「誇り」とは
「運命」とは
〜JRA 2012年度第37回エリザベス女王杯 TVCMより〜
エリザベス女王杯 (英: Queen Elizabeth II Cup)とは、11月中旬頃にJRAが催す牝馬限定GIレースである。施行条件は3歳以上牝馬限定、斤量定量(3歳54kg/4歳以上56kg)、京都競馬場芝2200mコース。
通称「エリ女」。
概要
1970年、前身である「ビクトリアカップ」が創設される。それまで菊花賞に参戦するしかなかった3歳牝馬のため、中~長距離競走として用意された牝馬三冠レース最終戦である。1975年の英国女王・エリザベス2世(英国屈指の馬主・競馬ファンとして知られた)来日を記念し、翌1976年にビクトリアカップの施行条件を引き継ぐ形で「エリザベス女王杯」が新設された。
当初の英称はQueen Elizabeth II Commemorative Cupであったが、2012年にバッキンガム宮殿(英国王室)からエリザベス女王即位60周年記念(ダイヤモンドジュビリー)競走として実施することが特例で許可されたことに伴い、翌2013年から現在のQueen Elizabeth II Cupに変更された。
1995年の第20回までは前述の通り牝馬三冠レースの最終戦として芝2400mで行なわれていた。当初から当時桜花賞・オークスでは除外されていた外国産馬の出走が認められていたことや、モデルとなったレースが無く歴史も新しいことから「クラシック競走」「八大競走」の枠組みには含まれない(グレード制導入前のレース格は八大競走+ジャパンカップに次ぎ、概ね宝塚記念と同格)。そのため、立ち位置を引き継いだ現在の秋華賞と同じく「牝馬三冠」の一つではあるものの「牝馬クラシック」ではないという少しややこしい立ち位置にあった。
1996年に行われた番組改編で牝馬三冠の三冠目は新たに創設された秋華賞に移され、エリザベス女王杯は距離を2200mに短縮したうえで馬齢条件も旧4歳(現3歳)以上(=古馬牝馬も出走可能)に変更し、日本初の最強牝馬決定戦に生まれ変わった。現在は春のヴィクトリアマイルとともに牝馬路線の頂点を担う競走として定着しているが、近年は同月に行われるジャパンカップで好走する牝馬も目立っており、このレースを使わずにジャパンカップに向かう有力牝馬も多くなっている。
なお、2022年までは日本で古馬牝馬が56kgを背負うGIは、天皇賞(春)・安田記念・宝塚記念・天皇賞(秋)・エリザベス女王杯の5レースのみであったが、2023年からは古馬牝馬が出走できるG1は全て56kgに変更されている。
エピソード
秋華賞と同じく京都競馬場で行われるレースであるが、ハイペースになりやすい秋華賞と対照的に平均~スローのペースになりやすく、人気薄の前残りもままあり、差し馬は折り合いと瞬発力勝負からの切れ味を求められる。
牝馬三冠を巡る歴史的なものから、古馬開放後もたびたび起こる大荒れ決着など、いろんな意味で記憶や記録に残りやすいレースでもある。
3歳限定時代
1976年 | 第1回にして早くも春二冠を達成したテイタニヤが三冠に挑戦。レース本番は「稍重」の馬場を味方につけた同厩の道悪巧者ディアマンテが優勝。調教師の稲葉師は2頭で牝馬三冠を達成。 |
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1980年 | 「華麗なる一族」初のクラシックホースハギノトップレディが優駿牝馬17着の大敗から距離の壁を克服し逃げ切り勝利。桜花賞との牝馬二冠を達成。 |
1984年 | サラブレッド系種のキョウワサンダーが勝利。2022年現在唯一の非純血サラ馬によるGⅠ勝利。 |
1986年 | メジロラモーヌが勝利し、初の三冠牝馬となる。 |
1989年 | 20頭中20番人気のサンドピアリスが優勝し、単勝43,060円を記録。2021年現在GI含め重賞競走最高額の単勝配当。 |
1993年 | 春に二冠牝馬となったベガが体調不良など不調の中ぶっつけ本番で三冠に挑戦するも、3着に敗れる。1着馬は後のダートの女王・ホクトベガで、関西テレビアナウンサー(当時)馬場鉄志の「ベガはベガでもホクトベガです!」は名実況として語られている。 |
