赤城(あかぎ)とは、妖怪食っちゃ寝艦娘 大日本帝国海軍の第一航空戦隊(一航戦)に所属していた正規空母・赤城をモデルとした艦娘。
ロングの黒髪。空母の特徴でもある弓道着を思わせる格好で弽(ゆがけ)や胸当てをつけている。
概要を説明するなら、私にお任せくださいませ。
多くの提督が初めて手に入れるであろう正規空母。
艦載機による先制攻撃、戦艦にも匹敵する大火力で提督の作戦を支える。
また、秘書台詞等でも(最新機は知らないが)頼りがいのある台詞を提督にかけてくれる。
空母の強さ、便利さを教えてくれる艦娘である。
で、あるのだが……。
帰還後は補給で貴重な資材を大食い、被弾すればドックで数時間。
戦時の資源の窮乏を提督に実感させてくれるありがたい存在であるといえばまだ聞こえはいいのだが。
史実のミッドウェー海戦でのエピソードも相まって慢心だの食っちゃ寝娘だの
すっかりネタが定着してしまったのは運営の誤算であったらしい。
なぜここまでネタにされるのか
出撃するたびに資材を圧迫し、被弾すれば長時間入渠を余儀なくされる赤城。
確かに艦全体で見れば資材消費や入渠時間はかなり高い方だが、これは別に赤城だけが飛びぬけている訳ではなく、空母と言う艦種そのものの特徴である。同じ正規空母の蒼龍・飛龍・翔鶴・瑞鶴らと比べても殆ど大差ないし、加賀に至っては赤城よりも食う。
空母以外と比べるならば、戦艦は全て赤城よりも大食いである。大和型に至っては赤城の3倍以上食うのだ。
では、彼女らに比べて赤城だけがここまでネタにされてしまったのはなぜなのか。
その決定的な理由として、他の空母や戦艦と比べて赤城だけに存在する特徴が1つある。
それは「敵空母を撃沈せよ!」の任務(クエスト)の報酬で1隻は確実に手に入る(それもそこそこ早い段階で)という事だ。
赤城以外の、このクラスの戦艦や空母はいずれもそこそこ以上のレアなので、人によっては全くお目にかかれない。
着任して日が浅い提督は、空母も戦艦もまだ1回も触った事が無い、なんて事も珍しくない。
また、稼動初期では現在で言う戦艦・空母レシピはまだまだ確立すらされてなかったのもある。
そんな提督にとってドロップでも建造でもない、確実な入手手段が用意されている赤城は、殆どの場合初めて手に入れる大型艦ということになる。
初めて手にした大型艦に期待を寄せ、そしてその期待を裏切らない圧倒的な強さに心浮かれている内はよいのだが、 やがて減り続ける資材、いつまでも空かない入渠ドックを見て我に返る。
稼動初期には空戦時の処理におかしい部分があり、ボーキサイトが戦闘時に著しく減るバグがあったというのもある。
また入渠時間も、改造レベルに満たない程度のレベルの駆逐艦や軽巡洋艦を中心にしている段階の提督にとって、1時間を越える入渠を求められるケースは殆ど無い。
そんな中、最初から1時間単位の入渠がデフォの赤城には度肝を抜かれる事間違いなしだろう。
(例:レベル10の球磨をHP1大破させると40分程度。一方で同じレベルの赤城でHP1大破だと4時間弱かかる)
これらの「初めて」の経験を、赤城以外のお姉さんにしてもらった提督はかなり少ないのではないだろうか。
そんな訳で、赤城さんだけがネタ化への道をひた進んでしまったのかも知れない。
ついでに、史実であるミッドウェー海戦のエピソードもあげられる。
索敵機の誤報や二転三転した艦載機の兵装によって格納庫に散乱していた爆弾が敵機の攻撃に誘爆して大破炎上。
2発の爆弾のみで戦闘不能に陥ってしまった原因として司令部に慢心があったといわれている。
しかし赤城さんの台詞自体には慢心している様子は無い。
