2020年はクッキー☆10周年。
クッキー☆10周年とは、クッキー☆の10周年を祝福するためのタグであり、データと考察からクッキーの10年間の歩みを再確認する為の記事であり、いつまで経っても運営がクッキー☆の記事のプレ垢規制を解除しないので、10周年ぐらい自由にクッキーに思いを馳せる場所があってもいいだろうと仕方なく建てられた記事であり、なにかのきっかけでクッキー☆と出会い、10年間に追いつきたいと思った物好きのクッキー☆履修の一助になることを願って書かれた記事である。
10年を経ての概要
「クッキー☆とは何か?何が面白いのか?」
という問いに、100人が聞いて100人が納得できる答えは存在しないだろう。
ニコニコ動画を見ているアニメ漫画ファンやゲームファンにとって馴染み深いキーワードを引き合いに出して近しい喩え方をするのであれば「東方projectとは何か?」「アイドルマスターの魅力とは?」「ガンダムとは?」という問いかけになるだろうか。しかしクッキー☆なるものには上で列挙したような既存のコンテンツとは異なり、他に類を見ない特殊な愉しみ方をされてきた経緯が存在し、そしてその特殊性がクッキー☆を10年を経て今日もなお続くコンテンツたらしめたのは紛れもない事実である。
複雑怪奇極まる発展を遂げてきたクッキー☆の成り立ち、ジャンルの解説などを網羅するとそれだけで既に上で挙げたような巨大コンテンツと同じかそれ以上の情報量に達するので、ここでは簡単な概要を述べるに留める。詳しく知りたい諸兄は解説wikiや10周年に際して投稿された研究論文を参照するとよいだろう。他にも
2020年現在までの歩み、流行り、興隆を網羅解説した動画のシリーズが存在する。見るだけで今までの10年にも及ぶコンテンツの流れが大体はわかる名作。
クッキー☆の原点は東方の二次創作ボイスドラマであるが、コンテンツとしてのクッキー☆は10年の歳月を経ても未だ一定規模の人気を誇っており、1つのボイスドラマがこれだけの影響力を発揮し、多数のフォローワーを生み出した事は歴史上、他に類を見ない。
ニコニコ上でミームとされるネタは多くは数ヶ月、長くても1年程度で廃れるのが常であり、かつて流行っていたものの現在では廃れたオワコン、は枚挙に暇がない。
また流行るといっても基本的にはせいぜい音MADが少数作られる程度なので、
原典の東方さながら、長編シリーズ、紙芝居、風刺、バトル、ホラー、講座、多種多様な動画の包括的なジャンルと化した例も珍しい。
7000を超える動画が存在するほのぼの神社アレンジ(2020年2月現在)は人類史上、アレンジが作られたアレンジ楽曲といっても過言ではない。
コンテンツの元となるボイスドラマは、アニメやゲームといった商業販売物ではなく、完全な非商業コンテンツであり、この点でも特異な例である。
最大の特徴は、クッキーファンの大半は原作の東方projectに全く興味がないという点である。
原作に全く興味がないファンが支える二次創作コンテンツというのも、やはり歴史上、他に例がないだろう。裏を返せば 原作を知らずとも抵抗なく入っていけるほど敷居が低いという事であり、そういった特殊性が10年の永きに渡っても人気を保てる理由の1つであった事は確かだろう。
とは言ってもニコニコにおいての動画投稿数は2017年をピークに下降を始め、2019年には半分近くまで落ち込んでしまった。(2020年2月参照時)。このままではここから盛り返す要素も希望もない為、今後はニコニコ動画そのもの同様、厳しい末路未来が待っているといえよう。
ネットの歴史と変化
ここまでの10年間においてネット社会も大きく変化した。初代クッキーが隆盛していた2010-2015年頃とは違い、Youtubeやtwitterといったネットインフラの寡占化が進んだ結果、Buzz、「バズる」という概念が最も重要となった。
簡単に言えば人が集まる所にみんな集まる、というだけの話なのだが、現在のネット社会は、情報を意図的にバズらせてその時間・時節の注目を収斂させる、いわばトラフィックを奪い合う陣取り合戦のような様相を呈している。2019年にある初代声優が別の人気声優と初めて配信した際は即座に声優の名前がtwitterでトレンド入りした。美大ボールもやはりtwitterでトレンド入りした事もある。これらはクッキーがバズった例である。2020年現在はそういった既存の大手SNSでいかにトラフィックを集めて話題性を維持するか=作為的にバズらせるかという戦略がコンテンツの人気を左右する時代となっている。