古馬開放後
1996年 | 古馬開放・距離短縮初回。 ヒシアマゾンがゲートを壊し外枠発走。2着入線も斜行による進路妨害により7着降着。 |
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1999年 | メジロドーベルが初の連覇。この年から国際競走に。 |
2003年 | アドマイヤグルーヴがこの年の牝馬三冠で敗戦していたスティルインラブへのリベンジを果たす勝利。また、海外馬が2頭初参戦し、タイガーテイルが3着に入着した。 |
2004年 | アドマイヤグルーヴが連覇(2頭目)。 |
2006年 | 1着に入線したカワカミプリンセスが斜行し進路妨害をしたとして降着になり、2着以下が繰り上がった。 |
2008年 | スタート直後にポルトフィーノの鞍上が落馬。馬はそのまま逃げる形となり、直線でリトルアマポーラを大外捲りし先頭でゴールした(実際には落馬して騎手が騎乗していない空馬での入線は認められないので、競走中止扱い)。 |
2009年 | クィーンスプマンテとテイエムプリキュアが揃って大逃げ。そのまま1・2着に逃げ残り、三連単150万円越えと大荒れのレースとなった。 |
2010年 | 英国馬スノーフェアリーが海外馬として初制覇。 |
2011年 | 昨年と同様の脅威の末脚でスノーフェアリーが連覇(3頭目)。 |
2012年 | エリザベス女王即位60周年記念(ダイヤモンドジュビリー)競走として施行。 準三冠馬ヴィルシーナが2着に敗れ、GI4戦連続(ステップレースを含めれば5戦連続)2着の珍記録を達成。 |
2013年 | バッキンガム宮殿(英国王室)より特別許可を貰い、欧文名を改称。 |
2020年 | ラッキーライラックが連覇(4頭目)。 |
2021年 | 京都競馬場の改装に伴い阪神競馬場での開催。 馬券内どころか掲示板内の入線馬が全て重賞未勝利馬で決着、くわえて人気上位5頭すら入らず三連単339万円の大波乱のレースとなった。 |
2022年 | エリザベス女王即位70周年記念(プラチナジュビリー)競走として施行。→エリザベス女王崩御のため取りやめ。前年に続き阪神競馬場での開催。 父母合わせてGI13勝の娘・ジェラルディーナがGI初制覇。 2着がライラック、ウインマリリンで同着となり、1986年以降では初のJRAGI2着同着に。 |
主な前走・前哨戦
競走名 | 格付 | 施行競馬場 | 施行距離 | 間隔 | 優先出走権 |
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京都大賞典 | GII | 京都競馬場 | 芝2400m | 5週 | |
府中牝馬ステークス | GII | 東京競馬場 | 芝1800m | 4週 | 1着馬 |
秋華賞 | GI | 京都競馬場 | 芝2000m | 4週 |
歴代優勝馬
歴代複勝圏内
関連動画
関連静画
関連項目
十大競走 | |
桜花賞 - 皐月賞 - 優駿牝馬 - 東京優駿 - 菊花賞 - 天皇賞(春) - 天皇賞(秋) - 有馬記念 | |
同格とされた競走 | |
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ジャパンカップ | |
ジャパンカップ創設後に八大競走に準じるとされた競走 | |
宝塚記念 - エリザベス女王杯 | |
競馬テンプレート |
中央競馬の世代別GI | |
五大クラシック | |
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桜花賞 - 皐月賞 - 優駿牝馬 - 東京優駿 - 菊花賞 | |
その他の世代別GI | |
2歳 | 朝日杯フューチュリティステークス - 阪神ジュベナイルフィリーズ - ホープフルステークス |
3歳 | NHKマイルカップ - 秋華賞 |
廃止・変更された競走 | |
2歳 | 阪神3歳ステークス |
3歳 | ビクトリアカップ - エリザベス女王杯 |
競馬テンプレート |
脚注
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