MVP時の台詞で頭の中で聞こえる、過去の(司令部が冒した)慢心した記憶が赤城さんに注意を告げているのである。
このようにさまざまな要因が重なりネタ化への道を突き進んでしまった赤城さん。
そんな彼女への提督の言葉の多くは期待の裏返しだったり、愛ゆえの言葉であることは言っておきたい。
あ、赤城さん。今日のバケツです。
風呂入ってないで次、行きますよ。
・・・まあそんな彼女ではあるが、ネタであっても知名度が高いというのはいいことで、ニコニコ静画及びpixivでの投稿数は艦娘の中でトップクラスであり、ねんどろいどやその他グッズが作られる際も、赤城関連のものは大抵第一陣に作られる。
また彼女を主人公にした準公式小説「艦隊これくしょん ‐艦これ‐ 一航戦、出ます!」もありファン・公式双方から愛される存在であるのは事実である。
※ネタバレあり
ケッコンカッコカリでは提督を信頼と愛情の上で、ミッドウェー海戦での「魔の5分間」を提督と一緒なら塗り替える事が出来るのではないかと真面目なノリで語っている。
また、2014年8月にファミリーマートで全国100個限定で生産され当選者に発送された「赤城目覚まし時計」では、一途に提督の事を想う見事なまでの正妻空母っぷりを披露していたのである!(このおかげか、二次で提督×赤城な正妻ストーリーも従来の頃よりも増え出した)ネタ化が進んだ現時点でも、赤城本人にも過去を乗り越えたい気持ちがあるのは恐らく間違いないだろう。
まさかの準公式化・・・
食いしん坊キャラが定着しつつある。
ミッドウェーでの敗戦がトラウマで、しばしばネタにされる。『吹雪、がんばります!』第1巻 主な艦娘紹介!より引用
ファミ通コミッククリアで連載されているweb漫画『吹雪、頑張ります!』でも、主人公の吹雪達を見守る優しいお姉さんとして、準レギュラー格で登場しているが登場するたびに バケツ・ボーキサイト・入渠・給食・慢心… とネタが準公式化している。
あと加賀さんとコンビ組む事が多いが、本作品ではゲームと違って加賀さんから「赤城」と呼び捨てにされている。その上で溺愛されている。
詳細は →ファミ通コミッククリア-艦これ4コマ-作品ページ で確認されたし。
「艦隊これくしょん-艦これ- 陽炎、抜錨します!」でも演習のご褒美として「赤城さんと一緒にご飯を食べる権利」なる謎の権利があげられ、安定のハラペコキャラっぷりを見せてくれた。
また、C2機関発行の「こんな日には缶詰あけよ。vol.2」では『大和煮さん』という赤城さんと非常に酷似した外見のキャラ(イラストもしばふ氏)が登場し、大量の缶詰とご飯を平らげている。しかも私服姿で。まあ「知らない子ですね」とか言っちゃってる辺りほぼ間違いなく本人ゲフンゲフン
公式何言ってるんですか
とか言ってたら公式が赤城さんのことを「ボーキサイトの女王」と呼んでいた。
彼女の明日はどっちだ!
しかも、家具である月見まんじゅう(説明文に「某正規空母のつまみぐいに注意して」と書かれる)やひな壇(赤城人形が菱餅を齧っている)に至ってはもう擁護のしようがない。
そして訪れる敗北・・・?
……などと『妖怪食っちゃ寝』の名を欲しいままにして来た赤城だったが、2013年8月のイベントでかの『戦艦大和』が実装された。
赤城など歯牙にもかけない、エコロジーなどどこ吹く風と言わんばかりの運用コスト、そして改造時にかかるまさしく超ド級の消費資材に「赤城の王座陥落か」と各所から期待となぜか残念さが入り混じった声が上がった。
そうこうするうちに件のweb漫画でもこれに関するネタが登場。どうやらこちらも公式化しているようだ・・・
さようなら赤城!ありがとう赤城!僕たちはキミの食いっぷりを忘れない!
