と2020年9月にVR46から告発されたことがあったが、レース運営がその訴えを却下した（記事1、記事2）。
2015年・2017年・2019年・2023年においてMoto3チャンピオンを輩出している名門チームだが、Twitterでのノリは、いつもこんな感じである（ツィート1、ツィート2、ツィート3）。
資金力が高いチームとしての印象が強い。200万ユーロを払って首都ローマに近いこの場所にあるヴィテルボサーキットを買収したり（記事）、グレッシーニレーシングの株式を取得しようと提案して断られたりしている（記事）。このため最大排気量クラスに進出する噂がたびたび上がっている（記事）。しかし、技術者のクリスチャン・ルンドベルグは「最大排気量クラスは荷が重い」と答えている（記事）。
資金力が高く、マフラーなどの部品を独自に開発して使用している。また、風洞施設を借りるのはお金が掛かるのだがそれでも借りて、マシンとライダーを風洞に掛け、カウルやステップやハンドルやブレーキレバーガードの位置を細かく決め、ライダーに「このハンドルに合わせて姿勢を決めて乗るように」と指示してくる。
スポンサーはANONIMO(アノーニモ。イタリア・フィレンツェの時計ブランド。先述のフラヴィオ・ベッカが株主になっている)、DOVIT（フランスの警報システム企業）。
- 使用マシンはホンダ。
| ＃ | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
| 31 | アドリアン・フェルナンデス
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マドリード
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168cm60kg | 2004年1月31日 |
| 22 | ダヴィド・アルマンサ
|
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プエルトリャノ
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167cm56kg | 2006年1月22日 |
- BOE・モータースポーツ
- このチームの2014年から2018年までの名前はRBAレーシングという。リカルド・ロドリゴという人がいて、アルゼンチン出身でスペインに移住してきて、スペインでRBAグループという出版社グループを設立して経済的に成功した。リカルドの息子がガブリエル・ロドリゴで、ガブリエルをMotoGPのMoto3クラスで走らせるためわざわざチームを作った。2019年からのガブリエル・ロドリゴはグレッシーニレーシングのMoto3クラス部門に移った。それに合わせてRBAはこのチームの経営から撤退した。
チーム設立の時にアレイシ・エスパルガロの協力を得ている。アレイシはこのチームの関係者なので、このチームのライダーが表彰台に乗るとパルクフェルメに駆けつける。
ホセ・ボエ（Jose Boe）という人も創設者の1人で、そのためBoeという名がチーム名についている。ホセ・ボエの正式な名前はホセ・アンヘル・グティエレス（Jose Angel Gutierrez）で、ボエ（Boe）は愛称である。かつてはモトクロスの選手で、引退してからはフィジカルトレーナーになり、数々のMotoGPライダーを担当した。担当したライダーの中にガブリエル・ロドリゴとアレイシ・エスパルガロがいる。その縁でチーム創設に関わり、2021年現在はチームオーナーになっている。ちなみにヘリコプターの免許を持っていて、操縦することができるという（画像1、画像2）。
かつてのスポンサーはスカルライダー。スカルライダーはスペイン・バルセロナのサングラスメーカーで、ホルヘ・ロレンソが大株主である（画像）。
ライダーの1人のRuche Moodleyは「ルシェ・ムドリー」と読めばよいらしい（動画）。
使用マシンはKTM。
| ＃ | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
| 14 | コーマック・ブキャナン
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インバーカーギル
|
2006年8月23日 | |
| 21 | ルシェ・ムドリー
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ポートエリザベス
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2006年12月16日 |
- レッドブル・KTM・アジョ
- 2024年までの監督のアキ・アジョはKTMワークスに引き抜かれたので、その息子のニクラス・アジョが監督になった。本拠地はフィンランドのアカーと、スペインのバルセロナ郊外。Moto3におけるKTMワークスといっていいほどKTMと親密な関係にあるチームである。KTMのマシンのワンメイクで行われるレッドブル・ルーキーズカップ（若年齢向けの登竜門レース）の年間チャンピオンを優先的に雇用する傾向がある。
- 使用マシンはKTM。
| ＃ | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