実際に、てっとりばやく話題や注目を集める、バズらせる手段として、著名人やインフルエンサーに依頼してツイートしてもらう、Youtube動画で取り上げてもらう、広告に自分のチャンネルや動画を挿入して再生数を稼ぐ、大量に乱造した工作用アカウントで半ば自作自演的にリツイートさせる、Youtubeチャンネルを登録させるというような直接間接を問わないマーケティングや買収ともいえるような工作行為、宣伝行為が個人や企業、ジャンルを問わず常態化している。芸能人がYoutuberを始める活動前から各社に一斉にプレスリリースを流してトラフィックを集める、動画を投稿したり配信する前後にニュースで取り上げてもらう、といった事も同様の目的でありこのように何をするにもはじめにどれだけカネをかけてトラフィックを集めたか、が最も重要となっている。クッキー10周年の余熱が冷めやまぬうちに偶然にも上述のネット情勢を象徴するような社会的に大きな騒動が発生したので、より理解を深めたいならそちらの記事を参照してもよいだろう。
クッキーは利益を追求しない、ニコニコ動画上での人気の大小を競う、基本的に無収益・非商業のネットコンテンツであるので、商業コンテンツのような、アニメの放送やゲームのリリースなどのオフィシャル展開にあたるものがない。
言い変えればユーザーの増減、流出入、人体でいう新陳代謝をネットのトラフィックの流動性に任せている為(自分からマーケティングで陣取り合戦を仕掛ける事がない)、現在のネット社会においては既に旧世代のコンテンツの在り方となっている。今後、そういった母体を持たない一過性のミームがクッキーのようにジャンルとして定着したり発展したりすることは無いかもしれない。
以上がこの10年間という括りでのクッキーを通して見たインターネット情勢の概要である。
ちなみに当のニコニコ動画についてはYoutubeのマネタイゼーションの隆盛(広告や配信の投げ銭で万でも億でもお金を稼げる)、それを狙った動画投稿者や配信者の大移住、プレミアム会員の減少(2016年256万人→2019年175万人)、アプリやゲーム機などに対応したインフラを維持できず次々と機能を廃止したりサービスを終了する、一方で批判の絶えない超会議などのイベントは継続開催などしており、経営者は黒字を強調するものの、日常的にニコニコを視聴しているユーザーであれば動画の再生数やコメント数の減衰は容易に体感できる事から現在では「斜陽」「場末」「終末期医療」など今までにも増して罵倒の限りを尽くされる悲観的なコメントが見られるようになった。ただし事実上Youtube以外では依然として唯一の有力かつ総合動画投稿サイトであり、傍目には苦行でしかないクッキーなるものを楽しんで視聴できるのもYoutubeにはない画面上を流れるコメント機能の恩恵が大きく、少なくともクッキー界隈においてはYoutubeはニコニコの代替にはなりえないという認識で概ね一致している。かつて運営や関係各位がイベントやメディアで誇らしげに内外に祭り上げていた、人気の歌い手や生放送主といった者達が、ニコニコをあっさり見限ってYoutuberバブルに熱狂して今では関わりがないのに対し、恐らくは滅びるその最後の瞬間まで寄り添いニコニコに無償で動画を投稿し続けトラフィックに貢献し続けるのは、荒らしと呼ばれたり、ホモコーストや運営爆破オチなど常に反目し続けた淫夢厨やクッキー☆厨というのも皮肉なものである。
動画で振り返るクッキー☆の歴史
クッキー☆4周年ぐらいまで
1-3周年の時点では、他の人気コンテンツでも達成可能な年数ということもありアニバーサリーを特別に騒ぎ立てて祝う風潮はなかったようだ。この黎明期から成熟期にかけて、自分達で面白い新たな表現手段を創造・追求しようという開拓者精神や創意工夫に満ち溢れた動画が昼夜問わず作られ続け、クッキー☆文化の発展を大いに促した。
クッキー☆5周年
