ベルギーの政党の一覧単語

ベルギーノセイトウノイチラン
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今週のオススメ記事 この記事は第793回のオススメ記事に選ばれました!
よりニコニコできるような記事に編集していきましょう。
この項独自研究を元に書かれています。
信じる信じないはあなた次第です。

本記事ではベルギー政党一覧にして取り上げる。

なお、一部政党名は日本語訳が定まっていないため初版編集者が独自に日本語訳したものがある。必ずしも正確なものではないということを留意していただきたい。

目次

概要

この記事ではベルギー政治背景にある戦後欧州政治の動向と政治の展開についても解説した後、政党一覧として取り上げる。

取り上げる政党2023年現在ベルギー連邦政府地方政府共同体政府に議席を持つ政党に限定する。

戦後欧州政治について

戦後欧州政治自由義・キリスト教民主主義社会民主主義という要3勢に後発の勢が成長してきたという構図がおおよそので成り立っている。しかし、憲法・安全保障問題を対立軸とした自民党優位の左右の対立しか経験していない日本人にとってはそれぞれの思想を理解しにくい部分がある。そこで本節では戦後欧州の各勢の思想を簡単であるが説明することにする。

自由
個人の自由を尊重し、絶対的な王権や国家に反対する思想。イギリス名誉革命アメリカ独立戦争フランス革命ベルギー独立革命による政府転覆を正当化する論理として持ち出された。
同性婚妊娠中絶安楽死といった現代的なテーマに対して積極的な姿勢を見せる点で革新的と言えるが、企業経済活動の自由を認め、所得の再分配に消極的な点では保守的とも言える。それゆえ中道、もしくは社会主義に反対する文脈で中道に位置づけられる。
一方で個人の自由が保障されればよいという自由義に対し、政府による弱者救済の役割を強調した考え方も生まれた。日本政治においては前者を「自由義」、後者を「リベラリズム」と区別するが、どちらもLiberalismという意味なので記事内では後者を「社会自由義」と呼んで区別する。
キリスト教民主主義
キリスト教1850年代から70年代にかけての自由義勢による世俗化(政教分離)政策に反発し、教会の利益を擁護する文脈で政党を組織した。当初は宗政党という意味合いが強かったが、教会から自立すると宗教利益の追求という色合いは薄れた。1891年、ローマ教皇レオ13世は資本主義の弊社会問題について言及した『レールム・ノヴァールム』という回勅を出し、その後のキリスト教政治運動方針を決定づけた。
第二次世界大戦後、多くの保守ナチスに協したとして信用を失ったが、キリスト教民主主義はむしろナチスに解散させられた側であったので保守の重要な担い手として信用されることになった。
キリスト教民主主義国家と個人の中間に存在するコミュニティを重視する。道徳観はキリスト教に基づいているので保守的であるが、社会問題には積極的に取り組む姿勢であるので一般的には中道と呼ばれることが多い。
社会民主主義
19世紀末暴力革命プロレタリア独裁を容認する正統派マルクス義に対抗して議会民主主義の中で社会主義を実現しようとする修正義が唱えられた。この両者はロシア革命以降分裂し、前者が「共産主義」、後者が「社会民主主義」と呼ばれるようになった。
第二次世界大戦後の東西冷戦で分断は決定的なものになり、社会民主主義1951年社会主義インターナショナルによる「フランクフルト宣言」で反共主義の立場を明確化した。
1980年代イギリス労働党トニー・ブレア市場原理主義を一部取り入れながら結果の等ではなく機会の均等をす「第三の」を唱えた。この路線は各社会民主主義政党にもを与えており、従来の社会主義の立場から自由義に接近するものであるため、中道化としてみなされる。
の党
1970年代環境問題への関心の高まりを受けて各で結成された政党環境保護だけでなく、反戦・人種等・脱資本主義・多文化義・参加民主主義を重視する。アメリカイギリス日本など小選挙区制のでは政へのどないが、ドイツスウェーデンなどでは要な政治となっている。
際的なネットワークが強なことも特徴で、際組織グロバルグリーンズが制定した「グロバルグリーン章」はその後のの党の針となっている。
ポピュリズム
ポピュリズム定義はさまざまであるが、カス・ミュデの「社会が究極的に『汚れなき人民』と『腐敗したエリート』という敵対する2つのグループに分かれていると考え、政治は人民の一般意志を表現するべきだと訴えるイデオロギー」という定義が学術的には定説になりつつある。
ナチズムもポピュリズムの一種であり、ドイツ人の優秀性を唱える一方、ユダヤ人共産主義者・同性愛者を敵として設定する。メディアを巧みに利用しつつ支持を拡大させ敵を排除しつつ独裁体制を確立した。
現代におけるポピュリズムナチズムとの共通点から非民主的なものとされることもあるが、ポピュリストは直接民主制での多数決を重視するという意味では民主的であり、エリート民の要無視して自分の利益を追求している代議制こそ非民主的であるとする。一方で、イギリスEU離脱投票のように48%の少数の意向が無視されるという問題も摘されている。
においては2000年代からグロバル経済の拡大、移民難民の大量流入などへの反動から、イギリスドイツフランスイタリアオランダベルギーなどで右ポピュリズム政党が台頭した。これら右ポピュリズム政党は反移民、反EU、反LGBTを訴えている。
他方、2010年ギリシャ危機に端を発するEU緊縮財政への反動からギリシャスペインなどでは左ポピュリズム政党が登場し勢を拡大してきている。

