塔の上のラプンツェル(原題:Tangled)とは、2010年のディズニー映画である。
概要
2011年3月12日公開。米国では2010年11月24日公開。
ディズニープリンセスとしては初の3D映画。また50年目の作品である。
原題のTangledは「もつれた、混乱した」という意味。原作のグリム童話では王子であるフリン(と同じポジションの男性)が盗賊になるなど、一部大胆な改変がなされている。
あらすじ
一目から隠された塔に暮らすラプンツェルは人間を若返らせ、怪我を癒す魔法の髪を持っていた。
彼女は自分の誕生日にだけ空に見える灯りを見たいと思っていたが、母親のゴーテルには外の世界は危険だからと許してもらえない。
そんな中たまたま塔に逃げ込んできた盗賊フリン・ライダーを捕まえたラプンツェルは、逃がす代わりに灯りを見せる約束を取り付け、自分のルーツを探す冒険に出るのだった。
登場人物
- ラプンツェル(Rapunzel)
本作のヒロインで10人目のディズニープリンセス。過保護で束縛したがるゴーテルに育てられるが、実は王国の王女。18歳まで幽閉されて暮らし、外の世界を知らなかった。
21m以上の金髪[1]とフライパンが武器。 彼女の髪の毛は歌うことで発光し、魔力が発生する。俊敏な性格。絵を描くのが得意。
- フリン・ライダー(Flynn Rider)
本名はユージーン・フィッツハーバート(Eugene Fitzherbert)。孤児であり、フリンという名前は彼が好きな物語の主人公の名にちなんでいる。
本来ラプンツェルのものであるティアラを盗んだため、王国より指名手配されて追われている。その指名手配書に描かれている、実際の自分とは異なる変な鼻を気にしている。
女を落とす甘い顔を武器とするがラプンツェルには通用しなかった。最初はしぶしぶだったがラプンツェルとの冒険を通して彼女とうちとけていく。
- マザー・ゴーテル(Mother Gothel)
ラプンツェルの育ての親(継母、そして毒親)。人を若返らせる魔法の花の恩恵で長い間生きていたが国王に花を取られ、その力を受け継いだラプンツェルをさらって自分の子どもとして育てた。
魔法など特殊な力はもたないが年の功の悪知恵が働く。
- マキシマス(Maximus)
王宮の警護隊の白馬。自尊心が高く、王国一の名馬と呼ばれる。
最初は人を乗せていたが落馬してからは単身でフリンを追う。最初はフリンを捕まえようとしていたが後にラプンツェルとフリンを助ける。フリンからは「マックス」と呼称されている。
- 酒場の悪人(Pub Thugs)
フリンがラプンツェルのランタン鑑賞を諦めさせるために入店した酒場にいた悪党。始めはフリンが指名手配犯だと知り、報奨金の分け前で喧嘩していた。ラプンツェルの一言で改心し、その後は味方になる。- フックハンド(Hook-Hand Thug)
夢はピアニスト。スキンヘッド。片手はフックであるが、ピアノの腕は一流。 - ビッグノーズ(Big Nose Thug)
夢は女性との交際。顔が青白く、腕が腫れている。鼻が大きく、6本指の足は強烈に臭い。 - ウラジミール(Vladamir)
大男。ユニコーン集めをしている。 - アッティラ(Attila)
お菓子づくりを趣味とする。 - ウルフ(Ulf)
パントマイムをこなす。顔を白く化粧している。 - 小さな爺さん(Short Thug)
背の低い酒場の酔っ払い。
その他、園芸・インテリアデザイン・編み物・裁縫・人形芝居を得意とする悪人がいる。また酒場の主人はアコーディオンを演奏している。
- フックハンド(Hook-Hand Thug)
- 国王・王妃
ドイツ地方にある王国・コロナを治める国王と王妃。ラプンツェルの両親。
ラプンツェルを身ごもった王妃は出産直前に罹患してしまう。そこで国王は、どんな怪我や病気をも癒す魔法の花の捜索を命じる。花は発見され、王妃の病気は回復。ラプンツェルを無事出産した。
しかし若代わりの魔法を奪われたゴーテルにより、魔法を保持している娘のラプンツェルが拐われる。
以後毎年ラプンツェルの誕生日には国を挙げて、王女の帰国を願いランタンを飛ばしている。
その他
キャスト
- ラプンツェル - Mandy Moore(中川翔子)※劇中歌は小此木麻里が担当。
- フリン・ライダー - Zachary Levi Pugh(畠中洋)
- マザー・ゴーテル - Donna Murph(剣幸)
スタッフ
主題歌・劇中歌
特記事項
- 本来の「ラプンツェル」は野菜の名称である。日本名はノヂシャ(野萵苣)。主にサラダとして生食され、妊婦が摂取すると好ましいとされる。
チシャはレタスと同じである。ただしこのノヂシャはレタスの属する分類体系・チシャ科ではない。