節目の年ということで、それなりのお祝い作品が投稿された。まさにクッキー黄金期といえよう。2020年現在では達成困難な再生数やコメント数を弾き出したいくつかの動画は、最盛期のニコニコ動画の人口の多さ、クッキー人気の凄まじさなどクッキー文化が花咲いていた熱い時代を偲ばせる。上で紹介した動画でわかるようにこの5周年までは現在では聖典とされる初代+TIS三部作のキャラが主流であり、以後のMADではそれら聖典以降の派生作品のキャラの割合が顕著に増えていく。5周年はクッキー☆における天然・養殖のゾーニングの境目ともいえよう。
10周年に際してそういったMADの各時代における作風の流行り廃りを総括した動画も投稿された。10年間の歴史をおさらいするならぜひ見ておきたい。
クッキー☆10周年感謝祭
その後も数多の新作ボイドラマや声優を吸収、発展し続けたクッキーは2020年、ついに10周年に突入した。お祭り感やオールスター感、10年という歴史のスケールを演出する動画は、ファン創作のオリキャラ含め膨大な数のキャラクターを擁するクッキーならではのものといえるだろう。
2020年2月14日金曜日~16日日曜日の週末がバレンタイン本祭期間に相当する。この3日間は流行していたコロナウイルスへの警戒、日本全土での雨がちな天候により人々が外出しにくい、自宅でニコニコ動画を見る者が普段より多くなる、などの好条件が重なっていた。が、祭りのラストスパートにあたる16日未明から断続的に数回のメンテでニコニコ自体の視聴が不可能という状況に。結局、復旧して視聴可能になったのは日曜の昼頃だった。(クソデカため息)日本国におけるアニメ・マンガ・ゲームの歴史がいかに長かろうと商業コンテンツでもない100%ファンメイドのコンテンツが「10周年」を祝うというのは珍しい。それもただの定例的な祭りではなく、投稿された動画数、コメント数、再生数からわかるように他の現役コンテンツと同じかそれ以上の熱と勢いを持った祭りであり、合作、ボイスドラマ、BB劇場、音MAD、便乗釣り動画、便乗荒らし動画、静画、外国人ファンによる海外からの動画なども多数投稿され、数多の現役非現役・商業非商業コンテンツとは一線を画するその人気を証明する見る影もなく無惨に衰えきった盛り上がりとなった。久しく活動していなかった動画投稿者が復帰したりするなど、永らくクッキー☆を離れていたファンにとっても、節目の年としてやはり目を離せない祭りであったようだ。
本祭中に最大の注目を集めたのはやはりアニメ作品「自己矛盾☆」だろう。クッキー☆の集大成と言えるほどの膨大な情報量による徹底した作り込みと、独特の絵柄で彩られたフルアニメーションの怪作で、5年10年の永きに渡りクッキーを愛好し続けた者へのご褒美にあたるような商業クオリティの超大作に仕上がっており、二次創作や承認欲求というメタフィクションを主軸にしたストーリーは「クッキーとは何か?」「何が面白いのか?」などの根本的なテーマに対する1つの回答となっている。
また、クッキー界隈にはバレンタイン以外にも8月5日や年末にもお祭りムードが存在するので「触発された」「クッキー熱が戻った」「このままでは10周年orクッキー☆は終われない」と奮い立った諸兄は、動画投稿ボイスドラマ制作に挑戦してみるのもいいだろう。
クッキー☆を支えたレジェンド達-10年間の変遷
冒頭の画像には同じ格好をした、一見して大同小異に見える東方キャラが大量に描かれているが、全て別人である。描かれているキャラ1人1人が100や1000を超える単位のタグ(人気アニメキャラやニコニコでブームになった存在と同じかそれ以上の規模)をつけられており、多種多様な動画でその姿や音声を見聞きする事ができるし、なかには元ネタの東方キャラよりも動画や静画の数が多かったり、動画人気によるトラフィック量から一般層への知名度が元ネタより上回っていると思われる逆転現象も存在する。
と書けば初診者にもクッキーの歴史、規模、かつての最盛期の人気が伝わるだろうか。
ここではその無数に存在するクッキー☆キャラの中から「四天王」「始まりの四人」などと形容される代表的なレジェンド四名+αについて10年間を経ての概要を記述する。詳しい情報は各人の記事を参照。
UDK姉貴
