『とある飛空士への恋歌』とは、犬村小六のライトノベルである。イラストは森沢晴行が担当。
タイトルが非常に勘違いされやすく、「飛空士」を「飛行士」と勘違いする人が非常に多い。また、同じくタイトルに「とある」がつく「とある魔術の禁書目録」「とある科学の超電磁砲」からの影響か、「とある飛空士への恋歌」ではなく「とある飛空士の恋歌」と勘違いされる事も多い。
間違える人はいないと思うが、「とある魔術の禁書目録」シリーズとは一切何の関係もない、まったく別の作品である。
概要
2009年2月~2011年1月にガガガ文庫(小学館)から刊行された。既刊全5巻。
『とある飛空士への追憶』に続く、『飛空士』シリーズの第2弾。世界観は共通しており、追憶のキャラクターが一部登場するものの、ストーリー的繋がりはない。
また、2014年1月からTVアニメが放映中。それに併せてニコニコ動画アニメチャンネルにても配信開始。
前作と同じく、水素電池により駆動する戦闘機による空戦に、様々な事情をはらんだ主人公ら主要人物を含めた子供達が航空学校へ入学。その後、様々な事柄に巻き込まれ、そして成長していくという要素を合わせた物語。
前作では見られない戦闘機編隊VS戦闘機編隊、雷撃機VS艦隊、急降下爆撃機VS戦艦、戦艦VS戦艦と多彩な戦闘場面もあり、主人公らの様々な思惑が交錯する日常と戦闘の非日常を書き分けられている話になっている。
あらすじ
海の尽きる場所を、
空の果てを見つけるために。
僕らは空飛ぶ島・イスラに乗って旅に出た。
公式サイトより
「旅立ちなんかじゃない、これはきれいに飾り立てられた追放劇だ」
カルエル・アルバス
大瀑布と呼ばれる巨大な自然の海の滝を挟んで隣接する、バレステロス共和国、斎ノ国、帝政ベナレスの3ヶ国以外には、大陸や国家の存在が確認されていない世界。
バレステロスが鹵獲した空飛ぶ島「イスラ」を使い、聖アルディスタの神話にあるように「空の果て」を目指す計画を立ちあげた。
そして出発のとき、革命により全てを失い、代わりに家族を得た主人公と、不思議な力のためにしたくもない革命に加担させられ、現在もその御旗に掲げられる少女がいた。
彼らは様々な人間関係・出来事に翻弄されつつ、「イスラ」に建設された学校で友人らと生活を共にしながら「空の果て」を見つけるために旅立っていく。
登場人物
- カルエル・アルバス - CV:花江夏樹
- バレステロス共和国出身。カドケス高等学校飛空科「センテジュアル」組。15歳。
- 金髪碧眼の美少年だが、とある理由で性格が素直ではない。ヘタレ。
- とある事情からアルバス家の養子となっている。アリエルとは義兄妹の関係だが、アリエルの主張でいつもどちらが兄か姉かで喧嘩をする。
- 人当たりが良く、誰とでも普通に接する事ができるため直ぐに人と仲良くなれる。 アリエルのことはアリーと呼ぶ。
- 正体は旧バレステロス皇国第一皇子(アニメでは皇太子)、カール・ラ・イール。9歳の時に勃発した「風の革命」により両親を処刑され、監獄で病死を待つ運命だったが、ミハエル・アルバスに拾われ養子となる。
- 革命で両親を処刑されたことから、革命の象徴ニナ・ヴィエントに激しい憎しみを抱いている。
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- クレア・クルス - CV:悠木碧
- バレステロス共和国出身。カドケス高等学校飛空科「ヴァン・ヴィール」組。15歳。
- イスラ航海長のルイス・デ・アラルコン提督の親戚。黒髪に葡萄色の瞳をもつ美少女。大変な気弱かつ内気な性格で人に容易く話しかけることが出来ない。
- 整った容貌であることは事情から自覚がなく、周りから誘われても躊躇する。