ベルギーについて

伝統3政党の成立

ナポレオン戦争後、ベルギーネーデルラント連合としてオランダ人に支配された。国王ウィレム1世はオランダ人を優遇した権威義的な政治を行い、フランス革命を受けたベルギー自由の反感を買った。また、ベルギーカトリック教徒が多かったが、ウィレム1世はプロテスタントを信仰していたためカトリックも支配に不満を持っていた。1830年、ベルギー独立革命が起こると自由義勢カトリック革命導し独立を果たした。

独立後いちく全政党を組織したのが自由党である。自由党国家の世俗化を推進し、学校での宗教教育を禁止した。これに対し、自由義勢と協調路線をとっていたカトリックはこれに反発。内紛をしてカトリック党を結成すると選挙で圧勝した。

19世紀後半には産業革命の成功により労働問題が深刻化。労働環境の改善を訴えるベルギー労働者党が結成された。

この3つの政党は強な組織を形成し、独自の病院学校新聞銀行などを通して支持者を囲い込んだ。カトリック自由義・社会主義の3勢ベルギー要勢であり、独立から2023年現在に至るまで首相はこの3勢からしか誕生していない。

言語問題とフランデレン運動

要3政党に遅れて誕生したのがフランデレン地域の地位向上を訴える政党であった。もともと、ベルギーにはフランス語話者とオランダ語話者がいたが、エリートたちは皆フランス語を使用していたため、フランス語だけが公用語であった。そのため、教育行政法の場でオランダ語を用いることは禁じられており、オランダ語話者の多いフランデレン地域の住民は民族運動を組織するようになった。この民族運動を「フランデレ運動」という。

フランデレ運動オランダ語公用語化という成果を出したが、第2次世界大戦中にナチスに加担したとして戦後は下火になった。それでも1954年にVU(民族同盟)が設立されると徐々に議席を拡大して言問題は再びベルギー要な政治問題となった。

問題は伝統3勢にも波及した。1968年カトリックCVP-PSCが、1972年自由義勢PVV-PLPが、1978年社会主義のSP-PSが言別に分裂した。

連邦化とその後

VUをはじめとする地域政党の台頭を受けてベルギーでは各地域と共同体に自治権を与える国家改革が進められた。1970年から1993年に至るまで4度の憲法改正を経て漸次的に連邦制となっている。