10年間でシリーズ作品やキャラが無数に増えた結果、アムロ・レイや本郷猛のように世代を超えて愛される永遠の初代主人公の立ち位置となった。
「人気フィクションの登場人物と同様の特性を持った生身の人間」という意味では地球広し人類多しといえど彼女と立場を同じくする者を探すのは難しいかもしれない。先述のアニメ長編でもやはりクッキーというジャンルの特殊性を象徴する存在として言及されている。
彼女を置いて他に霧雨魔理沙の声を表現できる人物はいないと評価される一方で、失踪状態だった他の声優達が復帰したり配信してしまうのとは異なり、(2020年2月現在)10年間、ただの一度も姿を見せたこともなければ、ただの一言も発しておらず、根強い死亡説、異世界転生説、ロボットの機能停止説、そもそも架空の人物説など、伝説上の存在と同じように関心がもたれている。
プロ活動の実績があったわけでもなければ、ただの東方ファンの一人、名もなき女子高生に過ぎなかった彼女が、クッキーという物語の主人公である事は勿論、自らの人気を以てクッキーをその敬愛する東方projectの最大ジャンルにまで押し上げてしまった事、「己が声こそ魔理沙の声と誰もが認識する」という途方も無い願望を実現してしまった事など、そのキャラクターと立ち位置は、もはや東方やニコニコ動画やオンラインミームという枠には収まらない、人類史上唯一無二と言えるスケールの神性・神話性をも獲得している。→伝説と化したUDK
RU姉貴
クッキー声優としてのアイデンティティを保持したまま一般人がネットを続けた例。
名前や顔がバレたらノックダウン、学校や職場や住所がバレたらKO負けといった試合展開になりがちなクッキー声優界において、その芸歴の長さから必然的に一通りの被害を被っているが、それを苦にしてネット活動をやめたことはなく、最も打たれ強いと形容される。(とはいっても顔出しについてはこの10年間でSNSやYoutubeでは、基本的には顔は隠さないのが一般化するまでに時勢は変化しており、実際、10年代終盤からは彼女自身も顔を出して配信するようになった)上述のUDK姉貴を始めクッキー関係の事象に巻き込まれる事を大きな受難と考え、ネット上から痕跡を一切消して消息不明となってしまう他の声優達と比べると、対極的な存在といえる。そのように永きに渡りtwitterなどのSNSで私生活を公開し続けてきた為、クッキー☆特有のネットストーキング文化により人生の足跡を観察記録されてしまっており、生き様や恋愛観などがストーカー心理学的な側面からの考察・研究の対象とされる事も多い。
YMN姉貴
当時から変わらず現役のネットアイドルの代表格として多方面に知られる人物。クッキー以前からニコ生主として活動しており、それなりに名の知られた存在だった。
アイドルとしての評価や真意はともかく、クッキーネタを拒絶する声優も少なくない中、それらとは対象的にクッキーを最も愛し続けた文化功労賞に値する人物であることに疑う余地はないだろう。RU姉貴が普通の人生を普通に歩んだ場合の末路であるのに対し、こちらはアイドルや声優に憧れ続けた少女の末路、という好対照をなしている。ちなみに2017年にはRU姉貴と対面を果たしており、HNS姉貴もそれを受けて前向きな反応を示した事から、その気になればクッキー☆冒頭をリアル再現可能なキーパーソンとも言われる。また後述のKNN姉貴含め、派生ボイドラ声優と共同活動をしたり、Vtuber界隈との繋がり、はては有名淫夢男優と実際に対面したりと作品やジャンルを越えて様々な世界を渡り歩くような存在となりつつある。
HNS姉貴
ネタとしての面白さに歪んだ愛情を送られるクッキー声優界にあって、顔や声の美しさを褒め称えられた正統派のアイドルと言うべき存在。2016年5月の6年目にしての奇跡の初生放送の実現は、クッキー史上最大の熱狂として知られている。後年には自らALCのイラストを描いたりMADを楽しんだ感想を述べるなどかつてのクッキー絶縁時代からは考えられないほどの心境の変化を見せるに至り、クッキーの歴史の長さを物語る証人といえよう。色々あって(2020年2月現在)表舞台で目立った活動はしていないものの、クッキーが続く限りはまたいつの日か気まぐれな女神の慈愛を享受する時もあるかもしれない。