- 正体は革命の象徴であるニナ・ヴィエント。貴族子弟が所属するヴァン・ヴィール組の生徒だが、もともとは貧民層出身である。かつて経済的に困窮し、かつ悪吏に精神的に追い詰められた母により身売りされてしまう。しかし、連行されている最中に風を操り窮地を脱したところを、風を操る力を見込んでいたアルディスタ教会の神父により革命運動に勧誘され、「自分を必要としてくれる」という理由から、革命勢力に加わる。しかし実際には革命勢力の道具として使われたに過ぎない。革命後は政争に敗れた者たちのギロチン処刑の場に何百回と立ち会わされ続け、心が疲弊、風を操れなくなる(アニメ版では幼い頃のカール皇太子の憎しみの篭った視線に罪悪感を抱いたため)。風呼びの力を失ったことで革命政権にとっての利用価値が無くなったものの、民衆からの人気が高いためにもてあまされていたが、風呼びの力をイスラ防衛に利用したいルイス提督の手引きにより、イスラ管区長として島流しになる。イスラ内ではある程度ニナ・ヴィエントとしての役割から解放され、僅かながら自由な生活を送ることが可能。
- アリエル・アルバス - CV:竹達彩奈
- バレステロス共和国出身。カドケス高等学校飛空科「センテジュアル」組。15歳。
- カルエルの義妹。赤茶けた髪色に碧色の瞳をもつ少女。
- 生まれた日がカルエルより1日遅く、カルカルとの初対面時にそれを不満に思い「義姉だ!」と主張し、今でもそのことでカルエルとよく喧嘩をする。
快活で誰とでも仲良くなれる性格の上に姉妹譲りの可愛らしい容姿からよく男性に誘われる。 カルエルのことはカルと呼ぶほか、喧嘩の際には「ヘタレマザコンナルシスト」と罵倒する。
- イグナシオ・アクシス - CV:石川界人
- ベナレス出身。カドケス高等学校飛空科「センテジュアル」組。15歳。
- 授業以外は姿を見せない謎の多い少年。人当たりは良いとはいえないが顔立ちは整った美少年。
- ノリアキ・カシワバラ - CV:下野紘
- 斎ノ国出身。カドケス高等学校飛空科「センテジュアル」組。15歳。
- 黒髪、黒目で髪を逆立たせた容姿。元気が良く空回りする事が多い性格。また「特徴がない」と周囲から言われる。
- ベンジャミン・シェリフ - CV:立花慎之介
- ベナレス出身。カドケス高等学校飛空科「センテジュアル」組。15歳。
- 白色の髪に白い肌の容姿。常に丁寧語で話す物腰が穏やかでメガネをかけた知的な印象を受ける少年。
- シャロン・モルコスとは幼馴染。
- ミツオ・フクハラ - CV:浜添伸也
- 斎ノ国出身。カドケス高等学校飛空科「センテジュアル」組。15歳。
- 黒色の髪に全体的に太り気味の体系で性格は温厚な少年。軍事マニアでもあり、学校では未習の知識も豊富。
- どもりはするが真面目で思った事は率直に言う。
- チハル・デ・ルシア - CV:田野アサミ
- バレステロス共和国出身。バレステロスと斎ノ国のハーフで。カドケス高等学校飛空科「センテジュアル」組。15歳。
- 浅黒い肌色に茶髪。軽い口調に語尾をのばし、派手目の化粧をしている少女。一見とっつき難そうだが、本人はかなり礼儀正しく、思いやりのある性格をしている。
- ガム等よく口に含んで何か噛んでいる。
- シャロン・モルコス - CV:早見沙織
- ベナレス出身。カドケス高等学校飛空科「センテジュアル」組。15歳。
- 白銀の髪色に浅黒い堀の深い容姿。
- 15歳とは思えないほど発育のいい体形に加え、温厚な性格も極まってよく年上に見られる少女。
- ナナコ・ハナサキ - CV:南條愛乃
- 斎ノ国出身。カドケス高等学校飛空科「センテジュアル」組。15歳。
- 黒い髪に黒い瞳の容姿。ほんわかとした雰囲気と独特な語尾を延ばす話し方で人に好かれる少女。
- 髪をツーテイルにしている。
- 噂が大好きでよく話を振ったり話題を探したりしている。