連邦の構造は以下の表の通り。

連邦 ベルギー
地域 フランデレ ブリュッセル ロン
共同体 ラマン(オランダ) フランス語 ドイツ語

ところで、連邦化の達成によって衰退したのは皮にも連邦化を訴えていた地域政党であった。標の達成で活動の意義を失ったためである。フランデレ運動の担い手であったVUは党員の離脱が相次ぎ、2001年に分裂して消滅した。

その一方で強存在感を示したのがVUから離脱したグループで結成された極右政党VBであった。VBは新たに反移民を争点とし、フランデレンで支持を拡大した。しかし、2010年選挙ではVBの議席は大幅に減少。かわってこの選挙で躍進したのがVUから分裂したN-VAである。N-VAはより穏健な形での自治拡大や移民の厳格化を訴え、前回2007年選挙では政党CD&V選挙を行ったことで支持を拡大させていた。これ以降フランデレンではN-VAが第一党となっているが、2019年選挙ではVBも勢を盛り返すなどしている。

ベルギーの選挙制度

ベルギー選挙例代表制を採用しており、単独過半数を確保することがかなり難しく、小党分立状態になりやすい。また、補者はいずれかの政党から立補しなければならない。政党事前補者名簿を作成し、当選の優先順位を決めておくため、当選させるかある程度決められる政党の権が強くなっている。

また、ベルギーは「投票が義務」であり、行かないと罰が科されるだと言われるが、厳密には投票所に行くことが義務である。投票所に行けば棄権しても白票を投じても罰にはならない。

政党の一覧

本記事では2023年現在ベルギー国会フランデレ議会、ワロン議会ブリュッセル議会フランス語共同体議会ドイツ語共同体議会に議席を保有する政党のみを以下に取り上げる。

()内は日本語での名称。党名をクリックすると政党概要に飛ぶ。

地域 フランデレン地域 ブリュッセル ロン地域
オランダ語圏 フランス語圏 ドイツ語圏
キリスト教民主主義 CD&V
(キリスト教民主フラームス)
Les Engagés
(献身)
CSP
(キリスト教社会党)
自由 OpenVLD
(開かれたフラームス自由民主)
MR
(改革運動)
PFF
(展望、自由、進歩)
Vivant
(ヴィヴァン)
社会民主主義 Vooruit
(前進)
PS
(社会党)
SP
(社会党)
地域 N-VA
(新フランデレン同盟)
DéFI
(独立連邦民主主義者)
ProDG
(ドイツ語共同体ごとに)
地域義・極右 VB
(フラームス・べラング)
の党 Groen
(フルン)
Ecolo
(エコロ)
急進左 PVDA
(ベルギー労働者党)
PTB
(ベルギー労働者党)
文化 TFA
(チーム・フアード・アヒダル)

各議会での議席数(2024年)

定数 キリスト教民主主義 自由 社会民主主義 地域 極右 の党 急進左 文化 所属
CD&V LE CSP O-VLD MR (PFF) Viva Voor PS (SP) N-VA DéFI ProDG VB Groen Ecolo PVDA PTB TFA
欧州議会 22 2 2 - 1 3 - - 2 2 - 3 - - 3 1 1 2 - -
連邦上院 60 5 5 - 3 9 (1) - 4(※3) 6 - 10 - - 8 2 1 6 - -
連邦下院 150 11 14 - 7 20 - - 13 16 - 24 1 - 20 6 3 15 - -
フランデレ議会 124 16 - - 9 - - - 18 - - 31 - - 31 9 - 9 - 1 -
ブリュッセル議会 89 1 8 - 2 20 - - 2 16 - 2 6 - 2 4 7 15 1 3 -
ロン議会 75 - 17 - - 26 (1) - - 23 - - - - - - 5 - 8 - -
フランス語共同体議会 94 - 19 - - 31 - - - 24 - - 1 - - - 7 - 12 - -
ドイツ語共同体議会 25 - - 5 - - 3 4 - - 3 - - 8 - - 2 - - - -