| 99 | ホセ・アントニオ・ルエダ
|
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セヴィーリャ
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165cm56kg | 2005年10月29日 |
| 83 | アルヴァロ・カルペ
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ムルシア
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170cm57kg | 2007年6月5日 |
- SIC58・スクアドラ・コルセ
- SICとはシッチと読み、マルコ・シモンチェリの愛称である。58はマルコ・シモンチェリの付けていた番号。スクアドラ（squadra）はチーム、コルセ（corse）は競走という意味のイタリア語。チームの拠点はミサノサーキット周辺にある。
チームオーナーはマルコの父パオロ・シモンチェリ。パオロさんは1949年頃生まれで（記事）、かつてアイスクリーム屋を経営していた（記事）。
スポンサーは、pascucci（イタリア発祥の世界的コーヒーチェーン店）、ONGETTA（イタリアの絹を得意とする繊維企業）など。カラーリングは白を基調としており、マルコ・シモンチェリが最後に乗っていた白いマシンを彷彿とさせる。
- 使用マシンはホンダ。マルコ・シモンチェリが最後に乗っていたのがホンダである。
| ＃ | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
| 58 | ルカ・ルネッタ
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ローマ
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177cm62kg | 2006年5月27日 |
| 82 | ステファノ・ネパ
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ジュリアノーヴァ
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170cm60kg | 2001年11月21日 |
- ホンダ・チームアジア
- アジア圏ライダーを受け入れるために作られたチーム。2024年現在はアジアタレントカップというアジア圏ライダー育成選手権があり、スポンサーは出光、マシンはホンダのワンメイクである。アジアタレントカップを協賛する企業がそのままチームを作ってMotoGPに参戦している。チーム監督は2009年に250ccクラス世界チャンピオンを獲得した青山博一。
Moto2クラスのチーム名は「イデミツ・ホンダ・チームアジア」で、Moto3クラスのチーム名は「ホンダ・チームアジア」。Moto3クラスでは出光の名前が外れている。
Moto2クラスのマシンは金色で、Moto3クラスのマシンは銀色である（画像）。
- 使用マシンはホンダ。
| ＃ | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
| 72 | 古里太陽
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鹿児島県鹿屋市
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162cm57kg | 2005年7月12日 |
| 5 | タチャコーン・ブアスリ
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サムットプラーカーン
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165cm65kg | 2000年3月26日 |
- レヴェルアップ・MTA
- MTAというチームはFMI（イタリアモーターサイクル連盟）の支援を受けて2013年に設立され、2014年から2016年までMoto3クラスに参戦していた。そのときのチーム名はチームイタリア（Team Italia）で、3年間を通じてマヒンドラのマシンを使用していた。
2017年からアレッサンドロ・トヌッチをチーム監督にした。トヌッチは元MotoGPライダーである（記事）。そしてCEV（スペインなどを舞台にする若手向け選手権）やCIV（イタリア選手権）に参戦するようになった。2020年からアヴィンティア（エスポンソラマ・レーシング。最大排気量クラスやMoto3クラスなどに参戦していた）と提携した。
2022年から再びMoto3クラスへの挑戦を始めた。チーム監督は引き続きアレッサンドロ・トヌッチである[6]。
2022年と2023年のスポンサーはアンジェラスだった。女性のバイクレーサーを支援するために立ち上げられた企業であり、TwitterやInstagramも開設している。アンジェラスはオーロラ・アンジェルッチがCEOであり、企業名もオーロラ・アンジェルッチの名字が由来である。そのオーロラ・アンジェルッチは2023年にチーム監督を務めた（記事）。
使用マシンはKTM。