NDK姉貴
いつの間にか復帰していつの間にか消えるというHTN並の空気キャラ。
KNN姉貴
TIS三部作その2「お正月」で脚光を浴びてUDK姉貴以来の傑物と評された声優。
実際に人気ランキング動画などではUDKとトップ争いをするのが恒例となっており(勝った事もある)
名実ともにクッキーのトップアイドルといえる人気を誇っておりレジェンドという括りでは無視できない存在である。クッキーによる惨禍を被った事により長い間、表立った活動はしてこなかったが、ひたむきにKNN姉貴を想い愛で続けた動画製作者達の情熱が届いたのか、2019年9月の6年目にしての奇跡の初配信の実現は記憶に新しい。その際、事前のメディア宣伝らしいものは無かったにも関わらず、並みいるyoutuberや商業Vtuber勢を押しのけてtwitterのトレンド入りを果たしており、後述のsyamu game同様「例のアレ」レジェンドの驚異的な影響力を証明する結果となった。10周年現在では目立った活動はしていないものの依然としてその去就から目が離せない人物である。
他ジャンルとの関係・影響・比較
クッキー☆を同様に巨大な二次創作ジャンルを擁する他コンテンツと比較した場合、以下のような差異が存在する。
シリーズ | 主な公式媒体 | 主な商業展開 | キャラ | ジャンル | 二次創作と公式の関係 |
ガンダム | アニメ | メディアミックス | 架空 | ロボットSF | マイナー媒体→準公式→公式と段階的に取り込まれることがある |
東方Project | ゲーム | メディアミックス | 架空 | STG | 作家やネタを採用することがある(ク歴ありの作家も存在) |
けものフレンズ | メディアミックス | メディアミックス | 架空 | 動物愛護 | 特になし |
アイドルマスター | ゲーム | メディアミックス | 架空 | ギャルゲ | ネタを採用することがある |
バーチャルYouTuber | YouTube | 配信業・広告・投銭 | 実在人物 | アイドル | VTuber本人や企業次第 |
クッキー☆ | ニコニコ動画 | なし | 実在人物 | カリカチュア | 人気になったネタが公式(流行らせコラ!) |
ニコニコ静画における他ジャンルとの比較(2020年5月8日時点)
ジャンル | 投稿数 | 概要・定義 |
東方 | 508537 | ニコニコ御三家 |
艦これ | 291453 | 角川ゲームスが開発したブラウザゲーム、それを基にしたメディアミックス作品全般 |
VOCALOID | 211376 | ニコニコ御三家 |
アイドルマスターシンデレラガールズ | 50974 | ニコニコ御三家 ※本来はジャンル総称は「アイドルマスター」だが左記のタグのほうが多い |
けものフレンズ | 47193 | メディアミックス企画 KFPが展開する作品群 |
クッキー☆ | 46340 | 上述の東方projectと後述の真夏の夜の淫夢から独立派生したニコニコ動画における動画群 |
ポケモン | 42682 | 任天堂が開発・販売したゲームシリーズ、及びそれらの派生作品 |
VOICELOID | 33055 | AITalkを利用した合成音声ソフト、及び類似のソフトウェア全般 |
Fate/Grand_Order | 30555 | 有限会社ノーツのブランド「TYPE-MOON」が展開するゲーム |
Minecraft | 26025 | ゲーム史上最高累計販売数のサンドボックス型ゲーム |
魔法少女まどか☆マギカ | 25637 | 2011年放送のテレビアニメ、及びそれらの派生作品 |
ワンピース | 21220 | 漫画史上最高の累計販売部数の週刊少年ジャンプ連載の少年漫画 |
アズールレーン | 13272 | ビリビリ動画が運営する中国製アプリ・ブラウザゲーム |
真夏の夜の淫夢 | 12767 | 日本製ホモビデオ、及びそれを基にしたインターネットミーム |