- ウォルフガング・バウマン - CV:丹沢晃之
- ベナレス出身。カドケス高等学校飛空科「センテジュアル」組。15歳。
- 白色の髪に15歳とは思えないほどの大柄で筋骨隆々とした少年。自分からオジサンと間違われると言う。
- 公用語のバレステロス語は知り合いに習ったとのことだが、強い訛りがある。作中では「~ごわす」という訛り(鹿児島弁風)で表現される。
用語集
国
- バレステロス共和国
- カルエル・アリエル・クレア・チハルの出身国。首都はアレクサンドラ。「大瀑布」を挟んで帝政ベナレスより上、斎ノ国と西に隣接する。
6年前までは「バレステロス皇国」という帝政であったが、革命により共和制へ移行した。
- 空飛ぶ島、「イスラ」を鹵獲したのは物語開始の10年前、前政権の皇国であるが、革命後も計画は引き継がれている。
- 比較的金髪や有色の髪を持ち、人名や言語は現代で例えるならラテン系(スペイン系)が多い民族。
- 帝政ベナレス
- シャロン・ベンジャミン・イグナシオ・ウォルフガングの出身国。首都はキエラサザード。1300mの大瀑布を挟んでバレステロス共和国、斎ノ国の下方に位置する。半世紀ほど前までは3国間で戦争が行われていたが、現在では表向きは協調路線を取っている。
- 比較的色素の薄い髪色に浅黒い肌を持つ。人名や言語はゲルマン系(イギリス系)が多い民族
- 斎ノ国
- ナナコ・ミツオ・ノリアキの出身国。首都は描写がないため不明。大瀑布の上側、バレステロス共和国の東に位置する。3国との協調路線をとる1国。
「ラーメン」や「箸」、「漢字・かな」といった文化が存在し、中華系と東南アジア系のものが混在している。
- 黒髪に桃色の肌色をもつ。人名や言語は日本系が多い民族。
地域・組織
- イスラ
- 10年前、旧バレステロス皇国が鹵獲した文字通り「空を飛ぶ島」。バレステロスの地上と島は出奔式まで数千本もの鋼線で繋ぎとめられていた。
- 高度2000m程度を浮遊する、全長25km、全幅9km程の巨大な島。
- イスラを用いて「空の果てを見つける冒険を行う」というのがイスラ計画であり、この計画へ参加するため13000人が移り住んだ。内訳は貴族、政治家、そして一般市民である。長い旅路のため、島全体を「空の都市」として改造され、地上とほぼ同じ施設が作られている。このため、船での長期航海のような精神的負担は最小限に抑えられる。山があり、平地、湖に青々とした森、さらに耕地から整備された街並みに飛行場が2つ。中央庁舎に騎士団居住区と港湾施設等がある。
- 防空戦力に超弩級戦艦やイスラ空挺騎士団の戦闘機・雷撃機・直掩機を約230機を擁する。
- 旅に何年かかるか不明なため、学校も存在する。普通科やカルエルが所属する飛空科もある。また町は「平民」が住む「センテジュアル」と「貴族」が住む「ヴァンヴィール」によって分けられている。
- イスラ空挺騎士団
- イスラが擁する防空戦力。「騎士団」とされているのはバレステロスの貴族階級時代の名残である。飛空戦艦1隻、ティルトローター式双発複座の水上戦闘機60機、単発単座戦闘機20機、雷爆撃機150機の合計230機を保有する。
- カドケス高等学校
- 主人公、カルエル達が飛空技術を学ぶ学校。飛空科の学生は将来の空挺騎士団員候補生と位置づけられており、いずれは正規パイロットとして防空任務につくことになる。他には普通科、整備科など様々な科が存在する。
- 飛空科は貴族と平民が住む町からとって「ヴァンヴィール」組と「センテジュアル」組に分けられている。
- 空の一族