| ＃ | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
| 66 | ジョエル・ケルソ
|
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ダーウィン
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163cm59kg | 2003年6月12日 |
| 18 | マッテオ・ベルテッレ
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モンセーリチェ
|
173cm60kg | 2004年2月18日 |
- リヴァコールド・スナイパーズ・チーム
- スナイパーズ・チームは英語でsnipers teamと書き、「複数の狙撃兵がいるチーム」という意味である。
チームオーナーと監督を兼任しているのはミルコ・チェッキーニ。チェッキーニはイタリア語のcecchinoと語源が同じで、「狙撃兵」という意味である。オーナー一族のイタリア語名字を英語に転換して、チーム名にした。
ミルコ・チェッキーニの父親はジャンカルロ・チェッキーニである。ジャンカルロは1940年頃生まれの大物メカニックで（記事）、かつてMBA（モルビデリというバイクメーカーが作ったレース専門企業）の重鎮だった。ダニエレ・ロマニョーリの記事にも名前が出てくるし、上田昇さんが現役だった頃に上田さんのチームのメカニック長だった。2019年時点で79歳だというのにまだ現役を続けていて、2019年8月のオーストリアGPで所属ライダーのロマーノ・フェナティが優勝したときに表彰式に参加していた。とはいえ、さすがに2020年限りで引退したようである（記事）。
かつての監督はステファノ・ベドンで、スポンサーをかき集めることを担当していたが（記事）、2023年の時点でMoto2クラスでファンティックの監督をしている。
スポンサーは、cortelazzi（チェコでイタリア料理を提供する企業）とリヴァコールド（イタリアの冷凍庫メーカー）と、unicomstarker（イタリアの屋内タイル製造企業）と、MUGEN（イタリアのレーシングスーツ製造企業）と、KOPRON（イタリアの物流企業）。
2018年以前はマリネリ・クチーネ（イタリアの厨房・キッチンメーカー）もスポンサーだった。マリネリ・クチーネの創業者であるアンドレア・マリネリとその妻シモーナがスナイパーズレーシングに大きな援助をしていたが、アンドレアは2018年5月に46歳の若さで急逝してしまった（記事）。それでもチーム支援を続けていたが、後述のロマーノ・フェナティ問題をきっかけにして、2018年を限りにスポンサーをとりやめた。また、2019年～2020年はVNE（カジノやインターネット・ギャンブルに使われるソフトウェアを作る企業）もスポンサーで、車体がピンク色だった。また、2022年はJustspeed（イタリアの通信企業）がスポンサーだった。
2018年9月のサンマリノGPで、所属するロマーノ・フェナティが不適切行為をした（動画）。ロマーノは出場停止処分になったが、このチームは2019年に向けてロマーノを継続雇用することにした。このためチームはいくつかのスポンサーを失った（記事）。良くも悪くも、人情を重視するチームである。
2020年まで所属していたトニー・アルボリーノは、レース後にタイヤを運んだり、ホイールを磨いたりする手伝いをしていた。そういうところからも、このチームの社風を感じることができる。
- 使用マシンはホンダ。
| ＃ | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
| 54 | リカルド・ロッシ
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ジェノヴァ
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173cm60kg | 2002年3月21日 |
| 10 | ニコラ・カラーロ
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パドヴァ
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168cm62kg | 2002年5月21日 |
- CIP Green Power
- フランスのアレスに拠点を持つ。オーナーはフランス人で元・MotoGPライダーのアラン・ブロネック。かつて富沢祥也が所属していたチームで、ライダーのレーシングスーツには彼の48番が付けられている。2017年日本GPにおいて、このチーム所属のマルコ・ベッツェッキが3位になったが、祥也の御両親がパルクフェルメに祝福しに来ていた。
CIPはCentre Internacional de Pilotajeの略で、「ライダーを育てる国際的本部」といった意味になるだろう。2002年にアラン・ブロネックが設立した会社で、アレス近郊のこのサーキットに拠点がある（記事）。
メインスポンサーはイタリアのこの場所にあるグリーンパワーという会社で、発電機やら溶接用機械やらを作っている。ノア・デットウィラーのマシンにはオーストリアで創業してマルタに本社を構えるオンラインギャンブル管理企業であるinterwettenの名前がついている。