と、思いきや大和の消費があまりにも激しく、史実通りに鎮守府でお蔵入りさせる提督が続出。中には前評判を聞いてか碌に運用しなかった提督も多く、結果的に「大食い」としてのインパクトがやや薄れてしまった。その上長きにわたってしみついたイメージは拭い去れなかったためか、結局のところ大食いの食っちゃ寝=赤城という図式は今でもほとんど薄れていないようである。
というか仮に大和が大食いキャラに定着したところでボーキサイトは食わないため、『ボーキサイトの女王』の名は今後よほどのことがない限り赤城の物と思われるが。
ちなみにボーキサイトも加賀の方がもっと食べるのだが、赤城の相方として描かれる事が多いせいか、加賀本人のクーデレキャラのせいか、上述の手に入りやすさからも赤城の方が大食いキャラとしての印象深い。ただし一緒に飯を食らってるイラストも少なくない。
飯と放置とミッドウェー
二次創作はおろか、公式4コマやアンソロでもすっかり大食いキャラが板についた赤城であったが、そんな2014年7月18日に事件は起きた。
赤城に新たに「補給」「放置」「ケッコンカッコカリ専用母港」ボイスが追加されたのだが、その放置ボイスが
という、何とも・・・やってくれた喃!運営!と言わざるを得ない内容であった。
元々公式の食いつきの良い(赤城だけに)ネタではあったが、まさかのゲーム内での公式化(?)である。
「ご飯」と言いかける前と後の劇的な声色の違いに、赤城の新たな一面を見出せるだろう。
・・・本当に、彼女と運営の明日はどっちだ!
尚、同実装において「夏イベント開始までの限定母港ボイス」も追加されている。
その内容は夏イベント、即ちミッドウェー作戦についてのものであり、上記の大食いネタとは打って変わってシリアスなものになっている。
ネタ的な意味での彼女の明日はともかく、彼女自身の明日はこのイベントで決まるのかも知れない。
こちらのボイスの内容は提督各自で確認されたい。
しかし、実際の所は……
ここまでメディアミックス作品やファンイラストなどの二次創作で食いっぷりをネタにされてきていたり正妻空母だったり色々言われてきている赤城であるが、実際にゲーム中のボイスを聴いてみると尖ったキャラクター要素はどこにもない至って割とどこにでもいる普通の女性キャラクターである事が伺える。
二次創作でよく見る大飯食らい・戦闘狂・メンタルが強い・クールという要素もゲーム中では特に見受けられてはいない。
つまり真面目ではあるが天然で抜けているところもあるという程度の性格の持ち主であり、かの吹雪と同じかそれ以上にスタンダートな性格をした艦娘なのが、ゲーム中で表現されている赤城という事になる。
逆に言えば、そのストレートな性格の為、多くのユーザーから「ただ出すだけだとネタにしようが無い」と感じられ、「赤城と多少関連している程度の過剰なネタ」を盛られていったのかもしれない。
また、公式からの赤城のキャラクター像は「頼れる素敵なお姉さん」であり、同時に「ユーザーの皆様に様々な解釈や想像の余地ができるキャラにしました。」とも発言している。
いずれにせよ、一概にこれといった解答がないのが艦これというゲームである為、自分の中の世界観やキャラクター像を周囲に押し付けたりしないように弁えよう。
限定グラフィックとしては2016年に『なか卯』とのコラボで普段の意匠が赤と白(黒)が反転したかのような衣装で登場。
2017年には新聞広告として大阪王将とのコラボも実施・・・食べ物を美味しそうに食べるのが良く似合うという事で起用されたのであろう、うん。
2020年の新春、19年の加賀に続いて赤城にも晴れ着衣装が実装。イメージカラーの赤の晴れ着に破魔矢に「正射必中」の札が下がっておりこちらは「一航戦赤城」に相応しい装い。
佐世保バーガー・・・ですか?