※1 ()内の政党は左隣の政党内のグループであることを示す。
※2 ()内の議席数は左隣の政党の議席数に含まれていることを示す。
※3 本来5議席だがVooruitは上院止を訴えて同党に割り当てられていた1議席に議員を送っていない。

各共同体の連立政権の構成

政府 首相(所属) 構成 成立日(選挙からの日数)
ベルギー政府 ※暫定政権
アレクサンダー・デ・クロー
OpenVLD
CD&V+OpenVLD+sp.a+Groen
PS+Ecolo+MR
2020/10/1(494日)
フランデレ政府 ※暫定政権
ヤン・ヤンボン
N-VA
N-VA+CD&V+OpenVLD 2019/10/2(129日)
ロン政府 エイドリアン・ドリモントMR MRLE 2024/7/15(36日)
ブリュッセル政府 ※暫定政権
ルディ・ヴェルヴォー
PS
PS+Ecolo+DéFI
Groen+OpenVLD+sp.a
2019/7/17(52日)
フランス語共同体政府 エリザベート・デグリーMR MRLE 2024/7/16(37日)
ドイツ語共同体政府 オリバーパーシュProDG ProDG+CSP+PFF 2024/6/13(4日)

sp.a現在Vooruit
2024年8月5日現在、一部政府は連立交渉進行中のため前政権が暫定政権として留任中

各政党の概要

タップで展開。

ベルギー北部のフランデレン地域ではおよそ680万人が暮らし、オランダ語が使用されている。例外として首都ブリュッセルフランデレン地域にあるものの、歴史的にフランス語話者が多いため二言併用地域となっている。20世紀に入ると急速に経済が発展。ヨーロッパ最大級の貿易港アントウェルペンを中心にグロバル経済を支える重要拠点となっている。

政治的には保守政党が支持されやすく、左政党中道化にかじを切っている。また、歴史的に自治の拡大、分離独立を訴える運動も根強い。

オランダ語話者が獲得できる議席は上院35議席、下院88議席、ブリュッセル議会17議席、フランデレ議会124議席。

CD&V(キリスト教民主フラームス)

ベルギー独立以降長らく権の座についていたカトリック党を祖とし、1968年CVP-PSC(キリスト教社会党)からCVPとして分裂。

長らくフランデレンの第一党だったが、1999年野党に転落。党改革の一環として2001年現在の名称となった。それでも支持は回復しなかったが、2007年N-VA選挙を行うと与党に復帰した。2014年以降はフランデレン第一党の座をN-VAに明け渡しているが2007年から2023年現在に至るまで連邦政府与党にいる。

イデオロギーは中道。「連帯と正義」をスローガンに掲げ、地方創生や年金削減反対などを訴えている。支持者はカトリック教会地方の農民が多い。最大政党の座はN-VAに明け渡したものの、長らくベルギー連邦政府フランデレ政府の与党の地位にいる。

OpenVLD(開かれたフラームス自由民主)

ベルギー独立に貢献した自由党を祖とし、1972年PVV/PLP(自由と進歩の党)からPVVとして分離。1980年代後半から野党の期間が続いた。1992年にVLD(フランデレ自由民主党)を結成し、党名に「フラームス」をいちく入れたことで民族義者の一部を取り込むことに成功した。その後、外国人参政権の導入をめぐる議論では内紛が起きて一部のメンバーが離党する事態となった。2007年に党名にOpenを加えて現在の名称となった。

経済的な自由を訴える自由政党フランデレンでは最大の党員数を誇る。同性婚安楽死妊娠中絶に前向きな姿勢を見せる一方、解放は支持しておらず、西欧価値観を身に着けた上での移民統合や不法移民速な追放を訴えている。

Vooruit(前進)

ベルギー初の社会主義政党BWP(ベルギー労働者党)を祖とし、戦後BSP(ベルギー社会党)と名称を変更した後、1980年にSP(社会党)として分裂した。

最近までsp.a(社会党・別)という名称であったが、2020年にVooruitに変更された。フランデレンでは第2党~第3党の位置にいる。

ロンPSとは姉妹政党の関係であるが、こちらは新自由主義的な政策を訴えたり、PSが所属している社会民主主義政党際組織、社会主義インターナショナルから離脱したりするなど中道寄りになりつつある。