- 使用マシンはKTM。
| ＃ | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
| 19 | スコット・オグデン
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ドンカスター
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175cm60kg | 2003年10月16日 |
| 55 | ノア・デットウィラー
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バーゼル
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175cm61kg | 2005年4月26日 |
- GRYD・Mlav・レーシング
- イギリスのチームであり、元オートバイレーサーのマイケル・ラヴァティが運営し、テイラー・マッケンジーが監督を務めている[7]。チーム名のMlavはマイケル・ラヴァティ（Michael Laverty）の名前から採用されている。
マイケル・ラヴァティは若手育成に熱心であり、マイケル・ラヴァティ・アカデミーを設立している。
このチームは2015年から2021年までラズラン・ラザリが管理してMoto3クラスに参戦していたセパンレーシングチームのMoto3クラス部門の人員を一部引き継いでいる（記事）。イギリスのチームであるが、本拠地としてスペイン・バルセロナを選んだ（記事）。
所属ライダーのうちエディ・オシェイはブリティッシュタレントカップの出身者である。ブリティッシュタレントカップは英国で行われる若手育成選手権で、ホンダのマシンを使って行われる（記事）。-
使用マシンはホンダ。
| ＃ | 名前 | 国籍 | 出身地 | 身長・体重 | 誕生日 |
| 8 | エディ・オシェイ
|
|
レスター
|
170cm55kg | 2006年9月26日 |
| 89 | マルコス・ウリャーテ
|
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サンタンデール
|
172cm61kg | 2004年12月7日 |
年齢制限の規則
Moto3クラスでは、ライダーの最低年齢と最高年齢を定めている。
最低年齢その1 満18歳以上
ライダーが満18歳の誕生日を迎えると、その日からMoto3クラスのレースに出走できる。
ある年に5月1日（金）から5月3日（日）の3日間においてレースが開催されるとする。ちなみにMoto3クラスは、金曜日にFPとP1が行われ、土曜日にP2と予選が行われ、日曜日に決勝が行われる。
5月1日（金）に満18歳の誕生日を迎えるライダーは、その日のFPから参加することができ、予選や決勝に出場できる。
5月2日（土）に満18歳の誕生日を迎えるライダーは、その日のP2から参加することができ、予選や決勝に出場できる。
5月3日（日）に満18歳の誕生日を迎えるライダーは、土曜日の予選に参加していないので決勝に出場することができない。
最低年齢その2 若手向け選手権チャンピオンを獲得した満17歳以上
MotoGPを運営するドルナは、若手向け選手権を開催して若手ライダーを育成している。
その若手向け選手権のうち、レッドブルルーキーズカップや、FIMジュニアGPのMoto3クラス（スペインなどで行われる若手向け選手権 旧称はCEV）でチャンピオンを獲得したライダーで満17歳の誕生日を迎えた者は、Moto3クラスのレースに参戦できる。
このルールは、2015年にファビオ・クアルタラロをMoto3クラスに開幕戦から参加させるために導入された。このため「ファビオ・ルール」と呼ばれることがある。
最高年齢その1 新規契約ライダーやワイルドカードライダーは「その年の1月1日に満25歳以下」
Moto3クラスに限らずMotoGPすべてに言えることだが、レースに参加するライダーは3種類に分けられる[8]。
チームが持つ出場枠を利用してシーズン当初からレースに出場するライダーを契約ライダーという。
契約ライダーが負傷するなどして欠場するときに契約ライダーの代役となり、チームが持つ出場枠を利用してレースに出場するライダーを代役ライダーという。
チームが持つ出場枠からではなく特別枠でレースに出場することをワイルドカードライダーという。これについて詳しくはワイルドカード(MotoGP)の記事を参照のこと。
Moto3クラスにおいて、新規の契約ライダーや、ワイルドカードライダーに対しては、最高年齢の制度がある。
ある年の1月1日において満25歳であり1月2日～12月31日の中のどれかの日が満26歳の誕生日であるライダーは、その年のMoto3クラスに新規の契約ライダーとして参戦したり、その年のMoto3クラスのどこかのレースにワイルドカードライダーとして参戦したりすることができる。もちろん、代役ライダーになることもできる。
12月31日において満25歳であり、ある年の1月1日が満26歳の誕生日であるライダーは、その年のMoto3クラスに新規の契約ライダーとして参戦できず、その年のMoto3クラスのどこかのレースにワイルドカードライダーとして参戦することができない。しかし、代役ライダーになることは可能である。