- 創世神話にその存在が記述される一族。バレステロス、ベナレス、斎ノ国の3ヶ国の創世神話において、内容こそ違うものの「空の一族」なる一族の記述がある。空に住まう一族とされ、聖泉の守護者とも記述されている。長らく神話上の存在でしかなかったが、原作では第2巻終盤、アニメでは第5話で登場する。「聖泉に侵入した者は生かして還さない」という宗教的信念による戦闘をしかけてくる、極めて攻撃的な種族。高翼機や木造の飛空艦艇など一昔前の戦力しか持たないと思われていたが、それは目くらましに過ぎず、超大型爆撃機、爆撃機直掩専用の飛空母艦(空中空母)、低翼の単発単座戦闘機、さらにはイスラと同じ「空飛ぶ島」まで保有する。こういった多種多様な戦力を、複数の囮として使い捨てた上で主力を目標へと突入させる戦術を取る。
- アニメ版においては、二次大戦期のBf109に似た戦闘機や、あのルーデルの愛機であるJu-87に酷似した攻撃機などが登場しており、デザインのモチーフはドイツ機のようである。
- 飛空士シリーズ最終作である「とある飛空士への誓約」にも登場しており、同作では「ウラノス・ヴァシリシャス」なる正式名称が明らかになっている。また、同作の描写を見る限り、空の一族ではレシプロエンジンを航空機の原動機に用いているようである。
機械、飛空機
- エル・アルコン
- アニメ1話冒頭の空戦に登場。カドケス高校飛空科の練習機。オレンジ色の塗装がされている。
- 複座の水上戦空機(戦闘機)だが、練習機として使用される。ティルトローター(ローターを機体に対して傾ける『ティルトする』こと)傾ける形式)式の双発機。離発着はローターを上部へ、飛行時はローターを前方に向ける。ローターのブレード枚数は3枚。
- 最高速度350km/h、上昇限界高度3500m。
- 垂直離着陸(VTOL)、水上発着・水上発電が可能で、小回りの利く運用が可能。
- 固定機銃をもたないため、戦闘時は後部席搭乗者が対空機関銃や対空ライフルを手で撃つことになる。
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- 戦闘機がこのような運用方法になっているのは、バレステロス、斎ノ国、ベナレスの3ヶ国では「低空を低速で飛行しながら射手が撃ち合う」という戦法が一般的なため。現実に近い単発単座戦闘機は出現したばかりであるが、「固定機銃で打ち合うのは騎士道精神的に受け入れがたい」とされ、移行があまり進んでいない。
- ラガルディア
- アニメ1話冒頭の空戦に登場。イスラ空挺騎士団に60機が配備されている複座水上戦空機。灰青色の塗装がされている。原作ではイラストが無かったため、外観はアニメで初めて明らかとなった。
- 正規戦空機。エル・アルコンをやや大きくしたような外観で、同じくティルトローターを持つ。ローターのブレード枚数は4枚。
- 着陸装置は引き込み式。主翼は僅かだが前進翼となっている。前席のみに密閉式の風防が装備されており、後席はエル・アルコンと同じ吹きさらしである。
- エル・アルコン同様に固定機銃は持たず、射手による射撃が攻撃手段。万が一の際には着水して充電ができる点で融通が利き、前途になにがあるかわからない今回のような旅路での防空任務や偵察等の任務に重宝されている。
- マキナ・デオ
- イスラ直掩用として、イスラ空挺騎士団に20機が配備されている単発単座戦空機。原作中ではイラストがないが、文章を見る限りでは、現実における第二次世界大戦の頃の単発単座戦闘機とほぼ同じスタイルの機体のようである。ただし、バレステロス・バナレス・斎ノ国ではプロペラ同調装置が存在しないため、機銃は主翼部のみに装備となっている。ラガルディアよりも格闘戦性能に優れる一方で、着水機能を持たないために着水しての充電が不可能なことが欠点とされる。また、固定機銃が騎士道精神の観点から快く思われていない。
- アニメ版では第7話においてレオポルド・メルセ空挺騎士団長の台詞に登場。7話時点では外観は不明。