N-VA(新フランデレン同盟)

フランデレンの地域政党VUが2001年に左右両によって分裂し、その右によって結成された政党

フランデレンの最大政党かつベルギーの最大政党フランデレンの自治拡大と移民の厳格化を訴える。2009年から急速に勢を拡大。そののためフランス語政党から距離を置かれている。特にワロンPSとはの仲。フランデレ政府の最大与党であるが、連邦政府では野党の立場にいる。

後述する極右政党VBが似通っているが、こちらは必ずしも即時分離独立を訴えてはいないため穏健とされる。

VB(フラームス・べラング)

1978年フランデレンの地域政党VUから分裂した2党を合同して誕生したフラームス・ブロックを祖とする。2001年人種差別に対する有罪判決を受けて「フランデレンの利益」を意味するフラームス・べラングに変更された。

フランデレンの分離、移民排斥を訴える極右政党。あまりにも過のため、他の政党はこの党といかなる協もしないという協定を結んでいる。このような対策が功を奏したのか、2007年以降の連邦選挙ではN-VAや支持が流れて低迷した。しかし、2019年選挙復活し、2023年現在でも世論調査フランデレン首位の支持率を記録するなど復調気配。

フランデレンの即時分離独立のためにN-VAとの協関係を模索しているが、相手方の態度は微妙

Groen(フルン)

フランデレ地方環境保護運動アハレフ(Agalev)を祖とする環境政党。ワロン地方の党にあたるEcoloと密接な関係にあるが、起は異なる。

1999年に初の与党入りを果たすが、2003年総選挙では得票率5%に届かない政党には議席を配分しない阻止条項の導入によって全議席を失った。

これを受けて党名をGroen!に変更するなど党内改革を行った結果、2007年には連邦議会に復帰するなど党勢の回復に成功している。2012年に党名の!が省略され現在に至る。

党内民主主義を掲げており、重要事項の決定は党員の意向に沿う形で行われている。

Team Fouad Ahidar(チーム・フアード・アヒダル)

Vooruitに所属していたブリュッセル議会議員フアード・アヒダルを中心とする政党。同氏は2024年に当時のVooruit党首コナー・ルソーによる人種差別発言に反発し離党して同党を結党した。ブリュッセル西部を地盤とする。

文化義を謳い、内のイスラム教徒の利益をしている。パレスチナ紛争においてはパレスチナ側を支持している。

2024年選挙ではフランデレ議会ブリュッセル議会オランダ語名簿に立補し、それぞれ1議席、3議席を獲得。後者ではフルンと並ぶ第一党となっているが、協する政党の不在により野党になる可性が高い。

ベルギー南部のワロン地方は人口およそ370万人でフランス語が話されているが、一部でドイツ語が使用される地域がある。かつては炭鉱業の後押しで大陸ヨーロッパで初の産業革命を起こした先進地域だったが、20世紀前半には産業の中心はフランデレンに移っていいったことで次第に衰退している。

政治的には左政党が支持されやすく、保守政党中道化を試みている。フランデレンの分離運動には反対する勢が多い。

フランス語話者が獲得できる議席は上院24議席[1]下院62議席、ブリュッセル議会72議席、ワロン議会75議席(フランス語共同体議会仏語系のブリュッセル議員によって選出された19議席+ワロン議員で構成されるので94議席)。

Les Engagés(関与)

ベルギー独立以降長らく権の座についていたカトリック党を祖とし、1968年CVP-PSC(キリスト教社会党)からPSCとして分裂。

1999年CVP(現在CD&V)とともに野党に転落したが、ワロン政府フランス語政府ブリュッセル政府全てで野党となった。その後の2002年cdH(人民主中道)に党名を変更し中道化を推進した。しかし、選挙の度に得票率は減り続けている。2022年にLes Engagésに党名を変更し、さらなる改革を行った。