2020年1月1日に満27歳であり、それまで一度もMoto3クラスの契約ライダーになったことがない者がいるとする。その者は、2020年に契約ライダーとしてMoto3クラスに参戦できない。しかし、ごく簡単な抜け道によってMoto3クラスに1年を通して参戦することができる。どこかのチームのオーナーに依頼して、そのチームの契約ライダーをオーナーの権限によって開幕戦の初日に解雇してもらい、開幕戦の初日から代役ライダーになればいい。
最高年齢その2 2回目以降契約ライダーと代役ライダーは「その年の1月1日に満28歳以下」
契約ライダーになったシーズンが過去に1つ以上あるライダーが、Moto3クラスへ契約ライダーとして参戦する場合にも、最高年齢の制度がある。
契約ライダーになったシーズンが過去に1つ以上あるライダーの中で、ある年の1月1日において満28歳であり1月2日～12月31日の中のどれかの日が満29歳の誕生日である者は、その年のMoto3クラスに契約ライダーとして参戦できる。
契約ライダーになったシーズンが過去に1つ以上あるライダーの中で、12月31日において満28歳であり、ある年の1月1日が満29歳の誕生日である者は、その年のMoto3クラスに契約ライダーとして参戦できない。
ある年の1月1日において満28歳であり1月2日～12月31日の中のどれかの日が満29歳の誕生日である者は、その年のMoto3クラスに代役ライダーとして参戦できる。
12月31日において満28歳であり、ある年の1月1日が満29歳の誕生日である者は、その年のMoto3クラスに代役ライダーとして参戦することができない。
少々ややこしいので、表にすると次のようになる。
| 新規契約ライダー | ある年の1月1日に満25歳以下なら、その年に新規契約ライダーになれる |
| 2回目以降契約ライダー | ある年の1月1日に満28歳以下なら、その年に2回目以降契約ライダーになれる |
| ワイルドカードライダー | ある年の1月1日に満25歳以下なら、その年にワイルドカードライダーになれる |
| 代役ライダー | ある年の1月1日に満28歳以下なら、その年に代役ライダーになれる |
「Moto3クラスには28歳になると出場できない」とか「Moto3クラスには28歳までなら出場できる」と思われがちだが、ルール上では満29歳の選手もMoto3クラスのレースに参戦できる。エフレン・ヴァスケスは1986年9月2日生まれで2015年1月1日の時点で28歳121日だったので、2015年に契約ライダーとして参戦できた。29歳46日で2015年10月18日のオーストラリアGP決勝を走り、2位になっている。
シーズンとそのシーズンがラストチャンスとなるライダーを比較した表は、次のようになる。
| 年 | その年がラストチャンスとなるライダー | ライダーの例 |
| 2025年 | 1996年1月2日～1997年1月1日が誕生日のライダー | ロマーノ・フェナティ、ニッコロ・アントネッリ、アンドレア・ミーニョ、ガブリエル・ロドリゴ
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| 2026年 | 1997年1月2日～1998年1月1日が誕生日のライダー | 鈴木竜生
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Moto2クラスの年齢制限
Moto3の記事から少し逸脱するが、Moto2クラスの年齢制限も簡単に紹介しておく。
Moto2クラスの最低年齢は満18歳で、満18歳の誕生日に出走可能となる。
Moto2クラスは、「ある年の1月1日から12月31日までのどれかの日に満50歳の誕生日を迎える人はその年に契約ライダー・ワイルドカードライダー・代役ライダーになることができ、ある年の1月1日から12月31日までのどれかの日に満51歳の誕生日を迎える人はその年に契約ライダー・ワイルドカードライダー・代役ライダーになることができない」という最高年齢の規則を採用している。
ある年の1月1日に満50歳となるライダーは、その年に契約ライダー・ワイルドカードライダー・代役ライダーとして参戦できる。その年の5月4日にレースがある場合、満50歳としてレースに参戦できる。
ある年の12月31日に満50歳となるライダーは、その年に契約ライダー・ワイルドカードライダー・代役ライダーとして参戦できる。その年の5月4日にレースがある場合、満49歳としてレースに参戦できる。
ある年の1月1日に満51歳となるライダーは、その年に契約ライダー・ワイルドカードライダー・代役ライダーとして参戦できない。
ある年の12月31日に満51歳となるライダーは、その年に契約ライダー・ワイルドカードライダー・代役ライダーとして参戦できない。その年の5月4日にレースがある場合、満50歳だというのにレースに参戦できない。
MotoGPクラスの年齢制限
Moto3の記事から少し逸脱するが、MotoGPクラスの年齢制限も簡単に紹介しておく。
MotoGPクラスの最低年齢は満18歳で、満18歳の誕生日に出走可能となる。
MotoGPクラスは、「ある年の1月1日から12月31日までのどれかの日に満50歳の誕生日を迎える人はその年に契約ライダーになることができ、ある年の1月1日から12月31日までのどれかの日に満51歳の誕生日を迎える人はその年に契約ライダーになれない」という規則で最高年齢を定めている。