- 艦上雷爆撃機
- 空挺騎士団に150機が配備されている複座の雷爆撃機。名前から分かるように艦上機だが、イスラには空母が配備されていないので、イスラ地表面の航空基地で運用されている。空雷(空中魚雷)と呼ばれる、ロケット弾に類似した無誘導プロペラ推進弾を主に運用する。
- 原作ではイラストがないが、アニメ版ではラガルディアに酷似したデザインがなされている。相違点は尾翼がY字であること、密閉式の風防が全席を覆っていること、無線アンテナが確認できることである。なお、機体を外から描写するシーンで搭乗員が3人確認できるが、機内を描写するシーンでは搭乗員を2名しか確認できないため、複座か三座なのかは現時点では不明。
- ルナ・バルコ
- アニメ1話冒頭の空戦に登場。イスラ防空の要である超弩級飛空戦艦。
- 元はバレステロス共和国所属艦であったが、イスラ計画に伴い転属された。
- 全長約260m、総排水量約65000t。6基の揚力装置で飛行する。
- 外見デザインは、現実における第二次世界大戦期末期に登場する超弩級戦艦の風貌によく似ている。甲板上に主砲、対空砲、対空機銃を装備。艦底部にも対空機銃を備え、艦底部爆弾倉には対潜爆弾や対地爆撃用の爆弾を搭載できる。
- 飛空士シリーズに数多く登場する他の飛空艦艇と同じく、底部に設置された巨大な「揚力装置」によって飛翔する。艦底部に複数設置されているプロペラが揚力装置なのか推進用プロペラなのか、そして後者の場合揚力装置はどのようなものなのかは不明。
- 着水時には飛空機と同様に海水から発電できる。
その他用語
- 大瀑布
- この世界に存在する高度差1300mの巨大な海の滝。まだ飛空機が発達していなかった頃、探検してもどこまでも続いており、端は見つかっていない。かつてはこの滝が世界の果てと思われていた。また大瀑布を隔てた国とは飛空機の発達によって初めて顔を合わせることとなった。この大瀑布の上側にバレステロス、斎ノ国の2ヶ国、下側にベナレスの1ヶ国が存在する。
- この世界で軍艦や輸送船が飛ぶことに発達したのは、一重にこの大瀑布を超える事ができるためである
- 水素電池スタック
- あらゆる飛空機、飛空艦艇の動力源。自動車用や、家庭電気用としても普及している。特殊な触媒を内蔵しており、海水から水素を抽出できる。その水素を酸素と反応させて電力を得る。
- シリーズ第1作の「とある飛空士への追憶」や今作で水上機が多いのは、着水さえ出来れば海水から水素を補給できるため。つまり理論上の航続距離は無限であり、飛空艦艇も航続距離は無限である。
- 得られる電力で駆動する原動機は、「とある飛空士への追憶」および本作序盤までは「エンジン」と記述されていたが、飛空士シリーズ第3作の「とある飛空士への夜想曲」では「DCモーター」と表記された。また、「とある飛空士への追憶」においても、劇場版公開に際して大幅な加筆修正の末に刊行された新装版で「DCモーター」と改められている。
- 余談だが、シリーズ第4作「とある飛空士への誓約」に登場する国家群では航空機の原動機はレシプロエンジンとなっており、水素電池スタックやDCモーターは一切登場しない。「誓約」の国家群で水素電池の技術が発達しなかった理由は現時点では不明。
- 聖アルディスタ
- この世界を創造した神とされるもの、創造神。この信仰は国を超えてなぜか普遍的に広まっており、各国で聖アルディスタを神と崇める宗教・宗派が存在する。
- 空の果て
- 聖アルディスタによる、世界創世神話にある石畳が作り出した「水が落ちない工夫」のこと。これは神話にある「聖泉」がルイス・デ・アラルコンにより発見されてことから、空の果ても実在する可能性がある、とのことで発見及び探検の計画がなされた。
- 不動星エティカ