そんなよくも悪くも運営・提督共々愛される彼女に思わぬオファーが舞い込んでくる。2018年3月17日から18日に掛けて長崎県佐世保市、即ちかつての佐世保鎮守府で公式コラボレーションイベント「『艦これ』佐世保鎮守府巡り」にて赤城が時雨と共に堂々イメージキャラとして抜擢された。
『佐世保の時雨』と異名がある時雨ならともかく、何故に赤城さんが?というのは空母赤城が建造時の三段式甲板から現在の姿のモチーフ元である一段空母に近代改装されたのが佐世保海軍工廠(現在のSSK・佐世保重工業株式会社)だった縁である。
そして、そのイメージが・・・何と『佐世保バーガーを手に持ったロリ赤城ちゃん』というそれまでの公式では見られなかった姿であった・・・オーケー加賀さん、落ち着け。
無論、そこは艦これ運営鎮守府としばふ氏の手による一品。突貫ではなくキチンと史実に忠実で赤城のトレードマークである甲板モチーフの前掛けが三段式甲板時代の艦尾である(艦認識表記である『ア』が無い)
改装された第一航空戦隊の力、お見せします!
2019年5月21日のアップデートにて赤城に改二が実装された。
改装するにはレベル90という高練度に加え設計図2枚+試製甲板カタパルト+戦闘詳報+新型航空兵装2つ+資材100が必要と、かなりハードルは高い。
改装を実行すると金剛改二丙の改装と同じように特別なデモムービーが流れ、赤城改二へと改装される。
改二実装時点でセリフは若干追加された程度で時報もないものの、史実では出会うことの無かった大鳳と邂逅して意気込んだり、烈風に高ぶったりしているシチュエーションのセリフが確認できる。
改二性能
改二は戦没することなく1946年を迎えていたら…というコンセプトなif仕様で、力みのない自然体でたたずみ、矢筒を二つと高角砲を装備し、烈風が舞っているという画像が用意されている。
性能は各能力の上積みと射程が中になり、
搭載機数は21/21/32/12/4(計90機)と改の20/20/32/10(計82)から微増ではあるもの、何より空母初の5スロットが目を引く。増えた5スロット目をどう活用するかが提督の采配の見せ所。
改二戊性能
改二から夜戦能力付の「改二戊」へのコンバート改装も用意されている。ちなみに「改二戊」は「かいにぼ」と読む。「改二戌」(かいにいぬ)ではない。
改二戊では矢筒が一つ、高角砲と烈風もない代わりに軍刀を佩いていて、何よりも光っているように明るい目と何故か影がかかっている下半身という謎の凄みを感じさせる画像になっている。
夜戦仕様ということもあり「闇赤城」とか「赤城オルタ」などと呼ぶ提督も。
搭載機数は改二から減り、16/16/40/4/2(計78)と尖ったスロット配分となっている。他能力も改二から火力と回避が上がり、対空と索敵が下がるという、夜戦仕様とのコンバート改装があるサラトガと同じ傾向を見せている。また艦載機数が減る分少しだけ燃費がよくなる。
提督の嗜好にもよるものの基本的には改二で運用、夜間飛行機の配備が充実している・サラトガを装甲空母で運用していて(もしくはサラトガがまだいなくて)夜戦空母が欲しいといった方針なら改二戊配備を視野にといったところだろうか。
「赤城さんが二人…、さすがに気分が高揚します。」>
実装と同時に突入したイベント「発動!友軍救援「第二次ハワイ作戦」」では最終海域となるE-5「北太平洋ハワイ諸島南東沖」において、赤城改二戊が指揮する友軍艦隊が駆けつけてくれることがあった。
赤城さんには特効も設定されていたので高火力の攻撃を叩き込む雄姿には加賀さんでなくとも気分が高揚したものの、活躍する姿を拝むには自艦隊に赤城さんを配備してはいけないというジレンマが待っていたのだった…。
戦史・空母「赤城」
天城型巡洋戦艦2番艦「赤城」