MR(改革運動)

2002年フランス語圏のPRL、FDFMCCの3党とドイツ語圏のPFF合同する形で結成された自由政党2007年には長らくワロン第一党だったPSを破り第一党となった。2011年ブリュッセルの地域政党FDF(後のDéFI)が離脱して3党合同の体制となった。

自由義に基づいて個人の権利を尊重する姿勢であるが、同性婚合法化の議決の際には自投票とし、多くの議員が反対に回った。また、2014年以降のシャルルミシェル政権下では与党としてヴェールを被ったムスリム女性公務員になることを禁じる法案に賛成した。

PS(社会党)

ロン地域の最大政党。協な組織を持っており、1978年から2014年の間は常に与党の座に就いていた。2014年下野したものの、2019年には再び与党に返り咲いた。社会党分裂後から2023年現在に至るまで党名を変更していないのは政党の中でこの党だけである。

長年権の座にいたためか、党員による汚職・スキャンダルがしばしば報じられ批判されることも多い。2007年以降、EcoloPTBなど新の活躍もあって議席は伸び悩んでいる。

ドイツ語圏のSPはこの政党の支部という扱い。

DéFI(独立連邦民主主義者)

1962年から63年にかけて成立した言法によってブリュッセルフランデレン化を危惧した人々によって1964年に結成されたFDF(フランス語民主戦線)が起

1980年代に支持が落ち込むと自由営と接近した。FDF含む自由政党連合2002年MRとなったが、2011年連合を離脱した。2015年フランス語で「挑戦」という意味のDéFIに党名を変更した。

フランデレンにおけるフランス語話者の保護とブリュッセルとワロンの結びつきの強化を訴えるブリュッセルの地域政党。また、連邦の分権化やフランデレン分離義にも反対している。

Ecolo(エコロ)

1970年代環境保護運動の高まりを受けて結成された政党

1999年選挙では環境問題が争点になったことで躍進して政権入りを果たしたが、ブリュッセル空港間飛行に反対を貫いたことで政権から離脱。続く2003年選挙では議席を大幅に減らすこととなった。その後も支持率は低迷したが、2019年選挙過去最高の13議席を獲得して与党入りを果たした。

ベルギー政党はほとんど言別に分化しているが、全規模の政党も少数ながら存在する。

PVDA/PTB(ベルギー労働者党)

ベルギー一の全政党1960年代のレーニン義、毛沢東義のを受けた学生運動を起に持つ社会主義政党

1981年から選挙に立補していたが、30年以上地レベルの議席も獲得できない泡政党に過ぎない存在であった。しかし、2012年地方議会選挙で初の議席を獲得し、続く2014年下院選挙でも議席を獲得した。2019年下院選挙では投票数が倍増するという大躍進を果たしている。

共産党同様、反資本主義・反帝国義を訴えており、党規約には「社会主義2.0」をす「現代共産党」であるという記述がある。また、党内は民主集中制に基づいて統治されることになっている。

Agora(アゴラ)(解散済)

2023年現在ブリュッセル議会に1議席のみ保有する小政党。くじ引きから作為に選出された89人からなるブリュッセル市民集会を催しており、議員はこの集会の決定に則って活動している。

2019年選挙ではオランダ語リストから立補したが、運動の性格上両言併用の政党として分類した。

2024年に解散。

ベルギー東部ではドイツ語が使用されており、人口はわずか7万8千人程度しかいないが、連邦化に伴ってドイツ語共同体議会(25議席)が設置されている。

CSP(キリスト教社会党)

議席数・党員数ともにドイツ語圏の最大政党キリスト教民主主義政党CVP-PSCの一部としてドイツ語コミュニティの利益を代弁し、1946年から1999年の間継続的に国会の議席を確保していた。

1971年の分裂後以降ドイツ語議会で多数を形成しているが、1999年国会での一の議席を失うとドイツ語共同体政府でも野党に転落。それ以降得票率も減少の一途であり有保守政党の座をProDGに奪われつつある。