静画においてはクッキーはけものフレンズとほぼ互角のジャンル規模だが、両者を上回る規模のジャンルは御三家+艦隊これくしょんのみであり、非版権/非商業コンテンツとしては突出した規模である。静画のファンアートの数はニコニコというサイトにおいての人気の指標ともいえるが、他のジャンルにとってニコニコ動画/静画は「ファンの作った動画/静画を鑑賞する」いわばファン同士の活動、交流の補完、ファンサイトの役割でしかないのに対し、クッキー☆はニコニコ動画を発祥としてニコニコ動画のみをコンンテンツ展開の母体としているという違いが存在する。(クッキーと他ジャンルではニコニコ動画/静画自体の重要性、本質的な意味合いや位置づけは異なる)
例を挙げれば、ポケモンやminecraftはじめ他のジャンルは必ずしもファン活動を必要としないが、先述の「流行ったものが公式」理論をとるならば、クッキー☆なるものは自分か他人がニコニコでなんらかの動画/静画を投稿しなければ、つまり何も始まらない、動かないのである。(動画を見た声優の反応、動画人気による声優の配信視聴者の増加、声優の活動や配信頻度の増加等)
またそういった創作活動が必ずしもプラスに作用するとも限らず、動画や静画に不快感を表明してクッキー界隈と絶縁したり、活動をやめる、名義を捨てて失踪する声優も多い。
同世代のライバルコンテンツ達
ここでは過去10年間のニコニコ動画に登場した他ジャンルで、クッキーと、次の10年間を語る上でも無視できないであろう代表的なものについて紹介する。
どれも直接的にクッキーと関わった事はない一方、要所要所でクッキー関連のキーワードや人物が出てくることがある。
表は2020年2月初頭においての投稿日時ソートでの検索した場合のデータであり、後からタグを追加や削除した場合、動画数は当然ながら増減する。またホモ学などの無関係な動画も大量に含まれているが、ここでは概ね実態に即したものとして取り扱う。あくまで参考程度に。
年度別動画投稿数
年度/投稿数 | クッキー☆ | SyamuGame | バーチャルYoutuber | けものフレンズ | 東方 |
2010 | 52 | 42753 | |||
2011 | 356 | 41823 | |||
2012 | 864 | 38584 | |||
2013 | 1344 | 34008 | |||
2014 | 3118 | 422 | 29250 | ||
2015 | 3720 | 1676 | 18 | 33088 | |
2016 | 4842 | 2522 | 44 | 29844 | |
2017 | 7098 | 2650 | 644 | 16699 | 23895 |
2018 | 6045 | 2300 | 23236 | 5434 | 20494 |
2019 | 4525 | 1560 | 31314 | 4311 | 18611 |
Syamu Game
たれぞうや糖質淫夢の流れを汲む、痛い大人のYoutuberとして、ホモと見るシリーズで取り沙汰されニコニコ上でもミームになる。クッキーと直接関連して活動などをしたことはないが、トラフィックの重要性を語る際に参考になる存在といえる。2018年に数年ぶりに復帰しYoutubeに動画を投稿した際は、Twitterでトレンドの1位になり時間あたりの動画再生数は同日の日本のYoutuberの中ではヒカキンを抜いて瞬く間にトップとなった。その際はそのヒカキン自身が速攻でtwitterをフォローして復帰について言及したり、復帰以前にもそのヒカキンが所属するYoutuberのマネジメント事務所の役員が本人宅まで面談に行ったことがあるとも言われ、在りし日は彼らのようなネットインフラの頂点で商業を行う者にとっても無視できない存在だったことが伺える。クッキーと同じく淫夢文化から派生した非商業コンテンツでありながら、一瞬とはいえYoutuberの頂点に歯牙をかけうるだけの影響力と訴求力を獲得するに至った事は、ニコニコ動画のトップコンテンダーがいかにネットのトラフィックにおいて強大な影響力を持っているかを物語る事例と言えよう。余談だがSyamu game本人は復帰騒動の過程で文無し家無しにまで身を落とした結果、クッキー声優やクッキー動画投稿者に縋るように接触したことが確認されている。過去にはなろう小説を書いていた時期もあり、僅かながらもクリエイター気質のようなものを持ち合わせていた。