「八八艦隊」(戦艦8隻と巡洋戦艦8隻の艦隊を建造しようという計画)で設計された天城型巡洋戦艦の2番艦として、「赤城」の建造は開始された。つまり、「赤城」は、そのまま建造されれば、金剛型の後継艦になる予定だった。「赤城」が山の名前から取られているのはこのため(巡洋戦艦の命名規則に従った)である。
しかし、建造の最中に、ワシントン軍縮条約が締結され、その時点で未完成の戦艦の建造は認められないことになった。[1]
当時建造中だった「陸奥」は色んな手練手管を用いて認めさせたが、それ以外の艦はご破算になってしまい、「赤城」も建造途中で放置されてしまった。
空母に生まれ変わるが、姉と妹達は・・・
戦艦は作るなと言われていたものの、空母に転用することは認められていたため、その時点である程度出来上がっていた1番艦「天城」と2番艦「赤城」が空母に改装されることになった。
一方、同じく建造中だった妹の3番艦「愛宕」、4番艦「高雄」は解体され、空母化の資材となる。そしてその名前は、後に重巡洋艦「愛宕」と「高雄」に受け継がれた。
さて、思わぬ形で、空母として甦ることになったはずの2艦だったが、改装工事中に関東大震災が発生。横須賀で建造されていた「天城」は震災によって竜骨を損傷し、修復不可と判断された。こうして、妹に会うことなく解体が決まった「天城」の代わりに、同じくワシントン条約で解体することになっていた加賀型戦艦1番艦「加賀」が空母に改装されることになった・・・。
三段空母「赤城」
こうした紆余曲折の末、誕生した正規空母「赤城」だったが、当時はまだ空母運用の黎明期(お母さん「鳳翔」が竣工してからまだ5年しかたっていない)で、様々な実験が行われていた時代である。
「赤城」も(そして同時期に完成した「加賀」も)例に漏れず、英海軍の改装空母「フューリアス」を参考に三段式甲板を持つ形で誕生した。さらに空母の運用法もまだ確立されていなかったので、空母が砲戦を行うことも想定されており、20センチ砲を10門と重巡洋艦並の武装もしていた。
近代化改装、そして太平洋戦争へ
時代が進むにつれ、空母の運用方法も次第に洗練される中、先に近代化改装された「加賀」に続き、「赤城」も改装された。主な改造点は、
ただし、煙突を右側に設置したことで、特に右舷後部の居住区は窓を開けることも出来なかった(言うまでも無く、当時はクーラーなんてものはない)。「赤城」が「人殺し長屋」と呼ばれたのは、この居住性の悪さと、それに伴う赤痢や結核の蔓延によるものだった。
ともあれ、こうしてどうにか正規空母の体裁を整えた「赤城」は、真珠湾攻撃を初陣として[2]「加賀」を相棒とした一航戦コンビとして、日本の初期の大活躍の主役として暴れ回った。
1942年4月5日には、同盟国ドイツからの要請を受けてインド洋へ進出。セイロン島に拠点を置くイギリス東洋艦隊と交戦した(セイロン沖海戦)。東洋艦隊の撃滅こそ失敗したが、英空母「ハーミーズ」を撃沈する戦果を挙げ勝利。帝國海軍航空隊の練度を、「せいぜいイタリア空軍と同程度」と慢心していたイギリス軍はこの敗北で考えを改め、インド洋の制海権を日本へ明け渡す事となった。
連戦連勝の一航戦と「赤城」。だが、破滅の時は近付いていた……。
ミッドウェー海戦
1942年6月5日、太平洋戦争のターニングポイントの一つとなった、ミッドウェー島を巡る海戦。
第一航空艦隊、通称“南雲機動部隊”の旗艦として、「赤城」は同僚の「加賀」「蒼龍」「飛龍」と共に参加した。
ミッドウェー島のアメリカ軍基地へ攻撃隊を発艦させた後、セイロン沖海戦での戦訓を踏まえ、「赤城」「加賀」一航戦の艦攻隊は敵艦隊に備えて雷装で待機、二航戦の艦爆隊は未武装状態で状況変化への即応体制をとっていた。
しばらくして、戦果不十分とみた攻撃隊から「第二次攻撃の要あり」の打電が入り、[3]各索敵機も索敵線先端に達していたため、一航戦の艦攻を格納庫に引っ込めて、魚雷を爆弾に付け替える作業に入る。