- 世界創世神話で「人間」が「聖アルディスタ」に「世界の果てはどこにあるのか?」と問いただした所、目印として字のごとく動かない星を作り出したとされる。実際、不動星エティカはいくら方位をずらしても、距離を移動しても常に南東方向を指す。
- 聖泉
- 冒険家、航海家のルイス・デ・アラルコンが神話通り、不動星エティカへ向けて約4ヶ月以上も飛行艦隊で飛び続け、発見した「果てしない海の噴水」。海一面がどこまでもどこまで上に向かって吹き上がっている特異な現象地帯。
- この発見により「空の果て」の冒険への計画が持ち上がる。
- 世界創世神話
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始めに言葉があり、次に夜が生まれ、その後に雨が降った。雨は七日七晩空を落ち続け八日目に「石畳」へ辿りついた。雨は喜び、休むことなく降り続けた。雨水は石畳にたくさん溜り広がっていった。
雨が降り始めて七万年後、雨水はついに石畳の縁から零れ、奈落へ落ちていった。 石畳は落ちる雨の事を憂い、天空にいる聖アルディスタに願った。
「聖アルディスタ、これでは雨が可愛そうです。私はどうなっても構いません。ですから雨をお救い下さい」
聖アルディスタは願いを聞き入れ、石畳を二つに裂いた。すると雨は二つの石畳に再び溜り、また七万年後にあふれ、聖アルディスタはまた石畳を裂いた。
十二万年後にも溢れそうになり、聖アルディスタが再び裂こうとしたとき一番目の石畳が涙して言った。
「聖アルディスタ、あなたの慈悲と寛大さが私の心を打ちひしぐのです。もはやこれ以上の兄弟を求めることを戒めましょう。これからは雨が私の上を永遠に巡るように工夫してあなたへの祝福とします」
一番目の石畳はその誓い通り水が奈落に落ちない工夫をし、落ちていく水を水からの中心から天へと向けて打ち上げた。
聖アルディスタは石畳を讃え、落ちない工夫を「空の果て」、打ち上げられる雨を「聖泉」と名づけた。聖泉から石畳の一部が吹き上がり空を旅する島となった。それらの中には海に落ちて石畳に根を張り、「陸」となった。
聖アルディスタは「陸」に人間を作り友人として動物も創造した。
「永遠の愛を約束しよう、産めよ、栄えよ、地に満ちよ。私はあなた達が『空の果て』から溢れないよう、約束の証として新しい島を天空へ産み落とし頭の上に掲げるとしよう」
約束どおり聖アルディスタは四年に一度、聖泉から空飛ぶ島を生み出した。島は人の上を越え、三つの海を飛び越え、「空の果て」で石畳へ還る。
人間達は「空の果て」は聖アルディスタにどこにあるのかと聞いた。
「私は知っているが答える事を良しとしない。なぜならあなた達が探す事に価値があるから。問いの答えとして天空の彼方に動かない星を置いた。いつの日か教えを守り、三つの海を越えることが出来るようになったら星を目指して進むと良い」
聖アルディスタはそういって不動星エティカを創造し、空へ加えた。
それから、エティカは人間達が自分目指して来るのを待つことになった。
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テレビアニメ
2014年1月より放送各局にて放送中。ニコニコアニメチャンネルでも配信中。全13話予定。
スタッフ
主題歌
- オープニングテーマ「azurite」
- 作詞:meg rock / 作曲:伊藤賢 / 編曲:佐藤清喜 / 歌:petit milady
- エンディングテーマ「風が知ってる」
- 作詞・作曲:津野米咲 / 編曲:亀田誠治、津野米咲 / 歌:赤い公園
放送局
各話リスト
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関連項目
外部リンク