それでもベルギードイツ語圏に割り当てられた欧州議会の1議席は2023年現在もこの党が独占している。

PFF(展望、自由、進歩)

1971年ベルギー独立に貢献した自由党を祖とするPVV/PLP(自由と進歩の党)からフランデレンのPVV、ワロンのPLPが分裂した後、ドイツ語圏部門として残存した政党2023年現在はワロンMRの一部を構成している。

1995年から1999年を除いて常にドイツ語共同体政府の与党となっている。

Vivant(ヴィヴァン)

ベルギーの起業ローラン・デュシャトレが設立した政党政治スキャンダル抗議した政党BANAAN(何もしない無気力として追求される、より良い代替案)の元メンバーが多く参加していた。当初はブリュッセルで活動する政党であったが、2007年OpenVLDに吸収されてドイツ語圏で活動するのみとなっている。

直接民主制やベーシックインカムの導入を訴えており、党の吸収後も得票率が増加するなど一定の存在感を示している。

SP(社会党)

ロンPSドイツ語圏のための支部。支持率はかなり安定しており、1990年から2019年選挙ではドイツ語共同体議会で4~5議席を維持している。ドイツ語共同体政府野党だったのは1986年から1990年だけ。

ProDG(ドイツ語共同体ごとに)

1971年CSPからCWU(キリスト教選挙同盟)として分裂。同年の選挙で成功を収めるとPDB(ベルギードイツ語話者の党)に党名を変更し、ドイツ語圏の自治拡大を訴えるようになった。

1980年代PDBはネオナチ組織から資提供を受けていたとして関係が疑われたが、明ができないとして罪には問われなかった。

連邦化によってドイツ語圏に自治権が与えられると活動の意義を失い、2006年選挙敗北。今後はドイツ語コミュニティの利益を代弁する政党として再出発するとして党名をProDGに改めた。

2004年からドイツ語共同体政府の与党として参加し、2014年以降は首相を輩出している。

参考文献

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関連リンク

オランダ語系政党

フランス語系政党

ドイツ語系政党

関連項目

脚注

  1. *うち8議席はワロン議会による名なのでドイツ語話者も獲得できる可性はある
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ベルギーの政党の一覧

22 ななしのよっしん
2023/11/20(月) 17:19:42 ID: hX/ZuDWRuZ
チョコレートワーテルローと「通り」とコンゴ自由での悪逆非っぷりくらいしかイメージかった
勉強になる~
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削除しました ID: E/wv/kgJgM
削除しました
24 ななしのよっしん
2023/11/20(月) 20:54:21 ID: XQJonIq5oR
>>23
つまり日本ww2後の大きな政変から100年経たないと落ち着かないってことか
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25 ななしのよっしん
2023/11/21(火) 01:32:48 ID: 0ukD4ueM/4
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26 ひーだ
2024/03/21(木) 01:04:11 ID: xAhWXQwWyg
最近のベルギー政治ピック
今年6月総選挙を控え、各党の動きが慌ただしくなってきました。
世論調査では極右VBと急進左PVDA-PTBが大きく支持を伸ばし、与党はかなり苦戦模様。これら2党が勝利すると連立交渉はこれまで以上に難航すると見込まれる。
https://www.vrt.be/vrtnws/nl/2024/02/28/peiling-de-stemming-vlaams-belang-afgetekend-grootste-partij-v/exit
オランダ語政党のN-VA、フランス語圏のブラバン・ワロン州に補者を擁立(他言選挙区に補者を出すのはかなり異例、しかもN-VAはオランダ語圏の利益を代表する政党だし)。フランス語圏では右的な政党が減少しており、その空白を埋めようというねらいか。
https://www.vrt.be/vrtnws/nl/2024/03/20/wie-is-dieu-godefridi-die-het-gezicht-van-de-n-va-moet-worden-i/exit
フランス
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27 ひーだ
2024/03/21(木) 01:41:36 ID: xAhWXQwWyg
ここからは個人的な見解
ベルギーで散々言われてる「VB・N-VA連立」はおそらく(まだ)ないと思われる
そもそもベルギー内閣オランダ語話者とフランス語話者の大臣の数を同数にしないといけないルールがある。VBを含む内閣を作ろうとした場合、現状これに応じるフランス語政党がないので不可能
オランダ語圏だけのフランデレン地域政府であれば「VB・N-VA連立」もありえなくもないが、VBに協したN-VAに対してフランス語政党から批判されるのは必至。連邦政府の連立交渉に参加できなくなるリスクがある。そもそも、最新の世論調査では2党合わせても過半数の支持がないので他党に入ってもらう必要があるが、前述のリスクを受け入れてまで応じる党があるのか?