つまり、驚くべきことにMotoGPクラスにおいては、ワイルドカードライダーや代役ライダーに関して最高年齢の制限がない。満52歳であってもワイルドカードライダーや代役ライダーとして参戦をすることが可能である。
資料
これまでの『年齢制限の規則』の項目は、2022FIM世界選手権グランプリ（motogp）規則日本語訳の12ページや同規則英語版の18ページを参考に記述した。
ルーキー
定義
「Moto3クラスのルーキー」「Moto2クラスのルーキー」「MotoGPクラスのルーキー」という表現がある。
「Moto3クラスのルーキー」を正確に定義すると、「1年の中で6戦以上のMoto3レースに出走した経験が一度もないライダーが、ある年において6戦以上のMoto3レースに出走したら、その年におけるMoto3ルーキーになる」というものである。
シーズン終盤のレギュラー参戦6回でルーキーになる
2019年以前にMoto3クラスをまったく走ったことがなく、2020年の終盤にMoto3クラスのチームに所属してその出場枠から参戦することを6回繰り返したライダーは、2020年のMoto3クラスにおけるルーキーになる。
そのライダーは、2021年の開幕戦からMoto3クラスにレギュラー参戦しつつ活躍しても、2021年のルーキーオブザイヤー[9]の称号をもらえない。
資料
これまでの『ルーキー』の項目は、2022FIM世界選手権グランプリ（motogp）規則日本語訳の12ページや同規則英語版の18ページを参考に記述した。
関連リンク
関連項目
- KTMワークス
- Team Monlau （2012年から2020年までMoto3クラスに参戦した名門チーム）
- アジョ・モータースポーツ （名門チーム）
- グレッシーニレーシング （名門チーム）
- エルヴェ・ポンシャラル （Tech3のオーナー）
- スリップストリーム(MotoGP) （Moto3クラスのライダーが駆使するテクニック）
- 後追い走法(MotoGP) （Moto3クラスの予選で非常に多く見られるテクニック）
- ワイルドカード(MotoGP) （本記事の『年齢制限の規則』の項目を理解するための資料）
脚注
- *KTMのステファン・ピエラCEOによると、4ストロークの軽排気量マシンは2ストロークの軽排気量マシンの4倍のコストが掛かるという（記事）
- *2020年ヨーロッパGPでゼッケン75の白いマシンのアルベルト・アレナスが黄色いホイールのアロンソ・ロペスに追突された（動画）。そのとき排気管が損傷したようで、排気管から白煙が上がるようになった（動画）。結局、アルベルト・アレナスはピットインした（動画）
- *スペインの若手ライダーのアンドレアス・ペレスは、ゼッケン77番を付けて2018年6月10日にCEVMoto3クラスのレースに参戦し、事故を起こした（記事1、記事2）。同ライダーの名前を冠したFundacion Andreas Perez 77という基金が設立され、その基金がTEAM MT- FOUNDATION77というチームを設立した。
- *ミオドラグ・コトゥルはユーゴスラビア生まれで、7歳の時両親とともにフランスのパリに移り住んだ（記事）。プジョーに所属してジャン・トッドという名物監督の下で働き、ダカール・ラリーやル・マン24時間耐久レースで優勝を経験した。1993年からジャン・トッドとともにF1のスクーデリア・フェラーリに所属し、1996年からミハエル・シューマッハと働いて、黄金時代を築いた。2009年の終わりまでフェラーリに所属し、2010年から2014年までロータス（ケータハム）というF1チームに所属した。2014年に大富豪のフラヴィオ・ベッカに誘われ、オートバイの知識が全くない状態だったが承諾し、2015年からレオパードレーシングの監督になっている（記事）
- *マッシモ・ヴェルジーニは財務を得意分野とする人と報道されている（記事）
- *ここまでの記述の資料はMTA公式サイトである。
- *テイラー・マッケンジーはニール・マッケンジーの息子である。ニール・マッケンジーは1980年代終盤～1990年代初頭のMotoGP最大排気量クラスで何度も表彰台に入った実力者であり、面白がった日本のファンに「新沼謙治」と呼ばれる人である。
- *2022FIM世界選手権グランプリ（motogp）規則英語版の18ページに「as a contracted, Wild Card, or substitute/replacement rider」という表現がある。この表現から、ライダーには、①契約ライダー（contracted rider）、②ワイルドカードライダー（Wild Card rider）、③代役ライダー（substitute/replacement rider）の3種類があることがわかる。
- *ルーキーオブザイヤーはRookie of the yearをカタカナ表現したものである。英語圏には「ルーキーオブザイヤー」と音読する人と「ルーキーオブジイヤー」と音読する人がおり、どちらで表記しても正解である。ちなみにG＋のアナウンサーは「ルーキーオブザイヤー」の音読をしている。
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