もし彼が大物Youtuberとして大躍進し、その権威と人気を以てまっとうな形で声優や動画投稿者とコラボや創作活動をすることがあれば、クッキーにも違った未来やさらなる発展があったかもしれない。
バーチャルYouTuber
2017年頃から雨後の筍のように爆発的に増殖した新世代型YouTuber。とはいっても活動主体がYouTubeである点以外は従来のYouTuberと大きく異なっており、スタンスとしては「2次元キャラクターがYouTubeを拠点にアイドル活動をしている」と言った方が正確である。
上で述べたマーケティング手法やトラフィック買収を象徴するようなジャンルであり、時が経つにつれ
YouTubeチャンネルの登録者数が短期間で突然、万単位で変動したり、登録者数と再生数の乖離が異常に激しいなどの珍現象が日常茶飯事となっている。
アニメ調のアバターを通して、中身の声優のパーソナリティに萌える、というクッキー声優囲いと極めて近い性質を持ったコンテンツだが、二次創作に関してはMMDやファンアート(あるいはエロ絵)、生放送の切り抜きといったものは充実している反面、BB劇場やMADといったものはそれほど発達していない。また本人達が現役で活動していることもあり、元のイメージを逸脱するような創作物は製作されない。
声優囲いという要素はクッキーと共通しているものの、中身がオッサンだったり複数いたりとクッキーにはないような特殊な在り方も見られる。
ニコ生の配信者を起用していることも多く、実際にかつてのクッキー声優や動画投稿者の中にはVtuberとして活動する者もいる(ただし、基本的には「キャラクターが配信活動を行っている」というスタンスであるため、中の人について詮索するのは好ましく思われないことがほとんどである)。失踪・引退状態にあるクッキー声優に対してVTuberとしての転生を望む声は多く、現状は衰え廃れゆくクッキーの声優ファンの流入先、受け皿としては最も有力なものとなっている。しかし、通常の配信者と比べて必要な経費や人員が多くかかること、また前述のコンセプトから運営会社主導の活動が主流であり、その立場上管理されるケースが多いこと、配信者側・視聴者側双方ともに内容や言動が制限され、コンプライアンスの遵守なども要求されることから、かつてのクッキー声優の生放送のような声優とファンの関係性や距離感の近さ、自由度はなく、「配信がつまらない」「興醒めする」「似て非なるもの」と馴染めない者も多い。
けものフレンズ
2017年1月にアニメ化したメディアミックス作品。 女性キャラしか登場しない、半人半獣でSD・子供体型のキャラ、ニュアンスに富んだ意味深な台詞の掛け合い、 ほんわかパートと生死を賭けたガチ戦闘が混在したシュールな世界観など、作風にクッキーのBB劇場と近しい要素が多くクッキー厨との親和性は高い。 覇権アニメとしてのネット上での評価に留まらず、ニコニコ上でも一大ブームとなり、「フレンズ」「フレンズ語録」といった概念やミームが誕生、 クッキー動画投稿者をも魅了した結果、クッキー同様のMADやBB素材が早々に大量制作されるなど、今後永きに渡る席巻や隆盛を予感させた・・・が、放送終了後に監督降板騒動が起きたり、制作側関連企業のトラブルが相次いだり、待望の次回作けものフレンズ2が凄惨極まる出来だった為、制作側や関係者を巻き込んでのアニメ史に残るほどの壮絶な大騒動を引き起こした。 最終的には不満を募らせたファン達が、ニコニコにおいて、けものフレンズRという包括的な二次創作ジャンルを形成するに至ったものの、「出来の悪い原作」「消せない呪われた黒歴史」「製作者を巻き込んだ騒動」「有志ファンが独自の創作を続ける」など様々な点でクッキー☆と立場を同じにしている。先述の通り静画においてはファンアートの規模は互角であり、ニコニコに限れば、ある意味ではクッキーのライバルコンテンツとも言えるかもしれない。
公式規約にて個人規模かつ過度な収益性がない範囲であれば同人活動の自由をオフィシャルに認めるという版権セミフリーの方針を打ち出しており、二次創作に対するスタンスではクッキー☆を生み出した東方projectと同様の寛容さがある。つまりけもフレ版クッキー☆が生まれる可能性が微レ存・・・?