・連立形成のPSとN-VAが和解できるかどうかにかかっている
現政権は自由党社会党の党+カトリック党の47党による構成だが、オランダ語圏に割り振られた下院の88議席中41議席しか満たしておらず若干フランス語圏の代表に偏重している。その最たる原因がオランダ語圏第一党のN-VAが
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28 ななしのよっしん
2024/08/05(月) 21:28:20 ID: 9SYH8JGK2w
復旧当日に最新の選挙結果を反映、更新してて舌を巻く。制作者のひーだ氏、研究者として実直な人柄が見える。

先日のフランス民戦線の台頭を防ぐ為にマクロ大統領、与党連合が新人民戦線とのかなり野合や、ドイツのAfd躍進とか見てるとベルギーの内情も気になるから参考にしております。
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29 ひーだ
2024/08/05(月) 23:05:40 ID: xAhWXQwWyg
2024年6月9日選挙結果の概要
極右VB台頭も思ったよりは伸びず、第二党止まり
・第一党の座はN-VAが維持
政府首班のOpenVLD歴史的大敗、首相辞任へ
・Vooruitは前党首の差別的発言・セクハラにもかかわらず議席増
フランス語圏でLE・MR勝利PSは議席減
の党は全体的に苦戦したがGroenはブリュッセルで健闘
フランデレン、ブリュッセル地域議会イスラム寄りの新党TFAが議席獲得
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30 ひーだ
2024/08/05(月) 23:26:52 ID: xAhWXQwWyg
選挙後の動き
ドイツ語圏とフランス語圏では々と連立交渉がまとまり新政権が成立。
連邦下院ではオランダ語自由党OpenVLDフランス語社会党PS敗北したのを受けて連立政権入りを断念。ややこしいことにフランス語自由党オランダ語社会党は議席を増やしてるので新政権はかなりアンバランスなことになりそう。
現在連邦政府の交渉を導しているのはN-VA党首バルト・デ・ウェーヴェル。一部政党の交渉撤退で実現可な連立方式がほぼ一択になってしまったため、較的期に合意できるのではないかと現地メディアは楽観視。
地味に難しいブリュッセル政府の交渉。オランダ語名簿のTFA、フランス語名簿のPTBが議席を増やしたが、他党からのは冷ややか。フランス語名簿ではPSが助け舟を出してなんとかなりそうだが、オランダ語名簿ではどう組もうにも仲悪い政党同士をくっつける必要が出てくる。

個人的な見通し
・政策のすり合わせさえできれば当事者たちが標とする9月20日までの連邦政府の成立は可。逆にそれができないとなると交渉
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31 ひーだ
2024/09/06(金) 01:06:46 ID: xAhWXQwWyg
相変わらず交渉やってるいたいですけど、連邦レベルではMRが増税反対とゴネてますね……。
おそらく10月13日地方選挙やるんでそれまでに妥協してしまうと有権者に裏切り者扱いされて負けることを危惧してるのでしょう。
そんな事情があるんで少なくとも地方選挙前の政権立はほぼ理。
しかも地方選挙の結果次第では党の態度が変わってくる可性もありますから、当初の予測ほど楽観的ではない状況のように思います。
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