- 米国ディズニーは映画名を、原作名・主役のプリンセス名の"Rapunzel"ではなく"Tangled"(もつれた)とした。前作のディズニープリンセス映画「プリンセスと魔法のキス(The Princess and the Frog・2009年公開)」で"Princess"を強調し、男子層の動員に失敗したと考察したため。
- 原作はグリム童話だが、従来のディズニープリンセスシリーズと異なり、現代風にアレンジされている。
ラプンツェルは受け身なプリンセスではなく自らも戦う。フリンライダーは王子様ではなく世間を知り尽くしているチャラい男。マザー・ゴーテルは単なるヴィランスではなくモラルハラスメントを執拗に行う過保護な母親、という具合である。
- 製作には2.6億ドル(約260億円)を費やした。(アナ雪の制作費は1.5億ドル)
- 日本での公開日は東日本大震災の翌日となり、動員客数が減少した。
ダムが決壊し主役が溺れかけるシーンがあるが、放映中止にはならなかった。
興行収入は25.6億円。(アナ雪は254.8億円)
- ラプンツェルの髪とその動きを忠実に再現するためディズニーは新たなソフトを開発した。髪を描く専門のアニメーターを用意し、一本ずつシュミレートして製作した。[2]
また沖縄県出身の日本人男性I氏が製作を担当した。アナ雪が大盛況した2014年、NHKから取材を受けた彼は「7年の作業期間を要した。今まで担当したキャラクター設計のなかで最も苦労した」と回想している。[3]
- 2014年2月20日、ディズニー社のゲーム「ディズニーインフィニティ」の追加キャラクター・フィギュアとしてラプンツェルが登場した。
- 2015年6月16日、スクウェア・エニックス発売(ディズニーも提携)のアクションゲーム「キングダム ハーツⅢ」において、ラプンツェルとコロナ王国ステージの採用が決定した。[4]
原作との相違点
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この見出しでは、えげつない内容を含みます。 特にディズニー映画・児童向け絵本における綺麗な内容のみを知る方は、多大なショックを被り、ご自身の夢が破壊される可能性があります。 ▼見出し【後続作品】へ飛ばす▼ |
上記の通り、本作品はグリム童話「ラプンツェル」を原作としている。ただし大幅な改変がなされており、原作に見れれる露骨な描写を省略している。原作との相違点は以下の通りである。
- 貧乏な一般家庭→王室、王子→大泥棒、魔女→毒親に変更。その他の人物は登場しない。
- 原作では花や髪の毛に魔法はない。しかし原作の魔女もラプンツェルの髪で塔への出入りをしている。
- ラプンツェルのみが人物の名称として登場。
なお本映画と内容が異なる原作部分は以下の通りである。 - 病気の妻のために夫が魔女の家から高栄養価の野菜を盗んで食べさせる。その後魔女に窃盗を咎められ、安産の代わりに赤子を引渡すよう求められる。夫は同意し、出産後に拐われる。
- 森に迷い込んできた王子と性交し、ラプンツェルは妊娠する。王子と一緒にいたラプンツェルを目撃した魔女が激怒する。動揺した王子は転落し失明し7年間放浪。ラプンツェルも髪を切られ、塔から追いだされる。その後双子を出産したラプンツェルと再会し、彼女の涙の力で視力が回復する。
ディズニー映画や絵本など子ども向け媒体に描かれるラプンツェルは、一切の性描写を省いている。教育的配慮・倫理的観念から当然の措置であると言える。ただし原作でもディズニーなど子ども対象の改変作品にしても、ラプンツェルは思春期の性に目覚める年齢(第二次性徴期)であり、この性描写も決して不的確ではない。
後続作品
- 2012年10月24日、続編短編「ラプンツェルのウェディング(原題:Tangled Ever After)」が公開された。舞台はラプンツェルとフリンライダーの結婚式当日。2人の結婚式ではなく、パスカル・マキシマスの奮闘を描く。米国では2012年1月13日公開。
- 2017年より米国で新作テレビアニメが放送開始予定。本編と続編短編「ラプンツェルのウェディング」との中間に位置する内容となる。日本での放送開始時期は未定だが、世界中のディズニーチャンネルで放送が予定されている。[5]
関連動画
関連サイト
関連項目
脚注
- *偕成社版小説P.3より。
- *塔の上のラプンツェルを観て誇大妄想(so-mind.com・2012年2月19日)
- *「アナと雪の女王」日本人の技!(NHKニュースおはよう日本・2014年5月31日)
- *【動画追加・速報】『キングダム ハーツIII』最新映像公開! 『塔の上のラプンツェル』のワールドが(ファミ通・2015年6月17日)
- *『塔の上のラプンツェル』がテレビアニメ化(シネマトゥデイ・2015年6月4日)
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