ところが、そこに重巡「利根」より遅れて発艦した索敵機から、「敵空母発見」の一報が飛び込んでくる。索敵機から敵艦隊の座標報告[4]を受け、敵艦載機の到達に時間があると判断した司令部は敵空母攻撃を決断。再度、爆弾を魚雷に付け替えることを決めた。
「赤城」「加賀」共に最初の装備換装は全体の半数も終わっていなかったため、再換装自体は難しいことではなかった。しかし同時に第一次攻撃隊の収容や直掩機の燃料補給も行わなければならず、また敵基地航空隊の断続的な空襲もあって飛行甲板やその下の格納庫は一気に忙しくなり、換装作業は明らかな遅れを見せていた。
この時、二航戦司令の山口多聞少将が『第一次攻撃隊を見捨ててでも攻撃準備を優先するように進言』したが南雲忠一中将はこれを却下、各艦に作業状況の確認をさせ、準備を急がせる。
(もし山口少将の進言を受け入れていた場合、史実以上の損害を被っていた可能性が高いと言われている)
ろくな護衛も無しに散発的な攻撃を繰り返してくる米雷撃隊を、直掩隊はことごとく叩き落としていった。
しかし7時23分。これまでの空襲によって作業が遅れていた「赤城」達に、米空母「エンタープライズ」「ヨークタウン」から発艦した「SBD ドーントレス」爆撃機隊50機からなる第9波が、運悪く手薄となっていた艦隊直上から襲いかかった。
直掩隊は第8波の迎撃に際して低空に降りていたため阻止に間に合わず、7時26分、回避行動中の「赤城」に500kg爆弾2発が直撃する。うち1発が飛行甲板を貫通、下の格納庫に飛び込んで炸裂した。格納庫ではいまだ装備換装を行っている最中であり、魚雷や爆弾が乱雑に置かれているという状態だった。
あと5分あれば、第二次攻撃隊は全機発艦していたと言われたことから、後に「魔の5分間」と呼ばれるようになった[5]
格納庫の魚雷や爆弾、そして航空機燃料が次々と誘爆し、「赤城」は大炎上、艦橋や機関部にも火の手が回り、さらに舵も故障して、手がつけられなくなったため、ついに総員退艦命令が出る。無人のまま炎上しながら漂流する「赤城」に対し、翌日になって司令部は雷撃処分を決定。第四駆逐隊の駆逐艦から魚雷が発射され、「赤城」は艦尾から沈んでいったという。(この第四駆逐隊には「舞風」がいた。公式マンガの元ネタはこれ)
このミッドウェーでは、ほぼ同時刻に「加賀」が250kg爆弾4発が命中、「蒼龍」にも500kg爆弾3発が命中し轟沈、そして一人反撃に転じた「飛龍」も沈み、日本海軍の誇った機動部隊はここで壊滅的な打撃を受けてしまう。
余談だが先述したセイロン沖海戦でも、ミッドウェー同様装備の換装中にイギリス軍爆撃機「ウェリントン」に攻撃されるという緊急事態が発生していた。この時は爆弾が外れ、事なきを得ている。
……なお「日本軍はセイロン沖海戦から何も学んでいなかった」とよく言われるが、実際には上記のように第一次攻撃隊出撃後の一航戦の艦攻隊は敵艦隊出現に備えて雷装待機、二航戦の艦爆隊は状況変化に即応できるよう未武装待機をとるなどの対策を行っている。
そしてミッドウェー海戦における戦訓は、翔鶴・瑞鶴を中心とした新生一航戦へと受け渡されていった。
提督! 関連動画が入っています。
関連静画? 動画とは違うのですか?
ネタ側
関連項目? いえ、知らない子ですね。
脚注
- *ちなみに軍縮条約が無く、そのまま八八艦隊が完成した場合、当時の日本の歳入の半分が消し飛ぶ維持費が発生し、日本は破産したと言われている。
- *一応、それ以前にも何度か中国に出撃しているが、本格的な戦闘には加わっていなかったので。
- *報告したのは「飛龍」所属の友永丈市大尉。「飛龍」の戦闘時のセリフの元ネタはこれ。
- *この報告は誤りであり、米艦隊は報告位置よりも近くにいた。
- *しかし実際にはそんなすぐに発艦作業が終わるわけがなく、これは戦後の創作に過ぎない。
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