また、上の騒動の過程で、クッキーにおいて忌まわしい疑惑のある人物が公式の商業展開の一端に関わっている事が判明したり、やはりクッキーとは浅からぬ因縁をもっている。
東方project
クッキーの原点にして原作のシューティングゲーム。 長い間、ニコニコ上においては御三家と呼ばれる三大勢力の一角を担っていた。 2010年からの10年間、東方とクッキーは互いに関わりを持つことはなかった。 御三家の残り2つ(VOCALOID、アイドルマスター)、ガンダムやスパロボなどの数多のゲームやアニメ、スターウォーズやスタートレックなどの巨大コンテンツを見てもわかるように、一定の規模になった二次創作のネタや設定は後年、公式に逆輸入されたり、他の二次創作作品に影響を与えるのが常だが、 クッキーがどれだけ人気でも東方やその二次創作界隈には全く影響を与えないという、ある種、一次創作と二次創作の理想的?な関係が保たれている。
ニコニコにおける東方の動画の投稿数はクッキーの隆盛とは対象的に実はクッキーが登場したその2010年当初から減少の一途を辿っておりVOCALOIDやアイドルマスター同様、もはや旧世代のジャンルであることは否定できない。 しかしライフラインをニコニコに依存しているクッキーとは違い、原作ゲーム、商業誌、同人イベントなどコンテンツを支える土台は複数存在している為かニコニコの衰退、ニコニコ上での衰退を悲嘆する声はあまりない。 クッキーの最盛期には「そのうち東方を超える」「東方はオワコン」という対立煽りのようなものが散見されたがニコニコ自体とクッキーの衰退につれそういった声も聞かれなくなった。
上の動画然り現在まで原作者はクッキーに関しては我関せずの冷たい態度を貫いているが、クッキーファンも原作に対しては同じスタンスなので、お互い様といえる。とはいっても彼の立場にたってみればクッキーなるものは
・純然たるファンの作る東方ボイスドラマを片っ端から寄ってたかってネタにする
・純然たる東方ファンの作るそれらを差し置いて東方の二次創作ジャンルの中で最大派閥
・そのくせいくら盛り上がっても自分の作るSTGのほうには流れてこないし客にならない
・自分が考えた原作設定やデザインを無視して好き勝手やり放題でリスペクトの欠片もない
・自分のデザインキャラが裸のホモビデオ男優と戦わさせられたり性交させられたりすることが多い
・それだけでなくつい(で)にホモビデオに出演したという事にされる
といったように好印象を持ち辛い部分が多く、10年を経た今でも、関わりたいと思う理由を探す方が難しいのが実情である。
もし人類史の遥か彼方の遠い未来まで東方projectが続いたならば、やがてその長い長い神話の1ページに 「クッキー☆なるものが昔、人々の間で栄えていた」ぐらいは書き記されるかもしれない。
関連項目
- 31
- 0pt